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2章:ギルド編

王都、ギルド本部

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無事、ギルド本部の裏門のドアが開錠されたから、俺たちはギルドマスター室の扉の前まできた。

「へぇーこの扉もかわんねぇーな」って俺。
「ああ、ここの通路だけはいつも同じだ」ってリン。
「そりゃそうだぞ。 シュンさんの結界がはってあって取り壊し禁止になってるんだぞ」ってシリルに突っ込まれた。
「わかってんけど、ほれ、少しは懐かしむ時間ってのがな」っていいつつ、中から誰もいないのにマスターの怒鳴り声が響いているのだった。

そんな事など気にせず、ノックもせずフードを被った俺たち3人はそのまま扉を開く。
するとジルそっくりない威風堂々とした50代の男性がいる。
「お主ら何もんじゃ。」って言われた。 そりゃそうだな。
「黒帝の縁者の者だ」といって俺はドックタグを投げ渡して、勝手にソファーに座る俺たちだ。

ジルそっくりな男がドックタグを受け取ってなんか驚いてる。
「いや、まさか」っていって、本部ギルドマスターの規約の『白銀の黒帝の章』をみてドックタグの内容を確認している。 規約の章と手にしているドックタグをみて両手が震えだしながらも対面に座り咳払いをしているジルそっくりな男性。
「た確かに、私の先祖ジル・フリークスが黒帝様のみに作ったタグです。」となぜか声色はワンオクターブ高い。

それを聞いて笑いをこらえる俺、リン、シリルでだ。
再度咳払いをしている、現ギルドマスター。
「し、失礼しました。 私が当代のギルドマスター ジム・フリークスと申します。 黒帝の縁者の証をお見せいただけないでしょうか?」

俺は黙ったままってか笑い堪えながら、黒帝の紋章を渡すと、ジムは震えながら受け取り、『黒帝の章』の紋章と確認している。
「本物じゃ。 やっぱ本物は違うのじゃ!」って大声で歓喜しているし。 なんか俺、状況がよくわからん。
また咳払いをしているジム。
「失礼いたしました。 確かに黒帝の縁者様と確認できました」といってドックタグと紋章を返却してくれた。
「代々の盟約に基づき、今回のご訪問理由をお伺いできますでしょうか?」

「てかよ、なんだよあの像。 ぶっこわしてぇー」って俺、タバコに火をつけて一服。
そんな俺にジムが焦った顔をしてる。
「妖精の事件後の国王が、何度も黒帝様の助言を無視した事の戒めと、黒帝様の存在を民にも周知しておく必要あると考えあの像を作ることになりまして」といって冷や汗をふきながら、
「ただ、伝承のお姿とギルドに残っている絵を元にするというお話もあったんですが、それでは偽物が現れた時に区別ができなくなるという事で、まったく異なるお姿にし、紋章もわざと違う物に変更いたしました」って説明してくれた。

「で、なんでキラキラ系なんだよ」と不機嫌にいう俺だ。
「国を何度もお助けになった故、当時の建築者の空想であのように」ってジム。
「まぁ、あきらめろ」ってリンに笑いながら言われた。
なんかどうでもよくなってきた。「まぁもういいや」とだけ言っておく。
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