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第3章 少年期 学園編
41話 実技授業 武術の実技指導
しおりを挟むどうも!僕です!兄弟の僕自慢が始まった、昼食会場から見事逃げて来た 僕です!
今は学園の使われていない部屋を借りて学園指定の運動着に着替えに来ています、でも何故かオーリー達専属組も一緒に来ています。
「何で4人ともいるの?」
オーリー「旦那様方からお着替え中の周辺警戒をする様に、と ご指示がありましたので僭越ながら コチラのお部屋の周辺警戒をさせて頂きます」
「そう、分かったよ、じゃあ着替えている間 誰も近づかせないでね」
専属4人「「「「畏まりました」」」」
綺麗なお辞儀をした後にキビキビと動き室内の安全確認や戸締まりの確認をしてカーテンもしっかり閉めてくれた。
オーリー「安全と戸締まりの確認が終わりましたのでお着替えの準備をしましょう」
いつもなら僕とソルだけで行ってる戸締まり確認もやってくれて大助かりだ、今回の安全確認は学園内に他国の使者やその護衛として入って来ている人が多いからだ、何故そこまでするかというと僕の体に上位精霊との契約の証の紋様が腕に入っているのを身内以外に知られたくないからで、着替えが必要な時はこうして空き部屋を借りて厳重に戸締まりしてから着替えている。
「うん、分かった今出すね、えーと、着替え、着替え、あ、あった」
“無限収納“から運動着を出してサクサク着替える、脱いだ制服はオーリー達がテキパキと綺麗にハンガーに掛けてくれた、ついでに精霊の春雷達がいつも宿っているカフスボタンをオーリーに預けた、着替えの最中は近くのテーブルに移動していた天華が再び僕の肩の上に来て頬擦りをしてきた軽く撫でて変じゃないか聞くと『ちゃんと着れてますよ』と返してくれて一安心、ソルも着替えを終えて 着替える時に乱れた僕の髪型を整えるのがいつものやり取り。
ソル「アトリー様、髪はどうしますか?」
「運動しても邪魔にならなかったら何でもいいよ、いつものお団子頭でもいいし」
椅子に座って魔法の発動で乱れた髪型を解き、櫛で髪をすいて貰いながら膝の上の天華を撫でる、たまに膝の上に顎を乗せて甘えてくるジュールも撫で回す。
オーリー「編み込みを入れてバラつかないようにいたしましょうか?」
ソル「そうですね、今日は皆さんがいらっしゃるので僕1人ではできない髪型が出来そうですし、いいですか?アトリー様?」
「ん、いいよ、よっぽど変な髪型じゃなければ」
ソル「お任せください♪」
(この5人が集まると必ず髪で遊ばれるんだよね~まぁ、いつも服装に似合う髪型にしてくれるから不満は無いんだけど…、そんなに髪をいじるのが好きかね、君達・・・)
気合の入ったソル達に髪型を丸投げしてヘアセットが完了するの待った、出来上がるまでの間は天華達を撫でつつ念話で会話する。
(しかし、今日は学園全体を巻き込んだ茶番になったね)
夜月『そうだな、面倒なことこの上無いな』
天華『ですね、このような事今回限りにして貰いませんとね、アトリーや私達は見せ物ではありませんからね』
ジュール『私も2度目は嫌かなぁ~、それに変な視線がくるし、特に獣人の人達から』
(あー、確かに他の学年の獣人さん達からやたら見られてたね、あれは留学生?、・・・だけじゃないか、地元の獣人さん達もいるか…)
天華『そうでしょうね、この国は人種差別はしない珍しい国ですからね、法律でも定められてますし』
(そう言えば、帝国も種族は問わない国だけど多種族を特別守るような法律はなかったよね、力こそ全てって感じで自分の身は自分で守れって風習だもんね、他の国もそんな感じだしなぁ人種差別に関する法律があるこの国が珍しいのか、それか他国の差別に対する認識が甘いのか、この世界での基準がいまいち分からないな)
天華『この世界ではこの国の法律が珍しいんですよ、この国を建国する際に手を貸した勇者が日本人だったんですから、そのおかげでこの世界で最も文明が進んだ国ができたんです、他国より法律の充実度が比べ物になりません』
