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第6章 少年期〜青年期 学園6学年編
1話 お年頃
はい、どうも、僕です。
前回、帝国で開催された“国際武闘大会“での騒動から約2年の時が経ち、僕は学園の最終学年の第6学年に進級した。年齢も15歳となり、年相応の体格になった僕は現在、大変困っています・・・
「うわぁ、なんかまた増えてる・・・」
何故そう言ったのかというと、6学年に入って最初の宿泊野外実習から帰ってきて、外の汚れを落とすためにお風呂に入り、自室でゆっくりソルが入れてくれたお茶を飲んでいた時、父様から執務室に来るようにと言われて、室内に入った瞬間、目に入ったのは姿絵や写真などが貼ってある釣書、いわゆるお見合いの申込書達の山だった。
そんな、お見合いの申込書の山に埋もれている父様は、執務室に入ってきた僕達に気づくと、すぐに“「お帰りなさい」”と笑顔で迎え入れてくれたのだが、どう見ても疲れてげっそりしている。
「父様、かなりお疲れのようですが、大丈夫ですか?」
父様「あぁ、大丈夫だよ。ただちょっと、毎日、あちらこちらから釣書が次から次に届くものだから、その確認作業で、いつもの書類業務が滞ってるだけでね・・・」ははっ・・・
僕が顔色の悪い父様を心配すると、そう言って乾いた笑いを漏らす父様。
(どう見てもかなりのオーバーワーク、過労死しそうな勢いなんだけど・・・)
「そう、ですか、無理はなさらないでくださいね?それで、お呼び出しのご用件とは?」
父様「・・・はぁ、要件は見ての通りこれの事なんだが・・・」
父様の体調を心配しつつ、呼び出しの要件を聞くと、父様は目の前にある釣書の山を両腕を広げながらそう言った。
「釣書の山?・・・もしかして、これ、全部僕に来た釣書ですか!?」
父様「そうなんだよ。ここにあるのは全てアトリーに来たものなんだけど、これとは別にライやヘリー達にも来てるのが、また別に同じぐらいの量があるんだ、ライやヘリーの分はもう成人している本人達に全て渡せば済むけど、アトリーの分はまだ私達が親が返事を返さなきゃいけない、前回のように国内の貴族家だけならば、手紙に一言、二言、返事を書いて出せば済むんだが、今回は他国の王侯貴族達から多く届いているからね、一応、アトリーにも目を通してもらってそれなりの文言で返事を返さないといけない、だから、疲れているところ申し訳ないけど、一通り目を通して、気になる方がいるか教えてくれないか?」
(あー・・・これは適当に返事を返すと面倒な事になる類の釣書の山って事かぁ・・・まじ面倒じゃん・・・(*´ー`*))
と、ここ最近の僕の悩みの種の一つに眉を寄せた。最近、と言うか、僕が誕生日を迎えて15歳になってから、このようなお見合い申込書が次々届くようになったのだが、それにはこの国の風習の一つが関係している。
それは、この国の貴族はいつも言っているように恋愛結婚がメジャーで、多くの人達が学園に入学し、卒業までの間に人生のパートナーを見つけるのが大半だ、むしろ、10歳以下での婚約は法律で禁止されており、余程の事がない限り、政略結婚も互いの意思が伴わない場合は婚約すらも成立しない。
だがそれも、学園卒業し、成人するまでの間に相手が見つからなかった場合、貴族家の間で、婚約相手が見つからない人達は“余物、行き遅れ“と言った蔑みの対象になることが多く、そんな不名誉を避けるために、同じように相手が見つからない貴族家の所に親が釣書をばら撒くのが定番化している。
でもそれは、普通に本人に何かしらの原因があった場合の最終手段で、僕やライ兄様、ヘリー姉様達のように高位の貴族でモテはするものの、気になる人がいないから選んでない、自分で言うのもアレだけど、勝ち組みたいな人達の場合は、15歳になるとこれまで身分差があると言うことで、前もって釣書を出していいかと言う、お伺いさえ出すことさえできなかった下位貴族の人達からの釣書も、“「もしかしたら気が合うかもしれない」“、と言う理由で受け取る事になっているのだ。
それが長年の歴史の中で少し変わった風習となって、15歳までに相手が見つけられなかった人には王族であろうと、身分問わず釣書を送ってもいいと言う風潮になった結果が現在の釣書の山ができた原因である。
それに伴い、僕が15歳になった途端、学園内や街中でも女性からの猛アピールが増えている事が、もう一つの僕の悩みの種だったりもする・・・
(要は、もしかしたら自分の子にもワンチャンあるかもって、思って釣書を送ってくる親が続出した結果がこれってことね・・・(*´Д`*))
