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第5章 少年期〜青年期 学園4学年編
32話 “大会最終日4・準決勝の試合・イネオスの場合“
「あ、もう始まる、・・・うん、イネオスは油断してないね。さて、スッドの選手はどこまで本気で来るかな?」
ソル「そうですね。前の試合の時は全然本気を出していないように見えましたから、流石に今日は全力で挑んでくるのではないでしょうか」
鬼族王子「あぁ、そうだな。向こうは妖精族のフェアリー種だろ?向こうがこれまでのイネオスの試合を見ていたのなら、魔法が上手くて、力も強く、素早さもあるイネオスとは相性が悪いと分かっているだろうから、初手から全力の攻撃を仕掛けてくるだろうな」
ダークエルフ王子「だな、自分の得意とするものが見事に被った上に、イネオスは力もあるからな、初見殺しの技で勝負を仕掛けてくるだろう」
エルフ王女「長引くと向こうが不利ですものね・・・しかし、ヴィカウタ子息はその初見殺しを見切ることはできるでしょうか?」
へティ「大丈夫ですわ、王女殿下。人が繰り出す突発的な技より、魔物の奇襲などの方が何倍も巧妙な時がありますから、それを全て掻い潜ってきたイネオスには通用しませんわ」
「この試合は一瞬で決まりそうだよね・・・」
と、舞台に上がって、対戦相手と睨み合っているイネオスを見ながら、今から始まる試合の展開の話で盛り上がる僕達、今はこんな感じで団欒しているが、ついさっき合流したばかりのエルフ王女達は、自国の空気を読まない外交官や護衛達のせいで今日まで色々とストレスを抱えたいた、僕に会って話がしたいと言って、それぞれ王族の身でありながら単身側近や護衛もつけずこのボックス席にやって来て、僕との話終わってからも、その外交官達への意趣返しのため、今日の“大会“が終わるまでうちのボックス席で過ごすと言うことを、外で待機させられている外交官達に手紙で知らせて、やっとのびのびできるようになったのだ。
(うんうん、同年代との交流は大事だよねぇ、ストレスの元がないのもさらに良い!( ^∀^)それに、今から起こる騒動からも守ることができる!一応、彼女達のボックス席周辺も警備兵はいるらしいけど、ここ以上に安全な場所はないからな!( ・∇・)・・・てか、この3人を自然な感じで保護できたから良いけど、下の観客席の人達の保護は大丈夫そう?父様が言っていた結界は舞台に出現する魔物達の攻撃に耐えれる強度かな?(・・?))
夜月『どうだろうな?送られてくる魔物の強さによるが、“ダンジョン“の最下層にいるエリアボスクラスだと少し怪しいな』
(あー、それは・・・やばいね・・・あ、でも、そっち方面の“中継機“は率先して壊してもらってるから大丈夫じゃないかな?それ以外の方面から来る魔物はそれほど強くないだろうから、ここを警備している騎士や警備兵達でも相当可能だよね?・・・あと、気になる事と言えば、襲撃のタイミングだよねぇ(*´Д`*)やっぱ、決勝戦の前か、終わった後?ぐらいか?)
天華『うーん、準決勝が終わった後も考えられますよ?今は“ショウスデット“の選手が1人勝ち残っていますから、大人しいだけって事かもしれませんし、その彼がベイサン君に負けたらすぐに、襲撃する可能性もあります』
予定外の来客の件も一旦落ち着き、知り合いの保護もできて、一安心したところに、ちょっと気になった事を二つ思い出したのはいいが、どちらも起こって見ない事には判断に困ると言う事にしか結論が出なかった。
(確かに、それはありそう・・・それまでの間に本体が見つかれば良いんだけど・・・もしくは“中継機“の全てが破壊されるか・・・いや、無理か、希望的観測は油断につながる、予定通り警戒は怠らないようにしよう、それと結界の件もすぐに対応できるようにしておこう!)
ジュール達『『『『『了解!!』』です!!』』
と、気を引き締め直してはいたが、この時、今からこの“闘技場全体“に起きるであろう“襲撃“にばかりに目がいって、“自分に対して起こる問題“のことはすっかり忘れていた僕、その事に気づく事なく、舞台上で対戦相手と向き合うイネオスの方を見た時・・・
審判「試合開始!」
ちょうど、試合開始の合図がされた。すると・・・
・・・・・・ガッシャンッ!!「「「!?」」」ヒュッ!「「「消えた!?」」」 ガリィンッ!!
