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恋する笑顔に恋をした(6)
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蒼の舌が、耳元で湿った音を立てる。
耳朶を甘く噛まれ、思わず首をすくめると、彼は小さく笑いながらさらにそれを続ける。
「や、…蒼、だめ……」
「ふふ、藍って本当に耳が弱いんだ」
流れ込む舌に、背中までぞくぞくする。
嫌と言うと絶対に止めてくれないのは、彼の悪い癖だ。
耳のうしろにちゅっちゅっと口づけながら、彼の手が胸へと下りてくる。
「あ、ゃん……」
大きな手のひらでふくらみを包み、人差し指と中指の間に突起を挟んでゆっくり揉む。
「服を着ているとわからないのにねえ、……華奢なわりに胸は大きい、えっちな身体」
きゅっとソコをつまみ上げられて、あたしは自分の指を噛んで声を耐えた。
「でも、俺以外の男には見せちゃだめだよ?」
言ってから、こんなの独占欲丸出しでちょっとかっこ悪いか、なんて笑う。
全然そんなことない。
むしろ、彼に束縛して欲しいと思ってるのはあたしの方だ。
「あっ……」
軽く唇を当てられただけで、あたしはぶるっと震えて彼にしがみついた。
彼はあたしの反応を面白がるように、先端の蕾を舌で包み、歯を立てて甘く噛む。
「ん、……や、」
胸を弄っていた手が、わき腹を滑り、腰の辺りにたどり着く。
腿の間に忍び込んだ指先は、花びらをなぞり、敏感な核を探り当てた。
「やっ、あ……んんっ」
溢れた蜜を塗りこめるように、ソコばかりを攻めてくる。
甘い痺れが背中を走り、急速に追い詰められていく。
「だめっ、もうだめ、お願い、そ……」
唇を塞いだ激しいキスに、声も、喘ぎも、奪われてしまいそう。
求められるまま舌を絡め、溶け合う吐息。
「あ、は――っ」
びくびくと震えながら、あたしは軽い絶頂に達していた。
「藍、可愛い……」
息を乱しながらも彼を見上げると、切なげに眉を顰めた蒼と目が合う。
「その声、その顔、……全部、俺のもの」
「蒼……」
「狂う、マジで」
蒼は、苦笑しながら身体を起こす。
けれども、今しがたの官能の余韻に浸る間もなく、彼はあたしの足を持ち上げた。
「きゃっ、…そ、蒼?」
彼がしようとしていることは想像がつく。
案の定、大きく開かれた足の間に、蒼は身体を入れてきた。
「や……っ、」
彼が、あたしのアソコを見てる。
恥ずかしい場所に、痛いくらいの視線を感じる。
「やだっ、見ないで、見ちゃだめっ」
イッたばかりのソコを見られるのなんて屈辱的で、なのに膨らんだ芽の部分が痛いくらいに甘く疼く。
「い、や……あぁん!」
頂点を掠めた舌先に、自分でも思いがけない嬌声が口をついて出た。
薄くて形のいい蒼の唇、その隙間から覗くピンク色の舌、それがあんまり生々しくて、背中が粟立つ。
「ふぁ、んっ、……んんっ、」
淫猥に動く舌が、充血してさらに敏感になった肉芽をしつこいくらいに責め嬲る。
頭の中に霞がかかったみたい、気が遠くなりそう。
時おり洩れる吐息、湿った舌が立てる音、彼の作り出す空気は官能的すぎた。
「そ、…だめ、もう死んじゃ……う、」
「……俺が欲しい?」
あたしは、彼を見つめたままこくこくと頷く。
苦しい、切ない、……早く癒してくれなければ、本当に壊れてしまう。
「来て……」
差し出した手に指が絡まる。
穿つように押し入ってくる硬質の熱、その重量感に満たされる。
蒼……。
日本中のオンナノコが憧れる人。
その存在自体が、煌めく星のように輝いて、「スター」と呼ばれるに相応しい人。
誰だって惹きつけられずにはいられないほど、強いカリスマを持った人。
彼と身体を繋げる度、澱のように心に蟠った罪悪感。
彼とは所詮、住む世界が違うのだから、と卑屈になっていた自分。
でも、今ならわかる……恋に垣根なんてないんだと。
だって、好きになってしまったら、その気持ちは止めようがないから。
「何、考えてる……?」
あたしを見下ろしながら蒼が聞く。
あたしは、手を伸ばして彼の頬に触れた。
「蒼、……大好き」
蒼は、きれいな眉を下げて困ったように笑う。
「またそうやって、火に油を注ぐようなことを……」
