「第一部:魔女の生贄」貴族の子に転生し、魔女に呪われたけど優しい家族と一緒にいたい

八木恵

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3章:学園在籍編

閑話:恩返し

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Side:産婆ケリー

あの子達は元気だろうか。約2か月以上前にこんな外れの村に現れた美男美女のどうみても10代後半の子たち。

彼女のほうは明らかに妊娠してるのに、まともに往診してなさげ。
細い身体で、見るにみかねて声かけて、胎盤の状態をみたよ。

それから、乳製品だけ買い物するから、お金がないんだなと思って料理わたしたり、胎盤を補助するベルトあげたり、私もおせっかいをやいた。

そろそろ生まれそうだなと思った時、
「ばあさん、この辺りに産婆しらないか?」
彼のほうが聞いてきた。

「今さらかい、私が産婆だわ」と言ったら、
「まじか、でもちょうどいい、リリスのお産手伝って」と頼みこんできた。

「たく、わかったよ。予定日いつだい」

「たしか、えーと、8月8日前後か」
今計算しとるのかい。

「て、来週じゃないかい。ちょっときな」
急いで家につれていき、彼女のほうは椅子に座らせて、彼氏のほうに出産に必要な道具やらのメモをかいてわたした。

「いいかい、これが最低限必要なものだから絶対用意しなさいな」といってたら「わかった」といった。

もう大丈夫かい。
「破水したらばあさん迎えにくればいいか?」

「ああ、それでいい。わかってんじゃないかい。初産は時間かかるから、焦らずにきな。この家にいなければ、だいたいは道具屋のばあさんと茶してるから、その辺の村人にきけばわかる」

「了解、ばあさんありがとな」
彼女と手を繋ぎながら出ていった。

12時間かかったが無事出産。
来た時は、私も慌てたし、ばあさん目つぶってとかいわれて気づいたら家の前だった。

彼氏が魔法使いってわかったのは、陣痛の時。帰りはなんと転移で送られた。

なのに、
「リリスが難病で余命わずかって、ルーク大丈夫かい」と出産後に知った事実に、なんともいえず、頑張れとしか言えなかった。

あの様子じゃ、ルーク1人で子育てとはもうやるせない。

「ばあちゃん、小遣いくれ」
20歳になっても小遣いをせびる我が孫だ。
息子夫婦が医者で甘やかしたせいだ。娘は王都の学園で常駐の医者で独身ときた。

「そんな金あるかい」
この孫より若く、哀しい男女をみて、もう言葉がでない。

「だって、この前出産いったから、確か14時間ぐらいだったから金貨1枚ぐらいもらっただろ」
我が孫よ金の計算だけは早い。

「もらえるかい。金もない男女で子供が生まれたばかりの夫婦からもらえるわけがない」

「ちぇ、またお節介やきがでた。どうせ、代わりにいつか物をおくってくれればいいとかいったんだろ」
怪訝な顔でいう孫。
「ああ、いったよ、悪いかい」

「一度も送られてきたことないのにな。たく、飲みにもいけない」

「働けばいいだろ」

「こんな村で働く場所ないってんだ。父さんも母さんもこんなところで病院なんて開業しようとしやがって。もういい、またなばあさん」
文句だけ言って出て行ったよ。

◇◇◇

あれから2週間。
「ルーク、大丈夫かい。そろそろ買い物に来る時期なのに」
独り言をいいながら村を歩き周ってる。もしかしら、ルークに会えるかもしれない。

「ケリーさん、そんな若者のこと心配したってしょうがないだろ」
道具屋のばあさんに呼び止められて、茶をいただいている。

「そういったって、赤子が元気なのか、リリスは大丈夫なのかとか心配になるんだよ」

「ほれ、そのうち、ひょっこり顔をだすさ」
そんな会話をしていた。

「ケリーばあさん!あんたの家の前で、貴族の馬車がとまってる!あんたの孫が対応してるみたいだが、早くいけ」隣のじいさんが慌ててやってきた。

「あの孫、まさかお貴族様に何かしたんじゃないだろうね」
私は、叫びながら、家に戻る。

家の前で孫が騒いでる。

「だから、俺はここの家に住んでいるばあさんの孫なの。」

「私は公爵様の使いで、ここに住むケリーという者に会いに来た。直接ご本人がいらっしゃるまで待たせていただく」
貴族の方だ。身なりが貴族。大変だ。

「ご貴族さま、申し訳ありません。孫が失礼な態度を。私がケリーでございます」
地面に座って平伏した。

ご貴族様が私の手をとって、
「いえ問題ありません。立ってください。私のクレセント公爵家で家令をしておりますパトリックを申します。本日は、クレセント公爵様の使いで、お話がありますので中にはいっても。」と私を立ち上がらせ、綺麗に土埃もはらってくださった。

「汚いところですが、どうぞ」
鍵をあけて家の中に招いた。

「ばあさん、俺も」て我が孫が家の中にはいってきたから、
「あんたがいるややこしくなるだけだ、外にいろ!」といって追い出した。

「ちぇ、金のにおいがしたのにな」ともう恥ずかしいったらありゃしない。

狭いダイニングに案内した。
「ご貴族様、私のようなものにお話しとは?」
もう冷や汗が止まらない。

ご貴族様は、座りながら部屋を見渡している。
「ケリー様はこちらに独り暮らしなんですか?」
「はい、主人に先立たれてから独りです。」

「息子さん夫婦とは暮らさないのでしょうか?」

「はい、小さい医院を開業する予定で、当初は自宅兼医院を作って私もその自宅へ引っ越す予定だったのですが、資金的に足りなくて、私の部屋ができないという事で、私はこのままです」

