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好きになってごめんね(2)
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「名前、教えて」
シャツを脱いだ、蒼の裸の上半身。
その隆とした肩が、あたしに覆いかぶさる。
「……藍」
「愛情の愛?」
「ううん……藍色の藍」
それを聞いて、蒼が少し笑う。
「俺と同じ、青の名前だ」
ああ、……そうだよね。
蒼も、藍も、「あお」って読むよね。
「どうして、あんなところで泣いてたの」
「……蒼に、会いたかった」
「泣いちゃうくらい好きなんだ、俺のこと」
頬に触れる蒼の指。
それがすごく優しくて胸がきゅんとする。
「うん、…好き……」
蒼の指は、頬から唇、顎を辿って、喉から鎖骨までをゆっくりとなぞる。
そして、ふくらみを包み込む大きな手のひら。
「やだ、蒼……」
「どうして? 俺が好きなんだろ」
「だ、だって――」
続く言葉はキスで塞がれる。
熱くて、柔らかい、蒼の唇。
ああ、だめ……涙が出てきた。
あたしにとっての蒼は、雲の上よりも遠いところにいる人だった。
好きで、好きで、大好きで、好きって想いだけで胸が潰れそうになっても、どうにか耐えていられたのは、どんなに願っても手の届かない人だってわかってたから。
決して埋まるはずのないその距離が、かえって救いだった。
絶対に自分のものにならない人だからこそ、どんなに好きになっても無駄だって、自分の心にセーブをかけることができていたから。
それが、こんな風に……。
手で触れることのできる距離、吐息のかかる距離にあなたがいる。
口づけて、抱きしめて、零れた涙を拭ってくれる。
こんなの、だめだよ、絶対にだめ。
あたし、もっともっとあなたを好きになっちゃう。
どうせ住む世界の違う人なんだからって、諦めることができなくなっちゃう。
「あ、はぁ…、ん」
大好きな人の手で、恥ずかしいところを広げられる。
溢れた蜜を指先ですくい、敏感な芽に塗りつけるようにして捏ねる。
「藍……すごい濡れてるよ」
自分がそうなっていることはわかってた。
こういうとき、頭と身体は別物なんだって思う。
蒼とこんなことしてる自分が信じられなくて、でも身体はちゃんと反応してる。
アイドルである蒼と、普通の女子高生であるあたしの間にある壁は、もっとすごく高いもののはずで、こんなに簡単に越えられるものじゃないはずで、頭ではそう考えていても、あたしのオンナの部分は、蒼のオトコの器官をすごく欲しがってる。
「挿れるよ、藍……」
セカンドスキンを着けた蒼のアレが、あたしの中に入ってくる。
ああ、なんて重量感。
蒼、……多分、すごく大きい。
「んふ、ぅん……」
満たされていく。
あたしの内部が、蒼のモノで。
「満足そうな声出しちゃって」
言われてはっとしたあたしが、思わず手の甲を口に当てて中指を噛むと、蒼はくすっと小さく笑った。
「君、すごいな……かなり具合が良いんだけど。俺が先にイっちゃったら立つ瀬がないね」
「ああ、ん……そ、……」
実際、えっちにも相性があるとしたら、蒼とあたしはかなり良いんじゃないかと思った。
蒼と繋がってる部分が、熱くて蕩けそうだった。
薄目を開けて蒼を見ると、彼は少し辛そうに眉を顰めて、あたしを見下ろしていた。
「蒼……」
手を伸ばして、彼に触れる。
ああ、どうしよう……あたしは今、本物の蒼とセックスしてる。
何だか、神聖な彼を穢してしまった気がして無性に悲しくなった。
「ごめんね、蒼……」
蒼は、それが彼の癖みたいに、また少し首を傾げた。
「何を謝ってるの」
「わかんない……わかんないけど、ごめん」
「ふふ、面白い子」
蒼は、笑いながら激しくあたしを突いて、あたしは彼の下で揺らされ続けた。
やがて訪れた白い光の波に飲み込まれ、全身を痙攣させて高みに到達するまで。
「今夜、こうして俺と出会えて良かったと思う、藍?」
背中からあたしを抱きしめて、髪に顔を埋めながら蒼は聞いた。
あたしは、ゆっくりと首を振った。
だって、これ夢なんだもの。
朝になったら、きれいさっぱり消えてしまう、儚い夢なんだもの。
* * * * *
まどろむ耳に、聴きなれたメロディー。
蒼の歌だ。
でも、どこから聴こえてくるんだろう。
