神様のお導き

ヤマト

文字の大きさ
55 / 173
続!0話目!チュートリアル②

0-7

しおりを挟む
 その後、僕たちは猛烈に掃除をした。
「うぉおおおおおお!」
「はい、そこでまたUターン!」
 アキラくんの鬼指導の元、めちゃくちゃ廊下を綺麗にした。
 掃除をしているとあっという間に時間とは過ぎるもので、時計の針は十一時を指していた。
「じゃあ半まで休憩したら、昼食のお手伝いに行きましょう」
「了解~」
 居間で僕は息を整えながら寝転がり、疲れ果てた体を癒した。
「掃除って、久しぶりにやると、めちゃくちゃ…ハードだよね」
 明日は筋肉痛確定だ。
「毎日やってたら、そのうち慣れますよ」
 慣れるまでの道のりは長い。

 三十分きっかり休んだところで、僕らはキッチンへと向かった。キッチンには既に人が立っており、その人が今日の料理当番なのだろうと思った。
「銀さん」
 その後ろ姿は銀さんで、アキラが銀さんの名を呼んだ。名を呼ばれた銀さんは「ん?」と、気だるそうな声を零し、くるりと僕らの方へと振り返った。
「今日は昼と夕、僕らもご飯の支度のお手伝いをさせていただきます」
「え? ほんと? めっちゃ助かる~」
 表情は全く変わらないながらも、多分喜んで暮れているであろう銀さん。銀さんは腰と顎に手を当て、何か悩んでいるようだった。
「ん~」
 何かに悩みながらうめき声を上げる。
「今日の昼飯何にしよう~?」
 どうやら、昼の献立を悩んでいるみたいだった。アキラくんと僕は「そうですねぇ」と、相槌を打ち、三人揃って昼食は何にするか悩み始める。
 しかし、そんな悩みも束の間。銀さんはポンと手を叩き、何かを思いついたように声を上げた。
「オムライスにしよ」
 僕たちに聞いておきながら、勝手に悩んで勝手に解決し、冷蔵庫を開ける銀さん。そんな彼をアキラくんがフォローする。
「彼はとてもマイペースで、人に質問しておきながら、一人で勝手に自己解決する事なんて多々あるので、気にしないで良いですよ」
「そうなんだ」
 確かにマイペースそうだもんなぁ。白さんと双子みたいだけど、全然タイプが違う…。
 そんな事を考えながら、僕らも銀さんの後に着いて行った。

 食材を集め終え、キッチンに戻り、役割分担をする。
「じゃあ俺、チキンライス作るから、二人は玉子お願い」
「え、チキンライス一人で作るんですか? 食材切ったりするの手伝いますよ」
 どうも役割分担の負担の割合が銀さんに片寄っている様に思えて、僕はそう名乗り出た。でも、銀さんは顔を横に振って「いや、いい」と、僕の申し出を断った。
 僕だって野菜や肉を切るくらいは出来るんだけどな…。と、少しショックを受けていると、アキラくんが横から銀さんが何故断ったこ説明してくれた。
「僕は大した魔法が使えないから、ちゃんと食材を包丁で切ってるんですけど、銀さんや他の方はそうではないので」
「と、言うと…?」
 アキラくんに、見てくださいと、銀さんの方を見るよう促され、僕は銀さんへと目線を移した。すると、銀さんは食材に向かって軽く手を翳していて、その食材たちが勝手均等な大きさにスパッと一瞬で切れてしまったのだ。 
「マジでか…」
「と、言うわけで、僕らの手伝いは不要なんです」
「な、なるほど…」
 確かにこれなら、銀さんが僕の申し出を断ったのも納得だ。僕が切るより、銀さんが魔法で食材を切った方が遥かに早い。銀さんはもう肉を炒め始めていて、僕らも急いで玉子を作る準備をした。
「じゃあ僕が玉子を溶きますので、拓斗さんは玉子を割ってボウルに入れてくれますか。それからマヨネーズも少々」
「了解!」
 それから僕らは玉子の準備を難なく終え、玉子を焼く段階に移ろうとしていた。銀さんを横目で見ると、めっちゃでかい中華鍋でチキンライスを掻き混ぜていた。
「プロだ…」
 テクニックの違いを思い知らされながら、キッチンの中に充満する良い匂いに晒される。
「お腹空いてきた…」
 僕も今日はたくさん動いたから、もうお腹が限界だ。
アキラくんはフライパンが熱されたのを確認すると、かなりの玉子の量が入ったボウルを片手で持ち、1枚ずつ丁寧に玉子を焼いていく。僕は更に、アキラくんの料理の技術に驚くことになる。
「こ、これは……!」
 たまにSNSで見かけた、ドレスドオムライス……!! 綺麗に拗られた玉子はまるでドレスのスカートの様…!
 そして、銀さんの完成させてチキンライスの上に、ふわりと流れ込むアキラくんのふわとろの玉子……!
「…………」
 僕の口内は唾液の洪水に見舞われた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...