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第三十五話 吹雪に舞う白蝶
雪崩
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ビュオォォォォ! ビュォォォォーー!
「ぐっ! ……風が強いな」
なかなかの勢いで雪が吹きつけ、ジョーは少し怯んだ。風の音がうるさい。そこそこ離れただけで、ナガレの声があまり聞こえなくなる。
「……ごめんご……マスター……から……」
ビュォォォォ!
「……大丈夫そうだな」
まぁ、すぐに来るだろう。ジョーもそう思って、後輩たちの後に続こうとした。
「…………」
「……?」
……と、前方の異変に気づく。ベネット、ミケ、ニンフォはどんどん降っていくが、シャットのみなぜか立ち止まっていた。
「……シャット。どうしたんだ。ナガレもすぐに来るさ」
自分たちを待ってくれたのかと声をかけるが、彼女は返事を返さない。後ろ姿だが、その長い耳がウサギのようにピコピコ動いている。
まるで何かを感じているような……。
「……パイセン。パイセン!」
「うぉっ……な、なんだ」
突然シャットが振り返った。血相を変えたような表情だ。いつも青い顔が、さらに青くなったような気もする。
「マズイよこれー、早く、早く逃げないとーッ!」
「な、なに? 逃げる……ハッ⁉︎」
ゴゴゴコゴゴゴ…………!
突然、腹の底から疼くような地響きを感じた。ジョーの鋭い感覚だからこそ感じた雰囲気だ。
「パイセン、アタイ知ってる。これは……雪崩だよー!」
「な……なんだって⁉︎」
ジョーが山のてっぺんを仰ぎ見る。吹雪の中で非常に視界が悪かったが……。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……ドシャアァーーーーッ!
「……ッ!!!」
大量の雪が雪崩を起こし、こちらを飲み込もうと落ちてきていることが確認できた。どんなモンスターよりも恐ろしい自然の脅威。その蠢く大量の雪を見た瞬間、ジョーですら恐怖に足がすくんだ。
「い、いかんっ! ナガレ! おいっ!」
慌ててナガレへ呼びかける。聞こえているのかどうかもわからない。
「雪崩だ! 早く、早く来いッ! 巻き込まれるぞッ!」
必死に叫ぶも、返事は返ってこない。
ズゴゴゴゴゴゴ…………!
「くっ……!」
「ぱぱぱパイセン! さささっささ先に行くよッ!」
シャットは脱兎のように逃げ出した。足がもつれて前方へ倒れるも、すぐさま起きて必死で駆け出す。
「ナガレ! 逃げろ! 早く来いっ! ……くうっ!」
このままでは自分まで死ぬ。不安と恐怖を押し殺し、ジョーも駆け出した。
ダッダッダッダッダッ!
「あれ? ジョー先輩。どうしたのにゃあそんなに走って」
「どうしたもこうしたもないよー! な、な、雪崩だぁーー! 早く早く早く逃げないとぉぉぁー!」
「ぐっ! ……風が強いな」
なかなかの勢いで雪が吹きつけ、ジョーは少し怯んだ。風の音がうるさい。そこそこ離れただけで、ナガレの声があまり聞こえなくなる。
「……ごめんご……マスター……から……」
ビュォォォォ!
「……大丈夫そうだな」
まぁ、すぐに来るだろう。ジョーもそう思って、後輩たちの後に続こうとした。
「…………」
「……?」
……と、前方の異変に気づく。ベネット、ミケ、ニンフォはどんどん降っていくが、シャットのみなぜか立ち止まっていた。
「……シャット。どうしたんだ。ナガレもすぐに来るさ」
自分たちを待ってくれたのかと声をかけるが、彼女は返事を返さない。後ろ姿だが、その長い耳がウサギのようにピコピコ動いている。
まるで何かを感じているような……。
「……パイセン。パイセン!」
「うぉっ……な、なんだ」
突然シャットが振り返った。血相を変えたような表情だ。いつも青い顔が、さらに青くなったような気もする。
「マズイよこれー、早く、早く逃げないとーッ!」
「な、なに? 逃げる……ハッ⁉︎」
ゴゴゴコゴゴゴ…………!
突然、腹の底から疼くような地響きを感じた。ジョーの鋭い感覚だからこそ感じた雰囲気だ。
「パイセン、アタイ知ってる。これは……雪崩だよー!」
「な……なんだって⁉︎」
ジョーが山のてっぺんを仰ぎ見る。吹雪の中で非常に視界が悪かったが……。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……ドシャアァーーーーッ!
「……ッ!!!」
大量の雪が雪崩を起こし、こちらを飲み込もうと落ちてきていることが確認できた。どんなモンスターよりも恐ろしい自然の脅威。その蠢く大量の雪を見た瞬間、ジョーですら恐怖に足がすくんだ。
「い、いかんっ! ナガレ! おいっ!」
慌ててナガレへ呼びかける。聞こえているのかどうかもわからない。
「雪崩だ! 早く、早く来いッ! 巻き込まれるぞッ!」
必死に叫ぶも、返事は返ってこない。
ズゴゴゴゴゴゴ…………!
「くっ……!」
「ぱぱぱパイセン! さささっささ先に行くよッ!」
シャットは脱兎のように逃げ出した。足がもつれて前方へ倒れるも、すぐさま起きて必死で駆け出す。
「ナガレ! 逃げろ! 早く来いっ! ……くうっ!」
このままでは自分まで死ぬ。不安と恐怖を押し殺し、ジョーも駆け出した。
ダッダッダッダッダッ!
「あれ? ジョー先輩。どうしたのにゃあそんなに走って」
「どうしたもこうしたもないよー! な、な、雪崩だぁーー! 早く早く早く逃げないとぉぉぁー!」
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