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5話目!桜の章 恋情フォルティッシモ!
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「なるほど。事情は大体把握した」
これまでの経緯の説明に、王子は納得いった様子で相槌をついた。
「本当に、この度のご尽力、感謝致します」
王子は桜に深々と頭を下げて、精一杯の感謝の気持ちと敬意を表した。
「そんなかしこまんなくて良いわよ。別にお礼が欲しくて助けたわけじゃないし。結婚式にはお呼ばれするつもりだけど」
「しかし、その結婚式も開けるかどうか……」
王子は目を伏せて、悲しそうにカマルさんの手に自分の手を重ねた。
「私はもう、父上とは分かり合えないと思っています。だから――」
心配そうに王子を見つめるカマルさんを王子は見つめ返し、意を決したように口を開いた。
「私は――カマルと駆け落ちしようと思っています」
「えっ!?」
王子の言葉にカマルさん自身も目を見開き驚いた。カマルさんも王子が駆け落ちしようと考えていたことなど聞かされていなかったようだ。しかし、驚いたのは僕とカマルさんだけで、桜も白さんも銀さんも特にリアクションはなく「ふぅん」と相槌を打つだけだった。
「でも、王子が駆け落ちなんて……国はどうするんですか!?」
僕は後先考えない王子の発言に、慌ててそう聞いた。王子は目を伏せたまま、何かをぐっと堪えるように、小さな声で僕の質問に答えてくれた。
「国は……また後継者を作るでしょう。私などいなくとも世界は回る……」
「だめです、王子! そんな……」
王子の言葉にカマルさんも慌てた様子で王子を止めに入った。けれど、王子の決心は固いようで、どうしたってその考えをねじ曲げることはしなかった。
緊迫した空気が流れる中、桜がパンパンと両手を叩いて、その空気を仕切り直した。
「駆け落ち上等。後継者を作るも結構。でも、その話は後にしない?」
両手に腰を当て、ソファから立ち上がる桜に、僕らは一斉に桜へと視線を向ける。
「駆け落ちする前にさ、ちょっと試したいことがあんのよね」
そう言ってウィンクする桜に、僕と王子とカマルさんは不思議そうに首を傾げた。白さんと銀さんはそんな話を他所にして、銀さんに白さんが膝枕をして二人の世界に入っていた。
僕らは自信満々に胸を張る桜の話を聞いた。しかし、それはあまり現実的なものではなく、皆、納得いかずに顔を顰めるのであった。
「だーかーらー! 王様たちにカマルのダンスを披露するのよ! カマルが婚約者として断られたのは何? 踊り子だから? それともこの街の出身者じゃないから? そんな価値観覆すぐらいのダンスを見せりゃ、王様も納得して結婚認めてくれんじゃないのー? やっぱり踊り子は素晴らしい! この出身者であるものでもここまで郷土愛のダンスは踊れない! ってさ」
桜の考えは、国王にカマルのダンスを見てもらうと言うものだった。それに対して王子は言葉を濁した。
「し、しかし、そもそも父上には門前払いで、踊りを披露するどころか、門前払いになるのでは……」
王子の意見は最もだ。この前彼らは国王と話を試みようとして、間髪入れずに話を強制的に終わらせられてしまったのだ。また国王に話をするにしても、付け入る隙があるかどうか……。しかし、桜はそんなこと気にする様子もなく、自分の胸をドンと叩いて、ニッコリと笑った。
「そこらへんは大丈夫! あたしに任せなさい!」
「はぁ……」
具体的な意見を出さない桜に、王子もカマルさんも曖昧な返事を返す。そんなこと構わずに桜は話を続ける。
「だからさ、駆け落ちだって、その後でも良いじゃない。失敗したら駆け落ちでもなんでもあたしがちゃんと助けてあげる。まずは一回王様と向き合お」
皆を安心させるように優しい笑みを浮かべて、柔らかくそう言う桜に、カマルさんはその気持ちを受け取ったのか、自分を納得させるように深く頷き、キリッとした眼差しで桜を見返した。
「わかりました。私、やります!」
カマルさんの固い決意に、僕と王子は驚いて彼女を見た。
「私の踊りがどこまで通用するかはわかりませんが、サクラさんが道を切り開いてくれるというのなら、全力で踊らせていただきます!」
「カマル!」
王子はカマルさんを止めようと、一瞬手を動かしたが、その手を途中で止めて、ギュッと拳を握って何かを堪えているようだった。
そして、王子もカマルさんと同じように意を決したようで、真面目な表情で桜を見た。
「わかった。カマルがここまで覚悟を決めてるんだ。恋人の私が乗らない訳にはいかない! 私も楽器が弾けるんだ。カマルのダンスに合わせられる曲を何曲か弾ける。私も共に戦わせてくれ!」
共に戦う。それがどれほどの決意を持つものなのか。それはきっとカマルさんと王子にしかわからないことだろう。二人の返事を聞いて、桜は納得したように二人を見て頷いた。
「わかったわ! じゃあ、期限は今日の昼までよ! 昼までに曲とダンスを完成させて、王様のとこへ向かう! 道はあたしが切り開く! アンタたち二人はあたしを信じて着いてきて!」
桜がこれ程までに頼もしいとは。僕には今、桜に後光が見える。二人も桜の頼もしい言葉にさっきまで暗かった顔がパッと明るくなり、桜の言葉に深く頷いた。これもきっと桜の持つ長所の一つだ。彼女は色んな人を照らし、笑顔にさせてくれる。素晴らしい女性なのだ。