「え、…火?」
その意味を尋ねる間もないうちに、蒼は激しく腰を揺らし、あたしは再び官能の波に飲み込まれた。
あたしたちの、長くて甘い夜は……まだまだ終わりそうもない。
* * * * *
蒼は、あたしの中の感じる箇所に、彼自身を押しつけるようにして動く。
怒張した彼のモノを受け入れるだけでもいっぱいいっぱいなのに、熱く潤んだソコを擦られるたびに、あたしの身体は自分でも恥ずかしいくらいに大きく跳ねた。
仰け反る喉に降りてくる口づけ、それが肌の上にいくつも赤い跡を残す。
「ね、藍……」
「ん、…ぅん?」
すでに焦点の甘くなった瞳で彼を見上げると、彼は意味ありげな笑顔を見せた。
「ココをこうされるの、好きだろ?」
……そんなこと、聞かないで欲しい。
あたしが今どんな状態か、身体を繋げている彼にだってよくわかっているはずなのに。
「君はココが感じるんだってこと、教えたのは誰?」
「そ、う……」
それを聞いて、彼はいかにも満足そうににっこりと笑った。
「藍の身体って、本当に未開発」
「……?」
「でも、それで良い……これから、君にいろんなことを教えてあげるのは俺だからね」
そう言って、彼はさらにあたしを翻弄する。
「んふ、んっ、…んんっ」
擦れ合う部分が熱くて蕩けそう。
あたしはもう、自分の指を噛んで声を耐えるしか術がない。
今、この指を離したら、どんな声が出てしまうか想像もつかなくて怖かった。
なのに、蒼はあたしの両手首をつかみ、それを頭の上で押さえつけた。
「だめだよ、ちゃんと声、聞かせて」
「や、ぁ……」
あたしはできるだけ首を捻って、彼の視線から顔を背けようとする。
こんな風に、えっちでものすごく感じている自分――淫らな声を上げて、彼に穿たれるたびにびくびくと痙攣する自分――を見られるのは、やっぱり恥ずかしかった。
でも、蒼はそれすら許してくれない。
「ほら、こっち向いて……可愛い顔、藍の感じてる顔、見せて」
顎をくいと支えられ、彼の方を向かされる。
目が合うと、彼はなぜか眉根を寄せて嘆息した。
「ああ、もう、……ちょっと待った!」
いきなり、彼が離れていく。
内部を満たしていたものが一気に引き抜かれ、喪失感があたしを襲う。
彼が欲しい、とそのとき切に思った。
彼の持つあの素晴らしい器官だけが、この心許なさを埋めることができる……。
「蒼?」
突然どうしたんだろう、あたしは不安になる。
あたしのこと、嫌いになった? あたしが、あまりにも淫らに彼を求めたから?
蒼は、横たわるあたしの死角になるところでごそごそと何かしていたけど、やがて戻ってきたとき、彼のものには薄いスキンが被せられていた。
「マジ、やばかった、自制が利かなくなりそうなんて、初めてのとき以来かも」
藍がぎゅうぎゅう締めつけるから、と艶っぽい声が耳元で囁く。
「ひぁっ、」
あたしは、思わず息を引く。
嫌われたのじゃないみたいで良かった、とホッとする間もなく、彼が押し入ってきたから。
「どうしたの、苦しい?」
「う、…ううん、違うの、ただ……」
「ただ?」
そこで蒼は、言葉の続きを待つように首を傾げた。
ホント、彼のこの表情に、あたしは弱い。
だから、普段なら恥ずかしくて口にできないようなことも言ってしまう。
「蒼のって、大きいよね……」
「大きいって、コレのこと?」
言いながら、蒼がぐるんと腰を回す。
「一体、誰と比べて言ってるんだろうねえ? 一瞬でも、甲斐とか俺以外の男を思い浮かべたのなら嫉妬しちゃうよ?」
「そ、そういうわけじゃないけど……あたしの中が蒼でいっぱいだなあと思って……」
「だったら、それはこっちの台詞。藍のココ、やたらと締りが良い」
「それって、その……蒼も、…き、気持ちが、イイってこと?」
蒼は、答えの代わりに、あたしの額にちゅっとキスを落とした。
それから、大きな手のひらであたしの頭をそっと撫でて溜息を吐く。
「真面目な顔して、そういうこと聞かないの」
「だって、あたしばっかり気持ちよくなるの、やなんだもん……」
思わずそう言ってしまうと、彼は少し意地悪な感じでにやりと笑った。
「へえ……てことは、藍は気持ちがイイんだね?」
「え? あ、それは、……」
