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2章:俺の双子たちの話

父さんと釣り

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Side:水無
双子の兄、烈が父さんと最近一緒にすごす時間が多くあるみたいで、悔しい私は、わがままいって父さんに頼んで京都にきてもらったの。
ちょうど、ピアノの演奏会もあったしね。

今、父さんに抱えられて、もの凄いスピードで、川の上流に移動中。
こんなに早いの初めてでわくわくしてるわ。

「この変でいいか」って、上流の岩場でおろされた。
釣り竿わたされた私。
「餌はいらないの?」って聞いた。
「俺はいらないけど、水無はいるかもな。 とりあえず試してからな」って父さん。
「わからないけど、どうするの?」
「こうやって、投げ入れて、あとは自然と一体になるイメージで魚の居場所をみつけて、魚の前で針をちょんって動かすだけだ」って父さん。
とりあえず、父さんの真似して投げ入れた。
自然と一体ってどういう事かな、って考えたら、父さんいるのにいない。
「つれた」っていったら、父さんだ。 もう手元には、魚がつれてる。
「ここは、アユだな」って、器用に釣り針から魚外してる。
「今のって?」
「ある種の妖術だな。 まぁ、ぬらりひょん特有のだけどな」って父さん。
「私、無理じゃん」っていってやった。
「一応ためしてみろ」っていわれてやってみたけど全然。
その間、父さんは5匹ぐらいつってる。 烈もできると思うと悔しい。
「やっぱ無理か。 かしてごらん」って私のもっていた釣り竿に色のついた棒をつけてくれた。
「疑似餌だ。 これならつれるから」って言われた。
「いつのまに用意したの?」
「さっき、作った」って父さん。 いやいや、細工すごいけど。
それで、チャレンジ。 え、魚がひいた。 竿を引き上げたら、ちゃんと魚がついてる。
「父さん! つれた」って魚みせた。
「よかったな」って言ってくれて、器用に釣り針から魚とってくれた。

「さて、夕食の時間だしもどるか?」
「もう一回」
「へいへい」っていってくれて、もう一匹つった。 すぐ釣れる。

「水無、かえるぞ」って父さん。
「ねぇ、この疑似餌もらっていい?」って聞いてみた。
「別に構わないが、なんでだ?」
「いいの、ほしいから」っていって父さんに抱き着いた。
「帰りは急ぐから、舌かむなよ」っていわれてぎゅって抱きしめた。

来たときよりもかなりの早い速度。 やっぱり、父さんってすごいし、かっこいい。
あっという間に旅館の宿の部屋に到着。
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