僕の場合は他国からの釣書もかなりの数に及び、適当な対処ができないもののせいで父様は疲労困憊していると言う事です(この釣書の山は2回目、1回目は国内の貴族達からだった)・・・・
「・・・しかし、たった2日の野外実習の間にこんなに届いていたとは・・・分かりました。一通り目を通しますね・・・」
と、言って執務室に備え付けられているソファーを借りて、送られてきた釣書に目を通す事にした。
父様「助かるよ。あ、ソル、君にも来てるから一緒にそこで見るといい」
ソル「え?僕にもですか?」
(おう、ソルにもたくさん来てたか、まぁ、当然だよね。ソルはメキメキと実力をつけて、容姿もかなりの男前だから、女性陣が放っておくわけないね、僕もソルもそれなりのお年頃だもんなぁ( ^∀^))うんうんっ
ソル的には予想外だったのか父様から言われたことに、珍しくポカンっとした表情をしたソルを見ながら内心凄く納得していると、父様の横に居たカイルさんが、ポカンとしているソルを強制的に僕の前の席に座らせて、僕達に届いた釣書の山を僕達の前にあるローテーブルにそれぞれ置いて、確認作業を促してきた。
(はぁ、かなりの量だなぁ、前回、僕の誕生日が終わってすぐの頃から、結構時間が空いたのはほとんどが国外からきた物だからか、時間差でこんなに届くとは思いもしなかったよ・・・ふぅ・・・(*´Д`*))
かなり面倒に思いながらも一枚ずつ写真や姿絵付きの釣書を見ることに・・・
(うわぁ、この子、前に帝国であった事がある子だな、あの時から目をつけられてたか・・・あ、これもだ・・・てか、あの時の帝国でのパーティーで顔を知られちゃったから、こんなに釣書が届いたのかと思うと、今後はパーティーとか夜会とかのお誘いは全部お断りするか?・・・いや、もうすでに遅いか(*´ー`*)・・・しかし、帝国での思い出は“ダンジョン“での楽しい探索と“大会“の試合観戦以外はいい思い出ないなぁ、“大会“も途中、襲撃もあったし・・・( ̄▽ ̄))
天華『そうですか?帝都からの帰り道とかも、イネオスくん達と一緒に観光したりして楽しんでたじゃないですか』
(ん、それは楽しかったっ!行きはちょっとアレだったけど、母様達とのお買い物とかは楽しかったな、うーん、そう思うと、全体的には悪くはない旅行だった・・・それに、“彼“に出会えたのもあの襲撃のおかげだと思うと、あの時の襲撃もある意味いい思い出って事になるかな?)
そう言いつつ、後ろに視線をやると、2年前に僕の専属護衛騎士になった、青緑色の髪に濃い黄色の瞳を持った獅子獣人の大柄な男性が、少しムスッとした表情で壁際に立っていた。彼の名は“レオバルト“、2年前の帝国で開催された“国際武闘大会“で、僕に危害を加えようとした襲撃犯の獣人達のリーダーをしていた、“ショウスデット獣王国“の高位貴族子息だ。
そんな彼は、例の事件後、実家の貴族家から絶縁を言い渡され(あ、そう言えば、実家の家名は聞いていない)、母国からは追放処分となされ、襲撃の罪の処罰を被害にあった帝国と僕の家、デューキス公爵家が決める事になった、そこで父様があの時の彼と僕のやりとりを見て、今の彼なら僕に危害を加えないだろうと確信して、彼をうちの家で引き取り、僕の護衛騎士として教育し、数ヶ月後に正式に僕の専属護衛騎士として、いつでも僕についてくるようになった。
一応、犯罪奴隷として引き取ったので、父様と主従契約が交わされているので、僕の家族を傷つけることはできないし、逃走などもできないようになっている。
(まぁ、でも、日頃の彼を見る限り、不機嫌そうにしていることはあるが、見てないようでちゃんと僕を見て先回りしながら護衛して、真面目に僕の専属護衛騎士として仕事をしているのから、現状に不満はなさそうではあるな・・・たまにジュール達をジーッと見つめている事があるけど、以前みたいに盲信している感じはないしなぁ・・・僕の顔をジッと見た後、顔を逸らすのはなんなのかは分からないけどね・・・)
と、思いながら見ていると、見られているのに気がついた彼が片眉を上げて、“何見てんだ?“と言いたげな表情で僕を見てきて、ふんっと鼻を軽く鳴らしたあと、またいつもの護衛体制に入った。
「ふふっ・・・」(あの気まぐれでツンデレな感じのワイルドイケメンが懐かない猫みたいで可愛い♪)
ソル「アトリー様、よそ見していないで、早く確認をなさってください」
不機嫌そうな表情をした彼を見て、笑っていると、よそ見をしていたことをソルに指摘されて、僕はハイハイと言いながら再び、手元の釣書に目を通し始めた・・・
・・・数時間後・・・
バサッ「はぁ、いくら、見ても見ても、終わらない・・・どれだけあるんだコレ・・・」
