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シークレット9-2
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柴田マンション
303号室。
クローン対策警察特別室
「ここだ」
昴と麻子は顔を見合わせた。一見は普通のマンションの一室である。表示がないと見過ごしてしまいそうである。
何回も確認したが、間違いはないだろう。
ピンポン
インターホンを押す。
「はーい」
インターホンからする女性の声。
まだ、若い女性の声だった。
「あなたたちが今回の相談者ね」
どうぞ、と中に誘導する。部屋の中は不必要なものはなくて、すっきりとしていた。全体的に白や茶色のシックな色で統一されている。
クラシックの音楽オルゴールも流れていた。
相談者が話しやすいように、配慮がしてあるのだろう。
いかにも、相談室らしき場所だった。
琥珀が喉乾いたでしょう? と麦茶を出してくれる。どうぞ、と座るように促す。麻子と昴は琥珀と向き合うように座った。
予想以上に緊張をしているのだろう。座ってから麦茶を口に含む。
何となく、場違いな気がする。気持ちが落ちつかない。すでに組み立てられた計画は動き出している。ここまできて計画の中止はできない。ただ、前に進むことだけを考えておけばいいだろう。
それに、情報屋カフェ「縁」で人を信じてみると麻子と決めたばかりだ。
交わしたばかりの約束を破りたくない。
「僕は桜井昴です」
「私は中田麻子」
「川口琥珀よ。よろしくね」
琥珀は昴と麻子が緊張していることに気が付いたらしかった。大丈夫よという意味を込めて柔らかく笑う。その笑顔を見たからか、若干、二人の肩から力が抜けたような気がした。 入室してきた時から、つながれている手が離れることはない。 そんな様子を見ていた琥珀は、大人びて見えるようだが、まだまだ子供なのだと実感した。お互いの独占欲が強いだけで、どこにでもいる中学生と同じだ。 そう思うと琥珀は安心する。
「あの……警察の方ですか?」 昴が琥珀に話しかけてきた。
「そうよ。見るかしら?」
琥珀が警察手帳を広げる。
巡査部長
川口琥珀
昴と麻子は顔を見合わせる。警察手帳を見せたことより、信頼してもらえたらしい。
「クローンがクローンの相談するなんて珍しいわ。人間とクローンなら分かるけどね」
マスターがパソコンに情報を送ってくれていたらしい。
仕事が早い。
頼んでみて正解だった。
自分たちの人の目を見る力は間違いではなかった。
「えっと、桜井加奈の「コピー」のあなたが、米田雪美の「コピー」に殺されかけたのよね」
何だか、ややこしいわねと琥珀が苦笑する。自分たちの相談がややこしいのだと、昴も麻子も理解している。
「ーーはい」
「で、警察に突き出す判断、もしくは精神病棟に入院させるつもりでいるのよね?」
「はい」
計画の内容を確認をしていく。話をしていて、かなり、頭の回転が早い人物だな、というのが第一印象だった。味方でよかった。敵に回してしまえば、かなりの強敵になるだろう。 信頼しているから、数ある中で選んだらしかった。 だからこそ、マスターも彼女を紹介したのだ。琥珀もそれに応えている。
評判もよかった。
創立してから、四年目とまだ若いが相談者も増えてきている。
相談者の年齢として多いのは二十代~三十代。その分、恋愛関係の相談が取り上げられることがある。
今回の依頼は異質であり、ここまで、若いお客様は初めてらしい。しっかりと、記録しておかなければいけない。
自分の腕の見せ所だ。
気合いが入る。
「川口さんはどうして警察官に?」
「私、小さい頃に迷子になったことがあるの。その時の女性警察官が優しくて、憧れてなったのよ」
「ちゃんと、会えましたか?」
「会えたわ。私も母親に会えた時は大泣きしたよ。ごめん。自分語りをしてしまったね」
「いえ、私の方から聞いたのですから謝るだなんて」
「あなたたちは優しいのね」
「優しい僕たちがですか?」
昴は聞き返した。
まさか、優しいと言われるなんて誰が想像をしただろうか。
「ええ。優しいわよ。二人が思いあってくることが伝わってくるわ。純愛ね」
「川口さん」
彼の真剣な声に琥珀は背筋を伸ばした。
「僕たちが道を踏み外しそうになったら、止めてくれますか?」
「ーーもちろん」
「よろしくお願いします」
ーー覚悟は決まった。
昴は緩く息を吐き出す。
「こちらこそ」
