89 / 173
4話目!薫の章 硝子の中の景色
4-9
しおりを挟む
険しい道を乗り越え、とある山の一角まで来たところで、僕らは絶景を見ることとなった。それは、辺り一面に広がる青い花の絨毯。空の青と花の青が交差して、より美しい光景を生み出している。真っ青な世界に僕らは目を奪われた。
「すごい……」
「綺麗だなぁ……」
「オレたちの縄張りの奥にこんな絶景があったんだな」
「この花は綺麗な水と豊かな土がないと生えてきません。浄化作用があって微弱ですが聖なる力も持っています。妖怪には少しきついかも知れませんね。けれど、これがあれば、小鬼のお母上も救えます。新鮮さが大事ですから、効力は花を摘んでから一日が限度。それを超えると、もう効果はほとんどありません。なので、一日一回、この花を毎日摘まなければなりません。もう一度聞きますが、出来ますね?」
小鬼は薫さんに改めてそう聞かれ、キッと眉を吊り上げて、小さな拳を握りしめた。
「オイラやる! 絶対やり遂げてみせる!」
「それに加えて食料の調達。私は用があるので、その完治する一週間後にしか様子は見に来れません。出来ますね?」
「出来る! それに、オイラだけじゃなくて、大鬼のおじちゃんもいるし!」
「あぁ! 大船に乗ったつもりで任せとけ!」
こんなにも頼もしい仲間がいて、小鬼のことはもう心配なさそうだ。僕もそれを見て安心して、ホッと胸を撫で下ろした。
「宜しい。では、もし何か困ったことがあれば、これに申し付けてください」
「ん?」
突然、薫さんが僕の肩にポンと手を置いて、僕は一瞬、何を言われたのかわからなくなった。そんな僕を差し置いて、二人は「おう!」やらう「うん!」やら、元気に返事をしていた。僕は意味がわからず、薫さんに説明を求めようと薫さんを見ると、薫さんは相変わらず無表情なままこう告げた。
「貴方にはこれから一週間、小鬼の手伝いをしてもらいます。安心してください。家のことはアキラに言っておきますので」
「え、ちょ――」
「首を突っ込んだなら最後までって、私言いましたよね?」
「え、うん、あ、はい……」
「これを機に、貴方も狩りを覚えて、体力もつけてください」
「はい……」
もはや、何も言うことは無かった……。完全に油断していたし、他人事のように見守っていた……。薫さんは他の人に比べてとても厳しい。僕は思考放棄して、小鬼と大鬼に「ヨロシクネ」と、頭を下げた。
それから一週間、僕の日常は激動だった。一日目はまず住む場所をどうにかしなければならないとら大鬼のアジトの近くに家を建てることから始まった。大きな大木を大鬼が切り倒し、それを道具を使って綺麗に整え、土台をつくる。正直、僕と小鬼はあまり戦力にはならずら大鬼がいなければどうなっていたことかと思う。そして、二日目には狩りの基礎をきっちり叩き込まれ、体力という体力はなくなり、ヘトヘトになっていた。小鬼も僕も正直めちゃくちゃ頑張ったと思う。しかし、狩りに成功した時の喜びと、自分で取って作った料理の美味さは別格で、針山家のみんなにも食べてもらいたいと思ったほどだ。三日目は井戸を作り、四日目にはまた狩りの基礎。五日目は畑を耕し、六日目は一人で狩りが出来るようにテストされた。そして、七日目は、何故か喧嘩の仕方を一日中叩き込まれた。
「すごい……」
「綺麗だなぁ……」
「オレたちの縄張りの奥にこんな絶景があったんだな」
「この花は綺麗な水と豊かな土がないと生えてきません。浄化作用があって微弱ですが聖なる力も持っています。妖怪には少しきついかも知れませんね。けれど、これがあれば、小鬼のお母上も救えます。新鮮さが大事ですから、効力は花を摘んでから一日が限度。それを超えると、もう効果はほとんどありません。なので、一日一回、この花を毎日摘まなければなりません。もう一度聞きますが、出来ますね?」
小鬼は薫さんに改めてそう聞かれ、キッと眉を吊り上げて、小さな拳を握りしめた。
「オイラやる! 絶対やり遂げてみせる!」
「それに加えて食料の調達。私は用があるので、その完治する一週間後にしか様子は見に来れません。出来ますね?」
「出来る! それに、オイラだけじゃなくて、大鬼のおじちゃんもいるし!」
「あぁ! 大船に乗ったつもりで任せとけ!」
こんなにも頼もしい仲間がいて、小鬼のことはもう心配なさそうだ。僕もそれを見て安心して、ホッと胸を撫で下ろした。
「宜しい。では、もし何か困ったことがあれば、これに申し付けてください」
「ん?」
突然、薫さんが僕の肩にポンと手を置いて、僕は一瞬、何を言われたのかわからなくなった。そんな僕を差し置いて、二人は「おう!」やらう「うん!」やら、元気に返事をしていた。僕は意味がわからず、薫さんに説明を求めようと薫さんを見ると、薫さんは相変わらず無表情なままこう告げた。
「貴方にはこれから一週間、小鬼の手伝いをしてもらいます。安心してください。家のことはアキラに言っておきますので」
「え、ちょ――」
「首を突っ込んだなら最後までって、私言いましたよね?」
「え、うん、あ、はい……」
「これを機に、貴方も狩りを覚えて、体力もつけてください」
「はい……」
もはや、何も言うことは無かった……。完全に油断していたし、他人事のように見守っていた……。薫さんは他の人に比べてとても厳しい。僕は思考放棄して、小鬼と大鬼に「ヨロシクネ」と、頭を下げた。
それから一週間、僕の日常は激動だった。一日目はまず住む場所をどうにかしなければならないとら大鬼のアジトの近くに家を建てることから始まった。大きな大木を大鬼が切り倒し、それを道具を使って綺麗に整え、土台をつくる。正直、僕と小鬼はあまり戦力にはならずら大鬼がいなければどうなっていたことかと思う。そして、二日目には狩りの基礎をきっちり叩き込まれ、体力という体力はなくなり、ヘトヘトになっていた。小鬼も僕も正直めちゃくちゃ頑張ったと思う。しかし、狩りに成功した時の喜びと、自分で取って作った料理の美味さは別格で、針山家のみんなにも食べてもらいたいと思ったほどだ。三日目は井戸を作り、四日目にはまた狩りの基礎。五日目は畑を耕し、六日目は一人で狩りが出来るようにテストされた。そして、七日目は、何故か喧嘩の仕方を一日中叩き込まれた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる