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第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
33話 初めてのお泊まり冒険者活動
しおりを挟むはい、どうも、僕です!今日は六月の土の日、休日です!そう!冒険者活動の日です!そして、初めてのお泊まり依頼です!
「ふふっ、楽しみだなぁ♪」
と、ご機嫌で鼻歌混じりに晴れた青空を見上げながら、ここに至るまでのことの経緯を思い出していた・・・・
・・・・この依頼を受けることになったのは先日、身内だけの結婚パーティーで聞いた話で、とうとうイネオス達の冒険者ランクが“Cランク“に上がったと聞かされて、記念に皆んなで一緒に“Cランク“の依頼を受けようと言う話になり、その翌日の学園帰りに一緒に依頼を見に行ったら、“Cランク“専用のクエストボードにあった“ゴブリンの巣、掃討作戦参加依頼“、内容は王都近郊の村と王都の間にできたゴブリンの巣を潰すための人員募集で、2泊3日の行程“Cランク“の人員募集枠が約20人前後、冒険者パーティーがあと1組2組申し込みがあればその週の土の日から即作戦決行と言うことで、これなら今週の学園が休みの土日と翌週の月の日が公休で、3日連続でお休みだから行けるよね!となり、その日の内に全員の家族から承諾を貰ってくるのでと言って、ギルドに作戦参加の仮応募を申請した。
そして、その日の帰宅後すぐに父様に許可を貰いに行くと、意外とあっさり許可が出てちょっと拍子抜けした。
父様「ふふっ、アトリー、参加の許可がすぐに出て不思議に思ってるね?」
「え、あ、はい、ちょっと反対されるかなぁって思ってました」
父様が笑いながらそう言うので、僕も素直に感想を言うと、
父様「そうだね、アトリーが冒険者活動を始めた当時にシリー、母様と話しあって決めていた事なんだよ。アトリーが在学中に泊まりがけの依頼を受けたいと言った時はその時の冒険者ランクが“Cランク“に満たないのなら外泊を許可しない、でも、“Cランク“以上になっていたら外泊許可を出そうとね」
「・・・そうだったんですか・・・」
(そこまで考えて貰っていたとは・・・(*´Д`*))
父様「でもね、最初はアトリーが在学中に“Cランク“にまでなるとは思っていなかったんだ、普通の10歳の新人冒険者が“Fランク“から“Eランク“に上がるのは順調に行っても1年以上かかるとされていたからね、さらに2ランク上の“Cランク“に上がるとなると、よくて学園の卒業前ごろ、約5年以上はかかるだろうと予想していたんだよ、何せアトリー達は長期休暇期間以外は土日だけしか冒険者活動ができないから、普通の新人冒険者達の倍は時間がかかる想定で話をしてたからね・・・」
「あー・・・」
(もしかして、父様の予想は普通の貴族子息が冒険者になった場合の平均値で見てたのかな?確かに学園に通ってる間、真面目に冒険者活動する貴族子息はそうそういないだろうし、それに、僕みたいに1日に何件も依頼を受ける人もいないだろう、どうにかしたら、学校に通ってない一般市民の新人冒険者でさえ依頼を何件も掛け持ちする人はいないだろうな。・・・僕の場合は効率重視で受けた依頼の件数と達成率に比例したギルドからの信頼が、早期ランクアップに繋がって、父様の予想より早く“Cランク“になってたから父様はさぞ驚いただろうな・・・でもまぁ、僕的には予定通りだったんだけどなぁ・・・・(*´ー`*))
僕はどうやら父様達の予想外の速さで冒険者ランクを上げていたようだ。でもこれまでの冒険者活動は逐一父様達には報告が上がっている中で、どう見ても予想より早いランクアップになると分かっていたはずなのに、父様達が最初に設けた外泊の条件の見直しなどは一切しない方向でいてくれたことに、僕はこれまた意外だなっと思った。そして、この少し後にイネオス達の方もご両親から条件付きで参加許可がおりたと連絡があって(もちろんソルも)、ギルドにその旨を知らせて全員の参加が決定した。
と、言うわけで、その日の夜、今回の“ゴブリンの巣、掃討作戦“の作戦参加の決定の知らせと共に2日後の水の日に、掃討作戦の参加者の顔合わせと作戦会議の為と言う内容で、僕達はギルドから招集の知らせが来た。会議の開始時間は僕達が学生であったことで学園の授業が終わって少ししたぐらいの時間に設定されていた・・・
・・・・そして、その当日・・・・
(お~、人がいっぱい、ゴツい人もいっぱい・・・・(*´Д`*))
