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1話目! 白の章 枯れない愛
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マリーさんの容態が一変してからしばらく経った頃、ようやく白さんが家の中から姿を現した。僕は白さんにマリーさんの容態を早く伝えなければと、慌てて口を開こうとしたが、白さんはもうそのことについて全て理解していたようで、僕の言葉を手で制した。
「悪魔は倒しました。早くマリーさんをベッドへと運びましょう!」
白さんも焦った様子でマリーさんをもう片方側から支え、僕と白さん二人で、急いでマリーさんをベッドへと運んだ。
家の中は別段荒れた様子は無かったが、所々、紫色の液体が飛び散っていた。
マリーさんをベッドに寝かせると、白さんはマリーさんの手首を掴み、脈を測っていた。
「…………」
何も言わず、真剣な面持ちのまま彼女を見据える白さんに、僕は不安を覚え、恐る恐る震える声で白さんにこう聞いた。
「白さん、マリーさんは助かるんですよね……?」
白さんは僕の方を見て、一瞬、視線を彷徨わせた後、何も言わぬまま、静かにただ首を横に振った。
「そんな……!」
こんなにも優しい人が……こんな最期を迎えて良いはずか……。
「でも、白さんなら僕のこと回復させてくれたみたいに、マリーさんの身体を回復させてあげたりとか……」
「拓斗さん」
僕は急に真面目な声音で自身の名前を呼ばれ、身を強ばらせた。
「確かに、そういう人を死の淵から救い出したり、生き返すことは私にならできます」
「じゃあ……!」
再び胸に希望が戻り、期待に満ち溢れた様子で声を弾ませるが、白さんは、以前なんら変わりのない毅然とした態度で言葉を続けた。
「怪我を治したり、体力や疲れを回復するだけなら私も生命の力を使いますが、そういった死に直面する運命や死者を生き返す、世界の理に反することには絶対に力を使いません」
「……えっ? そん、な……」
嘘でしょう? そう言おうと思った矢先――苦しんでいた筈のマリーさんから穏やかな声が聞こえてきて、僕と白さんはマリーさんへと視線を移した。マリーさんを見ると、信じられない光景が目に映った。
「あぁ……貴方――」
マリーさんがそう呼び、マリーさんが映す視線の先には、恐らくマリーさんの旦那さんであろう人物の姿があった。
それは若い男性の姿で、マリーさん同様とても優しそうな目をした人で、マリーさんのことを優し胃眼差しで慈しむように見つめていた。その男性は宙に浮いており、姿は半透明。これは、ビリーさんの魂ということなのだろうか。白さんの方を見ると、白さんはただ黙って、口元に人差し指を当て、「しー」と、僕に黙っておくようサインを出した。僕は白さんの言うとおりに黙ってマリーさんへと視線を戻す。
「ビリー……。信じられない……目が、目が見えるわ……! 目の前に貴方がいる……! また貴方に出会うことが出来るだなんて……。あぁ……会いたかった……」
マリーさんは頬に涙を伝わせ、胸がいっぱいでどう言ったら良いかわからない、そんな風に首を小さく横に振ってそう言った。そんな彼女の言葉に、ビリーさんは急かすこともせず、ただ黙って耳を傾けていた。
「貴方に、ずっと謝らなきゃいけないと思っていたことがあるの……」
マリーさんはビリーさんの両頬を優しく両手で包み込み、自分を落ち着かせるように一つ息を吐いて、言葉を続ける。
「私のせいで、貴方を死なせてしまってごめんなさい……」
震える声を落ち着かせながら、マリーさんは精一杯の気持ちを彼に伝えた。ビリーさんはやっぱり何も言わなかったけれど、代わりに愛情いっぱいのハグ彼女に贈った。
ビリーさんの腕の中で抱きしめられる彼女は、やっと全てから解放されたように、今度は喜びの涙を頬に伝わせ、幸せそうに泣いていた。
「それから、ビリー」
マリーさんは、そっとビリーさんの腕から離れると、ビリーさんの手を取り、ます涙を拭ってからこれ以上ない満面の笑顔でこう言った。
「ずっと貴方を愛しているわ」
それは、彼女が最も伝えたかったことであり、ビリーさんも最も聞きたかった言葉だろう。二人は、誰にも邪魔出来ないほど幸せな雰囲気に包まれ、その間に笑顔の耐えない穏やかな時が流れる。
そして、二人がその幸せな時間を味わった後、ビリーさんかマリーさんへと手を差し出した。
「あら、私をデートへ誘ってくれるの……?」
ビリーさんはマリーさんの問いに、こくりと頷いた。
「まぁ! 貴方とのデートなんて何年振りかしらね」
マリーさんは、迷うことなく彼の差し出した手を取った。その瞬間、マリーさんの体からもう一人のマリーさんの姿が現れて、その姿は、ビリーさんと同じくらい、どんどんと若返っていく。
昔に戻ったような二人はお互いに笑い合い、そのまま空の向こうへと旅立とうと前へと踏み出した。一歩踏み出すごとに、それは高く昇り、少しずつ空へと近付いて行く。少し歩いた所で、
しかし、彼女は何か思い出したかのように立ち止まった。マリーさんはビリーさんの手を引き、一緒にくるりと僕らの方を見る。そして、感謝の意を込めて、二人で力いっぱいお辞儀をしてくれた。
僕はその光景に、涙が出そうになった。
