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精一杯のありがとう(3)
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「藍ちゃん、パパが美味しいお菓子買ってきたから、一緒に食べようって――」
言いながらドアを開けた妹の茜は、ノブを握ったそのままの姿勢であ然とした。
姉の部屋に、アイドルの蒼がいたのだから驚いて当たり前だ。
蒼は、ベッドに横たわり、あたしの背中を抱いて。
あたしは、そんな蒼の上に伸しかかるようにして。
しかも、2人の唇は、今にも触れ合おうとする距離にあった。
あたしたちは、それぞれが動くことも声を発することもできずに、数秒間、その場に固まっていた。
最初に、我にかえったのは茜だった。
彼女は見る見るうちに真っ赤になり、慌てた様子でドアを閉めた。
一瞬遅れて、あたしと蒼もはっとして身体を離す。
「あー、……なんか、ちょっとヤバイ展開?」
蒼が、気まずそうに鼻の横を掻きながら言う。
ヤバイどころの話じゃない、あたしの頭はもうパニック寸前だ。
茜が、今見たことを両親に告げでもしたら大変なことになる。
「蒼、隠れて!」
「隠れるって言っても、どこに」
戸惑いながら、だけど、どこかこの展開を面白がる口調で蒼が尋ねる。
ただでさえ広くはないあたしの部屋、長身の彼が身を隠せそうな場所なんてない。
「どこでもいいから、とにかく早く!」
あたしは、とりあえず目に付いた洋服タンスの扉の中に蒼を押し込んだ。
部屋を調べられたらすぐに見つかってしまうだろうけど、そうなる前に家族を言いくるめる上手い言い訳がないかと必死で考えをめぐらせる。
そうしているうちに、そろそろと遠慮がちにドアが開き、再び茜が顔を覗かせた。
「あのぉ、…藍ちゃん?」
茜は、いかにも恐る恐るといった感じでぐるりと室内を見回し、それから、ホッとしたようながっかりしたような複雑な溜息をつく。
「い、今、ここに、その……蒼くんがいたような気がしたんだけど……」
「蒼? まさか、蒼がこんなところにいるわけないじゃない、何ばかなこと言ってんの」
「え、でも、今確かにそのベッドの上で……」
さすがに、まだ小学6年生の彼女には、自分の姉が男とキスしようとしていた、などと口にするのは恥ずかしいのだろう、茜はそこで言い難そうに口ごもった。
「ファンのあたしならともかく、あんたまで蒼のまぼろし見てどうすんの。本物の蒼なら、あたしが会いたいよ」
「う、うん……そうだよね、考えてみれば、本物の蒼くんなわけないよね」
藍ちゃんの部屋は蒼くんのポスターが多すぎて紛らわしいよ、と茜は頬を膨らます。
嘘ついて悪いなとは思ったけど、この場合は非常事態だから仕方がない。
「それで、何の用だったの?」
「あ、そうそう。あのね、パパが会社の帰りにお菓子買ってきたんだって。あんまり甘くない和菓子だから、藍ちゃんも一緒に食べようって、呼んで来いって言われた」
「パパが? へえ、珍しいね」
「だって……藍ちゃん、ここんとこずっと沈みがちで機嫌悪かったでしょ、パパもすごく心配してたんだよ」
それを聞いて、家族に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
恋をすると、周りが見えなくなるって本当だ。
あの記事でショックを受けたあたしは、どうしてあたしだけがこんな目に遭わなきゃいけないのって思って、辛いのは自分だけだなんて思い込んで、そんなあたしを心配してくれる家族のことなんて、慮ってもみなかった。
「そっか、でも……今日は遠慮しとく。たくさん宿題あって、かなり頑張んないと終わりそうもないから」
案の定、それを聞いた茜はものすごく残念そうな顔をした。
「パパとママには、ありがとうって言っといて」
「うん……」
「それから、いろいろ心配かけてごめんねって……もう大丈夫だからって伝えて」
茜は、まだ何か言いたいことがありそうな様子だったけど、結局、わかったとだけ言って階下へと戻っていった。
あたしは急いでドアを閉め、洋服タンスの前に引き返す。
「ごめんね、蒼。とりあえず、もう出てきても……」
言いながら扉を開けると、狭いところに閉じ込められて怒っているかとも思った彼は、なぜかくすくすと楽しそうに笑っていた。
「……どうしたの?」
「いや、なんか……驚いたときの反応とかがそっくりだなと思って、さすがは姉妹」
