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第3章 少年期 学園編
133話 ロシュ君家のお宅訪問
しおりを挟む色々と会話をしているう内にロシュ君のお家に到着したようだ。
(ほう、そこそこ大きな庭付き一軒家だね、立地もいい角地だし、外装の雰囲気もいい感じにファンシーだ・・・・あ、あれだ、前世で言うとこのジ○リ作品の借りぐらしのアリ○ッティのに出てきたお家みたい♪可愛い窓の格子の形がそれっぽくて可愛い!)^o^(・・・・・おんや?)
ロシュ君のお家のファンシーさがツボにハマって、脳内で盛り上がっていると、何やらロシュ君のお家、店舗の方が騒がしいのに気づいた。
「何だろう?揉め事かな?」
オーリー「・・・そのようですね、先に私が様子を見て参ります、こちらでお待ちいただけますか?」
「うーん、馬車から降りて少し待つよ、ロシュ君もお家の人が心配だろうから、すぐに動けるようにしとこう、ねっ」
ロシュ君「は、はい、お、お願いします!」
オーリー「畏まりました、では馬車を降りましたら、すぐに見てまいりますので、しばらくお待ちください」
そう言って停車した馬車から先にオーリーが出て、外にいるカインと軽く話すとそのままロシュ君のお家に向かった。その間僕達はいつもの順序で馬車から降り、他の馬車から降りて心配そうにロシュ君の家を見つめるイネオス達や仁達と合流した。
仁「アメトリン君、何かトラブルがあったのかな?」
「そうですね、揉め事のようです。今オーリーが様子を見に行ってくれていますので少しここで待ってみましょう」
彩ちゃん「そう、でも大丈夫?オーリーさん1人で・・・」
「あ、大丈夫ですよ、彼女は、オーリーは僕の護衛も兼ねているので強いですよ」
仁達&ロシュ君「「「「えっ⁉︎」」」」
「ふふっ、僕の専属がただのメイドや執事だと思ったらダメですよ。それに公爵家の使用人たるもの多少の武術の心得がなければなれませんからね」
女性のオーリー1人だけで揉め事の起きている現場に向かっても大丈夫なのかと、心配してくれていた仁達だが、そこはこの国の元諜報機関、“影騎士“達の長だったお祖父様の昔とった杵柄的な感じで、デューキス公爵家の使用人達は全員が何かしらの武術を会得しているのだ。
それにデューキス公爵家だけではなく、他の公爵家でも使用人の大半がそうなっている。デューキス家だけが武闘派と言う訳だはない。この国の公爵家が全て王家の血筋を引いているから、それを守る意味でガードが固い。
その公爵位も世代が3世代変わると爵位は下がるが、その間、本流の王家から嫁や婿が入ればそのまま公爵の位は保てる。だが、そもそもこの王家の血筋は恋愛結婚推奨なので、いい巡り合わせがないと長く公爵位を保つことは難しい。だからこの国で歴史ある公爵家というのは存在しない・・・
存在はしないが、領地の管理に関しては全て引き継いでいるので国の運営には支障は出ていない。
(例でいうなら宝石が取れるデューキス家の領地やダンジョンが複数あるドゥーカ家の領地などだね。これらは国の大きな収入源でもあるからマニュアルが存在しているので、新たに公爵位与えられた王族でもすぐに領地の運営ができる)*他の公爵家の領地も色々と理由がある。
驚いた顔のままのロシュ君や仁達を見て笑っていると、近所の人達が遠目に僕達を窺っているのが目に入った。
「あ、ここに馬車を停めたらお邪魔かな?」
ロシュ君「あ、た、多分違うと思います。この辺りにこんな立派な馬車が停まってるのが珍しいだけだと思います」
(あー、そうかここは一般市民の住宅街だもんな、そら何事かって感じで見るわな・・・)
「ん、そうか、お邪魔だったら動かすからいつでも言ってね」
ガッシャーン!! 「「「「「!!」」」」」 ザッ!
急にお店の窓が割れ、中から何かが飛び出てきた、それをよく見ると割れた大きな花瓶だった。急な音に護衛騎士や専属使用人達全員が即座に警戒体制に入ったことで、周りで野次馬とかしていたご近所さん達もロシュ君のお家に注目した。
「な、なにかしら?あそこはアーディさん所のお店じゃない?」「え、お店に暴漢でも来たのか?」ヒソヒソッ「大丈夫かしら?」「衛兵隊を呼ぶべき?」「中から怒鳴り声が聞こえてくるわ」ヒソヒソッ
?「何だお前はっ!!調子にのんじゃねぇぞ!!」 ガシャンッ!!
?「やめてください!!」
ロシュ君「っ!母さん!!」ダッ!
