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第二十八話 正義の羽音
噂話
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「フッ、殊勝な考えだ。お前に褒美をやろう」
そう言ってケンガは、瓶ごとクッキーを全て渡した。
「俺様の奢りだ。せいぜい二ダラーだが、全部お前にやる!」
「お、サンキュー! へへへ、奢ってもらっちゃった」
お菓子をたくさんもらって、すぐにニコニコ笑顔になるルック。毎日大人のようにのんびり働いているが、やっぱり中身はまだ子供なのだ。
それからしばらくいろんな話をした。大規模リフォームされたギルドのこと、コバルトさんの家族のこと、ケンガの父親のこと……。
「……それで、俺様の父上ソード・アタカンはモンスターの大移動の原因を突き止め、町を救ったんだ」
「そりゃすげえ! ケンガの父親はすげえなぁ! ケンガの父親はかっこいいぜ!」
「父親を強調するなっ! 俺様も褒めろよ!」
「自分で褒めろって……。ったく、しっかし親のことをよく話すのはオメエだけだなケンガ。ナガレのやつ、昔話をぜぇーんぜんしないんだもん」
「ナガレか……そういえば、あのチェリナとか言う女はどうなった」
ケンガは思い出したように手を打った。
「ああいう顔の女は、俺様も嫌いでは無い。だが浮気するような女は、素晴らしい包容力を持つ心が広い俺様でも、許容しかねるな」
「ホントだよ。この前ディーネと話しててさ。アイツ、チェリナのことボロクソ言ってたぜ。『ひっどーい! 同じ女性でも許せないっ! あんな素直でいい人を騙すなんてっ』てな」
「ん、そうだな……」
「なんだよその反応?」
なぜかケンガの反応が薄い。気になったルックが聞いてみると、ケンガは少し言いにくそうに口を開いた。
「ううむ……実はな、それについてこの前の特訓の際、ジョーと話す機会があってな。その時アイツ、なんで言ったと思う?」
「え、なんつったの?」
実質一緒に暮らしているルックも、ジョーからチェリナについて聞いたことはない。
「それがな……奴は、チェリナのことをまだ甘く見ているというか……まだ中立的な危険なんだ」
「え⁉︎」
「言い分を聞くには『ナガレはそこまでバカじゃない。アイツが好きになるような女が、そんな悪女とは考えにくい。変わってしまったのか……あるいは、ナガレを捨てるほどの事情があったのか』と」
「ん……まぁ、確かにそうかも」
「それで『現にチェリナは役立たずではあるが、ナガレにワガママを……言うこともあるが、それはナガレが自分でやると申し出たから。……俺には、そこまで嫌な奴には見えなかった』と言っていた」
そう言ってケンガは、瓶ごとクッキーを全て渡した。
「俺様の奢りだ。せいぜい二ダラーだが、全部お前にやる!」
「お、サンキュー! へへへ、奢ってもらっちゃった」
お菓子をたくさんもらって、すぐにニコニコ笑顔になるルック。毎日大人のようにのんびり働いているが、やっぱり中身はまだ子供なのだ。
それからしばらくいろんな話をした。大規模リフォームされたギルドのこと、コバルトさんの家族のこと、ケンガの父親のこと……。
「……それで、俺様の父上ソード・アタカンはモンスターの大移動の原因を突き止め、町を救ったんだ」
「そりゃすげえ! ケンガの父親はすげえなぁ! ケンガの父親はかっこいいぜ!」
「父親を強調するなっ! 俺様も褒めろよ!」
「自分で褒めろって……。ったく、しっかし親のことをよく話すのはオメエだけだなケンガ。ナガレのやつ、昔話をぜぇーんぜんしないんだもん」
「ナガレか……そういえば、あのチェリナとか言う女はどうなった」
ケンガは思い出したように手を打った。
「ああいう顔の女は、俺様も嫌いでは無い。だが浮気するような女は、素晴らしい包容力を持つ心が広い俺様でも、許容しかねるな」
「ホントだよ。この前ディーネと話しててさ。アイツ、チェリナのことボロクソ言ってたぜ。『ひっどーい! 同じ女性でも許せないっ! あんな素直でいい人を騙すなんてっ』てな」
「ん、そうだな……」
「なんだよその反応?」
なぜかケンガの反応が薄い。気になったルックが聞いてみると、ケンガは少し言いにくそうに口を開いた。
「ううむ……実はな、それについてこの前の特訓の際、ジョーと話す機会があってな。その時アイツ、なんで言ったと思う?」
「え、なんつったの?」
実質一緒に暮らしているルックも、ジョーからチェリナについて聞いたことはない。
「それがな……奴は、チェリナのことをまだ甘く見ているというか……まだ中立的な危険なんだ」
「え⁉︎」
「言い分を聞くには『ナガレはそこまでバカじゃない。アイツが好きになるような女が、そんな悪女とは考えにくい。変わってしまったのか……あるいは、ナガレを捨てるほどの事情があったのか』と」
「ん……まぁ、確かにそうかも」
「それで『現にチェリナは役立たずではあるが、ナガレにワガママを……言うこともあるが、それはナガレが自分でやると申し出たから。……俺には、そこまで嫌な奴には見えなかった』と言っていた」
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