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銃口!
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「今日から神崎家の一員になったソフィアちゃんでーす!」
母さんの明るく能天気な紹介が情報過多の俺の思考回路を更に困らせる。
そしてこの母親には適うまいと悟った俺はもう既に考えることを放棄して開き直り、全てを受け入れることにした。
居間の隅の方に静かに立っているソフィアを改めて見つめると見覚えのある服を着ている。
「それ、俺の服だよね? 何で着てるの?」
「あー。ソフィアちゃんはね身一つでこっちに来たから恐らく着替え持ってなかったのよ」
「母さんに訊いてないんだけど……。てか、『身一つ』ってどうやってここまで来たのさ」
再びソフィアに視線を向ける。
よくよく見ると彼女の髪は金色に燃え、長く美しい。
肌は新雪のように白く輝き、瞳は大きく淡い青色をしていることが鮮烈に分かる。
息を吞み、その美貌に目を奪われていると母さんが横槍を入れてきた。
「春斗、見惚れてないでいい加減自己紹介とかしたら?」
「み、見惚れてなんかないよ!」
図星を突かれた俺は即座に否定した。
「神崎春斗です。よろしくソフィア……は、いきなり馴れ馴れしいか。……よろしくソフィアさん」
俺は彼女に徐に近づき、友好の証として右手を差し出した。
「……」
「あのー。握手のつもりなんだけど……」
「……」
「俺、何か嫌われるようなこと……」
脳裏に先刻の全裸が激しくてよぎった。
「したよね。……あっ、あれは俺が悪かったよね。ごめんなさい」
「……」
「無視されると辛いんだけど……」
重い空気が家中に充満し、耐えかねた母さんが話題を変える。
「ソフィアちゃん、疲れてるでしょ? ご飯にしましょうね。ほら春斗手伝って!」
「お、おう」
俺は母さんに腕を掴まれ引っ張られるようにキッチンへと移動した。
「作戦会議よ春斗。あなたいったい何したの?」
「いや、その偶然にも彼女の裸を見てしまってですね。それで怒っているのではないかと思われます」
「そりゃ怒るわ」
「ですよねー」
「春斗、ここはいいから、家の中案内をしてあげて。仲直りしてらっしゃい」
「わ、分かった」
俺はキッチンを出るとソフィアに声を掛けた。
彼女はまだ機嫌が悪いのか表情一つ崩さす同じ所に立っていた。
「ソフィアさん、家の案内するからちょっと来て」
「……」
相変わらず話してくれないが彼女は以外にもすんなり俺の後ろに着いてきた。
トイレや風呂場などを案内した後、俺は自室を案内した。
「ここが俺の部屋だよ。とは言え特にこれといって見せるものもないけどね。……あっ!一つだけ俺のお宝があって」
俺は勉強机の引き出しから古いモデルガンを取り出した。
そしてちょっとしたいたずら心が働きソフィアのいる方向に向かって振り向き際に素早く構えて見せた。
しかし、想定していた反応を見ることはなかった。
俺は確かに三秒前には右手にモデルガンを握っていた。感触もあった。
だが、瞬きをした瞬間に右手からモデルガンが消え、視線を前方に向けるとソフィアがモデルガンを構えていた。
「ん? ……あれ?」
何が起きたのか分からなかった。いや、理解など到底追いつくわけがない。
ソフィアの鋭い眼光が銃口の奥から俺の目を睨みつけている。
「動いたら殺す」
その冷たい声は俺の心臓を握りつぶしそうなくらい鋭く体に刺さった。
初めての挨拶にしたら物騒な一言に急いで返答する。
「じょ、冗談だよ? それ、おもちゃの銃だよ?」
俺は初めて自分に殺意が向けられていることを自覚した。
母さんの明るく能天気な紹介が情報過多の俺の思考回路を更に困らせる。
そしてこの母親には適うまいと悟った俺はもう既に考えることを放棄して開き直り、全てを受け入れることにした。
居間の隅の方に静かに立っているソフィアを改めて見つめると見覚えのある服を着ている。
「それ、俺の服だよね? 何で着てるの?」
「あー。ソフィアちゃんはね身一つでこっちに来たから恐らく着替え持ってなかったのよ」
「母さんに訊いてないんだけど……。てか、『身一つ』ってどうやってここまで来たのさ」
再びソフィアに視線を向ける。
よくよく見ると彼女の髪は金色に燃え、長く美しい。
肌は新雪のように白く輝き、瞳は大きく淡い青色をしていることが鮮烈に分かる。
息を吞み、その美貌に目を奪われていると母さんが横槍を入れてきた。
「春斗、見惚れてないでいい加減自己紹介とかしたら?」
「み、見惚れてなんかないよ!」
図星を突かれた俺は即座に否定した。
「神崎春斗です。よろしくソフィア……は、いきなり馴れ馴れしいか。……よろしくソフィアさん」
俺は彼女に徐に近づき、友好の証として右手を差し出した。
「……」
「あのー。握手のつもりなんだけど……」
「……」
「俺、何か嫌われるようなこと……」
脳裏に先刻の全裸が激しくてよぎった。
「したよね。……あっ、あれは俺が悪かったよね。ごめんなさい」
「……」
「無視されると辛いんだけど……」
重い空気が家中に充満し、耐えかねた母さんが話題を変える。
「ソフィアちゃん、疲れてるでしょ? ご飯にしましょうね。ほら春斗手伝って!」
「お、おう」
俺は母さんに腕を掴まれ引っ張られるようにキッチンへと移動した。
「作戦会議よ春斗。あなたいったい何したの?」
「いや、その偶然にも彼女の裸を見てしまってですね。それで怒っているのではないかと思われます」
「そりゃ怒るわ」
「ですよねー」
「春斗、ここはいいから、家の中案内をしてあげて。仲直りしてらっしゃい」
「わ、分かった」
俺はキッチンを出るとソフィアに声を掛けた。
彼女はまだ機嫌が悪いのか表情一つ崩さす同じ所に立っていた。
「ソフィアさん、家の案内するからちょっと来て」
「……」
相変わらず話してくれないが彼女は以外にもすんなり俺の後ろに着いてきた。
トイレや風呂場などを案内した後、俺は自室を案内した。
「ここが俺の部屋だよ。とは言え特にこれといって見せるものもないけどね。……あっ!一つだけ俺のお宝があって」
俺は勉強机の引き出しから古いモデルガンを取り出した。
そしてちょっとしたいたずら心が働きソフィアのいる方向に向かって振り向き際に素早く構えて見せた。
しかし、想定していた反応を見ることはなかった。
俺は確かに三秒前には右手にモデルガンを握っていた。感触もあった。
だが、瞬きをした瞬間に右手からモデルガンが消え、視線を前方に向けるとソフィアがモデルガンを構えていた。
「ん? ……あれ?」
何が起きたのか分からなかった。いや、理解など到底追いつくわけがない。
ソフィアの鋭い眼光が銃口の奥から俺の目を睨みつけている。
「動いたら殺す」
その冷たい声は俺の心臓を握りつぶしそうなくらい鋭く体に刺さった。
初めての挨拶にしたら物騒な一言に急いで返答する。
「じょ、冗談だよ? それ、おもちゃの銃だよ?」
俺は初めて自分に殺意が向けられていることを自覚した。
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