崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第三十三話 ジョーの傷跡

作戦失敗！

　だが、その直後！
　
「なぁに晒しどんじゃあドクサレボケがぁぁぁぁぁーーーーーーッ！」
「きゃっ⁉︎」「な、なんだぁ⁉︎」
　聞いただけで震え上がるような、世にも恐ろしい叫びが響いた。クリストフはギョッとして立ち上がると……。
「テメェこんのクソジジイ！　今ジブンが何したのか分かってんのかゴラボケカスゥッ！」
　それは、なんとヴァレリーだ！　いつもの三倍くらい目つきが鋭く、明らかに怒りのオーラが立ち上っている。ズガズカと大股でクリストフへ歩き出していた。これにはエレナもポカーン……と呆気に取られ、様子を見守るしかない。
「え、く、クソジジイ？　いや、彼女が泣いていたから悪党の冒険者を逮捕して……」
「それが余計なことだってんだよォッ！　ふざけやがって、テメェのせいでぜーーんぶパァだ！　どうオトシマエつけるつもりだァンッ⁉︎」
　感謝されるどころかえげつない勢いでブチ切れられて、今度はクリストフがタジタジになっている。
「そんなこと、この最強的な親切心を持つこのケンガ・アタカン様がするはずないだろう！　第一俺様たちが泣かせたって証拠はあるのか」
「無論。そうなんだろう、お嬢さん」
　クリストフはディーネの方を見た。彼女は速攻で首を横に振った。
「いえ、その……実は嘘泣きで、ちょっとした理由があって……ケンガさんたちは全然悪くないです」
「え、えぇっ？　い、いや、安心してくれ。君はもう大丈夫。言わされてるんだろう？　正直に言ってごらん？」
「いや本当だよ。私たちがちょっとした作戦で……」
　ダメ押しとばかりに(エレナに抱えられたまま)アリッサが近づいて言った。
「そら見なさいよオタク君！　これって不当逮捕じゃないのっ」
「国家権力の堕落ッス！　断固講義してやるッス！」
「ふっざけんなブッ転がすぞおんどれぁぁぁぁーーーーッ！」
　修羅場も修羅場。誤認逮捕と権力反抗と侮辱罪が同時に起きたせいで、もはや収集がつかなくなっていた。


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「……と言うわけで、失敗しちゃったんだね」
「なぁにが『と言うわけで』だよ……」
　次の日の正午、アリッサたちは高台広場に集まっていた。まだ特訓は始まっていない。
「よく分からんが、冒険者の素顔を暴こうとしていたのか。そうとは知らず、も、申し訳ない……です……」
「私からも謝罪するよ。この先入観バリバリバキバキの隊長が、いらんことをしたせいで」
「ぐうの音も出ん……」
　……いつものメンバーに加えて、エレナとクリストフの姿もあった。