率直に認めてしまうのはやっぱり抵抗がある、でも、蒼はあたしの唇に人差し指を当てて、その続きを遮った。
「イイならイイとちゃんと言って、もっとたくさん啼いて、淫らな顔を見せてよ。俺が君をそうさせているんだって、君は俺のものだってこと、実感させて」
「蒼……」
「言わないと、意地でも言わせたくなる。啼かないと、啼くまで苛めてみたくなる。君が恥じらえば恥じらうほど、もっと辱めてみたいと思う」
彼はあたしの腿を抱え上げて、さらに奥深くまでを抉るように腰を揺らした。
「んっ、は、…ぁんっ」
「求めても、求めても、まだその先が欲しくなる」
もうこれ以上は無理だと思えるくらいのところまでを、蒼に侵される。
硬い行き止まりを激しく突かれて、あたしは堪えきれず大きな声を上げた。
「ああっ、だめ、蒼!」
「いいよ、もっと感じて、我慢しないで」
囁く蒼の声も少し掠れてる。
官能に浮かされたようなその声に、耳まで濡れてしまいそう。
「あ……っ、あっ、……も、イ……」
ぞわり、と足元から這い上がってくる痺れ。
身体が、確かな頂点を目指そうとさらに走り始める。
「藍、すごく可愛い……本当にこのまま朝が来なければいいのにと思うよ、寝る間も惜しんででも君を抱いていたい」
こんなときに、そんなこと言うなんて反則だ。
見上げた彼の瞳が甘く滲んだ瞬間、快感が背筋を突き抜けた。
「やだ、や、……あ、あぁあ!」
「く、ぅ……っ」
自分の身体が弓のように反るのと、吐息めいた声が耳元に落ちたのは、たぶん同時。
呼吸が整うのも待たず、何度も何度も、激しく唇を重ね合わせた。
「もう、本気でヤバイって、仕事中でも、藍のことばっかり思い出しそう」
苦笑いしながら、そんなことを言う彼に胸がいっぱいになる。
しっとりと汗ばんだ背中を抱きしめる。
好き、好き、大好き、……あなたの全部が好きで、愛しい。
「蒼……」
「うん?」
「あたし、……あなたを、愛してる……」
俺も、と彼が言ったのかどうか、自信はない。
でも……あたしを抱きしめ返してくれた腕は、今までで1番強くて、そして温かかった。
耳朶を甘く噛まれ、思わず首をすくめると、彼は小さく笑いながらさらにそれを続ける。
「や、…蒼、だめ……」
「ふふ、藍って本当に耳が弱いんだ」
流れ込む舌に、背中までぞくぞくする。
嫌と言うと絶対に止めてくれないのは、彼の悪い癖だ。
耳のうしろにちゅっちゅっと口づけながら、彼の手が胸へと下りてくる。
「あ、ゃん……」
大きな手のひらでふくらみを包み、人差し指と中指の間に突起を挟んでゆっくり揉む。
「服を着ているとわからないのにねえ、……華奢なわりに胸は大きい、えっちな身体」
きゅっとソコをつまみ上げられて、あたしは自分の指を噛んで声を耐えた。
「でも、俺以外の男には見せちゃだめだよ?」
言ってから、こんなの独占欲丸出しでちょっとかっこ悪いか、なんて笑う。
全然そんなことない。
むしろ、彼に束縛して欲しいと思ってるのはあたしの方だ。
「あっ……」
軽く唇を当てられただけで、あたしはぶるっと震えて彼にしがみついた。
彼はあたしの反応を面白がるように、先端の蕾を舌で包み、歯を立てて甘く噛む。
「ん、……や、」
胸を弄っていた手が、わき腹を滑り、腰の辺りにたどり着く。
腿の間に忍び込んだ指先は、花びらをなぞり、敏感な核を探り当てた。
「やっ、あ……んんっ」
溢れた蜜を塗りこめるように、ソコばかりを攻めてくる。
甘い痺れが背中を走り、急速に追い詰められていく。
「だめっ、もうだめ、お願い、そ……」
唇を塞いだ激しいキスに、声も、喘ぎも、奪われてしまいそう。
求められるまま舌を絡め、溶け合う吐息。
「あ、は――っ」
びくびくと震えながら、あたしは軽い絶頂に達していた。
「藍、可愛い……」
息を乱しながらも彼を見上げると、切なげに眉を顰めた蒼と目が合う。
「その声、その顔、……全部、俺のもの」
「蒼……」
「狂う、マジで」
蒼は、苦笑しながら身体を起こす。
けれども、今しがたの官能の余韻に浸る間もなく、彼はあたしの足を持ち上げた。
「きゃっ、…そ、蒼?」
彼がしようとしていることは想像がつく。
案の定、大きく開かれた足の間に、蒼は身体を入れてきた。
「や……っ、」
彼が、あたしのアソコを見てる。