それが、自分の携帯電話が奏でる着メロだって気づくまで、少し時間がかかった。
携帯、…どこだっけ。
起き上がろうとして、不意に腕を掴まれる。
「どこ行くの」
「携帯、鳴ってた……多分、メール」
目が合った蒼は、少し不満そうな顔をして、渋々のように手を離した。
あたしは、ベッドの側に放られていたシャツを羽織って、自分のバッグを探す。
蒼のしてくれたテーピングのおかげか、足はだいぶ楽になった気がする。
あ、あった。
それは、部屋を入ってすぐのところにあるダイニング・テーブルに置かれていた。
「……」
携帯を取り出して、ベッドに戻る。
メールの差出人が誰なのか、画面を見なくても想像がついた。
「誰から?」
半身を起こしていた蒼の胸に、背中を預けるようにして座ると、うしろから回した長い腕に包まれた。
本当の恋人同士みたいなあまい仕草に、思わず胸がぎゅっとなる。
あたしの手から携帯を取り上げた蒼は、断りもなくそれを操作してメールを開いた。
「蒼のコンサート、楽しかった? 疲れて寝てたらごめん! 明日のデートは映画でもどうかな、藍は何か観たいのがある?」
メールの本文を読み上げたあとで、甲斐だって、と蒼は言い添えた。
あたしは黙ったまま携帯を取り返し、電源を切った。
「ねえ、甲斐って彼氏?」
「蒼には関係ないでしょ」
「関係ないけど、興味はあるよ。甲斐ってやつとセックスしてるの?」
「答える必要ないと思う」
即座に言い返すと、蒼はぷぷっと吹き出した。
「それって、肯定してるのと同じ」
「勝手に決めないでよ」
「付き合ってどのくらい?」
「だから、そんなこと蒼には関係な――」
いきなり、両の手首を掴まれ押し倒される。
その影だけで、あたしの身体なんて覆いつくされてしまいそうに広い肩。
蒼は、あたしの上に乗って、そのきれいな目をちょっと眇めた。
「そいつのことが好きなの」
「……」
咄嗟には何て答えたらいいかわからなくて、言葉に詰まった。
甲斐くんとあたしは、一応、付き合ってることになってる。
1年のときの同級生で、2年でも同じクラスになって、早々に告られた。
彼のことはあんまりよく知らなかったけど、絶対にご免だって言うほど嫌いでもなくて、押しの強い甲斐くんのペースに乗せられるようにして付き合い始めた。
高校から入学したあたしたち「外部生」とは違い、初等部から明慶に通う「内部生」である甲斐くんは、純粋培養のお坊ちゃまだ。
おまけに見た目も爽やか系のイケメンで、友達にも羨ましがられる、自慢の彼氏。
甲斐くんみたいな素敵な彼氏がいるのに、どうしてアイドル(蒼のことだ)なんかに熱を上げてるのかってよく言われるけど、それは一口じゃ言い表せない。
付き合い始めて3ヶ月くらい、えっちするようになったのは最近のこと。
付き合ってる=えっちするのが当たり前、みたいな感じで成り行きでそうなった。
甲斐くんといると楽しいし、彼もあたしを大事にしてくれる。
彼と付き合うことに不満なんてひとつもない。
でも……。
本当に好きで付き合ってるのかって聞かれたら。
もしかしたら、少し違うかも知れない。
高校生にもなって、アイドルに夢中で彼氏もいない、なんてちょっとカッコつかなくて、どうせ誰かと付き合うなら、甲斐くんみたいな人はおいしいかもって思ったことも事実だ。
その上、告白は甲斐くんの方からだったし、あたしにとっては渡りに船って感じだった。
「答えろよ、甲斐ってやつのことが好きなの」
「……わかんない」
「わかんないって、何」
「甲斐くんは優しいし、いい人だと思う。でも、彼のこと好きかって聞かれたら、なんて答えていいのかわかんない。はっきり彼に恋してるって言える自信なんてないもの」
そんなあたしの言葉に、蒼は片頬を歪めて薄く笑った。
「俺のことは、好きだって言ったのに」
それから、おでこに軽くキス。
「俺に会いたくて泣けちゃうくらい好きなんだろ」
「うん……」
あたしは、彼の首に腕を回して、自分から彼に口づけた。
「好きだよ、蒼……大好き」
重ねた身体の間に生まれる熱。
かりそめでもいい……今夜だけは、目一杯あなたを感じさせて。
「これっきりにするなんて言うなよな。俺、もっと藍のこと知りたい」
朝になったら、携帯の番号教えて、あたしを揺らしながら蒼は言った。
でもね、それを本気にしちゃいけないことくらい、あたしだってわかってるの。