「えー、そうかなあ」
蒼はタンスから出て伸びをし、それから、あたしの顔をしげしげと眺めた。
「彼女も、ゆくゆくは君みたいな天然ちゃんに成長するのかねえ……?」
「それはないよ、茜はあたしよりもずっとしっかりしてるもの」
「それは、お姉ちゃんが頼りないからじゃないの?」
あたしは、ちょっと膨れる。
蒼は笑って、あたしの腰を抱き寄せる。
「ま、俺としては、藍のそういうところも可愛く思えるのだけどね」
軽く重なる唇。
ああ、もうココロが蕩けそう。
蒼とのキスはやっぱり甘い。
「もう、誰も来ないだろうね?」
「うん、たぶん……宿題するって言ったから」
それじゃ、と蒼はあたしを抱き上げて、ベッドの上にそっと横たえた。
「何日も、声も聞けないままおあずけ食らったあとだからね、今夜は俺の気が済むまで君を堪能しよう」
「え? 堪能って、ちょ、…ちょっと待って、そ……」
言葉の続きは、さっきよりもずっと深い口づけで塞がれてしまう。
そして……その夜、あたしは再び蒼のものになった。
* * * * *
結局、蒼はその夜をあたしの部屋で過ごし、翌朝、空がまだ白み始める前、来たときと同じようにベランダから帰っていった。
人目につくとさすがに厄介だからね、と苦笑いする彼に、こんな無茶することなかったのに、とあたしが言うと、彼は整った眉を下げて困ったような顔をした。
「無茶しなきゃいられないほど、この俺を夢中にしてるのはどこの誰だって?」
まったくオトボケなんだから、と蒼はあたしの鼻の頭を軽くつねった。
「それでも、その子のことが好きで堪らなくて、人目を忍んでまでのこのこ会いにきちゃうんだから、我ながら救い難いよ」
「蒼……」
「いつでも手元に置いておきたいなんて、そんなことを思ったのは君が初めてだ」
見上げたあたしと彼の視線が絡む。
彼はあたしの腰を抱き寄せて、つむじの辺りにちゅっと口づけた。
「俺、君を泣かせるようなことは絶対にしないから……もう、一方的に連絡絶ったりするのはやめて」
「うん、……あたし、蒼を信じるよ、どんなことがあっても」
あたしの言葉に、蒼はとても嬉しそうににっこりと笑顔になる。
あたしは、ごく平凡な女子高生で、他人を惹きつける魅力なんて持ちはしないけど、たとえ100人の男の人に告白されるより、彼ひとりに想われていることの方が誇らしい。
蒼といると、自分がとても特別な存在に思える。
蒼はもう、あたしにとって、なくてはならない人だ。
蒼がいなくなってしまったあと、あたしはひとりでベッドに寝転がる。
天井には、見慣れた彼のポスター。
でも、ついさっきまで、目を上げるとそこには本物の蒼がいた。
ポスターみたいに爽やかな笑顔じゃない、前髪を乱し、額に汗を浮かべ、少し辛そうに眉を顰めた表情で、あたしの身体に熱い楔を打ち込んでいた蒼。
自分の部屋で、蒼とえっちした。
それはもう、生々しいくらいの現実だった。
もう……思い出すだけで、顔が赤くなる。
堪能する、と言った彼の言葉通り、彼は今夜、とても貪欲だった。
あたしのとなりに横たわって片肘をつき、もう一方の手であたしの足の間を愛撫する。
ソコはもうすごく潤んでいて、蒼の手が動くとくちゅくちゅいやらしい音を立てた。
そうしながら、彼はあたしの顔をじっと見る。
あたしの表情の変化を、ひとつとして見逃すまいとするように、それは熱心な様子で。
彼の指が敏感な部分を擦るたびに、びくっと背中が反る。
少しずつ追いつめられていく経過を観察されるなんて恥ずかしくて、でも、彼に見られていると思うと気持ちが昂った。
懇願するように彼を見上げたあたしを、蒼は目を細めて見返した。
「可愛いよ、藍」
すごくそそられる、艶めいた声が耳元で囁き、耳朶を甘く噛まれる。
「ん、やぁ……」
「ふふ、相変わらず感じやすい」
くすくすと笑いながら、彼はもっとそれを続ける。
あたしは耳がすごく弱いこと、わかっててするのだから意地悪だ。
「もっともっと、えっちな顔を見せて」
蜜を溢れさせた泉を探る彼の指の動きが、さらに大胆になる。
恥ずかしさでいっぱいになりながらも、彼の瞳から目が離せない。
声にならない声を堪え、眉根を寄せて、あたしは彼を見つめ返す。
「このまま、……俺の目を見たまま、イって」
「あ、あ……そ、……」
「藍……すっげ、好きだよ」
この状態でその台詞は反則だって思った。
身体の中でぐるぐる渦を巻いていたものが、一気に噴き出してしまいそうな感じだった。