恥ずかしい場所に、痛いくらいの視線を感じる。
「やだっ、見ないで、見ちゃだめっ」
イッたばかりのソコを見られるのなんて屈辱的で、なのに膨らんだ芽の部分が痛いくらいに甘く疼く。
「い、や……あぁん!」
頂点を掠めた舌先に、自分でも思いがけない嬌声が口をついて出た。
薄くて形のいい蒼の唇、その隙間から覗くピンク色の舌、それがあんまり生々しくて、背中が粟立つ。
「ふぁ、んっ、……んんっ、」
淫猥に動く舌が、充血してさらに敏感になった肉芽をしつこいくらいに責め嬲る。
頭の中に霞がかかったみたい、気が遠くなりそう。
時おり洩れる吐息、湿った舌が立てる音、彼の作り出す空気は官能的すぎた。
「そ、…だめ、もう死んじゃ……う、」
「……俺が欲しい?」
あたしは、彼を見つめたままこくこくと頷く。
苦しい、切ない、……早く癒してくれなければ、本当に壊れてしまう。
「来て……」
差し出した手に指が絡まる。
穿つように押し入ってくる硬質の熱、その重量感に満たされる。
蒼……。
日本中のオンナノコが憧れる人。
その存在自体が、煌めく星のように輝いて、「スター」と呼ばれるに相応しい人。
誰だって惹きつけられずにはいられないほど、強いカリスマを持った人。
彼と身体を繋げる度、澱のように心に蟠った罪悪感。
彼とは所詮、住む世界が違うのだから、と卑屈になっていた自分。
でも、今ならわかる……恋に垣根なんてないんだと。
だって、好きになってしまったら、その気持ちは止めようがないから。
「何、考えてる……?」
あたしを見下ろしながら蒼が聞く。
あたしは、手を伸ばして彼の頬に触れた。
「蒼、……大好き」
蒼は、きれいな眉を下げて困ったように笑う。
「またそうやって、火に油を注ぐようなことを……」
「え、…火?」
その意味を尋ねる間もないうちに、蒼は激しく腰を揺らし、あたしは再び官能の波に飲み込まれた。
あたしたちの、長くて甘い夜は……まだまだ終わりそうもない。
* * * * *
蒼は、あたしの中の感じる箇所に、彼自身を押しつけるようにして動く。
怒張した彼のモノを受け入れるだけでもいっぱいいっぱいなのに、熱く潤んだソコを擦られるたびに、あたしの身体は自分でも恥ずかしいくらいに大きく跳ねた。
仰け反る喉に降りてくる口づけ、それが肌の上にいくつも赤い跡を残す。
「ね、藍……」
「ん、…ぅん?」
すでに焦点の甘くなった瞳で彼を見上げると、彼は意味ありげな笑顔を見せた。
「ココをこうされるの、好きだろ?」
……そんなこと、聞かないで欲しい。
あたしが今どんな状態か、身体を繋げている彼にだってよくわかっているはずなのに。
「君はココが感じるんだってこと、教えたのは誰?」
「そ、う……」
それを聞いて、彼はいかにも満足そうににっこりと笑った。
「藍の身体って、本当に未開発」
「……?」
「でも、それで良い……これから、君にいろんなことを教えてあげるのは俺だからね」
そう言って、彼はさらにあたしを翻弄する。
「んふ、んっ、…んんっ」
擦れ合う部分が熱くて蕩けそう。
あたしはもう、自分の指を噛んで声を耐えるしか術がない。
今、この指を離したら、どんな声が出てしまうか想像もつかなくて怖かった。
なのに、蒼はあたしの両手首をつかみ、それを頭の上で押さえつけた。
「だめだよ、ちゃんと声、聞かせて」
「や、ぁ……」
あたしはできるだけ首を捻って、彼の視線から顔を背けようとする。
こんな風に、えっちでものすごく感じている自分――淫らな声を上げて、彼に穿たれるたびにびくびくと痙攣する自分――を見られるのは、やっぱり恥ずかしかった。
でも、蒼はそれすら許してくれない。
「ほら、こっち向いて……可愛い顔、藍の感じてる顔、見せて」
顎をくいと支えられ、彼の方を向かされる。
目が合うと、彼はなぜか眉根を寄せて嘆息した。
「ああ、もう、……ちょっと待った!」
いきなり、彼が離れていく。
内部を満たしていたものが一気に引き抜かれ、喪失感があたしを襲う。
彼が欲しい、とそのとき切に思った。
彼の持つあの素晴らしい器官だけが、この心許なさを埋めることができる……。
「蒼?」
突然どうしたんだろう、あたしは不安になる。
あたしのこと、嫌いになった? あたしが、あまりにも淫らに彼を求めたから?
