61 / 173
1話目! 白の章 枯れない愛
1-3
しおりを挟む
僕は白さんが神様だということも忘れ、無意識のうちにそう願ってしまった。白さんはそれに気づいているのかいないのか、それは彼女しか知る由もない事なのだが、白さんはマリーさんにもう一つ質問を投げかけた。
「最近、何か購入したものはありますか?」
白さんならそんなこと聞かなくてもわかることなのだろうけど、普通の人は透視など出来ないから敢えてそう質問した。
「えっと……日用品以外には何も――あぁ、でも、主人の命日の時に、枯れない花というものが売っておりまして、それがとても綺麗だったので、主人にと、買いました。そう言えば、悪夢を見始めたのもその命日からで、主人の魂が命日にこの世に戻って来たから、こんな悪夢を見ることになったのかと思っていましたが――」
「えぇ。そうです。恐らく、その品が貴女に悪夢を見せているのでしょう」
「まぁ……!」
「そうなんですか!?」
僕とマリーさんは、白さんの言葉に驚いて声を上げた。と、言うことは、今までマリーさんを苦しめていたのは、ご主人では無かったということ。その事実を知れただけでも、だいぶ安心できる。
「その品には悪魔の魂が乗り移り、悪夢を見せることによって、マリーさんの生気を奪っていると思われます。体調が優れないのも、その影響を受けているからかと」
「そんな……!? なんとかならないんですか!?」
僕は懇願の目で白さんを見たが、白さんは僕を一瞥するだけで、視線をマリーさんへと戻してしまった。
「あぁ……。私を苦しめていたのは貴方じゃ無かったのね……。グスッ……良かった……。本当に良かった……。それから、ごめんなさい……。貴方の事を疑ってしまって……」
マリーさんは再び涙を流し、お墓の前にしゃがみ込んで、愛しそうな、優しい手つきで墓石を撫でた。
「マリーさん……」
白さんはマリーさんの感情に心動かされたのか、彼女の名を呼び、悲しそうな顔をした。僕は、白さんに縋り付くように腕を掴み、白さんの前に立つと、深々とお辞儀した。
「白さん! お願いします! どうか、マリーさんに取り憑いた悪魔を払ってあげてはくれませんか!? どうか、どうか!」
こんなにも人から愛されていて、亡きご主人のことを想い続けている慈愛に満ちた人を放っておけるわけがない。僕には、彼女を助けられるような力はないけれど、白さんなら――!
白さんは僕にこんな風に頭を下げられるとは思っていなかったのか、少し困惑した様子でどう返事をすべきか躊躇っていた。
すると、マリーさんは立ち上がり、僕の肩を優しく掴んで首を横に振った。
「タクトさん、いいのよ。悪魔退治なんて、教会の人にしかできないんだから。白さんに無理を言っちゃいけないわ。それに私も、ちゃんと教会の人にお祓いを頼むから――」
マリーさんがそこまで言うと、マリーさんのセリフを白さんが遮り、残酷な真実を突きつけてきた。
「お言葉ですが、今から教会の方に頼んだとしても、時間がありません。それに、貴女に取り憑いた悪魔は強力で、それこそ三日三晩掛けないと払えるものではありませんよ」
僕とマリーさんは「そんな…」と、落胆と悲観に顔を歪ませ、その後、喋る言葉が何も無くなってしまった。
「……まぁ、私の手にかかれば、三日と言わず、すぐにでも解決できますが……」
白さんは胸を張って自慢するように言うわけでもなく、その反対に、恐縮しながら小さめの声で呟くようにそう言った。彼女の中でもこの人助けは、まだ心に決めかねていないのだろう。それでも、そう言ってくれた白さんの言葉が嬉しかった。新たに希望が持てた僕とマリーさんは、さっきの落胆した表情から一変して、期待に満ちた眼差しで白さんを見た。
「白さん、助けてくれるんですか!?」
僕は喜びのあまり、思わず白さんの手を両手で掴み、ブンブンと縦に振った。
「うぅ……。今回だけですからね」
白さんはマスクの下で困ったような表情をしていたが、満更でもないようで目が少し柔らかくなっていた。
「あぁ、なんと感謝をしたら良いものでしょう……。神様、この方たちとの出会いに感謝いたします」
マリーさんは目の前にいる白さんこそが神様だとは思いもよらないだろう。天にいるであろう神様に向かって、両手を組んで感謝していた。その感謝するマリーさんを見て、白さんは柔らかく微笑んでいた。
「最近、何か購入したものはありますか?」
白さんならそんなこと聞かなくてもわかることなのだろうけど、普通の人は透視など出来ないから敢えてそう質問した。
「えっと……日用品以外には何も――あぁ、でも、主人の命日の時に、枯れない花というものが売っておりまして、それがとても綺麗だったので、主人にと、買いました。そう言えば、悪夢を見始めたのもその命日からで、主人の魂が命日にこの世に戻って来たから、こんな悪夢を見ることになったのかと思っていましたが――」
