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4話目!薫の章 硝子の中の景色
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薬草を手に入れるための道のりは、そう生易しいものではなかった。薬草は山の高いところに生えているらしく、山を登らなければならなかった。中には河原の岩を飛んで渡ったり、急な崖をよじ登ったり、今にも崩れ落ちそうな橋を渡ったり、それはそれは深く険しいものだった。
そして、ある程度進んだ山頂付近のところで、その辺り一帯を取り囲んでいる鬼たちの姿があった。
「あいつら、きっとこの付近一帯を縄張りにしてるんだ」
鬼は小鬼とは全く比にならない程の大きな巨漢で、よく自分たちが想像する、あるべき姿の鬼だった。鬼は大酒飲みとはよく言うが、本当にお酒が好きならしく、昼間っから巨大な盃に酒を注ぎ、ゴクゴクと喉を鳴らして一気飲みしていた。
「ど、どうするの……?」
僕や小鬼ではどうしたって太刀打ち出来ないだろう。不安になって、薫さんに助けを求めれば、薫さんは相変わらず淡々とした態度でスっと前に出た。
「今回は私が行きます」
僕は薫さんの今回は、という言葉に引っ掛かりを覚える。
「次回からは自力で何とかしてください」
無慈悲。薫さんは僕らにそう告げると、そのまま何の躊躇いもなく鬼たちが集うその場へと身を乗り出した。
「どっどっどっどうしよ~! オイラ、ここ一人でも行けるかな~!?」
「そこの人間が手助けはしてくれるでしょうから、なんとかなさい」
「そこの人間って僕のことぉ!?」
「最後まで責任を持てと言ったでしょう」
「そ、そうだけど~!?」
薫さんの無茶振りに僕はパニックを起こし、小鬼も次からどうすれば良いかという不安でパニックを起こし、薫さんの背後で僕と小鬼の大合唱だ。
「まぁ、今からある程度の処置はしますが、期待はしないで下さいね」
薫さんが何かよくわからないことを言っていたが、薫さんの背後でパニックを起こす僕らには何も聞こえていなかった。
「すいません」
薫さんは酒を飲み交わす鬼たちの群れに堂々と割り込んで、声を掛けた。
「薬草を取りに、少しここを通りたいんですけど、通っても良いですかね」
薫さんが彼らに声を掛けたことにより、鬼たちは一斉に薫さんの方へと視線を向けた。どれだけ自身に視線が集まろうとも物怖じせずに、薫さんは続ける。
「まぁ、貴方がたの許可が無くとも通らせてもらいますが」
わざわざ挑発的な発言をする薫さんに、鬼たちは目を釣り上がらせて、薫さんの方への群がった。顔の大きさだけでも普通の人の倍以上ある。そんな大きな顔にある二つの目に睨まれても尚、薫さんは平然としている。
「おい、ニンゲン風情が調子に乗るなよ」
一人の鬼が薫さんにそう威嚇の言葉を放つと、薫さんはその言葉が気に食わなかったようで、逆にそいつをギロリと睨み返した。
「私を人間なんかと一緒にしないでもらえます?」
そのドスの効いた低い声と、美しい顔からは想像も出来ないような威圧的な表情に、思わずその鬼は「うっ」と、押し黙ってしまう。すると、他の鬼がその鬼をケラケラと笑い、彼を馬鹿にした。
「オイオイ、ビビってんのか? だっせ」
「う、うるさいっ!」
仲間を馬鹿にした彼は、薫さんへと向き合い、顔がスレスレになるほど顔を近づかせ、薫さんへとある条件を提示した。
「兄ちゃん、ここを通りたきゃな、大量の食料か酒を持ってこい。そしたら、通してやらないこともないぞ」
その条件に、薫さん冷ややかな目で彼を見て「いえ」と、その条件を拒んだ。
「そしたら、ここを通る度、毎回わざわざ大量の食料を渡さなきゃならないんでしょう? そういうまどろっこしいのは嫌いです。ここは鬼らしく、正々堂々勝負をしましょうよ」
今度は薫さんが条件を提示し、その提示してきた条件に、鬼たちは目を丸くした。
「鬼なら力ずくでの戦闘は得意でしょう? 私は腕には自信があるのでね。一体一のタイマンでも、多勢相手でも、百人抜きでもなんでも良いですよ。ただし、私が勝ったら、これから先、無条件に何度でもここを通らせてもらいます。如何ですか?」
薫さんの強気な発言に、鬼たちは一斉に顔を見合わせてから笑った。
「あっはっは! 聞いたかよ! このひょろっこいニンゲン様が俺たちに勝負を挑むってよ!」
「しかも百人抜きでもなんでも良いだぁ? 頭沸いてんのかよ」
「こりゃ傑作だぜ!」
口癖に薫さんを馬鹿にして笑う鬼たち。その笑い声は耳の奥の鼓膜にもビリビリと響き、耳を塞ぎたくなるようなものだった。
「お、おい、あの人、あんなこと言ってるけど大丈夫なのかよ?」
流石に不安に思った小鬼も僕の服の裾を引っ張って、不安そうに僕を仰ぎ見た。
「大丈夫、多分、彼の実力はあんな鬼たちじゃ相手にならないよ」
