崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十三話 希望と絶望の復活

幹部集結

～☆～☆～☆～☆～☆～

　わぁぁぁぁぁ！
「グハァ！」「ぎゃっ！」「うわぁっ！」
　洞窟中に響き渡る、鉄をぶつけ合う音。そして戦士たちの悲鳴。
　それを背中に感じながら、一人のローブ姿の女……もとい、イビル教団信者が走っていた。
「はぁはぁっ、し、司祭様！」
　数個の空間を抜けた後、固い門を開けて中に転がり込む。
　目先には……イビル教団司祭ペトロと、四人の幹部がいた。

「大きい声を出すものではありません。私たちは気づいていますよ」
「うーあーー！」
「……ま、コイツより静かなら許したるわ」
　緑肌の巨体の女、フランコがよく分からないまま咆哮する。それを指差しながら、片目隠れの白髪青年ジョロウが疲れたような声をあげた。
「静かにしろ。司祭さ……ペトロ様が発言される」
　青い漢服を着たイケメン青年タオティエが鋭い眼差しで周囲を威圧する。
「ハピネはどこいったねん？」
「知るか。勝手に想像しろ」
「おお、こわいこわい……」
　大げさに体を震わせるジョロウ。
「た、大変です。サニーを取り返しに、奴らの仲間が襲撃してきました！」
「そんなモン、すぐに叩きのめして追い出せばええやろうが」
「あうー！」
「で、でも敵はすっごく強くって、信者の戦士が次々と倒されていきます！　あれがＣランク冒険者だなんてとても……」
　信者が必死でまくし立てるのを、片手を上げて制するペトロ。
「分かりました。ですが心配はいりません。私たちが必ず殺します。我々には神のご加護がついていますから、何も心配はいりません」
「は、はい。では私は……？」
「そうですね……ではあなたは、お休みになっている大司祭様に伝えてきてください。決して無礼を働いては……」
　ペトロが抑揚のない声でそう言おうとした瞬間。


　グゥゥ～～～～……。

　突然腹の虫が鳴るような低い音が響いた。なんの音か分からない信者以外は一斉にとある人物を見つめる。

「……ペトロ様。私の腹が鳴った音です。申し訳ありません」
　ちょっぴり顔を赤らめて、タオティエが呟いた。そして……黒ローブの信者をギロリと睨みつける。

「……では、食事にさせてください」
「へ？」
「おいお前、食事にするぞ」
　空腹を覚えるのは、生理現象なので仕方がない。だがこんな時に食事にするとは、まじめなナリして意外とワガママなようだ。
「は、はい、ただいま何か食材を……」
　急いで踵を返そうとした信者。だがタオティエはそれを睨みつけながら……ニンマリと口角を上げた。

「いいや、お前が食事だ」
　ぐぱぁっ……。
「えっ？」