これまでの経緯の説明に、王子は納得いった様子で相槌をついた。
「本当に、この度のご尽力、感謝致します」
王子は桜に深々と頭を下げて、精一杯の感謝の気持ちと敬意を表した。
「そんなかしこまんなくて良いわよ。別にお礼が欲しくて助けたわけじゃないし。結婚式にはお呼ばれするつもりだけど」
「しかし、その結婚式も開けるかどうか……」
王子は目を伏せて、悲しそうにカマルさんの手に自分の手を重ねた。
「私はもう、父上とは分かり合えないと思っています。だから――」
心配そうに王子を見つめるカマルさんを王子は見つめ返し、意を決したように口を開いた。
「私は――カマルと駆け落ちしようと思っています」
「えっ!?」
王子の言葉にカマルさん自身も目を見開き驚いた。カマルさんも王子が駆け落ちしようと考えていたことなど聞かされていなかったようだ。しかし、驚いたのは僕とカマルさんだけで、桜も白さんも銀さんも特にリアクションはなく「ふぅん」と相槌を打つだけだった。
「でも、王子が駆け落ちなんて……国はどうするんですか!?」
僕は後先考えない王子の発言に、慌ててそう聞いた。王子は目を伏せたまま、何かをぐっと堪えるように、小さな声で僕の質問に答えてくれた。
「国は……また後継者を作るでしょう。私などいなくとも世界は回る……」
「だめです、王子! そんな……」
王子の言葉にカマルさんも慌てた様子で王子を止めに入った。けれど、王子の決心は固いようで、どうしたってその考えをねじ曲げることはしなかった。
緊迫した空気が流れる中、桜がパンパンと両手を叩いて、その空気を仕切り直した。
「駆け落ち上等。後継者を作るも結構。でも、その話は後にしない?」
両手に腰を当て、ソファから立ち上がる桜に、僕らは一斉に桜へと視線を向ける。
「駆け落ちする前にさ、ちょっと試したいことがあんのよね」
そう言ってウィンクする桜に、僕と王子とカマルさんは不思議そうに首を傾げた。白さんと銀さんはそんな話を他所にして、銀さんに白さんが膝枕をして二人の世界に入っていた。
僕らは自信満々に胸を張る桜の話を聞いた。しかし、それはあまり現実的なものではなく、皆、納得いかずに顔を顰めるのであった。
「だーかーらー! 王様たちにカマルのダンスを披露するのよ! カマルが婚約者として断られたのは何? 踊り子だから? それともこの街の出身者じゃないから? そんな価値観覆すぐらいのダンスを見せりゃ、王様も納得して結婚認めてくれんじゃないのー? やっぱり踊り子は素晴らしい! この出身者であるものでもここまで郷土愛のダンスは踊れない! ってさ」
桜の考えは、国王にカマルのダンスを見てもらうと言うものだった。それに対して王子は言葉を濁した。
「し、しかし、そもそも父上には門前払いで、踊りを披露するどころか、門前払いになるのでは……」
王子の意見は最もだ。この前彼らは国王と話を試みようとして、間髪入れずに話を強制的に終わらせられてしまったのだ。また国王に話をするにしても、付け入る隙があるかどうか……。しかし、桜はそんなこと気にする様子もなく、自分の胸をドンと叩いて、ニッコリと笑った。
「そこらへんは大丈夫! あたしに任せなさい!」
「はぁ……」
具体的な意見を出さない桜に、王子もカマルさんも曖昧な返事を返す。そんなこと構わずに桜は話を続ける。
「だからさ、駆け落ちだって、その後でも良いじゃない。失敗したら駆け落ちでもなんでもあたしがちゃんと助けてあげる。まずは一回王様と向き合お」
皆を安心させるように優しい笑みを浮かべて、柔らかくそう言う桜に、カマルさんはその気持ちを受け取ったのか、自分を納得させるように深く頷き、キリッとした眼差しで桜を見返した。
「わかりました。私、やります!」
カマルさんの固い決意に、僕と王子は驚いて彼女を見た。
「私の踊りがどこまで通用するかはわかりませんが、サクラさんが道を切り開いてくれるというのなら、全力で踊らせていただきます!」
「カマル!」
王子はカマルさんを止めようと、一瞬手を動かしたが、その手を途中で止めて、ギュッと拳を握って何かを堪えているようだった。
そして、王子もカマルさんと同じように意を決したようで、真面目な表情で桜を見た。
「わかった。カマルがここまで覚悟を決めてるんだ。恋人の私が乗らない訳にはいかない! 私も楽器が弾けるんだ。カマルのダンスに合わせられる曲を何曲か弾ける。私も共に戦わせてくれ!」
共に戦う。それがどれほどの決意を持つものなのか。それはきっとカマルさんと王子にしかわからないことだろう。二人の返事を聞いて、桜は納得したように二人を見て頷いた。
「わかったわ! じゃあ、期限は今日の昼までよ! 昼までに曲とダンスを完成させて、王様のとこへ向かう! 道はあたしが切り開く! アンタたち二人はあたしを信じて着いてきて!」
桜がこれ程までに頼もしいとは。僕には今、桜に後光が見える。二人も桜の頼もしい言葉にさっきまで暗かった顔がパッと明るくなり、桜の言葉に深く頷いた。これもきっと桜の持つ長所の一つだ。彼女は色んな人を照らし、笑顔にさせてくれる。素晴らしい女性なのだ。
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