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第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍
酒盛り準備
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さて、宿の部屋はシンプルなものだった。ベッド二台がどかっと置かれて、隅っこに小さな机と椅子があるシンプルなものだ。
適当なところに荷物を置いて、ナガレはジャケットを脱いでハンガーにかけた。そして素朴なベッドに腰掛ける。
「ようナガレ君。何を持って来たんだい?」
同じくコートを脱いで、腕まくりしたグレーのシャツと紺色スラックスといった大人の色気があるドスケベ衣装のアルクル。彼の問いにナガレは荷物の方を見た。
「んー、着替えと鎧と武器、あとはサイフとヘソクリくらいかなぁ。なるべくお金はいろいろな場所に小分けにして持つようにしてるんだ」
こうすればたとえ一つ盗まれても、他のお金は無事だ。……なおこれはナガレの持論でしか無いので、試すときは自己責任で。
「そういうアルクルは何持って来たのさ?」
ナガレが聞くと、アルクルは意地悪そうにニヤリと笑った。
「へっへっへ……ナガレ君、今日はゆっくりするんだろう?」
「え? ま、まぁそうだけど。今日はもうここでダラダラして早めに寝よっかなーって」
流石にまだお祭りはやっていない。明日は前夜祭があるらしいが、今日はその準備でどこも閉店中だ。屋台だけはたくさん見たが、どこも食べれそうな気配はなかった。
するとアルクルは目を細め、自分のバッグをガサゴソ探って何かを取り出す……。
「じゃ~ん! コレなーんだ」
それは透明なガラスの瓶ボトル。中には同じく透明の水が入っている。瓶に貼られたラベルを見たナガレは目を疑った。
「えーとなになに、アルコール……ってえぇー⁉︎」
「おいおいナガレ君っ! シーッシーッ……大きな声出すなよバレるから」
口に人差し指を当てて「静かに!」とジェスチャーするアルクル。
「こいつは去年買った、エンペリオン地方産白葡萄のワインでなぁ。安かったからおんなじの三本も買ったんだが、ご当地品でもったいなく感じてなぁ。今度飲もう今度飲もうと思ってたらもうすぐ賞味期限切れちまう。……だからマスターにゃ内緒で、みんなで飲んじまおう。タネツさんとかヒズマさんとかケンガとか誘ってさ。……多分ジョー君とサニーは酒飲まねえだろうけど」
「フローレンスは飲むかな?」
「おいよせよせ。あの娘はマスターと相部屋だろ。かわいそうだがフローレンスちゃんはスルーだ。年末の飲み会では、すげえ仲良くなれそうな感じだったんだがなぁ……」
本気で悔やんでいる様子のアルクル。ナガレは「よいしょっと」と、ベッドから降りて普段着の革靴を履いた。革といってもそんな高級なものではなく、バッファローの牧場で美味しく調理された牛の毛皮を使った比較的安価なものだ。三十ダラーとそこまで高くは無い。
適当なところに荷物を置いて、ナガレはジャケットを脱いでハンガーにかけた。そして素朴なベッドに腰掛ける。
「ようナガレ君。何を持って来たんだい?」
同じくコートを脱いで、腕まくりしたグレーのシャツと紺色スラックスといった大人の色気があるドスケベ衣装のアルクル。彼の問いにナガレは荷物の方を見た。
「んー、着替えと鎧と武器、あとはサイフとヘソクリくらいかなぁ。なるべくお金はいろいろな場所に小分けにして持つようにしてるんだ」
こうすればたとえ一つ盗まれても、他のお金は無事だ。……なおこれはナガレの持論でしか無いので、試すときは自己責任で。
「そういうアルクルは何持って来たのさ?」
ナガレが聞くと、アルクルは意地悪そうにニヤリと笑った。
「へっへっへ……ナガレ君、今日はゆっくりするんだろう?」
「え? ま、まぁそうだけど。今日はもうここでダラダラして早めに寝よっかなーって」
流石にまだお祭りはやっていない。明日は前夜祭があるらしいが、今日はその準備でどこも閉店中だ。屋台だけはたくさん見たが、どこも食べれそうな気配はなかった。
するとアルクルは目を細め、自分のバッグをガサゴソ探って何かを取り出す……。
「じゃ~ん! コレなーんだ」
それは透明なガラスの瓶ボトル。中には同じく透明の水が入っている。瓶に貼られたラベルを見たナガレは目を疑った。
「えーとなになに、アルコール……ってえぇー⁉︎」
「おいおいナガレ君っ! シーッシーッ……大きな声出すなよバレるから」
口に人差し指を当てて「静かに!」とジェスチャーするアルクル。
「こいつは去年買った、エンペリオン地方産白葡萄のワインでなぁ。安かったからおんなじの三本も買ったんだが、ご当地品でもったいなく感じてなぁ。今度飲もう今度飲もうと思ってたらもうすぐ賞味期限切れちまう。……だからマスターにゃ内緒で、みんなで飲んじまおう。タネツさんとかヒズマさんとかケンガとか誘ってさ。……多分ジョー君とサニーは酒飲まねえだろうけど」
「フローレンスは飲むかな?」
「おいよせよせ。あの娘はマスターと相部屋だろ。かわいそうだがフローレンスちゃんはスルーだ。年末の飲み会では、すげえ仲良くなれそうな感じだったんだがなぁ……」
本気で悔やんでいる様子のアルクル。ナガレは「よいしょっと」と、ベッドから降りて普段着の革靴を履いた。革といってもそんな高級なものではなく、バッファローの牧場で美味しく調理された牛の毛皮を使った比較的安価なものだ。三十ダラーとそこまで高くは無い。
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