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第三十四話 決別の時
解散のエフォーツ
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アルクルもたまらず口を挟む。
「マスターもなんとか行ってやって……ファッ⁉︎」
「………………きゅう」
レンはショックが大きすぎるあまり、ボロボロ泣きながら気絶していた。唯一のメンターだったのに完全に役に立たない。
ダメ押しとばかりに、フローレンスとケンガまで首を縦に振った。振ってしまった。
「……ナガレ。その言葉、嘘じゃねえな。本気で言ってんなら……ケッ、ありがてえってもんだ!」
「私はナガレさんと仲間たちに救われました。でも……最近ずっとイビル教団ばっかりで、私たちはどうでもいいんですよね。……もう、ついて行けません」
止めるどころか冷たく突き放す二人。ナガレも何か言い返そうとした瞬間……。
「ナガレーーッ!」
バタァンッ! と、ウェスタンドアが蹴り飛ばされる勢いで開く。みんなが驚くよりも早く、ジョーが転がり込んできた。
「…………ッ!」
ダイナミックエントリーだが、今は突っ込む間もカッコつける間も無い。
ジョーはすぐに状況を観察、把握する。沈黙するナガレと完全に怒っているフローレンスとケンガ、ビビり散らかすエフォーツに気絶したレン……その様子を見れば、もう取り返しのつかないことになったのも分かった。
「……な、ナガレ。お前、一体、何を……」
「ジョー。……エフォーツは、もう終わりだ。オレはコナキ地方へ行く。イビル教団を追いかけるよ。……オレだけで」
「ま、待てって! 待ってくれナガレ君! フローレンスもケンガもちょっと落ち着け!」
ここで勇気を出して口を挟んだのはタネツだ。今までチキっていたが流石に耐えられず大声を上げた。
「俺たちがバラバラになっちまったら、その時点でギルドはおしまいだ。このギルドから一人も離脱者を出さねえことが、ディズ様からの条件だったろう。それを破るのか!」
「そ、そうよ~! そんなことしちゃったら、ディズさんとサキミちゃんも悲しむわ! もう一度考え直してよ~……!」
「いいや、その心配はないよ」
驚くほど冷静な小さな声で、ナガレは言った。想像以上の感情が生んだ才か、彼らしからぬ頭の回転で、解決法を見つけ出していた。
「……この『ギルド』から離脱者を出さないんだ。オレたちエフォーツから離脱者が出たって関係ない。オレは出張に行くだけで、まだエフォーツにいる。……一年経つまでね」
「出張? ……そ、そう言うことですか」
「え、サニー? どう言うこと?」
ショックのあまり素に戻るセンチア。サニーは半ば諦めたような、無念ありげな表情で教えてくれた。
「マスターもなんとか行ってやって……ファッ⁉︎」
「………………きゅう」
レンはショックが大きすぎるあまり、ボロボロ泣きながら気絶していた。唯一のメンターだったのに完全に役に立たない。
ダメ押しとばかりに、フローレンスとケンガまで首を縦に振った。振ってしまった。
「……ナガレ。その言葉、嘘じゃねえな。本気で言ってんなら……ケッ、ありがてえってもんだ!」
「私はナガレさんと仲間たちに救われました。でも……最近ずっとイビル教団ばっかりで、私たちはどうでもいいんですよね。……もう、ついて行けません」
止めるどころか冷たく突き放す二人。ナガレも何か言い返そうとした瞬間……。
「ナガレーーッ!」
バタァンッ! と、ウェスタンドアが蹴り飛ばされる勢いで開く。みんなが驚くよりも早く、ジョーが転がり込んできた。
「…………ッ!」
ダイナミックエントリーだが、今は突っ込む間もカッコつける間も無い。
ジョーはすぐに状況を観察、把握する。沈黙するナガレと完全に怒っているフローレンスとケンガ、ビビり散らかすエフォーツに気絶したレン……その様子を見れば、もう取り返しのつかないことになったのも分かった。
「……な、ナガレ。お前、一体、何を……」
「ジョー。……エフォーツは、もう終わりだ。オレはコナキ地方へ行く。イビル教団を追いかけるよ。……オレだけで」
「ま、待てって! 待ってくれナガレ君! フローレンスもケンガもちょっと落ち着け!」
ここで勇気を出して口を挟んだのはタネツだ。今までチキっていたが流石に耐えられず大声を上げた。
「俺たちがバラバラになっちまったら、その時点でギルドはおしまいだ。このギルドから一人も離脱者を出さねえことが、ディズ様からの条件だったろう。それを破るのか!」
「そ、そうよ~! そんなことしちゃったら、ディズさんとサキミちゃんも悲しむわ! もう一度考え直してよ~……!」
「いいや、その心配はないよ」
驚くほど冷静な小さな声で、ナガレは言った。想像以上の感情が生んだ才か、彼らしからぬ頭の回転で、解決法を見つけ出していた。
「……この『ギルド』から離脱者を出さないんだ。オレたちエフォーツから離脱者が出たって関係ない。オレは出張に行くだけで、まだエフォーツにいる。……一年経つまでね」
「出張? ……そ、そう言うことですか」
「え、サニー? どう言うこと?」
ショックのあまり素に戻るセンチア。サニーは半ば諦めたような、無念ありげな表情で教えてくれた。
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