釣書を見始めてかなりの時間が経過した頃、いくら読んでも量が減らない、むしろドンドン増えていっている釣書の山に、とうとう僕が飽きてきて、手に持っていた釣書を投げると、
ソル「アトリー様、さっと目を通すだけでもいいので、放棄しないでください、じゃないと今日中に終わりませんよ?」
すでに自分の釣書を確認し終えたソルが、僕の横で、僕の釣書を読みやすいように開きながらそう言ってきた。
「え~、もう飽きたよ、全然減らないし、と言うか、あとどれくらい残ってるんです?終わりの目処が立たないと更にやる気が出ないんですけど・・・」
全くもってやる気が出ない感じで、釣書の残量を聞くと、
カイル「残りはあちらの箱一つですね」
と、カイルさんが指を差した方向にあったのは、成人男性が頑張って抱えれるぐらいの、資材運搬用木箱が一つ、執務室の隅にポツンと置かれていた。
「えっ!?まだアレいっぱいに入ってるんですか!?あの中のものは全部、僕に来た釣書!?」
そう驚き聞くと、カイルさんも父様も無言で頷くだけ、どう見ても今見てきた数の倍は入りそうな箱に僕は、
「・・・父様、届いた釣書の差出人は全て控えていらっしゃるんですよね?」
父様「ん?あぁ、ちゃんと表にして、返事を書くときの為に保管しているが・・・?それがどうしたんだい?」
「良い事を思いつきました。“ファイヤーボール(小)×3“」
父様に1番大事な事を確認し終えた僕は、火魔法で小さな青い火の玉を3個作り出しにやっと笑った。
父様「な、何する気だい?」
「これをこうするんです。あ、手が滑った~」ひょ~いっ
「「「「えっ!?」」」」
ぽとっ ボッ!! ジュワッ!!パチパチッパチパチッ!ジュ~ッ!シュワッ!!
「「「「・・・なっ!??」」」」
僕がわざと自分の目の前と父様の机の上と部屋の隅にあった木箱、この3箇所の釣書の上に青い小さな火の玉を落とすと、あっという間に床を燃やすことなく(結界で周囲を囲んで燃え移りを防止した)、灰も残さず燃え尽きてしまった釣書達、最初は何が起こったのか理解できていなかった父様達は、消えてなくなった釣書達があった場所を見つめていたが、理解が追いついたと同時に慌てて驚き出した。
「あ~、うっかりで全ての釣書が燃えて無くなっちゃいましたね。・・・と言うのは冗談で、釣書を送って着た方達への返事は全て統一で、“「僕が結婚する気が全くなく、届いた釣書を全て焼き払ってしまった。なので、今後同じように燃やしてしまうのでもう送ってこないでください」“って書いて送っておいてください。今後もまだ届く釣書も名前だけ控えて全て処分してくださって良いので、・・・僕が率先して燃やしたって言えば、誰も文句は言ってこないでしょうから、これから父様達のする仕事が一つ減って良いと思いますよ?」
と、僕が両手を広げながら悪びれも無く言うと、
父様「っ・・・・はぁ・・・・確かにそうすれば仕事が減って楽にはなるが・・・・」
ソル「はぁ~、たまにやる事が大胆になるんですよね・・・」
カイル&レオバルト「「・・・・」」
父様とソルは頭を抱えて何やらため息混じりにそう言っていて、カイルさんとレオバルトはハイライトが消えた目で遠くを見ている。
「なら良いですよね?父様達は今後、気を使わなくて済むし、僕は面倒な確認をする事がなくなった、両方にとって良い解決策となった、と言うことで♪」
(はぁー、スッキリした!( ^∀^))
そんな、反応の皆んなは置いてきぼりに、僕は面倒な作業から解放された喜びを感じているのだった。
夜月『困り事を物理的に解決したな、日に日に体は大きくなっているのに、行動はいつも通りか・・・』
天華『よほど面倒だったんでしょうね、最近の付きまといの件でストレスもあったみたいですし・・・』
ジュール『まぁ、そうしても誰も怒らないのなら良いんじゃない?』
春雷『アトリー様が、したいようにするんですから文句は出ないでしょう』
雪花『釣書の大半がダメ元って感じでしたからね。いちいち文章を考えて返事を返すのは無駄な作業としか言えませんし、これが正解なんですよ。きっと・・・』
夜月達に何か言われているがそんな事、気にしちゃいない、気にしてはいけない、そう言い聞かせて、僕はその後、自室に戻りソルと優雅にお茶を飲んだのだった。
・・・・とある、大きな屋敷の一室・・・・
?「準備が完了いたしました。いつでも、実行できます」
?「分かった、では実行は“学園祭“で行う・・・」
?「畏まりました・・・」
また、新たな波乱の幕開け!??
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