(そうだった、この国の成り立ち自体が特殊だったんだった、まぁ大昔の勇者様のおかげで元日本人の僕でもこの国が暮らしやすくてありがたかったもん、上下水道の設備の仕組みとか辻馬車の運営システムとか、他にもちょいちょい前世で見かけた物があって全然苦労しなかったし、日本人らしいよね差別禁止の国なんて、勇者様様だよ!この国に生まれて良かった♪)
夜月『まぁ、何にせよ、今回の件以降はよりこの国が他国から注目されるのは間違い無いだろう、それで他国がこの国の文化や法律に興味を持てばこの世界全体が住み良い場所になるはず、アトリーが他国に赴いても少しでも過ごしやすくなるといいな』
(だね、そうなるといいなぁ、そうなったら今回の茶番もやった意味が出てくるって物だよ)
天華『ふふっ、ですね、じゃないとアトリーのする事にいちゃもんを付けてきた彼らは神々の意向に逆らった ただの愚か者になってしまいますからね』
(あはははは、天華が怒ってるー、激おこだー)
天華『当たり前です!アトリーにこんな要求をする事自体が烏滸がましいんですからっ』
(ふふっ、そうだねぇ、自分で言うのもあれだけど僕ってある意味“アンタッチャブル、触れてはならない物“だと思うんだけど、他国の人達には強力な後ろ盾を持った ただの餓鬼に見えるんだろうかねぇ、人を勝手に値踏みして取り込もうとするのは本当うざったいよ、僕はのんびり自由に冒険者をして過ごしたいだけなのにね、でもまぁ、邪魔する人達は全て跳ね除けてやるだけさ)
夜月『あぁ、そうすればいい、アトリーの好きに生きていいと神々が仰ったんだから、我々もそれを助けるから気兼ねなくやるといい』
天華『アトリーがしたい事が私達の最優先事項なのですから、いつでもお手伝いしますよ、家族として』
ジュール『私もお手伝いするー♪そして一緒にたくさん遊ぼう!』
(ふふっ、そうだね!邪魔な人はポイッてしてたくさん遊ぼうね♫)
夜月と天華の発言はちょっとアレだけど僕の事を1番に考えてくれているのが分かるので嬉しくて頬が緩み、頼もしくコチラを見上げてくる夜月達を撫で回した。
ソル「アトリー様、終わりましたよ」
「ん、分かった」
天華達と話したり撫で回している間に髪型のセットが完了したようだ、ソルに手鏡を渡されて自分を見た。
「!、これはまた…、一段と凝った髪型にしたね・・・」
鏡を覗いてみた自分の髪型は前髪を残して頭のてっぺんの髪を細い三つ編みにしてそれを主軸に周りの髪を少しずつ取り編み込んで一本の編み込みにしてあった、所々の横髪で細い三つ編みが入り込んできていて不思議な髪型になっていた、腰辺りまであるその編み込みは確かに運動の邪魔にはならないだろう、一見シンプルに見えて実は細かく凝ったできになっていた。
(うーん、似合わない訳ではない、むしろこの運動着にはよく似合っている・・・凄いなぁ皆んな・・・)
この学園の運動着は藍色でチャイナ服のカンフー衣装風なのだ、僕は腕の紋様がある為いつも長袖だけど夏用にと半袖の物もある、皆んなにお礼を言い防具を取り出し装着するのを手伝って貰いソルの準備も手伝っている間に春雷達が僕の刀にちゃんと移動していた、そして準備万端で部屋を出た、屋外運動場に向かう途中の道で父様達に会った。
母様「2人ともちゃんと準備はできたかしら?」
「はい母様、ちゃんと出来ました♫」
と、ソルの手を取り両手を広げて見せてみる。
母様「ふふっ、髪も綺麗に結って貰ったのね?似合ってるわ」
「はい、ソル達にして貰いました!」
母様「まぁ、良かったわね、皆んな いつもアトリーの髪のお手入れ有り難う、おかげでいつもアトリーの髪が綺麗に輝いているわ、特にソル君、貴方が屋敷の外でもアトリーと一緒にいてくれるから私は安心できるわ、これからもアトリーと仲良くしてちょうだいね、でも無理はしないでね?」
ソル「は、はい」
僕とソルの頭を優しく撫でてくれる母様、2人で照れてしまい少し俯いていると頭を撫でて来る手が増えて来た。
(ん?明らかに撫でる手が多い!)