イネオス「はぁぁっ!!」ドンッ!!ブゥンッ!! ヒューッ! ドガッン!!!
先に仕掛けたのは“スッド“の選手、不意に手に持っていた丸型のスモールシールドを投げ捨てるように手放したかと思ったら、観客の誰もが彼が一瞬で視界から消えたと錯覚するほどの速さで、イネオスに真正面から切り込んでいった。彼は剣を魔力で強化し自分の手足を“身体強化スキル“で強化して、さらに“身体強化の魔法“をかけて、自分の最大速度と力で仕掛けていったようだが、それでも同じように剣や体を強化したイネオスの懐に入ることができずに、その渾身の一撃を受け止められてしまっていた。
そして、そこからのイネオスの反撃は早かった、受け止めた攻撃が数秒だけ拮抗したと思ったら、気合とともに足を一歩だし、受け止めていた相手の剣を、相手ごと力任せに押し返し、切り払った。
“スッド“の選手は力を込めて舞台を踏みしめていたはずの足が宙に浮き、切り払われた力で後ろに勢いよく弾き飛ばされてしまい、背中から“闘技場“の壁にぶつかり、気絶した。
(やっぱり、勝負は一瞬だったね・・・)
審判「・・・場外!勝者、イネオス!!!」
「「「「「おぉぉっ!!!」」」」」ドッ! 「「「す、スッゲーーッ!!!!」」」 「「キャァ~ッ!素敵ーっ!!」」 ワァ~~~ッ!!
一瞬、何が起こったか分かっていなかった観客も、審判の勝者コールが響き渡ったと同時に大喝采をあげ出した。
「なぁ、今のあれ、凄くねぇーか!?」 「あぁ!スゲェーよな!?剣同士がぶつかった時、すげぇ音が鳴って、少し押し合っててのにあそこから、相手を弾き飛ばすなんて、ありえねぇよ!!」
「どんだけ力あんだよっ!!って感じだよな!!」 「あの気迫すごかったわ!!」 「あんな強い男の子に守られたいわぁ~♪」 「カッコ良かったわよねぇ♪」
鬼族王子「マジで、一瞬だったな・・・まぁ、向こうの敗因は軽すぎたんだろうなぁ」
ソル「そうですね。他に敗因を上げるとしたら、向こうはイネオスの“身体強化スキル“のレベルと、魔力量も侮っていた事でしょうね」
へティ「確かに、イネオスをただの人族として侮らず、自分の体に重力魔法で、体重を増やす魔法でも掛けていれば少しは違ったかもしれませんね」
(だよねぇ、妖精族のフェアリー種は先天的に重力魔法が使えるから、そこを最大限有効活用していればあんな風に軽く切り払われなくて、試合を続行できただろうに・・・(*´ー`*))
鬼族王子が言うように妖精族のフェアリー種達は基本的に力が弱く、鍛えたとしてもそう簡単に筋肉がつきにくい体質なのだ、それはフェアリー種の特徴である背中に生えている透き通るような美しい翅で飛ぶために、自身の体を極限まで軽くしているからだ、それだけではなく、先天的に重力魔法で自分の体を軽くする魔法も無意識に発動することで、飛ぶ速度を早くしている。
今回イネオスと戦っていた彼はその重力魔法を意識し、自分の体を軽くして最大速度をだして、イネオスに速攻を仕掛けて剣同士がぶつかる時にはその重力魔法を意図的に切ることで、自分の体重を乗せ剣撃に重さを加えていたのだが、それでも彼の体重は軽すぎた。そして、イネオスの本来の腕力に“身体強化スキル“のレベルと“身体強化“を掛けるための魔力量の方が、相手の力と体重を軽々超えてしまった事で、あの様な結果になった、と、それぞれが分析したのだった・・・
エルフ王女「・・・でも、壁に叩きつけるほど力を込めなくとも・・・」
と、試合と言ってもやり過ぎでは?と言うエルフ王女の言葉に・・・
「「「あー、・・・」」」
「う、うん、あれはやり過ぎと言われても仕方ないかもだけど、イネオスはわざとしたんじゃないと思うよ?いつもと同じように力を入れただけだと思う・・・」
エルフ王女「えっ!?いつもと同じって、冒険者活動しているときにそんな強い魔物を毎回相手にしているんですか!?グラウンドダッシュボアの突進並みの威力ですよ!?」