「えぇ。そうです。恐らく、その品が貴女に悪夢を見せているのでしょう」
「まぁ……!」
「そうなんですか!?」
僕とマリーさんは、白さんの言葉に驚いて声を上げた。と、言うことは、今までマリーさんを苦しめていたのは、ご主人では無かったということ。その事実を知れただけでも、だいぶ安心できる。
「その品には悪魔の魂が乗り移り、悪夢を見せることによって、マリーさんの生気を奪っていると思われます。体調が優れないのも、その影響を受けているからかと」
「そんな……!? なんとかならないんですか!?」
僕は懇願の目で白さんを見たが、白さんは僕を一瞥するだけで、視線をマリーさんへと戻してしまった。
「あぁ……。私を苦しめていたのは貴方じゃ無かったのね……。グスッ……良かった……。本当に良かった……。それから、ごめんなさい……。貴方の事を疑ってしまって……」
マリーさんは再び涙を流し、お墓の前にしゃがみ込んで、愛しそうな、優しい手つきで墓石を撫でた。
「マリーさん……」
白さんはマリーさんの感情に心動かされたのか、彼女の名を呼び、悲しそうな顔をした。僕は、白さんに縋り付くように腕を掴み、白さんの前に立つと、深々とお辞儀した。
「白さん! お願いします! どうか、マリーさんに取り憑いた悪魔を払ってあげてはくれませんか!? どうか、どうか!」
こんなにも人から愛されていて、亡きご主人のことを想い続けている慈愛に満ちた人を放っておけるわけがない。僕には、彼女を助けられるような力はないけれど、白さんなら――!
白さんは僕にこんな風に頭を下げられるとは思っていなかったのか、少し困惑した様子でどう返事をすべきか躊躇っていた。
すると、マリーさんは立ち上がり、僕の肩を優しく掴んで首を横に振った。
「タクトさん、いいのよ。悪魔退治なんて、教会の人にしかできないんだから。白さんに無理を言っちゃいけないわ。それに私も、ちゃんと教会の人にお祓いを頼むから――」
マリーさんがそこまで言うと、マリーさんのセリフを白さんが遮り、残酷な真実を突きつけてきた。
「お言葉ですが、今から教会の方に頼んだとしても、時間がありません。それに、貴女に取り憑いた悪魔は強力で、それこそ三日三晩掛けないと払えるものではありませんよ」
僕とマリーさんは「そんな…」と、落胆と悲観に顔を歪ませ、その後、喋る言葉が何も無くなってしまった。
「……まぁ、私の手にかかれば、三日と言わず、すぐにでも解決できますが……」
白さんは胸を張って自慢するように言うわけでもなく、その反対に、恐縮しながら小さめの声で呟くようにそう言った。彼女の中でもこの人助けは、まだ心に決めかねていないのだろう。それでも、そう言ってくれた白さんの言葉が嬉しかった。新たに希望が持てた僕とマリーさんは、さっきの落胆した表情から一変して、期待に満ちた眼差しで白さんを見た。
「白さん、助けてくれるんですか!?」
僕は喜びのあまり、思わず白さんの手を両手で掴み、ブンブンと縦に振った。
「うぅ……。今回だけですからね」
白さんはマスクの下で困ったような表情をしていたが、満更でもないようで目が少し柔らかくなっていた。
「あぁ、なんと感謝をしたら良いものでしょう……。神様、この方たちとの出会いに感謝いたします」
マリーさんは目の前にいる白さんこそが神様だとは思いもよらないだろう。天にいるであろう神様に向かって、両手を組んで感謝していた。その感謝するマリーさんを見て、白さんは柔らかく微笑んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
世界最強の七賢者がお世話係の俺にだけはデレデレすぎる件
Y.
恋愛
国の頂点に君臨し、神にも等しい力を持つ『七賢者』。
火・水・風・土・光・闇・氷の属性を極めた彼女たちは、畏怖の対象として国民から崇められていた。
――だが、その「聖域」の扉を一枚隔てた先では、とんでもない光景が広がっていた。
「アルトぉ、この服脱がせてー。熱いから魔法で燃やしちゃった」
「……アルトが隣にいないと、私、一生布団から出ないから」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。さあ、私と混ざり合いましょう?」
彼女たちの正体は、私生活が壊滅的にポンコツで、特定の一人に依存しきったデレデレな美少女たちだった!
魔法の才能ゼロの雑用係・アルトは、世界で唯一「彼女たちの暴走魔力に耐えられる」という理由で、24時間体制の身の回りのお世話をすることに。
着替え、食事の介助、添い寝(!?)まで……。
世界最強の7人に取り合われ、振り回され、いじり倒される。
胃袋と心根をガッチリ掴んだお世話係と、愛が重すぎる最強ヒロインたちによる、至福の異世界ハーレムラブコメ、開幕!
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる