【白銀の黒帝:4】精霊と無能者

八木恵

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5章:学園都市編

弟子たち、最終学年の後期日々 前編

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学園が始まる前日の夜、リオンとレイモンドが「明日から学園かぁー」「「行きたくなーい」」といいだす。
 初めていう言葉だった。 

「シュンは、学園が始まる度にいってたな」といわれ、
「あったりめーだ。 つまんねぇーし。 女は臭いしよ。」と俺はタバコを吹かしながらいう。
 「2度と学生はごめんだな」と俺がいうと、「ああ、3度めは無理だな」と、俺たちは自分達の事をいっていた。

「まぁまぁ、んでリオンとレイは何で行きたくないのですか?」ってカール。
「精霊だと思うんだけど、俺らにやたらと絡んだり、悪意を感じるんだよな」ってリオン。
「うん、これ着けているおかげなのか、暴力へは訴えらえねけど、うざいんだよな。 特に特級精霊もちからな」

「いつからだ?」と俺が聞くと、
「休み始まる1ヶ月半前辺りぐらいか。 なぁ、レイ」
「うん、その辺り」

俺は、リオンとレイモンドの言葉が気になった。 おかしい。 あー、なるほどな。

「なるほどな。 まず、イヤーカフの効果が薄れてるわけじゃねーし。 
 お前らの魔力だったら、本当だったら、付けてなくても平気なくらい、魔力で威圧できる。
 それなのに、 悪意を感じるってことは精霊がなんかしてるって事だ。 
 が、手を出せねぇのはお前らの力量をわかってるからだな。 
 たぶん、やっかみも増えるんじゃねぇーかな。 学園じゃぁ、お前らが手をだすと面倒になる。 
 どうしょうもなかったら、転移してでもここに戻れ。 いいな。」

俺の話を聞いて納得したのか「「師匠、わかった」」といって、ガキ共が部屋へ行くのだった。

食堂には、俺とリン、カールの3人になる。
「主に皇国周辺で精霊が動きだしたようです。 
 人間を使ってマナを集めるみたいで、魔物と神獣からマナを奪うようです。 
 玄武と麒麟は、まだ傍観すると言っていましたが、神獣の領域に入った時は容赦しないと。
 魔物もマナ不足が始まり、徐々に精霊を狙う動きもでています。」
「はじめたんか。 馬鹿精霊が。 闇はどうだ?」
「ここ3ヶ月で皇国周辺が増えてます。」
「だろうな。 人間って馬鹿だなー。 利用されてんの気づかねとは。 
 まぁいい、まだ傍観だ 玄武と麒麟には、最悪の状態になった時の事はつたえたか?」
「ええ、伝えてあります」
「はぁー、面倒くせ。 暗躍するか」といって俺はタバコの火につけて一服する。 本当に面倒だ。

◇◇◇
それからリオンもレイモンドも学園が始まり、やっかみもあるようだが無難に退けている。 
学園の時間割も変わらずで、前期と同様、水曜はシュンと依頼をこなす。 
ただ、金曜、レイモンドは最初の週だけバードとハンナと依頼を受けたが以降1人でうけ、彼らも食堂へ来なくなった。

それから数週間過ぎ金曜の夜、閉店間近にダグラスがきた。 

「いつもんでいいか?」と俺が厨房から顔をだして聞くと、思い詰めた表情で暗いダグラスが「はい」といってカウンターに座るのだった。

カールが赤ワインと小樽を置く。 
俺が厨房で料理を作り、ダグラスにフライドポテトとピザをだす。 
その間、リンが、食堂のドアの看板を”Close”にして、俺はリンとカールに賄いを渡すと事務所へ向かうのだった。

 俺は、自分の賄いとエールを持ってダグラスの隣に座る。

「どうした?」
「ここは落ち落ち着きます。 精霊が大人しくなりました。」
「ははは、今頃きづいたか。 精霊が大人しくなるんだ。 そういう結界を張ってあるんだ。 
 ここは、嫌われ者の集まりだからな。」と言って俺はポテトを摘む。

「そうだったんですね。 私達は間違ったようです。 」といって哀愁を漂わせながら、ワインを飲むダグラスだった。
 「何か用があんだろ?」
「はい、教会から、精霊王の啓示だと言って、精霊の力の源であるマナを魔物と神獣が集めて精霊の力が弱まわっていると話がでています。 
 そして、近いうちに、下級精霊が精霊魔法を使えなくなるという話もでております。 
 新たな精霊魔法を授け、魔物と神獣を討伐してマナを開放させる必要があるとも。。 
 その討伐に、上級精霊もち以上の生徒も参加させろとも言ってきています。 
 ですが、私はおかしいと思っております。 まず、女神の啓示じゃない点ですね。 
 それに、神獣は共存の存在です。 それに神獣がマナを集めるなんて聞いたこともないのです。 
 それなのに、私の精霊が私の心を乱すのです。 贖うのに必死で、私が間違っているように思えてきて神獣が悪に思えてしまうのです。 でも、歴史は違います。 
 シュン殿にしか相談する事ができなくて、ここにきました。
 来月の武道大会のあとの会議で、共和国の方針を決めるので。」 

そう話したダグラスは、ワインを一気に飲み干すのだった。

うーん、正直俺に言われてもな。 人間社会の政治は。。

「俺は傍観者だぞ。 決めるのはお前らだ。 アーサーに言った言葉は知っているか?」
「はい、知っております。
 『この世の理に、善も悪もない。 そして、この世界を作った者はだれだ。 神獣と人間はなぜこの世界いる。 しっかり見極めろ。 歴史の真実をみろ。 もし、この世界の秩序が乱れた時、黒帝の縁者は調停者として現れるだろう。』」

「楽に力を得た報いだ。 精霊と契約解除することをお前には進めるよ」といって、俺はエールを飲む。
「解除ですか。 人間からの解除は、魔力をほぼ取られます。やるしかなさそうです。」と溜息をつきながらいうダグラスだった。 

「へぇー。 対価か。 精霊からの解除は?」と俺が聞くと「何もありません」と答えるダグラスだった。
「なんだそれ!」と俺は笑ってしまった。  
そんな俺をみて、ダグラスも決意を固めたみたいだ。

「その時点で、変だと気付くべきでした。 この食堂のおかげで、正常になりました。 私は帰ります」といい、会計をすませるのだった。

外へむかうダグラスに、俺はダグラスの肩を軽く叩く。
「2日間だけだが、精霊が大人しくなる結界かけた。」と伝えると、お辞儀して帰るのだった。

その後、ダグラスは、精霊と解約し1週間ほど寝込むのであった。
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