心当たりがありまくる僕とソルとへティは、どう説明したものかと言い淀んでいると、エルフ王女は僕達の冒険者活動がかなり厳しいものかと勘違いしてしまった。彼女の言葉に他の2人も信じそうな表情をし出したので僕は、
「あ、いや、それは、その時にある依頼で相手にする魔物は変わるけど、そうじゃなくてね・・・その・・・イネオスは僕と模擬戦する時の力加減のまま弾き飛ばしちゃったんだよ・・・」
「「「はぁ??」」」
思いっきって、正直にそう話すと王族3人は意表を突かれたような、少々間の抜けた表情でこちらを見た。
ダークエルフ王子「・・・えっ、ちょっと待って、今フィエルテ王女が言っていたのは、イネオスはそのグラウンドダッシュボアと同等の力を持つものとよく相手にしていたって言う事でもあるんですよね?・・・デューキス様がお強いのは知ってましたが、とてもデューキス様体格からして、そのような力があるとは想像がつかないのですが・・・」
「あ、えっとー、僕は見かけによらずかなり怪力で、そんな風に見えないのは全て遺伝なんですよ・・・」
ダークエルフ王子が控えめだがそんな風に見えないと言った言葉を漏らしたので、理由をちゃんと話したのだが・・・
ダークエルフ王子「は?え?遺伝!?デューキス様の先祖にエルフがいるかもしれないのは分かっていましたが、他にも別の種族の血が混じっているのですか??」
エルフ王女「えっ、でも、その遺伝が出たとしても、そのような力を発揮するような種族ってなんですか??デューキス様の体格からはとても想像ができないんですが!?」
「あははは・・・僕って複数の種族の特性が一気に現れてる珍しい例でして・・・」
正直に理由を話したのに、エルフ種の2人の王族はさらに混乱してしまった。再度ちゃんと説明しようとしていると、
鬼族王子「・・・お前達、何でそんなに驚いているんだ?以前にデューキス殿の覚醒遺伝の話になった時に話を聞いたじゃないか、デューキス殿の母方の祖父殿が“ジャイアン族“、祖母殿が“小人族“の血を引いているって、だから、その血を受け継いでいるデューキス殿は外見が普通の人族に見えて、力が普通の人族より強い力を持っててもおかしくはないと思うぞ?俺はむしろ、曽祖父母の4代も前からの血でもそんなに種族の特性が色濃く出ていた事の方に驚いていたぞ?」
エルフ王女&ダークエルフ王子「「えっ??・・・あっ!」」
(あー、以前そう言う話したねぇ、てか、その話していた時もこの2人も居たはずなのに、すっかり忘れてたな?あ、そう言えば、あの時、精霊が見えるって点に関心が行きすぎてたからなぁ、あの2人・・・(*´Д`*))
鬼族王子の言葉でその話をした事をやっと思い出した2人は、恥ずかしそうにそれぞれ視線をあさっての方向に逸らした。
(2人の国では純粋なエルフ種ばかりしか居ないし、人族との混血だけでも厳しい国だから、他の種族の複数の混血のパターンが無さすぎて、頭に入ってきてなかったんかな?)
この後、少しぎこちない空気になったけど、2人はすぐにイネオスの力加減の失敗の理由に気づき納得していた。(まぁ、それでも、僕の本気の力をちゃんと理解できていなさそうだったけどね・・・)そうしている内にイネオスは舞台から降りていて、次の試合の選手達が表に出てきていた。
「あ、次の試合のベイサンが出てきてるよ!」
「「「「「わぁぁぁーーっ!!」」」」」 「次の坊主達も頑張れよぉーーっ!!」 「いい試合しろぉーーっ!!」 「坊や~!こっち無いてぇ~~♪」
“大会“の空気は先の試合で盛り上がり始めて、誰もが次の試合に期待を寄せる中、ベイサンと“ショウスデット“の選手は、すでに肌がピリつく程の気迫をぶつけ合っていた。
「・・・これは、長引きそう・・・」
と、少しの嫌な予感と共に次の試合が始まる・・・・
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