蒼は、横たわるあたしの死角になるところでごそごそと何かしていたけど、やがて戻ってきたとき、彼のものには薄いスキンが被せられていた。
「マジ、やばかった、自制が利かなくなりそうなんて、初めてのとき以来かも」
藍がぎゅうぎゅう締めつけるから、と艶っぽい声が耳元で囁く。
「ひぁっ、」
あたしは、思わず息を引く。
嫌われたのじゃないみたいで良かった、とホッとする間もなく、彼が押し入ってきたから。
「どうしたの、苦しい?」
「う、…ううん、違うの、ただ……」
「ただ?」
そこで蒼は、言葉の続きを待つように首を傾げた。
ホント、彼のこの表情に、あたしは弱い。
だから、普段なら恥ずかしくて口にできないようなことも言ってしまう。
「蒼のって、大きいよね……」
「大きいって、コレのこと?」
言いながら、蒼がぐるんと腰を回す。
「一体、誰と比べて言ってるんだろうねえ? 一瞬でも、甲斐とか俺以外の男を思い浮かべたのなら嫉妬しちゃうよ?」
「そ、そういうわけじゃないけど……あたしの中が蒼でいっぱいだなあと思って……」
「だったら、それはこっちの台詞。藍のココ、やたらと締りが良い」
「それって、その……蒼も、…き、気持ちが、イイってこと?」
蒼は、答えの代わりに、あたしの額にちゅっとキスを落とした。
それから、大きな手のひらであたしの頭をそっと撫でて溜息を吐く。
「真面目な顔して、そういうこと聞かないの」
「だって、あたしばっかり気持ちよくなるの、やなんだもん……」
思わずそう言ってしまうと、彼は少し意地悪な感じでにやりと笑った。
「へえ……てことは、藍は気持ちがイイんだね?」
「え? あ、それは、……」
率直に認めてしまうのはやっぱり抵抗がある、でも、蒼はあたしの唇に人差し指を当てて、その続きを遮った。
「イイならイイとちゃんと言って、もっとたくさん啼いて、淫らな顔を見せてよ。俺が君をそうさせているんだって、君は俺のものだってこと、実感させて」
「蒼……」
「言わないと、意地でも言わせたくなる。啼かないと、啼くまで苛めてみたくなる。君が恥じらえば恥じらうほど、もっと辱めてみたいと思う」
彼はあたしの腿を抱え上げて、さらに奥深くまでを抉るように腰を揺らした。
「んっ、は、…ぁんっ」
「求めても、求めても、まだその先が欲しくなる」
もうこれ以上は無理だと思えるくらいのところまでを、蒼に侵される。
硬い行き止まりを激しく突かれて、あたしは堪えきれず大きな声を上げた。
「ああっ、だめ、蒼!」
「いいよ、もっと感じて、我慢しないで」
囁く蒼の声も少し掠れてる。
官能に浮かされたようなその声に、耳まで濡れてしまいそう。
「あ……っ、あっ、……も、イ……」
ぞわり、と足元から這い上がってくる痺れ。
身体が、確かな頂点を目指そうとさらに走り始める。
「藍、すごく可愛い……本当にこのまま朝が来なければいいのにと思うよ、寝る間も惜しんででも君を抱いていたい」
こんなときに、そんなこと言うなんて反則だ。
見上げた彼の瞳が甘く滲んだ瞬間、快感が背筋を突き抜けた。
「やだ、や、……あ、あぁあ!」
「く、ぅ……っ」
自分の身体が弓のように反るのと、吐息めいた声が耳元に落ちたのは、たぶん同時。
呼吸が整うのも待たず、何度も何度も、激しく唇を重ね合わせた。
「もう、本気でヤバイって、仕事中でも、藍のことばっかり思い出しそう」
苦笑いしながら、そんなことを言う彼に胸がいっぱいになる。
しっとりと汗ばんだ背中を抱きしめる。
好き、好き、大好き、……あなたの全部が好きで、愛しい。
「蒼……」
「うん?」
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