チラッと上を見ると父様と、シベラス叔父様の手が増えていた、ソルの方にはお祖父様とお祖母様の手が頭を撫でていた、その後ろに兄弟が並んで順番待ちしている。
(え、皆んなが撫でるの待たなきゃいけないのかな?)
「あ、あの、もう、運動場に行きたいんですが・・・」
父様「あと少しだから、ね?」
「は、はーい・・・」
(あはは、拒否権は無しだったよ・・・( ´ ▽ ` ))
この道は運動場に続く道なので当然 他の生徒や教員も通るそんな中で広い場所だとしてもデューキス公爵家の全員が立ち止まって 末息子とその幼馴染の子を可愛がっている光景は目立つ、恥ずかしくなって抵抗を試みるがあえなく撃沈した、ソルも僕の隣で顔を赤くして耐えていた。
(もう少しだ!耐えるんだソル!)
父様「さて、そろそろ観客席に行こうか、アトリー、無茶はしないようにね」
「はい、父様、僕は先に運動場に行きますね、武術の実技指導がどのような内容かは分かりませんけど頑張ってきます!」
家族全員から一通り撫で回された後やっと解放されて一足先に運動場に行くことに。
母様「2人とも怪我に気をつけてね」
「「はーい」」
母様達に手を振り運動場に向かった、コロッセオ風の運動場内の競技スペースに入るとすでに1年生の大半が戻って来ていた、僕達が入って来た事に気づくと軽く騒めきが起こった、好奇心や畏怖、羨望の眼差しが向けられる その中に一際 僕に対して憎しみと言っていい程の強い敵意を宿した視線が2つ注がれている、敵意を持っている人は複数いるがこの2つの敵意は他と比べ物にならない。
夜月『アトリー、あやつらの敵意がより一層増している、ここまで行くと子供同士の喧嘩レベルでは無いぞ、これは場合によっては神罰は免れない』
(そう…、魔法の実技演習での実力差を示して敵対するのを諦めて貰えるかなって、淡い希望は無くなっちゃったね、しょうがない、次何かされたら庇いようが無いね、できれば何も無いのが1番だけど、無理 かな、あの様子じゃ・・・)
酷く目つきが悪くなってドロドロとした嫉妬と敵意の感情が見えてきそうだ。
天華『1人は自業自得なのにも関わらず逆恨みしてくるとは言い度胸です』
ジュール『あの女の子はなんであんなにアトリーに対して怒っているんだろうね?』
(それは僕にも分からないや)
様々な視線を無視しつつイネオス達と待ち合わせしていた場所に行くとイネオス達は既に待っていた。
「お待たせ、ごめんね待たせたかな?」
ヘティ「いいえ、私達もさっきついたばかりです、お気づきにならなかったみたいですがご家族とご一緒におられる所を横切りましたの」
「あ、あれね…、声をかけてくれたら良かったのに・・・(そしたら逃げられたはずだ)」
ヘティ「そんな、ご家族の団欒をお邪魔するわけには行きませんもの、皆様 楽しそうになさっていたので、そのままコチラに来ましたわ」
「そ、そう、き、気遣ってくれたんだね、有り難う・・・」
(ぐはっ、_:(´ཀ`」 ∠): ヘティは気遣いができる良い子なんだが今回はむしろ話しかけて助けて欲しかった!)
