神様のお導き

ヤマト

文字の大きさ
35 / 173
プロローグ

0-6

しおりを挟む
「他にまだ質問はありますか?」
 白さんの質問に僕は頭を悩ませた。それは質問がないからではない。やっぱり質問が多すぎるから何から聞いたら良いかわからないからだ。
「うーん、聞きたいことはたくさんあるんですけどー…、ちょっと関係ない質問しても良いですか?」
「はい、なんでしょう?」
「そんな億単位も生きていて、地球じゃなくて、この家族? しかいない場所で生きてて退屈じゃないんですか?」
 これはただの率直な疑問だった。僕もわりと引きこもりな方ではあるものの、そんな年単位で引きこもるとなると、退屈過ぎて気が狂ってしまうかもしれない。ゲームがあればなんとか…なるのかな…?
「そんなことないですよ。本当に退屈な時は、異世界旅行をしたり、姿を変えて<ruby>地球<rp>(</rp><rt>テラ</rt><rp>)</rp></ruby>にも行ってますしね」
 僕は白さんがさらりと言ったこの言葉にとても興味が湧き、勢いよく食いついた。
「異世界旅行!?」
 異世界旅行とは一体どういう事なのだろうか。僕がよく知ってるようなファンタジーの世界が他にもたくさんあるということなのだろうか。
「えぇ。次元を超えて、様々な世界に干渉することができるのですが、例えば、<ruby>地球<rp>(</rp><rt>テラ</rt><rp>)</rp></ruby>のような魔法の世界。そこで勇者様御一行と魔王退治をしたこともありますよ。他にも科学の世界や音楽の世界。料理や学校でテッペン目指したり様々です」
「へー」
 その話を聞くだけでもワクワクしてしまう。僕は爛々と目を輝かせ、白さんの話を聞いていた。
「ただ、やはりあまり異世界に干渉しすぎるのと問題なので、極力行きましませんけどね。帰る手間もありますし」
「じゃあ滅多に異世界には行かないんですか?」
「んー、それが、神様という立場上もあるのかもしれませんが、異世界の方が召喚術などの偶然で私自身が喚ばれたりするので、なんとも言えませんが…」
「喚ばれる…?」
「悪魔召喚とかの儀式があるじゃないですか。あぁいうので神様として喚ばれちゃうんですよ。それが幾度かあったので、そういうのがあった時は、自動で分身を送るようにしてるんですけどね」
「ぶ、分身…?」
「分身というか、クローンみたいなものなんですけど、誰かから喚ばれた場合、私本体から、いくらかの魔力を削って、私の力の劣化版のクローンが産み出され、その異世界に飛ばされるんです。本体てわある私より力は遥かに劣りますが、それでも今までの経験上、異世界でもそれなりに強い実力であることがわかっています」
「クローンの実力わかるんですか?」
「クローン自体に意識がありますから、クローンはクローンで行動します。その行動の記憶は本体である私にも記憶として刻まれるので、クローンがその異世界で送った経験や生活は全て把握できます。逆にクローンには、私がクローンを産むまでの記憶までは受け継がれるんですが、クローンからそれ以降の私の記憶は受け継がれません」
 突然よくわからないことを説明されて、僕の頭はこんがらがってしまう。
「わかったような、わからないような…?」
「ふふ、とにかく、異世界に行ったクローンの記憶は私に送られてくるんです。だから、そこで恋をしたり、孤独に死んでしまったり、仲間ができたり。様々な経験が私には刻まれているのです。とは、言っても、本体の私自身がそれを経験したわけではないので、なんだか不思議な気持ちにはなりますけどね」
 困ったように笑う白さんだが、クローンを作れるということは、他にもたくさんの白さんがいるということだろうか。
「異世界に行った白さんのクローンは、もちろんこっちに帰ってきてるだろうから、他にもたくさんの白さんがいるんですよね?」
「あー…それは、ちょっと違います。私の魔力から切り離したクローンは、先程も言ったように、私の劣化版です。力は十分の一以下にしてるので、自力でここへ帰ってくるだけの力はないんです」
「え、それじゃあ…」
「えぇ、そのクローンは異世界で一生を終える。私から切り離したせいか、歳を取ることは無いんですけど、寿命が私より遥かに短いんですよね。個体によりけりですけど、百年持てば良い方でしょうか。でもまぁ、異世界に行った個体は個体で、人生を謳歌してますよ。力がや寿命が平均になったせいか、私よりも人生楽しそうです」
「へー…」
 異世界に行って帰って来れないなんて、結構ショックなことかもしれないのに、意外とそっちの方が上手く行く場合もあるのか。
 ――僕は、一体どうなるのだろう…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

処理中です...