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この国ができたころのこと
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王子さまの住む地底の死者の国は、今は「冥界」と呼ばれ、冥王さまが治めています。
では、どうやっていまのような冥界ができたのか、少しだけその成り立ちのお話をしましょう。
……かつて、世界がまだ生まれたてだったころ、その死者の国には、いまのように冥王さまはいらっしゃいませんでした。神さまの治める国ではなかったのです。
先住民の魔族たちは、集落ごとに分かれてお互いの土地をうばい合っていて、地下の世界は荒れ放題でした。
……そもそも、はじまりの時代、三界をお作りになった創世神さまは、
天上界には自分の子の神々と精霊たちを
地界には人間と動物たちを、
冥界には魔族と魔獣たちを、住まわせました。
でも、そこまでやってから、創世神さまは別の次元の世界を作るのに夢中になってしまわれたので、この三界は作りかけの不完全のまま始まりました。
冥界が混沌としている、という神族たちからの訴えに、創世神さまは
「神々のだれかひとりを下界に遣わせて、おさめなさい」
と言い残して去りました。きっと今もどこかで、別の世界を創造しておられるのでしょう。
冥界を平らかにするために、天上界の神さまたちは毎日毎晩、話し合いをしました。
そしてひとりの神さまを、地底世界に送り込むことにしました。
それが闇の神さま、つまり王子さまのお父さまです。
闇の神さまは、天界でひとりだけ黒髪で赤い眼をしておられため、ほかの金髪碧眼の神々に、たいそう醜いと思われていました。
見た目が異なるうえに、闇の神さまは精霊を扱う力も持たないようだったので、できそこないの神だと馬鹿にされていたのです。
闇の神さまはいつもひとりで自信なさげに、昼間は物陰にかくれていました。
なにせ天上界の昼の明るさは彼にとっては毒にひとしく、光を浴びすぎると白い肌が荒れて、ひどい痘痕になります。
その顔をみんなにさらに笑われたり、また怖がられたりするのがつらくて、いつもなるべく天王宮の、光の差さない奥部屋に閉じこもって暮らしていました。動けるスペースはごく限られていて、外を歩くのも月あかりのない新月の夜だけ。一年でとても限られた日数だけでした。
そんな闇の神さまを、ほかの神さまたちは、適任だと言って地底に送り込むことに決めました。
じめじめした地底の争いごとを納めさせるにはぴったりだ、と言って。
「そんな決め方では、彼がかわいそうだわ!」と異議をとなえたのは、ひとりの女神だけだったと言われています。
けれども闇の神さまは、自分が天界に不要な存在であることは確かだと思っていたので、悲しいけれどこの取り決めを呑み、神族みんなに別れを告げて、地底の国に自ら降りていったのでした。
では、どうやっていまのような冥界ができたのか、少しだけその成り立ちのお話をしましょう。
……かつて、世界がまだ生まれたてだったころ、その死者の国には、いまのように冥王さまはいらっしゃいませんでした。神さまの治める国ではなかったのです。
先住民の魔族たちは、集落ごとに分かれてお互いの土地をうばい合っていて、地下の世界は荒れ放題でした。
……そもそも、はじまりの時代、三界をお作りになった創世神さまは、
天上界には自分の子の神々と精霊たちを
地界には人間と動物たちを、
冥界には魔族と魔獣たちを、住まわせました。
でも、そこまでやってから、創世神さまは別の次元の世界を作るのに夢中になってしまわれたので、この三界は作りかけの不完全のまま始まりました。
冥界が混沌としている、という神族たちからの訴えに、創世神さまは
「神々のだれかひとりを下界に遣わせて、おさめなさい」
と言い残して去りました。きっと今もどこかで、別の世界を創造しておられるのでしょう。
冥界を平らかにするために、天上界の神さまたちは毎日毎晩、話し合いをしました。
そしてひとりの神さまを、地底世界に送り込むことにしました。
それが闇の神さま、つまり王子さまのお父さまです。
闇の神さまは、天界でひとりだけ黒髪で赤い眼をしておられため、ほかの金髪碧眼の神々に、たいそう醜いと思われていました。
見た目が異なるうえに、闇の神さまは精霊を扱う力も持たないようだったので、できそこないの神だと馬鹿にされていたのです。
闇の神さまはいつもひとりで自信なさげに、昼間は物陰にかくれていました。
なにせ天上界の昼の明るさは彼にとっては毒にひとしく、光を浴びすぎると白い肌が荒れて、ひどい痘痕になります。
その顔をみんなにさらに笑われたり、また怖がられたりするのがつらくて、いつもなるべく天王宮の、光の差さない奥部屋に閉じこもって暮らしていました。動けるスペースはごく限られていて、外を歩くのも月あかりのない新月の夜だけ。一年でとても限られた日数だけでした。
そんな闇の神さまを、ほかの神さまたちは、適任だと言って地底に送り込むことに決めました。
じめじめした地底の争いごとを納めさせるにはぴったりだ、と言って。
「そんな決め方では、彼がかわいそうだわ!」と異議をとなえたのは、ひとりの女神だけだったと言われています。
けれども闇の神さまは、自分が天界に不要な存在であることは確かだと思っていたので、悲しいけれどこの取り決めを呑み、神族みんなに別れを告げて、地底の国に自ら降りていったのでした。
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