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矮人族のこと
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「とりあえず、水でも飲んで落ち着けよ」
アルヴィスの差し出したコップで水を飲んだ王子さまは、ほっと一息つき、それでもやはりこうしてはいられないと立ち上がりました。
「アルヴィス。ぼくを、落ちてきた穴のところまで戻してくれないかな? 友だちを助けなきゃいけないんだ。親友だから」
「でもお前、傷だらけなのに……歩けるのか?」
「うん、大丈夫。手当をしてくれてありがとうね」
王子さまは自分の手足を見下ろしました。そこかしこにできた擦り傷には薬が塗られ、手当てがされています。さいわい骨折したりはしていないようです。
決意にみちたその目を見て、アルヴィスはなんだかその友だちがうらやましくなりました。アルヴィスにはまだ、親友とよべるほどの友だちができたことはなかったからです。絶体絶命のときに、心配してくれて、危険をかえりみず助けにきてくれる友だち。そういう友だちがいるって、なんかいいなと思えたのです。
:+:-・:+:-・:+:-・:+:-・:+:-・:+:-・:+:-・:+:-・:+:-・:+::+:-・:+:-・:+:
ふたりはアルヴィスの寝床を出て、トンネルの坑道を歩きました。
王子さまは歩くあいだ、アルヴィスをよく観察しました。彼の背丈は、王子さまよりも少し高いぐらいでしょうか。年齢はよく分かりません。矮人族は子どもでも毛深くて、アルヴィスのあごにもうっすらとヒゲが生えているのです。同じ背丈でもだいぶ年上に見えることは間違いありません。
そしてアルヴィスは魔族とはちがう、獣のなめし革でつくられた丈夫そうな服を着ています。ベルトも靴も、すべて革製ですが、ベルトのバックルと半兜はピカピカの金属製でした。せまいトンネルのなかでも立ち回れるようにでしょうか、腰に差した剣はみじかく、鞘にはすばらしい装飾がほどこされていました。王子さまの短剣の鞘にも劣らない見事な彫物です。彫り方もよく似ていて、アルヴィスの兜やベルトにも似た文様があります。どうやら、矮人族の伝統的な意匠のようです。でも王子さまには、どうして自分の失くした短剣が、アルヴィスの持ち物に似ているのかまでは、分かりませんでした。
王子さまは、矮人族と話すのははじめてでしたが、アルヴィスが流ちょうな魔族語を話しているのに気づきました。
「アルヴィスはどうして魔族語をじょうずに話せるの?」
「お父と、魔族の集落へ、よく武器とか防具を売りに行くんだ。だけどお父は商売人というよりは頑固な職人肌でぜんぜん魔族とは親しく話さないからさ。おいらが、代わりに魔族相手に物を売ってるわけ」
「アルヴィスのお父さんは、武器職人なの?」
「鍛冶屋だからな。でも武器や防具だけじゃない。鉄を溶かして叩いて、雑貨や宝飾品もつくる。おいらはお父のあとを継いで、鍛冶屋になるんだ」
「すごいなぁ」
「ナシェルのお父は、どんな人だ?」
王子さまはぎくりと身をこわばらせましたが、よく考えて、こう答えました。
アルヴィスの差し出したコップで水を飲んだ王子さまは、ほっと一息つき、それでもやはりこうしてはいられないと立ち上がりました。
「アルヴィス。ぼくを、落ちてきた穴のところまで戻してくれないかな? 友だちを助けなきゃいけないんだ。親友だから」
「でもお前、傷だらけなのに……歩けるのか?」
「うん、大丈夫。手当をしてくれてありがとうね」
王子さまは自分の手足を見下ろしました。そこかしこにできた擦り傷には薬が塗られ、手当てがされています。さいわい骨折したりはしていないようです。
決意にみちたその目を見て、アルヴィスはなんだかその友だちがうらやましくなりました。アルヴィスにはまだ、親友とよべるほどの友だちができたことはなかったからです。絶体絶命のときに、心配してくれて、危険をかえりみず助けにきてくれる友だち。そういう友だちがいるって、なんかいいなと思えたのです。
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ふたりはアルヴィスの寝床を出て、トンネルの坑道を歩きました。
王子さまは歩くあいだ、アルヴィスをよく観察しました。彼の背丈は、王子さまよりも少し高いぐらいでしょうか。年齢はよく分かりません。矮人族は子どもでも毛深くて、アルヴィスのあごにもうっすらとヒゲが生えているのです。同じ背丈でもだいぶ年上に見えることは間違いありません。
そしてアルヴィスは魔族とはちがう、獣のなめし革でつくられた丈夫そうな服を着ています。ベルトも靴も、すべて革製ですが、ベルトのバックルと半兜はピカピカの金属製でした。せまいトンネルのなかでも立ち回れるようにでしょうか、腰に差した剣はみじかく、鞘にはすばらしい装飾がほどこされていました。王子さまの短剣の鞘にも劣らない見事な彫物です。彫り方もよく似ていて、アルヴィスの兜やベルトにも似た文様があります。どうやら、矮人族の伝統的な意匠のようです。でも王子さまには、どうして自分の失くした短剣が、アルヴィスの持ち物に似ているのかまでは、分かりませんでした。
王子さまは、矮人族と話すのははじめてでしたが、アルヴィスが流ちょうな魔族語を話しているのに気づきました。
「アルヴィスはどうして魔族語をじょうずに話せるの?」
「お父と、魔族の集落へ、よく武器とか防具を売りに行くんだ。だけどお父は商売人というよりは頑固な職人肌でぜんぜん魔族とは親しく話さないからさ。おいらが、代わりに魔族相手に物を売ってるわけ」
「アルヴィスのお父さんは、武器職人なの?」
「鍛冶屋だからな。でも武器や防具だけじゃない。鉄を溶かして叩いて、雑貨や宝飾品もつくる。おいらはお父のあとを継いで、鍛冶屋になるんだ」
「すごいなぁ」
「ナシェルのお父は、どんな人だ?」
王子さまはぎくりと身をこわばらせましたが、よく考えて、こう答えました。
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