会議の開始時間10分前ぐらいに到着した僕らは、いつもお世話になっている専属受付嬢のアンテレさんに、ギルドの2階にある大会議室に案内されて入った。その第一印象がこれだ。会議室内は前世での学校の教室内のようなレイアウトで、壁にある黒板の様な物に向かって、かなりの数の長机と背もたれのついた椅子が並べて置いてあった、そんな中で数人がグループを作って固まって座ったり、知り合い同士なのか立って話をしていたりしていた。
ソル「予想以上に人が多いですね・・・」
「そうだね」
僕達は“Cランク“のクエストボードしか見ていなかったので、多くても30名程だろうと考えていたのだが、会議場内にいたのは予想の約倍である60人以上が来ていた。
イネオス「かなり高ランクの方達も数人見受けられますね」
へティ「あ、あそこにいらっしゃるのは“Sランク“昇格間近と噂の、“Aランクパーティー・蒼炎“のメンバーの方々ですわ」
ベイサン「あっちにも、ギルドでたまに見かける“Bランクパーティー“が何組かいるな・・・」
イネオス「通常のゴブリンの巣を潰すだけにしては高ランクの人達が多いですね?それに人数もかなり多いです」
「確かに、もしかしたらこれだけの人数が集められてるのは、今回のゴブリンの巣がかなり大規模だからか、もしくは上位進化したゴブリンが確認されたか・・・」
と、そんな会話をしている間、室内にいた人達は僕達が来た事に気づくと、僕を見てフリーズ、ここ数年、僕がギルドに出入りして冒険者活動をしているのを知って、ある程度見慣れてきている人も多いはずなのに、今日は何故か全員が長くフリーズしている。
「ん?皆さん、何故、固まってるんだろう?」
へティ「そうですね?お話ししたことはありませんが、初めてお会いする人はいないと思いますけど・・・」
イネオス「僕は会話したことがある方もいるんですけどね・・・?どうしたんでしょうか?」
と、皆んなで首を傾げていると・・・
?「っ、それはお前達が見慣れない格好してるからだろ・・・」
「あ、ヨンガン君、君も今回の掃討作戦に参加するんだ、話したことのない人達ばかりだったから君がいて安心したよ♪・・・それで、僕達の格好がどうしたのかな?学園の授業が終わってからそのまま来たんだけど、学園の制服のまま来たのはダメだったのかな?」
会議室内にいた人達の内の1人がすぐに我に帰り、僕達にぶっきらぼうに話しかけてきた。その話しかけてきた人を見てみると、ここ数年で仲良くなった新人冒険者仲間の“ヨンガン君、13歳“。彼は僕達が冒険者登録をしに行った日に出会った同年代の男の子で、少し一悶着あったものの、僕達が毎週末に冒険者活動している時に少しづつ話すようになり、ヨンガン君の家までお邪魔するほどの仲になった、数少ない一般市民の友人だ。
ヨンガン君「いや別に制服はダメじゃねぇけど、いつもならお前達、ギルドに来るときは簡素な服に装備をつけた格好できてるだろ?今みたいにいかにも貴族の学生って感じの服装は他の人達は見たことねぇ、奴らも多いだろうからな。いや、それ以上にアトリー、お前、今日どうしたんだよ、いつもより近寄りがたい気配がするんだけど・・・それにまた性別不明さ?が増してるし・・・」
「確かに、これは貴族仕様の制服だけど、この格好できたのは始めたではないんだけどなぁ、2日前にもこの格好できたし・・・それに近寄りがたい気配に性別不明さって?・・・」
ヨンガン君が言う通り、制服で来ることはそんなに多くは無かった、だがその時は誰も気にして無かったように思っていた僕だった、でも、どうやら違ったようだ。そしてそれ以上に僕単体で通常とは違う異変を感じ取ったらしいヨンガン君に、皆んなが頭を傾げた・・・
へティ「あ!アトリー様、皆んな、ちょっと・・・」
と、へティが何かに気づいたのか耳を貸して欲しいとジェスチャーをするので、何か分かったのかと思って、皆んなでへティ口元付近に何々?と片耳を寄せると・・・
へティ「・・・あのですね、多分ですけど、ヨンガン君が言ってるのはアトリー様の“神力“の気配の事を言ってるんじゃないかと・・・アトリー様、今日の帰りの馬車であの“神器のブレスレット“外してましたよね?」
と、小さな声で言ってきた。
「あっ、そうだった、それでか・・・」
ソル「あーそれに、アトリー様、今、結構浮かれてますよね?」
「あー・・・確かに、初めての体験を前に結構浮かれてたかも・・・」
(あちゃー、ここにいる冒険者達は実力がある人達だろうから、僕の“神力“をうっすら感じてたんだな( ・∇・))
先月の結婚式以降、僕の“神力“が高まったことで、最近実力がメキメキついてきたイネオス達に、僕に“神力“があることに勘づかれてしまっていた。僕も天華達もこれ以上この事を誤魔化すのは限界だろうと言う見解になり、父様達に相談の上で、イネオス達にも他言無用と約束した上で僕の現在の種族と、そこに至った事の経緯を簡単に説明したのだった。なので、僕が作り出した“神器“の効果も知っていて、僕が学園が終わってから、その帰り道でプライベートのオン、オフのために“神力制御効果のある神器“を外す習慣も知っているへティが、今回のヨンガン君や他の冒険者達が感じて固まっていた理由の僕の異変の原因に気づいたようだ。