「あ!ロシュ君!・・・あー、行っちゃったか・・・ふむ・・・仕方ない行くか」
中から男性の罵声と共に何かが壊れる音が聞こえ。それを止めようとする女性の声が聞こえると、ロシュ君は焦ったように自分の家に走って行ってしまった。
僕はそれを無理には止めず、ロシュ君が走って行った後を急がずについて行った。
ソル「白々しいですよ、アトリー様、元から着いて行く気だったでしょう?」
「おや?バレたか」
イネオス「バレバレです」
仁「隠す気もなかったでしょう?アメトリン君・・・」
「ないですね!」
夢ちゃん「開き直った!」
などと話しながらロシュ君が入って行った薬屋の入り口まで歩いて来た。
ヘティ「入り口が可愛いですね」
彩ちゃん「そうね、薬屋さんの看板がなかったら可愛い小物を扱う雑貨屋さんに間違えてたかも」
(それには激しく同意!)
コンコンッ「お邪魔します」
ロシュ君が入って行った時に開きっぱなしになっている扉を一応叩いて、中を除いた。
?1「あぁ⁉︎今は取り込み中だっ!とっととうせろっ!」
?2「そこのメイドもそいつを離してどっか行きやがれっ!邪魔すんじゃねぇっ!」
?3「いててっ、そうだ、離しやがれ!!」
「コレは酷い・・・・・オーリー」
店内の惨状を見て、オーリーの名前を呼び、視線だけで説明を求めた。
オーリー「申し訳ございませんアメトリン様。こちらの方がロシュ・アーディ様のご家族に危害を加えようとしましたので、止めに入りましたら他の方々が暴れてしまい、このような事になりました。店内の器物破損を阻止出来ず、アーディ様方にはご負担を強いる事になってしまいました」
再度、「申し訳ありません」と、ロシュ君の家族と僕に頭を下げるオーリー。
(ちっ、もっと早めに入れば良かった、これは酷すぎる、コイツら覚悟しろよ、後悔させてやる・・・)
ジュール『また、怖い顔してるなぁ~』
ジュールにそんな事を言われながらも、ロシュ君の家に来ている暴漢達をどう懲らしめようかと思いを巡らせる。
「うん、それは不可抗力だから仕方ないよ、ロシュ君のご家族が怪我しない方が優先だし。それで?この人達は何者かな?」
?1「おい!無視すんなっ!ガキ!俺達は仕事でここに来てんだ!関係ねぇガキどもは帰れ!」
「ふーん、お仕事ねぇ…、他人の家のお店で暴れて物を壊すお仕事って何?」
?1「っ!」
店内を再度見回し、怒鳴ってくるガタイのいい男を魔力で軽く威圧しながらみた。店内は色んな薬を置いてあったであろう場所に椅子が乗っていて、綺麗に並べてあったはずの薬瓶を薙倒していた、その薬瓶も何本か床に落ちて割れていたりする、所々がそんな感じで荒らされてあってボロボロの状態だった。
ロシュ君家族の安否を確かめるために、床に落ちて割れた薬瓶に気をつけながら店内に入り、オーリーを見るとオーリーは1人の筋肉質だが背の低い男の腕を後ろに捻り上げる形で拘束していた、その斜め後ろでロシュ君とそのご家族と思われし人達が抱き合いながら震えていた。
(ほっ、怪我はなさそうだね)
ロシュ君の家に着いて早々に、中の様子がおかしい事に気づいた。その瞬間にいつもの冒険者活動時にする“索敵や気配感知“などのスキルを全てオンにした。その時すでにこの男達の存在は把握していたが、“情報開示スキル“で分かった情報を言うわけにもいかず、率先して中に入るのは止められるだろうと思っていると。オーリーが先に様子を見に入るというので任せたが、窓から花瓶が飛んできた時点で遠慮することはなくなったので、直接男たちと対峙した。だが実際に店内に入って中の惨状を見ると、もっと早めに介入したほうが良かったと後悔した。
悠長に構えていた自分に腹が立ちながらも、騒ぎを起こした男達にも怒りが湧いてきて、ちょいキレ気味な僕。
ソル「アトリー様、落ち着いて」
「あぁ、うん、ソル、分かってる・・・・・ふぅ・・・」
ソルに止められて軽い威圧を解いた僕、一息吐いて男達に向き合い再度話し掛けた。
「で?貴方達は何が目的で僕の友人宅をこんなにしたの?」
?2「はぁ?友人宅ぅ?どこぞのお貴族様かしらねぇが、俺達は正当な理由でこの店に借金の取り立てに来ているだけだ!!貴族のガキが大人の仕事の邪魔すんじゃねぇ!可愛い顔に傷が入りたくなきゃ引っ込んでろ!それとも何かぁ?お前がコイツらの借金の返済の為にボスの店で働くかぁ?あぁん?」
「「「「「!」」」」」ザッ!