だから、あたし……ちゃんと消えるから。
朝が来る前に、消えるから。
シャツを脱いだ、蒼の裸の上半身。
その隆とした肩が、あたしに覆いかぶさる。
「……藍」
「愛情の愛?」
「ううん……藍色の藍」
それを聞いて、蒼が少し笑う。
「俺と同じ、青の名前だ」
ああ、……そうだよね。
蒼も、藍も、「あお」って読むよね。
「どうして、あんなところで泣いてたの」
「……蒼に、会いたかった」
「泣いちゃうくらい好きなんだ、俺のこと」
頬に触れる蒼の指。
それがすごく優しくて胸がきゅんとする。
「うん、…好き……」
蒼の指は、頬から唇、顎を辿って、喉から鎖骨までをゆっくりとなぞる。
そして、ふくらみを包み込む大きな手のひら。
「やだ、蒼……」
「どうして? 俺が好きなんだろ」
「だ、だって――」
続く言葉はキスで塞がれる。
熱くて、柔らかい、蒼の唇。
ああ、だめ……涙が出てきた。
あたしにとっての蒼は、雲の上よりも遠いところにいる人だった。
好きで、好きで、大好きで、好きって想いだけで胸が潰れそうになっても、どうにか耐えていられたのは、どんなに願っても手の届かない人だってわかってたから。
決して埋まるはずのないその距離が、かえって救いだった。
絶対に自分のものにならない人だからこそ、どんなに好きになっても無駄だって、自分の心にセーブをかけることができていたから。
それが、こんな風に……。
手で触れることのできる距離、吐息のかかる距離にあなたがいる。
口づけて、抱きしめて、零れた涙を拭ってくれる。
こんなの、だめだよ、絶対にだめ。
あたし、もっともっとあなたを好きになっちゃう。
どうせ住む世界の違う人なんだからって、諦めることができなくなっちゃう。
「あ、はぁ…、ん」
大好きな人の手で、恥ずかしいところを広げられる。
溢れた蜜を指先ですくい、敏感な芽に塗りつけるようにして捏ねる。
「藍……すごい濡れてるよ」
自分がそうなっていることはわかってた。
こういうとき、頭と身体は別物なんだって思う。
蒼とこんなことしてる自分が信じられなくて、でも身体はちゃんと反応してる。
アイドルである蒼と、普通の女子高生であるあたしの間にある壁は、もっとすごく高いもののはずで、こんなに簡単に越えられるものじゃないはずで、頭ではそう考えていても、あたしのオンナの部分は、蒼のオトコの器官をすごく欲しがってる。
「挿れるよ、藍……」
セカンドスキンを着けた蒼のアレが、あたしの中に入ってくる。
ああ、なんて重量感。
蒼、……多分、すごく大きい。
「んふ、ぅん……」
満たされていく。
あたしの内部が、蒼のモノで。
「満足そうな声出しちゃって」
言われてはっとしたあたしが、思わず手の甲を口に当てて中指を噛むと、蒼はくすっと小さく笑った。
「君、すごいな……かなり具合が良いんだけど。俺が先にイっちゃったら立つ瀬がないね」
「ああ、ん……そ、……」
実際、えっちにも相性があるとしたら、蒼とあたしはかなり良いんじゃないかと思った。
蒼と繋がってる部分が、熱くて蕩けそうだった。
薄目を開けて蒼を見ると、彼は少し辛そうに眉を顰めて、あたしを見下ろしていた。
「蒼……」
手を伸ばして、彼に触れる。
ああ、どうしよう……あたしは今、本物の蒼とセックスしてる。
何だか、神聖な彼を穢してしまった気がして無性に悲しくなった。
「ごめんね、蒼……」
蒼は、それが彼の癖みたいに、また少し首を傾げた。
「何を謝ってるの」
「わかんない……わかんないけど、ごめん」
「ふふ、面白い子」
蒼は、笑いながら激しくあたしを突いて、あたしは彼の下で揺らされ続けた。
やがて訪れた白い光の波に飲み込まれ、全身を痙攣させて高みに到達するまで。
「今夜、こうして俺と出会えて良かったと思う、藍?」
背中からあたしを抱きしめて、髪に顔を埋めながら蒼は聞いた。
あたしは、ゆっくりと首を振った。
だって、これ夢なんだもの。
朝になったら、きれいさっぱり消えてしまう、儚い夢なんだもの。
* * * * *
まどろむ耳に、聴きなれたメロディー。
蒼の歌だ。
でも、どこから聴こえてくるんだろう。
それが、自分の携帯電話が奏でる着メロだって気づくまで、少し時間がかかった。
携帯、…どこだっけ。
起き上がろうとして、不意に腕を掴まれる。
「どこ行くの」
「携帯、鳴ってた……多分、メール」