「医院の産婆もなさる予定なんですよね?」と聞かれ「はい。」と答えた。

「そうなると建設予定地とご自宅では少し離れてますよね。」

「はい。徒歩で20分はかかります」

「そうですか、ではこの家に愛着はございますか?」

「主人が亡くなる前に引っ越したので思い出はありますが、どうしてもというわけではございません」
立ち退きなのかもしれない。

「公爵様から物での礼を希望とお伺いしましたので、今、申請していただいている医院兼自宅を拡張して、隣の空き地も含めてこのようにするのはいかがでしょうか?」
ご貴族様は図面をだしてきた。私の家は独立していて平屋の設計。庭もある。

「あの凄く素敵ですが、そのなぜそのような提案を?」

「これは失礼しました。どうやら、ルーク様は名乗ってないようですね」

「私にはご貴族様の知り合いなどおりませんが」

「あの方は」と頭を抱えだすお貴族様。
「ではこの方はご存じで?」
精工な絵をみせていただきました。

「ルークとあの時の赤子。はぁー、元気かい」
ついつい嬉しくて絵を手にとってしまいました。

「あ!すみません。」
絵をおいて平謝りです。

「この方をご存じとの事で安心しました」
にっこり笑うご貴族様。

「実はこの方、ここクレセント公爵家の第一子のルーク様なんですよ」

「えーーー!」
失礼を承知で私は、叫びました。

「だって、駆け落ちしたお金のない男女では?」
私は、まだ信じられません。

「誤解があったようですね。ルーク様は変わった方で世間知らずでございまして、色々誤解をまねいたようです。ルーク様は余命わずかなリリス様のたっての希望で、この地に来られておりまして、ただ若い男女という事もあり大変ケリー様にはお世話になったと。その話をご当主様にお伝えしたところ、ご当主様が是非お礼をという事で探させていただきました。ただ、物のお礼、当初は待合席ですねをご用意する予定だったんですが、僭越ながらケリー様の状況を調査させていただいた結果、こちらの図面の医院と自宅をプレゼントしたほうがよいのではないかという話になっております。もちろん、医院で使用する器具、家具、とケリー様の自宅の家具から全てこちらで用意させていただく予定です。」
凄い事をおっしゃるじゃないですか。

「いえいえ、本当ただのお節介焼きがやったことですし、こんな事までしていただかなくても」
あまりの礼に恐縮です。

「いえいえ、公爵家のお孫様の出産に立ち会っていただいたのですから、こちらでも十分少ないお礼なんですよ」
私がしたことが恐ろしくなってきました。

「受け取っていただくまで私は帰れないのですが、こちらを公爵様とルーク様よりお預かりいたしました」
ご貴族様が手紙を2通渡していただきました。

ルーク様の手紙は、
赤子はアークと名付けた事。リリスが1週間後に亡くなった事。今は、自宅に帰って両親と一緒に育てている事がつづられていた。最後にリリスが感謝していた事がかいてあった。

そして、1枚の写真(精巧な絵)には、あの一軒家で眠っているリリスを囲んで4人でとったものだった。
あの空中にういた箱がこうなるとは思ってもみなかったわい。

その中には種があり、新しい自宅の庭にうえてほしいと書いてあった。それは、あの自宅の庭に咲いていた見たこのもない可愛らしい花の種で、リリスが研究して作ったものだとも書いてあった。

そして公爵様のお手紙は、
息子の非礼を詫びた文面から始まり、ルークも日中外を歩けない病気である事が記載された。
日傘はリリスではなくルーク本人のためだったのかい。

余命わずかなリリスの願いをかなえるためにルークはリリスと家を出て行ったこと。
戻ってくるのはリリスが亡くなった事を意味するのをわかっていて出した事。

その中で、私と出会った事の感謝がつづられていた。
孫が無事生まれた事の感謝もあった。
本来、こちらに来てお礼を言うべきだが、来れない事を詫び、いつか新しい家がたったら来るとつづられていた。

「これは断れませんね」
「はい、お願いいたします。」

そして、物の礼として、自宅、医院兼息子夫婦の家を土地も含めて全て私名義てうけとったわい。
建設は全て公爵家が手配し、自宅には最新の魔道具が設置された。
ご貴族様のパトリック様いわく、魔道具はすべてルーク様が開発に携わっているとか。

息子夫婦の医院には、最新の医療器具がおかれたわい。
「すげー、ばあさん、たまにはいい事あるな。これが将来俺のものになるんだな」
開業直前の病院と自宅を前に、目を輝かしている孫。

「なるかい。私が死んで、息子に渡った後、もしまだあんたがぐーたらしてたら、公爵様に返すことになってるわ」

今回、このお礼をもらう代わりにパトリック様に孫の事を相談したところ、このようにしたらどうかと提案していただきました。

「うそだろ、ばあさん」という孫に「あんたかね勘定だけは得意なんだから、医院の会計として働け」といったわい。

今はしぶしぶ働いておるが、まぁ改心するとよいわい。
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