このやり取りをイネオスとベイサンは気遣わしげな目で見て。
イネオス(心中お察します、ですが公爵家の皆様に声をかけるのは僕達には無理でした!)
ベイサン(お止めできなくて、すみません!)
と、心の中で謝罪していた。
ソル「アトリー様、先ほどまで運動場の中央にあんな物 ありませんでしたよね?」
「ん?・・・あ、舞台?確かにあんなの無かったよ、いつの間にできたのかな?昼食時間中に設置されたにしては立派な石造りだけど…、誰かが作ったか持って来たのかな?」
屋外運動場の競技スペース 中央にあった魔法実技演習場の代わりに石造りの丸い舞台が“でんっ“と鎮座していた、厚さ約1メートルの円形の石で対極的に階段が設置してある。
(嫌な予感がするなぁ、あれどう見ても試合をするための舞台だよね、でも第1回目の実技指導でぶっつけ本番の試合形式なんてすわけないよね、普通・・・)
予想が外れてくれと思い願っていると、今日の実技指導の武術の先生達が入って来て授業が始まった。
武術指導教員「これより、武術実技指導の授業を始める!最初に指導員全員で生徒全員の技術を見極めるために1人ずつ見て回るのでクラスで纏まり入試成績順に間隔をかけ並びなさい、場所は指導員の先生方が案内するのでそれに従うように!では、クラスごとに集まれ!」
「クラスごとかぁ~別々になっちゃったね」
イネオス「仕方ありませんよ、その方が効率がいいでしょうから…、あ、では先に僕はあちらで集まり出したBクラスに行きますね、皆んな、また後で!」
「また後でね、怪我には気をつけて!」
「はい!」と元気よく返事をしてイネオスはクラスメイトの元に走っていった。
ヘティ「じゃあ私達もそろそろ行きますね、アトリー様、ソル様」
ベイサン「また終わり次第ここで、アトリー様、ソル様、“くれぐれも気をつけて“、お怪我のないように」
「分かってるよ、ベイサン、君も気をつけてね、ヘティも、ね?」
ヘティ「はい、私よりイネオスの方が油断してそうですが、ふふっ」
ソル「そうだね、釘を刺すのを忘れてたよ」
ベイサン「まぁ、大丈夫でしょう、・・・多分・・・」
「まぁ防御結界が個人にも軽く掛かっているって言ってたから大丈夫じゃないかな?」
ベイサン「そう言えば、ありましたね、なら大丈夫ですね♫、あ、そろそろ行きますね、じゃあ!」
ヘティ「また後ほど、アトリー様」
「うん、またね」
互いに色々と気をつけるように言って別れ、僕達もAクラスの生徒が集まっている場所に向かった、集まったのが僕達が最後かと思ったがまだ来てない人がいるようで暫くすると全員揃った。
Aクラスが全員揃った所で先程説明をしていた武術指導の教員が石造りの舞台の横に誘導した、そこで1メートルから2メートルの間隔を空けて入試の成績順から横に5人づつに並ばされ、ジュール達は1番前の列の左から2番目にいる僕の真向かいに2メートルほど離れてコチラを見学している。
武術指導教員「よしっ、説明するぞ!最初は自分の得意な近接武器を構えて素振りをしてもらう、その素振りをしている所を私が1人づつ見て行くのでそこで武器の扱いの練度を確認するのでその確認が終わるまで素振りを続けてもらう、その時 今持っている武器の相性も見ていくので武器選びに困っている者達は遠慮無く相談するように、その場で武器の変更も可能だ、ただし武器の使用審査を通ってないものは使ってはダメだぞ、学園の貸し出しの武器を使うように、いいな!」
「はい!」教員の言葉にまばらに返事がかえりそれを確認した教員が…
武術指導教員「では!武器構え!…素振り開始っ!」
こうして ついに武術の実技指導が始まった。
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