神様のお導き

ヤマト

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5話目!桜の章 恋情フォルティッシモ!

5-3

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「王子とお付き合いー!?」
 驚いたのは僕だけでなく、桜もだった。踊り子と王子の身分違いの恋――まるでアラジンのような展開だった。桜はそれに興奮したのか、テンション高めにはしゃいでいた。
「良いわね! 良いわね! すごく良いわね! あたし、好きよ! そういうの! 燃えるような恋、最高じゃない!」
「ありがとうございます······?」
 一人はしゃぐ桜に、カマルさんは少し困ったように意味もなくお礼を言っていた。
「桜、落ち着きなよ」
 僕がそう言えば、桜は口を尖らせて「はーい」と、素直に頷いた。
「それで、私は踊り子、彼は一国の王子。当然、堂々とした交際が許されるはずもなく、私たちはひっそりと密会していました。けれど、月に一度会えれば良い方で、私たちはそのこそこそとした関係に段々耐えられなくなりました······。そこで、私たちは覚悟を決めて、国王様と王妃様に直談判することにしたんです」



 それは、とある日のこと。王子はカマルを連れて、国王と王妃の謁見の間の大きな門を開いた。
「父上! 御報告があります!」
 門が開くや否や、王子はズカズカと王の玉座へと足早に歩み寄り、カマルの肩を抱いて国王と王妃の前で立ち止まった。
「今日は父上と母上に大事な御報告があります。私、サイラスは、彼女、カマルと以前よりお付き合いさせていただいておりました。この度は、お二人に正式に交際の許可を頂こうと馳せ参じた次第で御座います」
 王子、サイラスの目は、覚悟が決まっており、決して国王と王妃に何を言われようと屈しないという固い決意が垣間見えた。しかし、それでも二人に逆らうのは少し怖いのか、カマルを抱く手が、僅かにだが震えていた。カマルもそれに気付いていて、サイラスを勇気付けるように、彼の手に自分の手を添えると、彼女も勇気を出して、国王と王妃に自己紹介した。
「お初にお目にかかります。私はカマルと申します。この国で踊り子をやっております。王子とは以前祭りの時に出会って以来、恋仲となりました。私は彼のことを真摯に愛して――」
「踊り子だと!?」
 カマルがまだ話している途中だと言うのに、国王は血相を変えてその上から口を挟んだ。顔を真っ赤にして拳で椅子の肘掛を叩き、それは誰が見ても激昂しているのだと分かった。
「ならんならん! 何処の馬の骨ともわからぬ平民に息子などやれん!」
「あなた······」
 激昂する国王を王妃が宥めようとするが、聞く耳を持たず、国王は更に罵倒を続けた。
「しかも踊り子のカマルと言ったな!?」
「は、はい······!」
「貴様、聞くところによれば、孤児出身であるそうじゃないか! それどころかこの国の出身者ではない! そんな出自もわからぬような奴と交際など断じてさせん!」
「そ、それはそうですけど、待って下さい! 私は確かに他所から来た流浪者です! けれど、この歌と音楽の国を愛し、気に入ったからこそこの国に身を置いたのです! 私はこの国を愛しておりますし、この国の人々も好いています! どうか、今一度考え直しては下さりませんか!?」
「そうよ、あなた。どこの出身だって良いじゃない。サイラスが選んだ人なのよ。少し様子を見るべきじゃない?」
 怒り狂う国王に対し王妃は協力的で、サイラスとカマルを庇うように国王を説得しようとするも、それは火に油を注ぐだけであり、国王は大声で叫びながら、その場から立ち上がった。
「ならーーーーーーん!!!!!」
 その怒号にその場にいた全員が静まり返り、ゴクリと固唾と息を飲んだ。
「サイラス! お前には隣国の姫と結婚してもらう! そんな王族の血もないようなならず者受け入れる訳にはいかぬ! おい、お前たち!」
「はっ!」
 国王はそばに居た兵士たちを呼び集める。
「サイラスの奴を自室へ軟禁しろ! 姫との面談まで一歩も外へ出すな! そして、この女をすぐさまこの城からつまみ出せ! 一歩たりともこの城に入らせるな!」
 国王の理不尽な指令に、兵士たちは顔を見合わせ、少しオドオドとするが、すぐに国王が「何をしている!」と、彼らを怒鳴りつけたため、彼らも渋々サイラスとカマルを引き離して、両脇から捕らえた。
「まっ、待って下さい! 国王様!」
「おい、やめろ! 離せ! お前たちカマルに触るんじゃない! カマルに指一本でも何かしてみろ! ぶっ殺してやるからな!」
 サイラスは自室へと引きずられていく中、最後までカマルの心配をしていた。カマルは最後まで国王を説得しようと、国王に呼びかけていたが、国王は聞く耳を持たず、結局、城の外へと為す術なく追い出されてしまった。



「なるほどね、そんで兵士に追い掛けられてたのね?」
 話を聞き終わり、桜がそう聞くと、カマルは「いいえ」と、首を横に振った。
「実は、これにはまだ続きがあって、彼が軟禁されてしまい、このままでは隣国の姫と結婚させられてしまうのを知り、私はいても立っても居られませんでした。そして、城に侵入して、王子を連れ出そうと考えたのです」
「はは~なるほど」
「昼は目立つから夜に決行しようと思っていたのですけど、先程城の兵士の位置などを観察している時、たまたま兵士が持ち場を離れたんです。忍び込むには今しかチャンスはないと思い、意気揚々と侵入したは良いんですけど――」
「見つかっちゃったわけね」
「はい……。それで兵士に追われて、先程までに至るという事です……」
 カマルさんはシュンと項垂れてしまい、悲しそうに目を伏せた。
「どんな悪事をしたのかと思えば、そんな事だったのね~。悪いことしたなら真っ先に兵士に突き出してやろうと思ってたけどそういう事なら~」
 桜はカマルさんの方へ身を乗り出して、カマルさんの鼻先をツンとつついてウィンクをした。
「あたし達が助けてアゲル」
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