こうして、琥珀と出会ったのも巡り合わせだろう。昴と麻子が手を差し出す。
琥珀はその手を、順番に握り返した。
303号室。
クローン対策警察特別室
「ここだ」
昴と麻子は顔を見合わせた。一見は普通のマンションの一室である。表示がないと見過ごしてしまいそうである。
何回も確認したが、間違いはないだろう。
ピンポン
インターホンを押す。
「はーい」
インターホンからする女性の声。
まだ、若い女性の声だった。
「あなたたちが今回の相談者ね」
どうぞ、と中に誘導する。部屋の中は不必要なものはなくて、すっきりとしていた。全体的に白や茶色のシックな色で統一されている。
クラシックの音楽オルゴールも流れていた。
相談者が話しやすいように、配慮がしてあるのだろう。
いかにも、相談室らしき場所だった。
琥珀が喉乾いたでしょう? と麦茶を出してくれる。どうぞ、と座るように促す。麻子と昴は琥珀と向き合うように座った。
予想以上に緊張をしているのだろう。座ってから麦茶を口に含む。
何となく、場違いな気がする。気持ちが落ちつかない。すでに組み立てられた計画は動き出している。ここまできて計画の中止はできない。ただ、前に進むことだけを考えておけばいいだろう。
それに、情報屋カフェ「縁」で人を信じてみると麻子と決めたばかりだ。
交わしたばかりの約束を破りたくない。
「僕は桜井昴です」
「私は中田麻子」
「川口琥珀よ。よろしくね」
琥珀は昴と麻子が緊張していることに気が付いたらしかった。大丈夫よという意味を込めて柔らかく笑う。その笑顔を見たからか、若干、二人の肩から力が抜けたような気がした。 入室してきた時から、つながれている手が離れることはない。 そんな様子を見ていた琥珀は、大人びて見えるようだが、まだまだ子供なのだと実感した。お互いの独占欲が強いだけで、どこにでもいる中学生と同じだ。 そう思うと琥珀は安心する。
「あの……警察の方ですか?」 昴が琥珀に話しかけてきた。
「そうよ。見るかしら?」
琥珀が警察手帳を広げる。
巡査部長
川口琥珀
昴と麻子は顔を見合わせる。警察手帳を見せたことより、信頼してもらえたらしい。
「クローンがクローンの相談するなんて珍しいわ。人間とクローンなら分かるけどね」
マスターがパソコンに情報を送ってくれていたらしい。
仕事が早い。
頼んでみて正解だった。
自分たちの人の目を見る力は間違いではなかった。
「えっと、桜井加奈の「コピー」のあなたが、米田雪美の「コピー」に殺されかけたのよね」
何だか、ややこしいわねと琥珀が苦笑する。自分たちの相談がややこしいのだと、昴も麻子も理解している。
「ーーはい」
「で、警察に突き出す判断、もしくは精神病棟に入院させるつもりでいるのよね?」
「はい」
計画の内容を確認をしていく。話をしていて、かなり、頭の回転が早い人物だな、というのが第一印象だった。味方でよかった。敵に回してしまえば、かなりの強敵になるだろう。 信頼しているから、数ある中で選んだらしかった。 だからこそ、マスターも彼女を紹介したのだ。琥珀もそれに応えている。
評判もよかった。
創立してから、四年目とまだ若いが相談者も増えてきている。
相談者の年齢として多いのは二十代~三十代。その分、恋愛関係の相談が取り上げられることがある。
今回の依頼は異質であり、ここまで、若いお客様は初めてらしい。しっかりと、記録しておかなければいけない。
自分の腕の見せ所だ。
気合いが入る。
「川口さんはどうして警察官に?」
「私、小さい頃に迷子になったことがあるの。その時の女性警察官が優しくて、憧れてなったのよ」
「ちゃんと、会えましたか?」
「会えたわ。私も母親に会えた時は大泣きしたよ。ごめん。自分語りをしてしまったね」
「いえ、私の方から聞いたのですから謝るだなんて」
「あなたたちは優しいのね」
「優しい僕たちがですか?」
昴は聞き返した。
まさか、優しいと言われるなんて誰が想像をしただろうか。
「ええ。優しいわよ。二人が思いあってくることが伝わってくるわ。純愛ね」
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彼の真剣な声に琥珀は背筋を伸ばした。
「僕たちが道を踏み外しそうになったら、止めてくれますか?」
「ーーもちろん」
「よろしくお願いします」
ーー覚悟は決まった。
昴は緩く息を吐き出す。
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