「ああっ、蒼、だめ、……もうだめ!」
その瞬間、あたしは彼の胸にしがみついて、ぶるぶると震えた。
言いながらドアを開けた妹の茜は、ノブを握ったそのままの姿勢であ然とした。
姉の部屋に、アイドルの蒼がいたのだから驚いて当たり前だ。
蒼は、ベッドに横たわり、あたしの背中を抱いて。
あたしは、そんな蒼の上に伸しかかるようにして。
しかも、2人の唇は、今にも触れ合おうとする距離にあった。
あたしたちは、それぞれが動くことも声を発することもできずに、数秒間、その場に固まっていた。
最初に、我にかえったのは茜だった。
彼女は見る見るうちに真っ赤になり、慌てた様子でドアを閉めた。
一瞬遅れて、あたしと蒼もはっとして身体を離す。
「あー、……なんか、ちょっとヤバイ展開?」
蒼が、気まずそうに鼻の横を掻きながら言う。
ヤバイどころの話じゃない、あたしの頭はもうパニック寸前だ。
茜が、今見たことを両親に告げでもしたら大変なことになる。
「蒼、隠れて!」
「隠れるって言っても、どこに」
戸惑いながら、だけど、どこかこの展開を面白がる口調で蒼が尋ねる。
ただでさえ広くはないあたしの部屋、長身の彼が身を隠せそうな場所なんてない。
「どこでもいいから、とにかく早く!」
あたしは、とりあえず目に付いた洋服タンスの扉の中に蒼を押し込んだ。
部屋を調べられたらすぐに見つかってしまうだろうけど、そうなる前に家族を言いくるめる上手い言い訳がないかと必死で考えをめぐらせる。
そうしているうちに、そろそろと遠慮がちにドアが開き、再び茜が顔を覗かせた。
「あのぉ、…藍ちゃん?」
茜は、いかにも恐る恐るといった感じでぐるりと室内を見回し、それから、ホッとしたようながっかりしたような複雑な溜息をつく。
「い、今、ここに、その……蒼くんがいたような気がしたんだけど……」
「蒼? まさか、蒼がこんなところにいるわけないじゃない、何ばかなこと言ってんの」
「え、でも、今確かにそのベッドの上で……」
さすがに、まだ小学6年生の彼女には、自分の姉が男とキスしようとしていた、などと口にするのは恥ずかしいのだろう、茜はそこで言い難そうに口ごもった。
「ファンのあたしならともかく、あんたまで蒼のまぼろし見てどうすんの。本物の蒼なら、あたしが会いたいよ」
「う、うん……そうだよね、考えてみれば、本物の蒼くんなわけないよね」
藍ちゃんの部屋は蒼くんのポスターが多すぎて紛らわしいよ、と茜は頬を膨らます。
嘘ついて悪いなとは思ったけど、この場合は非常事態だから仕方がない。
「それで、何の用だったの?」
「あ、そうそう。あのね、パパが会社の帰りにお菓子買ってきたんだって。あんまり甘くない和菓子だから、藍ちゃんも一緒に食べようって、呼んで来いって言われた」
「パパが? へえ、珍しいね」
「だって……藍ちゃん、ここんとこずっと沈みがちで機嫌悪かったでしょ、パパもすごく心配してたんだよ」
それを聞いて、家族に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
恋をすると、周りが見えなくなるって本当だ。
あの記事でショックを受けたあたしは、どうしてあたしだけがこんな目に遭わなきゃいけないのって思って、辛いのは自分だけだなんて思い込んで、そんなあたしを心配してくれる家族のことなんて、慮ってもみなかった。
「そっか、でも……今日は遠慮しとく。たくさん宿題あって、かなり頑張んないと終わりそうもないから」
案の定、それを聞いた茜はものすごく残念そうな顔をした。
「パパとママには、ありがとうって言っといて」
「うん……」
「それから、いろいろ心配かけてごめんねって……もう大丈夫だからって伝えて」
茜は、まだ何か言いたいことがありそうな様子だったけど、結局、わかったとだけ言って階下へと戻っていった。
あたしは急いでドアを閉め、洋服タンスの前に引き返す。
「ごめんね、蒼。とりあえず、もう出てきても……」
言いながら扉を開けると、狭いところに閉じ込められて怒っているかとも思った彼は、なぜかくすくすと楽しそうに笑っていた。
「……どうしたの?」
「いや、なんか……驚いたときの反応とかがそっくりだなと思って、さすがは姉妹」
「えー、そうかなあ」
蒼はタンスから出て伸びをし、それから、あたしの顔をしげしげと眺めた。
「彼女も、ゆくゆくは君みたいな天然ちゃんに成長するのかねえ……?」
「それはないよ、茜はあたしよりもずっとしっかりしてるもの」