実際、薫さんの実力を見たことは無いが、きっと薫さんも他の神様たちと同じく、この世の生物たちでは勝てるものはいないだろう。それでも、やっぱり少しの不安を覚えながら、僕は小鬼の肩を抱いて、薫さんの行く末を見守った。
そして、ある程度進んだ山頂付近のところで、その辺り一帯を取り囲んでいる鬼たちの姿があった。
「あいつら、きっとこの付近一帯を縄張りにしてるんだ」
鬼は小鬼とは全く比にならない程の大きな巨漢で、よく自分たちが想像する、あるべき姿の鬼だった。鬼は大酒飲みとはよく言うが、本当にお酒が好きならしく、昼間っから巨大な盃に酒を注ぎ、ゴクゴクと喉を鳴らして一気飲みしていた。
「ど、どうするの……?」
僕や小鬼ではどうしたって太刀打ち出来ないだろう。不安になって、薫さんに助けを求めれば、薫さんは相変わらず淡々とした態度でスっと前に出た。
「今回は私が行きます」
僕は薫さんの今回は、という言葉に引っ掛かりを覚える。
「次回からは自力で何とかしてください」
無慈悲。薫さんは僕らにそう告げると、そのまま何の躊躇いもなく鬼たちが集うその場へと身を乗り出した。
「どっどっどっどうしよ~! オイラ、ここ一人でも行けるかな~!?」
「そこの人間が手助けはしてくれるでしょうから、なんとかなさい」
「そこの人間って僕のことぉ!?」
「最後まで責任を持てと言ったでしょう」
「そ、そうだけど~!?」
薫さんの無茶振りに僕はパニックを起こし、小鬼も次からどうすれば良いかという不安でパニックを起こし、薫さんの背後で僕と小鬼の大合唱だ。
「まぁ、今からある程度の処置はしますが、期待はしないで下さいね」
薫さんが何かよくわからないことを言っていたが、薫さんの背後でパニックを起こす僕らには何も聞こえていなかった。
「すいません」
薫さんは酒を飲み交わす鬼たちの群れに堂々と割り込んで、声を掛けた。
「薬草を取りに、少しここを通りたいんですけど、通っても良いですかね」
薫さんが彼らに声を掛けたことにより、鬼たちは一斉に薫さんの方へと視線を向けた。どれだけ自身に視線が集まろうとも物怖じせずに、薫さんは続ける。
「まぁ、貴方がたの許可が無くとも通らせてもらいますが」
わざわざ挑発的な発言をする薫さんに、鬼たちは目を釣り上がらせて、薫さんの方への群がった。顔の大きさだけでも普通の人の倍以上ある。そんな大きな顔にある二つの目に睨まれても尚、薫さんは平然としている。
「おい、ニンゲン風情が調子に乗るなよ」
一人の鬼が薫さんにそう威嚇の言葉を放つと、薫さんはその言葉が気に食わなかったようで、逆にそいつをギロリと睨み返した。
「私を人間なんかと一緒にしないでもらえます?」
そのドスの効いた低い声と、美しい顔からは想像も出来ないような威圧的な表情に、思わずその鬼は「うっ」と、押し黙ってしまう。すると、他の鬼がその鬼をケラケラと笑い、彼を馬鹿にした。
「オイオイ、ビビってんのか? だっせ」
「う、うるさいっ!」
仲間を馬鹿にした彼は、薫さんへと向き合い、顔がスレスレになるほど顔を近づかせ、薫さんへとある条件を提示した。
「兄ちゃん、ここを通りたきゃな、大量の食料か酒を持ってこい。そしたら、通してやらないこともないぞ」
その条件に、薫さん冷ややかな目で彼を見て「いえ」と、その条件を拒んだ。
「そしたら、ここを通る度、毎回わざわざ大量の食料を渡さなきゃならないんでしょう? そういうまどろっこしいのは嫌いです。ここは鬼らしく、正々堂々勝負をしましょうよ」
今度は薫さんが条件を提示し、その提示してきた条件に、鬼たちは目を丸くした。
「鬼なら力ずくでの戦闘は得意でしょう? 私は腕には自信があるのでね。一体一のタイマンでも、多勢相手でも、百人抜きでもなんでも良いですよ。ただし、私が勝ったら、これから先、無条件に何度でもここを通らせてもらいます。如何ですか?」
薫さんの強気な発言に、鬼たちは一斉に顔を見合わせてから笑った。
「あっはっは! 聞いたかよ! このひょろっこいニンゲン様が俺たちに勝負を挑むってよ!」
「しかも百人抜きでもなんでも良いだぁ? 頭沸いてんのかよ」
「こりゃ傑作だぜ!」
口癖に薫さんを馬鹿にして笑う鬼たち。その笑い声は耳の奥の鼓膜にもビリビリと響き、耳を塞ぎたくなるようなものだった。
「お、おい、あの人、あんなこと言ってるけど大丈夫なのかよ?」
流石に不安に思った小鬼も僕の服の裾を引っ張って、不安そうに僕を仰ぎ見た。
「大丈夫、多分、彼の実力はあんな鬼たちじゃ相手にならないよ」
実際、薫さんの実力を見たことは無いが、きっと薫さんも他の神様たちと同じく、この世の生物たちでは勝てるものはいないだろう。それでも、やっぱり少しの不安を覚えながら、僕は小鬼の肩を抱いて、薫さんの行く末を見守った。
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