神様のお導き

ヤマト

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5話目!桜の章 恋情フォルティッシモ!

5-6

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 桜の言う通り、床に転がる兵士たちはちょっとやそっとじゃ起きないようで、たまにうっかり物音などを立ててしまったり、兵士に躓いたりしたけれど、誰一人としてピクリとも起きる気配はなかった。完全に熟睡している兵士たちの中を練り歩き、僕らは豪華な一室の部屋の前へと辿り着いた。
「ここが王子の部屋です」
 カマルさんは一度だけ王子の部屋に入ったことがあるようで、その部屋の装飾をよく覚えていた。桜は扉の前で寝ている兵士を横に退けて、思いっきりドアを開け放した。
「頼もー!」
 全員寝ているからそんなこと言っても、誰も返事をしてくれないにも関わらず、桜は大声でそう言った。寝ているとは言え、起きてしまうかもしれないから、もう少し慎重に動いて欲しいものだ。けれど、この魔法に関して一番理解しているのも彼女だし、間違ってもそんなことは口にはしなかった。
 大きな扉を開けると、豪華な天蓋ベッドの上で寝ている王子らしき人の姿があった。カマルさんは彼を見るなり、彼の傍へすぐさま駆け寄り、彼に寄り添った。
「あぁ……王子……。もう二度と会えないかと思ってました……」
 カマルさんの瞳は少しだけ潤んでおり、王子と再会出来たことが、本当に嬉しかったのだと感じさせられた。でも、すぐさま王子に向き直り、カマルさんは王子を起こすために必死に呼びかけた。
「王子、起きて下さい! 王子!」
 しかし、王子に声を掛けても、体を揺さぶっても、ピクリともせず、全く起きる気配がない。まぁ、そうだろう。そこら辺に転がっている兵士だって、僕らが何をしたって起きなかったのだから。
 桜がカマルさんの隣へ来て、「どいてちょえだい」と、カマルさんを王子の前から退かせた。桜は王子の顔の前に手を持ってきて、パチンと指を鳴らした。すると、その音と同時に王子は突然夢から覚めたように体をビクリと動かして、ハッとして目を覚ました。
「ッ……! なんだ……!?」
 目を覚まし、慌てた様子で辺りを見渡す王子に、カマルさんはいてもたってもいられず、勢い良く王子に抱きついた。
「王子!」
 抱きつかれた王子は目の前にいるカマルさんに目を丸くして驚いたあと、喜びに満ちた顔でカマルさんを抱き締め返した。
「カマル! なぜここに!?」
「王子を助けに来たんですよ! この方たちと一緒に!」
 カマルさんは自身の体を引いて、王子に僕らの姿が見えるようにして、僕らを簡単に紹介してくれた。
「あぁ、カマルを助けて下さりありがとうございました。なんとお礼を言ったら良いか……」
 感慨深そうに僕らにお礼を言う王子だが、桜が王子の言葉を遮った。
「待った待った! 込み入った話は後で! 今はさっさとこの城から抜け出すわよ! バーがもう閉店時間で、バーのマスターに開店時間まで店内貸切にしてもらってるから、バーに戻るわよ!」
 僕らは桜の言葉に頷き、すぐにその場を後にした。


 バーに戻ると、さっきまで僕らがいた部屋の中が大変なことになっていた。
「…………」
 桜はその光景に絶句した。桜に睨まれたその部屋にいたあの二人も我に返ったように絶句した。
 テーブルの上には数え切れないほどの量の食器が重ねられており、白さんと銀さんの手にはデザートを食べるためのスプーンが握られていた。この短時間で自分の座高と同じ高さぐらいの食器の量の食べ物を二人は平らげており、それに対して桜も予想外だったらしい。そして白さんと銀さんも彼女の表情を見て、自分たちが食べすぎたという事実に凍りついていた。
「ちょ、ちょっと食べすぎちゃったかな?」
「そ、そうかもね……。ちょっとね……」
 目線を泳がせながら言い訳しようとする白さんと銀さんに、桜は目を釣り上げて、大きな怒鳴り声を上げた。
「ちょっとって量じゃないわよぉおおおおおおおお!!!」
「ヒィッ」
「うっ……」
「良いこと!? このバーは閉店時間から開店時間まで貸切にしてもらうからお金はかなり上乗せして払ってる! でもね! ご飯は! こんなに食べちゃって上乗せ分だけじゃ足りないし、そもそも! 食材の在庫にだって限りがあんの! 仕入れとかどうすんのよ!? 明日も営業すんのよ!? わかってる!?」
 その後、しばらくの間、白さんと銀さんは桜に叱られていた。なんか、白さんはしっかりしてて、どちらかと言えば叱る側のことが多いから、桜に叱られているのは新鮮に見えた。
 そして、桜の説教が終わったところで、王子にこれまでの経緯を説明した。
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