崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二十八話 正義の羽音

親心…?

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 そんな様子を見て、バンドはまた俯いた。
「……才能があるかないかは関係ない。だが抑圧や過度なプレッシャーは、学ぶ者の才能の芽を詰んでしまう」
「どうだかな」
「……それに、自ら望んで意欲的に取り組めるならば、それが一番良い。自分の意思で努力できる者がいるのならば、どんな学問や銭湯のプロだろうと叶いはしない。……だから、あいつの意思を尊重する」
「……そうか」
 バンドの考えに、ジョーは頷いた。……ナガレの底知れぬ強さが分かったような気がしたからだ。
(……ナガレは自ら強くなろうとしている。巻き込まれたはずの仲間たちですら、お前を応援している。……だから、実力以上の敵をたくさん倒すことができたんだろうか)
 一瞬、そんな事を考えた。しかし思い直して首を横に振る。
(……いや、自分で言うのもなんだが、俺や仲間たちがいたからだ。アイツはそれに頼らずとも敵を倒せるようにならなきゃ……)
 そこまで言って、ジョーはハッとした。
(……いや、強さは強制するものじゃ無い。アイツにはアイツにあった強くなる方法があるはずだ。……しかし、我ながら妙な事を考えたな)
 そういえばジョーは、今までナガレに強くなるように言ったことはほとんど無い。それは自分より遥かに力の劣るナガレを、心のどこかで甘く見ていたのかもしれない。
(……ナガレを認めた、ということか。フッ……なんだろうな、この感じは)
 ナガレや仲間たちはどんどん強くなっている。いつか自分も追い抜かれてしまうだろう。それに少し焦りも覚えたが……同時に、なんだか嬉しい気持ちがあった。
「……どうした」
 黙り込んだジョーを見て、バンドは首を傾げる。
「……いや、俺も強くならなければいけない。そう思っただけだ」
「……知るか」
 そう言ってバンドは、急に周囲をキョロキョロ見回した。そして「……おい、ナガレ」と呼びかける。
「ふぅっ……ん、どしたのバンド?」
「……今日はこれまでだ。次やる時にまた来い。俺はそこにいる」
 そう言って高台から飛び出そうとした……が、ふとストップして向き直る。

「……ナガレ、焦るな。まだ急ぐべき時ではない。よく休み、よく考えて、ゆっくり取り組むんだ」
「へっ?」
 急なアドバイスに目を丸くするナガレ。ジョーも首を傾げた。
「……生き急げば、強くはなれない。強さを手にしようと、大切なものを失ってしまう」
「はい? そ、それってどういう……あれ、どっか行っちゃった」
 ナガレが意味を聞こうとしている間に、バンドはどこかへ去ってしまった。
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