「それは、お姉ちゃんが頼りないからじゃないの?」
あたしは、ちょっと膨れる。
蒼は笑って、あたしの腰を抱き寄せる。
「ま、俺としては、藍のそういうところも可愛く思えるのだけどね」
軽く重なる唇。
ああ、もうココロが蕩けそう。
蒼とのキスはやっぱり甘い。
「もう、誰も来ないだろうね?」
「うん、たぶん……宿題するって言ったから」
それじゃ、と蒼はあたしを抱き上げて、ベッドの上にそっと横たえた。
「何日も、声も聞けないままおあずけ食らったあとだからね、今夜は俺の気が済むまで君を堪能しよう」
「え? 堪能って、ちょ、…ちょっと待って、そ……」
言葉の続きは、さっきよりもずっと深い口づけで塞がれてしまう。
そして……その夜、あたしは再び蒼のものになった。
* * * * *
結局、蒼はその夜をあたしの部屋で過ごし、翌朝、空がまだ白み始める前、来たときと同じようにベランダから帰っていった。
人目につくとさすがに厄介だからね、と苦笑いする彼に、こんな無茶することなかったのに、とあたしが言うと、彼は整った眉を下げて困ったような顔をした。
「無茶しなきゃいられないほど、この俺を夢中にしてるのはどこの誰だって?」
まったくオトボケなんだから、と蒼はあたしの鼻の頭を軽くつねった。
「それでも、その子のことが好きで堪らなくて、人目を忍んでまでのこのこ会いにきちゃうんだから、我ながら救い難いよ」
「蒼……」
「いつでも手元に置いておきたいなんて、そんなことを思ったのは君が初めてだ」
見上げたあたしと彼の視線が絡む。
彼はあたしの腰を抱き寄せて、つむじの辺りにちゅっと口づけた。
「俺、君を泣かせるようなことは絶対にしないから……もう、一方的に連絡絶ったりするのはやめて」
「うん、……あたし、蒼を信じるよ、どんなことがあっても」
あたしの言葉に、蒼はとても嬉しそうににっこりと笑顔になる。
あたしは、ごく平凡な女子高生で、他人を惹きつける魅力なんて持ちはしないけど、たとえ100人の男の人に告白されるより、彼ひとりに想われていることの方が誇らしい。
蒼といると、自分がとても特別な存在に思える。
蒼はもう、あたしにとって、なくてはならない人だ。
蒼がいなくなってしまったあと、あたしはひとりでベッドに寝転がる。
天井には、見慣れた彼のポスター。
でも、ついさっきまで、目を上げるとそこには本物の蒼がいた。
ポスターみたいに爽やかな笑顔じゃない、前髪を乱し、額に汗を浮かべ、少し辛そうに眉を顰めた表情で、あたしの身体に熱い楔を打ち込んでいた蒼。
自分の部屋で、蒼とえっちした。
それはもう、生々しいくらいの現実だった。
もう……思い出すだけで、顔が赤くなる。
堪能する、と言った彼の言葉通り、彼は今夜、とても貪欲だった。
あたしのとなりに横たわって片肘をつき、もう一方の手であたしの足の間を愛撫する。
ソコはもうすごく潤んでいて、蒼の手が動くとくちゅくちゅいやらしい音を立てた。
そうしながら、彼はあたしの顔をじっと見る。
あたしの表情の変化を、ひとつとして見逃すまいとするように、それは熱心な様子で。
彼の指が敏感な部分を擦るたびに、びくっと背中が反る。
少しずつ追いつめられていく経過を観察されるなんて恥ずかしくて、でも、彼に見られていると思うと気持ちが昂った。
懇願するように彼を見上げたあたしを、蒼は目を細めて見返した。
「可愛いよ、藍」
すごくそそられる、艶めいた声が耳元で囁き、耳朶を甘く噛まれる。
「ん、やぁ……」
「ふふ、相変わらず感じやすい」
くすくすと笑いながら、彼はもっとそれを続ける。
あたしは耳がすごく弱いこと、わかっててするのだから意地悪だ。
「もっともっと、えっちな顔を見せて」
蜜を溢れさせた泉を探る彼の指の動きが、さらに大胆になる。
恥ずかしさでいっぱいになりながらも、彼の瞳から目が離せない。
声にならない声を堪え、眉根を寄せて、あたしは彼を見つめ返す。
「このまま、……俺の目を見たまま、イって」
「あ、あ……そ、……」
「藍……すっげ、好きだよ」
この状態でその台詞は反則だって思った。
身体の中でぐるぐる渦を巻いていたものが、一気に噴き出してしまいそうな感じだった。
「ああっ、蒼、だめ、……もうだめ!」
その瞬間、あたしは彼の胸にしがみついて、ぶるぶると震えた。
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