シークレット・ラブ

朝海

文字の大きさ
12 / 18

シークレット10-1

しおりを挟む
 学校帰りの麻子と昴は車に乗せられた。手足を拘束されて、目と口をふさがれる。
きっと、米田家に連れていかれるのだろう。計画通りすぎて、笑いたくなるが何とか堪らえる。
 どれぐらい、走ったのだろうか?
  感覚は分からないが、車が止まる。ドアが開き、ほら歩けよと背中を押された。口と目を剥がされているガムテープをはずされた。ライトの眩しさに、昴と麻子は目を細める。
  その後ろに、裕二が立っていた。
「中田さん、桜井さん。いらっしゃい」
愛梨がにっこりと笑う。
さあ、どのように使っていこうか?
記憶を消し「コピー」を殺すための殺人クローンとして育てるのもいい。

「米田さん。あなたかわいそうな人ね」
「かわいそう?私が?」
「気に入った人に相手にされないなんてかわいそう」
「家族の言いなりの人生なんて、つまらない人生だな」
「何よ!二人揃って私を説教するきなの?うっとうしい。今、ここで、死んで!」
 愛梨がナイフを振りかざした。蛍光灯の光でナイフがキラリと光る。昴は反射的に麻子を抱きしめて目を閉じた。

 ーー衝撃がこない?
  彼はゆっくりと目を開けた。
  カラ、カラ、カラン。
  ナイフが床に落ちる音がする。
 裕二が愛梨の手を掴んでいた。

「あなたは……一体」
  昴が驚いたように目を見開く。麻子に対しては言葉すら出てこない。裕二はずっと敵だと思っていた。意外な人物に助けられてしまった。昴は麻子を抱きしめたまま、状況を見守る。
  今までの行動と言動からして、愛梨はかなり短気な性格だ。 
  彼女がいつ攻めてくるか分からないので、今回の作戦自体、時間もなく急ピッチで立てられた。
  その分、強引な部分もある。それなのに、愛梨はこんな単純な罠に簡単にひっかかったのである。裕二の挑発にものり、見事に自爆をしてみせた。
  まさか、彼女も大人たちの手の中で、踊らされていたとは思ってもいないだろう。
転がされていたとは予想もつかないはずである。
   すると、操られたように、愛理の足が勝手に動き始めた。 
   踏ん張ろうとしても、止まらない。
  どこからか、スポットライトがつき舞台に立っていた。その 
   舞台にいるのは愛梨一人だけだ。観客と共演者の姿もない。
  くるり、くるり。
  くるり、くるり。
  糸に吊るされた機械人形(マリオネット)のように回り続ける。
  体は激しく拒否をしているのに、動き続ける。切っても切っても糸は絡みつき纏まりついてくる。
  ウフフ。
  あははは。
  壊れた笑い声ともに。
  ーーあなたたちは何なのよ!
  ーー私たち?
  ーーあなたに、殺されたクローンの「コピー」の成れの果てよ。
  機械的な声が響く。
  機械人形に囲まれた。
  観客はこの機械人形たちだというのか?
  品定めをされているようで、気味が悪くて仕方がない。
  ーー私は悪くないわ!
  それでも、愛梨は精一杯威嚇をした。
  ーーあら。
  反省しないのね。
  ーー残念。
  反省をするなら、助けてあげようと思ったのに。
  なら、罰を受けてもらないといけないね。
  プツリ。
  そこで、ようやく糸が切れる。体が自由になる。そのまま、ズルズルと座り込んだ。愛梨は無理矢理腕を引っ張られて、現実に引き戻される。あたりを見渡しても、親から与えられた当たり障りのないマンションの一室だ。
  無様に舞台で踊っている自分など、どこにもいない。それに、昴や麻子、裕二には見えていなかったようである。
  ーーよかった。
  あれは、夢だったね。
  愛梨は周囲に悟られないように、緩く息を吐き出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕《わたし》は誰でしょう

紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
青春
※第7回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。 【あらすじ】  交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。 「自分はもともと男ではなかったか?」  事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。  見知らぬ思い出をめぐる青春SF。 ※表紙イラスト=ミカスケ様

結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」 入社した会社の社長に 息子と結婚するように言われて 「ま、なぶくん……」 指示された家で出迎えてくれたのは ずっとずっと好きだった初恋相手だった。 ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ ちょっぴり照れ屋な新人保険師 鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno- × 俺様なイケメン副社長 遊佐 学 -Manabu Yusa- ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 「これからよろくね、ちとせ」 ずっと人生を諦めてたちとせにとって これは好きな人と幸せになれる 大大大チャンス到来! 「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」 この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。 「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」 自分の立場しか考えてなくて いつだってそこに愛はないんだと 覚悟して臨んだ結婚生活 「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」 「あいつと仲良くするのはやめろ」 「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」 好きじゃないって言うくせに いつだって、強引で、惑わせてくる。 「かわいい、ちとせ」 溺れる日はすぐそこかもしれない ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 俺様なイケメン副社長と そんな彼がずっとすきなウブな女の子 愛が本物になる日は……

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...