天華『まぁ、今のアトリーの嬉しい気持ちが“神力“に乗って、元々容姿が人一倍良いアトリーの容姿を、“神力“がより魅力的に見せているんでしょう、でも、“神力“とは神の神々しい畏怖の念の代表のようなものですから、近寄りがたいが魅力的な容姿をしている人と言う印象を受けて、皆さん見惚れるようにフリーズしたんでしょうね。それにイネオス君達はアトリーの“神力“の気配にも慣れてしまっているようなので、ここに到着するまで気づかなかったようですね・・・』
夜月『と、言うわけで、アトリー、今すぐに“神器“をつければ、全員が正気にもどるぞ・・・』
(あ、はーい(*´Д`*)・・・)
ジュール『今回は馬車から降りる時に“神器“つけ忘れるほど浮かれてたみたいだから、ある程度実力がある人達がこうなるのは頷けるよねぇ~』
と、天華達に言われてすぐに“無限収納“に入れていた“神器“を取り出し着用した。すると、フリーズしていた人達が我に返って、頭を振ったり首を傾げたりしていた。ヨンガン君も僕の気配が通常通りに戻ったのに気づいて、
ヨンガン君「ふぅ、アトリー、もしかしてまた、魔力が漏れてたのか?」
と、少し勘違いしているけど、この現象が治った事に安堵していた。その後は室内の冒険者達に先程とは違う意味で注目されつつも、ヨンガン君を含めた6名で空いている席を探し、椅子に座った。ついでに言うと、ジュールと夜月は大きな姿で僕の座った席を囲むように床に伏せて、天華は小さな姿で僕の目の前にある机の上でくつろぎ出した。
そして、席について一息ついたところで、少し不思議に思った事をヨンガン君に聞いてみた。
「そう言えば、ヨンガン君、君、今回の“ゴブリン掃討作戦“になんで参加できたの?」
と、唐突に聞いたが、それはしょうがない事だった。今回の掃討作戦の応募用紙は“Cランク“のクエストボードには貼ってあったが、“Dランク“のクエストボードには貼ってなかったのを覚えていたからだ、と、言うことは、掃討作戦の応募可能ランクは“Cランク“から上となっていたはずなので、今“Dランク“のヨンガン君は参加条件を満たしていないはずだった、そこを不思議に思って直球で聞いてみた僕に、ヨンガン君は眉を顰めて“今更か?“と言った感じの表情で僕を見た。
ヨンガン君「あのな、アトリー、俺は1人で参加したわけじゃねぇんだよ」
「えっ?…あ!じゃあヨンガン君、今、何処かのパーティーに入ったの?いつ?先月お家にお邪魔した時はまだ、ソロで活動してたよね?」
ヨンガン君が参加可能だった理由はどうやらパーティーでの参加枠だったからのようだ。本来いつもソロで活動しているヨンガン君の冒険者ランクは“Dランク“なので、今回の掃討作戦のように“Cランク“から作戦参加可能と、ランク制限がかけられている依頼には参加はできないのだが、それはソロの場合であって、それがパーティーの場合はパーティーメンバー内にランク制限に満たないメンバーがいても、パーティー内にそれ以上に高ランクの他のメンバーがいると、パーティーランク査定で平均値を出してもらって、その平均値が“C“になっていれば、規定を満たした事になって規定よりランクが低い人でも参加が可能になるのだ。
だから今ヨンガン君は、“C“以上の“パーティーランク“を持った冒険者パーティーに加入している事になる。
ヨンガン君「ああ、それがな、つい最近、俺にパーティーに入らないかって誘いが来たんだよ。でも、俺ってお前達以外とつるんで活動したことなかっただろ?だからな、他の人との戦闘経験がないから試しに一緒に依頼をこなして見てから考えるって、返事返したんだ。そしたらな・・・」
「・・・それで今回の“ゴブリン掃討作戦“の依頼でそのパーティーメンバーとの相性を見ようって事になったんだね・・・・」
(それにしても、お試しとは言え、新規の新人メンバー含めた初の依頼をこんな危険な“掃討作戦“にするものかね?むしろお試しで初めての依頼なんだからもっと危険の少ない依頼はあっただろうに(*´Д`*)そのパーティーのリーダーは何考えてるんだ??)
僕はヨンガン君の話を聞いて、彼に声をかけてきたパーティーリーダーの行動に疑問を覚えた。そして同じように話を聞いていたソルやイネオス達も僕と同じ疑問を持ったのか、眉根に皺を作って不信感を露わにした・・・・
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