崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第三十三・五話 ＶＳラグナロク・無百

家の一コマ

「あそこって最近、従業員さんが増えてきたみたい。色々とバイオの子が入ってくれてありがたいって言ってるよ」
「へぇ、よく知ってるなぁ。まだ町に来て数ヶ月なのに、もう情報通になってるよ」
　チェリナは昔からゴシップとかの噂好きだったなぁ、と一人で振り返るナガレ。
「うん。私、仕事帰りによく寄って帰るんだ。ナガレにご飯作ってあげなきゃ行けないし」
「ハッハッハ……いや待て待て、いつチェリナがオレのご飯を作ってくれたんだよ」
「いっけな～いバレちゃった♡」
　悪びれる様子が一切ないチェリナ。ナガレは一応ベッドから降りて、椅子に座ってポテトを食べ始めた。あっさり薄味ポテトが美味しい！
「うーん、こっちは薄味でサクサク食べれて美味しいなぁ～。バーのポテトはだいぶ塩が効いてるからしょっぱ美味しいんだよね」
　シンク・ア・サンはオシャンティーな風貌だが一応酒場なので、お酒に合うしょっぱいポテトだった。
「呑気なものねえ。あのラグナロクでしょ？　この大陸ではかなりのヒーローチーム、有名も有名な上澄チームなんよ。そんな余裕ぶっこいて大丈夫なの？」
「まぁ……不安じゃ無いと言えば、嘘になるけど。それでもオレたちのためにも、やるしかないさ」
　ナガレはニッと笑って頷いた。
「大丈夫。きっとなんとかなるよ！　前回のシエラだってやっつけたんだ。……努力はきっと裏切らないって」
　簡単に言ってのけるナガレ。その自信はどこから来るのだろうか。だがチェリナの目には、彼がなんだか眩しく見えた。チェリナは食器棚を閉じて、ナガレの向かいの椅子に座る。
「そんなこと言っちゃって～。最近……えっとなんだっけ。アズラとかいう技の特訓してるんでしょ？　……石猿流とかいう技の特訓できてるの？」
「げっ⁉︎」
　……そう言えばそうである。ナガレの様子を見たチェリナはため息をついた。……しれっとナガレの袋からポテトを数本奪いながら。
「ん～うす味ね～。もぐもぐ……そ、それに最近特訓のシーンなんて無いじゃん。今回で新技出したら読者の皆様にいつ特訓したのって突っ込まれちゃうよ」
「お前そういうこと言うなよ……つ、次から気をつけるからさぁ」
「それにナガレがやられちゃったら、ギルドもなくなっちゃう。みんな路頭に迷うことになるから」
「責任重大だなぁ……」
　
「ねえ……やっぱり、やめた方がいいんじゃない？　町中で襲いかかってきたら、あっちが悪いでしょ。今どき決闘から逃げたって、一部のバカが囃し立てるだけじゃん」