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1・始まりの夜
しおりを挟むあれ?
また忘れてる…………
大事なものでしょ?ずっと忘れないって約束してたのになぁ…
がんばって思い出そうとしてるけど…
………私からは教えてあげない
だってそれは
自分で思い出さなきゃ意味がないもん
*
夏が終わって大分涼しくなった。夜になるとやっぱり冷えてくる。空にはお月様と散りばめられた星々。お月様がどことなく赤っぽくみえる。
「…っ…………?」
すごい寒いわけじゃないんだけどな…身震いなんてしないでしょうに。
赤いお月様を眺めながら夜の街を歩く…
「こんばんは」
?
「……?(うさぎさん……?)」
振り返って目の前にいたのは、洒落た服を着て頭にうさぎの耳を生やした男の人がいた。
…誰?
「こんな夜に出歩いてたら、危ないですよ?私みたいなのに話しかけられますよ?」
「……………」
「……聞こえてます…よね?」
「……誰…ですか?」
少女は問う。
「これは失敬。申し遅れました。」
うさぎがピシッと背を伸ばした。
「私はワンダーランドの主のアリスお嬢様の使いの者でございます。」
「ワンダーランド………?」
まことしやかに言われても訳がわからない。ワンダーランド?アリス?そして前のうさぎはアリスの使いって……まるで…
「不思議の国のアリス…」
「? どうされましたか?」
「あなた、急いでないの?」
「?急ぐ……?」
あ、だめだ。言葉が通じないのかな…
「まあ、確かに急いではいますよ。お嬢様の13のパーティーにお越しいただく
…………人間を集めています」
人間…?
「アリスお嬢様曰く、こちらではない、別の世界にいる者をつれてこいとのこと。できれば面白い者がいいとおっしゃっていました。」
「…なんで私が行かなきゃならないの?」
「今ここで、歩いていられるほど余裕というものがあるのかと推測いたしました」
「…私だって理由があって歩いているの。」
「…と、いいますと?」
「大事なものを探してるの。いつの間にか忘れちゃった。限りなく遠い場所にあって、いつでもそばにいてくれるの。」
そうだ。私だって不用心に歩いているわけじゃない。誰かと聞かれると答えられないけど…。
「もしかしたら、こちら側にいるかもしれませんよ…?ま、ただの勘ですけどね」
そう言うと、うさぎがいつの間にかその手に一通の手紙を持っていた。
「招待状です。この紙があれば、私達の世界にも入ることができます。手紙を開いたら、そのとき世界に来ることとなるでしょう。」
そう言って手紙を渡すとうさぎは消えてしまった。
手紙を眺める。白い封筒にロウを溶かして印を押した典型的な手紙だ。印が押されたところには、《Welcome to wonderland》と窪んでいた。
家に着く頃には深夜1:00ぐらいになっていた。別に眠くもないけどね。
(さて………)
私の家は私しか住んでいない。普通の一軒家。どうしてあるのかも忘れちゃった。思い出さなきゃ………かな。
机の引き出しの一つにはたくさんの手紙が入っている。たぶん自分が書いたものだろうから未開封。記憶喪失ってわけじゃないけど、忘れっぽいのかなあ…ボーッとしてるというか…
「開けようか……」
一人しかいない部屋に、その声は消えていった。封を開け、中を取り出す。手紙には、こう書いてあった。
*おめでとう*
あなたはアリスお嬢様の13のパーティーに招かれました。
こちら側に着いたら、おそらく鍵を持っているはず。
すぐにそちらへ行き、案内を致しますので、鍵をなくさずに
お待ちください。
案内人:使いのうさぎ
光に包まれる部屋。遠のく意識とともに、少し、本当にかすかな声が聴こえた気がした。
『 メア、ごめんね。』
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