【白銀の黒帝 23】俺の職業は、最弱と村人、そして村人はの俺は。

八木恵

文字の大きさ
3 / 32
1章:プロローグ

最弱で最底辺の村人の僕

しおりを挟む
翌朝、熱も下がった僕は、ザンソ村から少し離れた所にある泉から水を運んでいる。
これは、3歳から初等教育を受けるまでの、この村の子供の仕事なんだ。
と言っても、この村にいる子供は僕を入れても5人だけ。

そして、僕は、みんなの中で一番小柄で、かつ体力もない。
だから、周りのみんなと比べても、桶の半分しか水が運べない。
そんな僕を見つけると、子供達に石を投げつけられたり、また転ばされたりして、満足に水運びもできないだ。

今日もボロボロになりながら運ぶ。
「やーい、村人!」
「しかも、村人の最弱なんだってな!」
といわれ悪ガキどもに囲まれ殴られる。
「痛いから、やめてよ! あ! 水」っというと、頭からせっかく汲んだ水を被らせる。
「早く戻れよ!」とまた蹴り飛ばされる。

「あなた達、いい加減にしなさいよ!」 そうやって怒鳴るのは妹のララ。 
「ララが来た、逃げるぞ~」って言って逃げていく悪ガキ共。

ララがずぶ濡れで倒れている僕ルカスに、
「お兄ちゃん、いくらなんでもやられ過ぎ! 私、いい加減、恥ずかしいんだから、しっかりして!」と叱咤された。

「うん、ごめん。 泉に行くね。」って僕。 まったく、僕のノルマが終わってないからだ。
「お兄ちゃんが、一往復している間に、ララがもう全部おわらせたわよ。 本当、使えない」ってララは呆れてる。
「あはは、ごめん」とヘラヘラ笑うしかない僕だった。  また、ララに負担をかけてしまった。

家へ帰るとずぶ濡れの僕をみて、優しい母は、「ルカス!」といいながら乾いた布で拭いてくれる。 
「怪我してない?」
「うん、大丈夫」というと抱き上げられて暖かい火鉢の所へつれていってくれる。
「身体を早く温めないと、風邪ひいちゃうわ。 ホットミルクを作るわね」といってそそくさと台所へいく母だ。

狩人の父が戻り、
「ルカス、またずぶ濡れだったんだってな。 水汲みやめて、家で母さんの手伝いでもいいんだぞ」って、くしゃって大きな手で僕の頭をなでてくれる。

「もう! なんで、いつもいつも、お兄ちゃんばっかりに甘いのよ! 今日だって、ララが。お兄ちゃんの分まで水汲みしたんだから!」って癇癪を上げるララだ。
最近のお決まりのパターンなんだ。 優しい両親が、僕を甘やかすとララが癇癪を起こす。

そうなると、母さんが、ララを抱きしめる。
「ララ、偉いね。 ララが頑張り屋さんなのは、母さんも父さんもわかってるの。 ルカスは、身体が弱いからついついね。」

「ララ、俺が剣術の稽古つけてやる」ってララを抱き上げと、ララは嬉しいそうに「やったー♪」と言って、父さんとララは庭へいく。 父さんとララの楽しそうな声が外から聞こえる。 外で遊べて羨ましい。

母さんが僕のところに来て、「ルカス、大丈夫?」って聞くんだ。 
「うん、大丈夫。 ごほ、ごほん」って咳が止まらない。。 
「ルカス、もう熱が」って言われて母さんに抱えられながらベットに連れてかれる。 
せっかく、3日ぶりに外にでたのに。。 熱でうなされながら僕の意識は朦朧としてた。

夜なのか、母さんと父さんの話し声が聞こえる。
「俺、村長に頼んでルカスに水汲みをさせるのはやめさせようと思う!」
「でも、あなた。 そんな事を言ったら、ただでさえ他の人よりもう倍も働いているのに、追加で働かされるわ。」
「仕方ない。 不作続きで、この村は経営難だ。 俺がここで一家の大黒柱として、今は頑張り所だ。」
「そうね、私も内職を増やすわ。」

父さんも母さんも僕のせいで無理してるんだ。 ごめん、貧弱な村人で。。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...