「うぅ……」
いや、涙が出た。堪える事なんてできなかった。
マリーさんとビリーさんは小さく手を振ると、今度こそ、空の彼方へと消えていった。幸せな温かい光に包まれて――。
「悪魔は倒しました。早くマリーさんをベッドへと運びましょう!」
白さんも焦った様子でマリーさんをもう片方側から支え、僕と白さん二人で、急いでマリーさんをベッドへと運んだ。
家の中は別段荒れた様子は無かったが、所々、紫色の液体が飛び散っていた。
マリーさんをベッドに寝かせると、白さんはマリーさんの手首を掴み、脈を測っていた。
「…………」
何も言わず、真剣な面持ちのまま彼女を見据える白さんに、僕は不安を覚え、恐る恐る震える声で白さんにこう聞いた。
「白さん、マリーさんは助かるんですよね……?」
白さんは僕の方を見て、一瞬、視線を彷徨わせた後、何も言わぬまま、静かにただ首を横に振った。
「そんな……!」
こんなにも優しい人が……こんな最期を迎えて良いはずか……。
「でも、白さんなら僕のこと回復させてくれたみたいに、マリーさんの身体を回復させてあげたりとか……」
「拓斗さん」
僕は急に真面目な声音で自身の名前を呼ばれ、身を強ばらせた。
「確かに、そういう人を死の淵から救い出したり、生き返すことは私にならできます」
「じゃあ……!」
再び胸に希望が戻り、期待に満ち溢れた様子で声を弾ませるが、白さんは、以前なんら変わりのない毅然とした態度で言葉を続けた。
「怪我を治したり、体力や疲れを回復するだけなら私も生命の力を使いますが、そういった死に直面する運命や死者を生き返す、世界の理に反することには絶対に力を使いません」
「……えっ? そん、な……」
嘘でしょう? そう言おうと思った矢先――苦しんでいた筈のマリーさんから穏やかな声が聞こえてきて、僕と白さんはマリーさんへと視線を移した。マリーさんを見ると、信じられない光景が目に映った。
「あぁ……貴方――」
マリーさんがそう呼び、マリーさんが映す視線の先には、恐らくマリーさんの旦那さんであろう人物の姿があった。
それは若い男性の姿で、マリーさん同様とても優しそうな目をした人で、マリーさんのことを優し胃眼差しで慈しむように見つめていた。その男性は宙に浮いており、姿は半透明。これは、ビリーさんの魂ということなのだろうか。白さんの方を見ると、白さんはただ黙って、口元に人差し指を当て、「しー」と、僕に黙っておくようサインを出した。僕は白さんの言うとおりに黙ってマリーさんへと視線を戻す。
「ビリー……。信じられない……目が、目が見えるわ……! 目の前に貴方がいる……! また貴方に出会うことが出来るだなんて……。あぁ……会いたかった……」
マリーさんは頬に涙を伝わせ、胸がいっぱいでどう言ったら良いかわからない、そんな風に首を小さく横に振ってそう言った。そんな彼女の言葉に、ビリーさんは急かすこともせず、ただ黙って耳を傾けていた。
「貴方に、ずっと謝らなきゃいけないと思っていたことがあるの……」
マリーさんはビリーさんの両頬を優しく両手で包み込み、自分を落ち着かせるように一つ息を吐いて、言葉を続ける。
「私のせいで、貴方を死なせてしまってごめんなさい……」
震える声を落ち着かせながら、マリーさんは精一杯の気持ちを彼に伝えた。ビリーさんはやっぱり何も言わなかったけれど、代わりに愛情いっぱいのハグ彼女に贈った。
ビリーさんの腕の中で抱きしめられる彼女は、やっと全てから解放されたように、今度は喜びの涙を頬に伝わせ、幸せそうに泣いていた。
「それから、ビリー」
マリーさんは、そっとビリーさんの腕から離れると、ビリーさんの手を取り、ます涙を拭ってからこれ以上ない満面の笑顔でこう言った。
「ずっと貴方を愛しているわ」
それは、彼女が最も伝えたかったことであり、ビリーさんも最も聞きたかった言葉だろう。二人は、誰にも邪魔出来ないほど幸せな雰囲気に包まれ、その間に笑顔の耐えない穏やかな時が流れる。
そして、二人がその幸せな時間を味わった後、ビリーさんかマリーさんへと手を差し出した。
「あら、私をデートへ誘ってくれるの……?」
ビリーさんはマリーさんの問いに、こくりと頷いた。
「まぁ! 貴方とのデートなんて何年振りかしらね」
マリーさんは、迷うことなく彼の差し出した手を取った。その瞬間、マリーさんの体からもう一人のマリーさんの姿が現れて、その姿は、ビリーさんと同じくらい、どんどんと若返っていく。
昔に戻ったような二人はお互いに笑い合い、そのまま空の向こうへと旅立とうと前へと踏み出した。一歩踏み出すごとに、それは高く昇り、少しずつ空へと近付いて行く。少し歩いた所で、
しかし、彼女は何か思い出したかのように立ち止まった。マリーさんはビリーさんの手を引き、一緒にくるりと僕らの方を見る。そして、感謝の意を込めて、二人で力いっぱいお辞儀をしてくれた。
僕はその光景に、涙が出そうになった。
「うぅ……」
いや、涙が出た。堪える事なんてできなかった。
マリーさんとビリーさんは小さく手を振ると、今度こそ、空の彼方へと消えていった。幸せな温かい光に包まれて――。
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