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第三十三話 ジョーの傷跡
謎の雄叫び
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「しっかし、どうして人がいないんだろう?」
「……おそらく彼らも危険な状況を知ったんだ。それで避難しているんだろう」
学者集団のほかに、護衛の存在も当然いる。修羅場にも慣れた兵士たちがいるが、戦う必要が無いなら逃げた方が楽だ。
「すぐ近くにいるかもしれない、気を抜くなよ……」
慎重に、馬に外周を走らせる。細かな痕跡を見失わないよう、目を凝らしていると……。
「……! ジョー、あれ……!」
「む……!」
ナガレが指さす先には、まるで足跡のように紫炎の燃えカスが続いていた。クレーターの緩やかな坂を下って、下層部へ続いている。二人は馬から飛び降りて、急いで後を追った。
坂を駆け下りると、その段には焼け焦げたようなテントの跡がある。すでに火は消えていて、ボロ布となったモノが、風にあおられ宙を舞っていた。
「……あ!」
と、ナガレは下段にて何かを見つけた。そちらには、まだ紫炎が立ち上っている。まだ新しい!
ガサガサッ! と、視界の隅で動くものがあった。素早い動きでテントの影に入っていく。重役の拠点だったのかとても大きく、骨組みや布もしっかりした素材なのだが……直後、そのテントがボォォォォッ! と見事に炎上する!
「そこかっ!」
すぐさま崖を滑り降りて、炎上するテントのすぐ傍へ着地。二人とも武器を構えた。パチパチ火の粉を散らしながらゆっくりと慎重に接近していく。
「かかってこい、ネフェリアスモンスター!」
ナガレが大声を張り上げると……。
「……ヂュウ」
妙に間の抜けた、動物の声が聞こえた。同時に今にも焼け落ちそうなテントから、その正体が姿を現す。
「ヂュウヂュウ! ヂーヂーヂューッ!」
鼻が詰まったネズミの鳴き声みたいだ。同時にまるで煙のような、ツンとした臭気が鼻を突く。普通の煙ではない、若干安心するような感覚。まるで線香のような……。
ガサガサッ!
「「……!」」
テントの切れ端をぶら下げながら、やや大きなネズミの頭が現れた。ナガレたちが乗ってきた馬と同じくらい大きなネズミだ! 背中からは恐竜の背びれのように、紫の炎が立ち上っていた。
「これは…オオソか!」
「お、オオソ? このモンスターか?」
オオソ(大鼠)……危険度E級の、本来は非常に貧弱で臆病なモンスター。川辺や森などに生息しており、こんなに体が大きな個体も珍しい。ほとんどは小型犬くらいの大きさしかなく、戦っても貧弱なタックルや噛みつきなどしか攻撃手段を持たない。しかも毒なども持たない。
「……おそらく彼らも危険な状況を知ったんだ。それで避難しているんだろう」
学者集団のほかに、護衛の存在も当然いる。修羅場にも慣れた兵士たちがいるが、戦う必要が無いなら逃げた方が楽だ。
「すぐ近くにいるかもしれない、気を抜くなよ……」
慎重に、馬に外周を走らせる。細かな痕跡を見失わないよう、目を凝らしていると……。
「……! ジョー、あれ……!」
「む……!」
ナガレが指さす先には、まるで足跡のように紫炎の燃えカスが続いていた。クレーターの緩やかな坂を下って、下層部へ続いている。二人は馬から飛び降りて、急いで後を追った。
坂を駆け下りると、その段には焼け焦げたようなテントの跡がある。すでに火は消えていて、ボロ布となったモノが、風にあおられ宙を舞っていた。
「……あ!」
と、ナガレは下段にて何かを見つけた。そちらには、まだ紫炎が立ち上っている。まだ新しい!
ガサガサッ! と、視界の隅で動くものがあった。素早い動きでテントの影に入っていく。重役の拠点だったのかとても大きく、骨組みや布もしっかりした素材なのだが……直後、そのテントがボォォォォッ! と見事に炎上する!
「そこかっ!」
すぐさま崖を滑り降りて、炎上するテントのすぐ傍へ着地。二人とも武器を構えた。パチパチ火の粉を散らしながらゆっくりと慎重に接近していく。
「かかってこい、ネフェリアスモンスター!」
ナガレが大声を張り上げると……。
「……ヂュウ」
妙に間の抜けた、動物の声が聞こえた。同時に今にも焼け落ちそうなテントから、その正体が姿を現す。
「ヂュウヂュウ! ヂーヂーヂューッ!」
鼻が詰まったネズミの鳴き声みたいだ。同時にまるで煙のような、ツンとした臭気が鼻を突く。普通の煙ではない、若干安心するような感覚。まるで線香のような……。
ガサガサッ!
「「……!」」
テントの切れ端をぶら下げながら、やや大きなネズミの頭が現れた。ナガレたちが乗ってきた馬と同じくらい大きなネズミだ! 背中からは恐竜の背びれのように、紫の炎が立ち上っていた。
「これは…オオソか!」
「お、オオソ? このモンスターか?」
オオソ(大鼠)……危険度E級の、本来は非常に貧弱で臆病なモンスター。川辺や森などに生息しており、こんなに体が大きな個体も珍しい。ほとんどは小型犬くらいの大きさしかなく、戦っても貧弱なタックルや噛みつきなどしか攻撃手段を持たない。しかも毒なども持たない。
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