目が合った蒼は、少し不満そうな顔をして、渋々のように手を離した。
あたしは、ベッドの側に放られていたシャツを羽織って、自分のバッグを探す。
蒼のしてくれたテーピングのおかげか、足はだいぶ楽になった気がする。
あ、あった。
それは、部屋を入ってすぐのところにあるダイニング・テーブルに置かれていた。
「……」
携帯を取り出して、ベッドに戻る。
メールの差出人が誰なのか、画面を見なくても想像がついた。
「誰から?」
半身を起こしていた蒼の胸に、背中を預けるようにして座ると、うしろから回した長い腕に包まれた。
本当の恋人同士みたいなあまい仕草に、思わず胸がぎゅっとなる。
あたしの手から携帯を取り上げた蒼は、断りもなくそれを操作してメールを開いた。
「蒼のコンサート、楽しかった? 疲れて寝てたらごめん! 明日のデートは映画でもどうかな、藍は何か観たいのがある?」
メールの本文を読み上げたあとで、甲斐だって、と蒼は言い添えた。
あたしは黙ったまま携帯を取り返し、電源を切った。
「ねえ、甲斐って彼氏?」
「蒼には関係ないでしょ」
「関係ないけど、興味はあるよ。甲斐ってやつとセックスしてるの?」
「答える必要ないと思う」
即座に言い返すと、蒼はぷぷっと吹き出した。
「それって、肯定してるのと同じ」
「勝手に決めないでよ」
「付き合ってどのくらい?」
「だから、そんなこと蒼には関係な――」
いきなり、両の手首を掴まれ押し倒される。
その影だけで、あたしの身体なんて覆いつくされてしまいそうに広い肩。
蒼は、あたしの上に乗って、そのきれいな目をちょっと眇めた。
「そいつのことが好きなの」
「……」
咄嗟には何て答えたらいいかわからなくて、言葉に詰まった。
甲斐くんとあたしは、一応、付き合ってることになってる。
1年のときの同級生で、2年でも同じクラスになって、早々に告られた。
彼のことはあんまりよく知らなかったけど、絶対にご免だって言うほど嫌いでもなくて、押しの強い甲斐くんのペースに乗せられるようにして付き合い始めた。
高校から入学したあたしたち「外部生」とは違い、初等部から明慶に通う「内部生」である甲斐くんは、純粋培養のお坊ちゃまだ。
おまけに見た目も爽やか系のイケメンで、友達にも羨ましがられる、自慢の彼氏。
甲斐くんみたいな素敵な彼氏がいるのに、どうしてアイドル(蒼のことだ)なんかに熱を上げてるのかってよく言われるけど、それは一口じゃ言い表せない。
付き合い始めて3ヶ月くらい、えっちするようになったのは最近のこと。
付き合ってる=えっちするのが当たり前、みたいな感じで成り行きでそうなった。
甲斐くんといると楽しいし、彼もあたしを大事にしてくれる。
彼と付き合うことに不満なんてひとつもない。
でも……。
本当に好きで付き合ってるのかって聞かれたら。
もしかしたら、少し違うかも知れない。
高校生にもなって、アイドルに夢中で彼氏もいない、なんてちょっとカッコつかなくて、どうせ誰かと付き合うなら、甲斐くんみたいな人はおいしいかもって思ったことも事実だ。
その上、告白は甲斐くんの方からだったし、あたしにとっては渡りに船って感じだった。
「答えろよ、甲斐ってやつのことが好きなの」
「……わかんない」
「わかんないって、何」
「甲斐くんは優しいし、いい人だと思う。でも、彼のこと好きかって聞かれたら、なんて答えていいのかわかんない。はっきり彼に恋してるって言える自信なんてないもの」
そんなあたしの言葉に、蒼は片頬を歪めて薄く笑った。
「俺のことは、好きだって言ったのに」
それから、おでこに軽くキス。
「俺に会いたくて泣けちゃうくらい好きなんだろ」
「うん……」
あたしは、彼の首に腕を回して、自分から彼に口づけた。
「好きだよ、蒼……大好き」
重ねた身体の間に生まれる熱。
かりそめでもいい……今夜だけは、目一杯あなたを感じさせて。
「これっきりにするなんて言うなよな。俺、もっと藍のこと知りたい」
朝になったら、携帯の番号教えて、あたしを揺らしながら蒼は言った。
でもね、それを本気にしちゃいけないことくらい、あたしだってわかってるの。
だから、あたし……ちゃんと消えるから。
朝が来る前に、消えるから。
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