「・・・・ぷっ、ふふふっ、くっ、っ・・っ・ぶふっ」
一瞬にして周囲が警戒体制に入ったのとは反対に、顔を近づけて来てメンチを切りながら僕を脅してきた、身長の高い細身の男の言葉に、目をパチクリさせた僕は次第に笑いが込み上げてきた。
?2「な、何笑ってやがるっ!ガキ!」
「い、いや、す、すまない。ぷっ、ふふっ、この王都で、ぼ、僕に向かって、こ、こんなこと言う人がまだいたなんてっ。ふふっ、いやー、自意識過剰だったかな?ふふっ」
ソル「・・・確かに珍しいですね?」
オーリー「田舎から出てきたばかりなのでは?」
?1「な、何の事だ!」
イネオス「ふむ、ここは僕達がいつも活動している場所とは反対側にありますから、ただ単に情報が遅れているだけかも知れませんよ?」
ベイサン「あー確かに、その可能性はあるな」
ヘティ「それなら、こんな仕事している割に情報収集能力が低いですね?」
仁「以前も似たような人がいたね、この世界は情報共有が遅いのかな?」
夢ちゃん「まぁ、インターネットもケータイないしねぇ」
彩ちゃん「いや、それでも、王都ではアメトリン君は3年前からの話題のマトだったはずでしょう?それを知らないのはやっぱり田舎から出てきたばかりだからじゃない?脅し方もなんか古臭いし・・・」
メチャメチャに皆んなにこき下ろされた男達は、顔を真っ赤にして肩を振るわせながら怒っていた。
?2「お、お前ら!何がおかしいんだ!ふ、ふざけるなよ!!」
(いやー、マジでこの人達、僕のこと知らなんだ・・・さっきの脅しで神罰が降りたのも気づいてないな、こう言う輩は真っ先に僕から距離を取ろうとするもんなのに・・・)
春雷『珍しいですよね?』
(だよね?)
天華『ですね、まぁ知らぬが仏って言葉もありますし、いいじゃないんですか?知らない間に神罰が降りても、どうせこの方々は牢屋行きですし』
(まぁ、それもそうかぁ~)
そんな会話もありながら、ここからはちょっと真面目に“オハナシ“しようかなと気を引き締めた。
「さて、それはいいとして。おじさん、貴方達は今、借金の取り立てに来たって言いましたけど、借金の取り立てしに来ただけなのに、このお店の中をこんなにしていいと思ってるんですか?普通に器物破損の犯罪ですよ?」
分かってる?、って感じで聞くと。
?1「はぁ?この家の奴らは借金の返済が遅れててなぁ、金が返せにならこの家を売って俺達に寄越すしかないんだよ!だからこの家は俺達がどう扱おうが好きにしていいんだ!そうだろ、アーディさんよぉ!」
ロシュ君家族「「「「ひぃ!」」」」
借金のかたにこの家を取り上げるから何をしてもいいと言って、ロシュ君家族を脅す男。
「・・・はぁ~、そんな馬鹿な理論通用するわけないでしょう。今現在、この家の持ち主はこちらのアーディさん一家のものなんです。それを貴方達が壊せば器物損壊の罪に問われるのは当たり前なんですよ。それに借金の取り立てでこのような暴力行為は法的にも禁止されています。
そもそも、貴方達の言う借金と言うのも、本当に正当な手続きで行われていたのかさえ怪しいですし」
?2「あぁ?そんなの関係ねぇんだよ、コイツらが金を借りて俺らが金を貸したって言う事実があるだからよ!お前みたいなガキにはわかんねぇだろうが、この紙にそう書いてあるから、コイツらは金を返さねぇといけねぇのっ!」
と、前に突き出して見せて来たのはロシュ君のお祖父さんの署名が書いてある借用書だ、それを見て僕はニヤリと笑った。
「へぇ、これがお金を借りたって証明書なんですね?ふむ、少し見せていただいていいですか?」
?2「はぁ?なんでお前みたいなガキに見せないといけないんだよ!」
「おや?僕に見せれないようなやましい物なんですか?ますます怪しいですね?」
?1「何言ってんだ!借用書は他人に渡すなってボスに言われてんだよっ!それに関係ないガキに見せてやっただけでもありがてぇと思え!クソガキ!」
「大人を舐めんなよっ!!」と言い捨てて借用書を懐にしまおうとする背の高い細身の男。
「カイン」
僕が名前を呼ぶとカインが一瞬で男の手から借用書を奪い、僕の所まで持って来てくれた。
カイン「アトリー様、どうぞ・・・」
「ん、ありがとう、カイン・・「は?」・・・・ふむ、これは・・・やっぱり」
一瞬の事で状況が理解できなかった男達を置いて、受け取った借用書に目を通す僕。
そして、そこに書いてあった内容を読むと、今回の騒動の元となった借金の詳細が書いてあった、だがそれは法の定めた規定とは全く当てはまらない酷い内容の契約書だった・・・・
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