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6話目!黒乃の章 記憶の足跡
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「……うぅ、ぐすっ……」
「なんだよ、泣いてんのか?」
僕は黒猫と少女の様子を少し遠くから見守っていて、声が聞こえないように静かに息を殺して泣いていた。黒乃にその事を指摘されて!僕は急いでゴシゴシと目を擦った。
「泣いてない!」
精一杯の強がりだったけど、黒乃は特に言及せずに「はいはい」と、笑って軽く流してくれた。
「さて、あの黒猫は幽霊であの女の子にもう一度お礼が言いたくて、この世をさ迷っていたわけだけど、これで未練も無くなり成仏したわけだ」
「黒乃は最初からあの黒猫が幽霊だって気付いてたの?」
黒乃は今までの過程を見ても、黒猫が幽霊だと気付いていたっぽい。それを聞くと、黒乃は逆に僕にびっくりしていた。
「あったり前だろ。寧ろ気付いてなかったのか!? じゃあ今までの言動は何だったんだよ?」
「え、あ、いやー……あの猫ちゃん、捨てられたのかと思って……」
どうも良い具合に話が噛み合ってしまったせいで、僕らは互いに認識が違うことに気付かずにいたらしい。
「でも僕、幽霊なんて初めて見たよ。あんなにハッキリと見えて、あんなにハッキリと喋れるもんなんだね」
僕がそう言うと、黒乃は「あー」と、頭をボリボリ掻きながら、視線を宙にさ迷わせた。どうやら思い当たる節があるらしい。
「お前、あれだろ? 言えば一回死んでんだろ?」
「へ? あ、あ~? どうなんだろ、そう、なる、のか……な?」
実際、自分でもよくわからない。けれど、あの時やっぱり僕は死んでいたのだろう。多分。
「だから、一回死んだから、霊との結びつきが強くなってんだよ。んで、あの猫はたまたまお前との波長がかなり合ってたから、姿形、声、それぞれハッキリ見えて聞こえたってわけ」
「なるほど……」
「だから、俺、最初正直びっくりしてたんだぜ?」
「え、何が?」
「だって、聞こえるはずのない猫の声に反応して探し出す上、見えるはずのない猫の姿を見つけて助けようとしてたんだからな」
「あ~……」
そう言われると、そうか。
「最初から幽霊だって気付いてて助けてるのかと思ったわ」
「なんか、ごめん」
僕達は一連の出来事を簡潔に纏め、お互い納得し合った。そして、取り残された少女を見ると、まだ溢れる涙をゴシゴシと必死に拭っていた。
「まだ最後の仕事が残ってんぞ」
僕は黒乃に軽く背中を叩かれた。僕もその事についてはきっちりやらなきゃなと思っていたから、「うん!」と、力いっぱい答えた。
そうだ、僕はどんな結果であれ、最後まで君の味方だと誓ったんだ。だから、僕は、最後に君がやり残したことをやるよ。
僕らは一人蹲る少女の前で立ち止まった。少女はハッとして、僕らの顔を見て、少し怯えた様子で僕らを見上げていた。
「急に現れてごめんね。びっくりしたよね」
僕は出来るだけ彼女を怖がらせないように、柔らかい口調でそう言った。
「僕らはね、君の友達――家族から頼まれたことがあって、それを果たしに来たんだ」
そう言うと、少女は少し警戒心を解いたのか、不思議そうな顔をして、黙って小首を傾げた。
「はい、これ。ミヤからの贈り物」
そう、これは、あの黒猫ミヤからの最後の贈り物。市場で必死に少女に似合うものを探してやっとお眼鏡にかなった花のヘアゴム。
少女はミヤという名前を聞くや否や、すぐにそのプレゼントの箱を受け取り、急いでその箱を開けた。
「これ……」
「ミヤが自分で選んだんだ。君が誕生日のときいつもこの花を貰うからって。君の髪はながいから、いつも髪を束ねるんだって」
「あ……あぁっ!」
少女はまた、ワッと泣き出してしまった。けれど、それは悲しみの涙では無い。リリーは大事そうにそのプレゼントを胸に抱き、涙が枯れるほど泣いた。
そして、しばらくしてリリーが泣き止み、落ち着いた頃。
「あの、ありがとうございます」
「え? あ、いや、僕らは何も」
「でも、ミヤに会わせてくれたのって、きっと貴方たちですよね? それにプレゼントまで……」
「えっと……」
僕は黒乃が神を隠してるのか隠してないのかわからないけど、それを言っても良いのかわからなくて、言い淀んでいると、黒乃がすかさず間に割って入って、僕の代わりに答えてくれた。
「俺たちはただ、偶然その猫と会って、たまたまその願いの手助けをしただけさ。みんなには内緒だぞ」
「はい! わかりました! 絶対誰にも言いません!」
黒乃はそう言って、桜みたいなウィンクをした。こうして見ると、桜と黒乃ってわりと性格似てるかもしれない。
「あたしはもう一度ミヤに会えて嬉しかったから……」
少女はプレゼントの箱を地面に置いて、箱からヘアゴムを取り出すと、今結っていたヘアゴムを解いて、ミヤからのプレゼントのヘアゴムに結い直した。そして、その古いヘアゴムをプレゼントの箱に入れ直す。
「どうですか? 似合いますか?」
少女はクルクルと左右に顔を振って、色んな角度から髪を結ったヘアゴムを見せてくれる。ミヤの言った通り、ユリの花が彼女によく似合う。
「凄く似合ってるよ」
「あぁ、すっげー可愛いよ」
「えへへ」
僕らに褒められて、少女は照れくさそうに笑った。
「あの、あたしからもひとつお願い良いですか?」
「え? 何?」
少女からの唐突な質問に、僕らはキョトンとした顔をする。
「この古いヘアゴム、ミヤに渡して欲しいんです。ミヤが空の上でも寂しくないように」
それは凄く無理難題なお願い事だった。それはもう成仏して天に還ったミヤにヘアゴムを渡して欲しいとの事。そんなこと出来るのだろうか?
「あの、やっぱり無理ですか?」
少女が不安そうに差し出したプレゼントの箱を胸元に戻そうとすると、その手を黒乃がガッと掴んだ。
「いいや、出来るぜ? な、拓斗」
「! うん! 出来るよ!」
「本当ですか!? ありがとうございます! 絶対、絶対ですよ! 約束ですからね!」
少女と同じく僕も素で喜んでいると、黒乃に何故か頭をどつかれた。
「いてっ!? なんでぇ!?」
何故頭をどつかれたかわからないまま、黒乃は僕を無視して話を進めた。
「約束する。だからお前は早く元気になって、空にいるミヤを安心させてやんな」
「はい!」
「今は辛いかもしれないけど、君がミヤと過ごした日々は絶対成長する君の糧になる。ちゃんと幸せになってね」
僕らがそう言うと、少女はにっこりと笑顔を作って笑ってくれた。もう、この子は大丈夫そうだ。
「なんだよ、泣いてんのか?」
僕は黒猫と少女の様子を少し遠くから見守っていて、声が聞こえないように静かに息を殺して泣いていた。黒乃にその事を指摘されて!僕は急いでゴシゴシと目を擦った。
「泣いてない!」
精一杯の強がりだったけど、黒乃は特に言及せずに「はいはい」と、笑って軽く流してくれた。
「さて、あの黒猫は幽霊であの女の子にもう一度お礼が言いたくて、この世をさ迷っていたわけだけど、これで未練も無くなり成仏したわけだ」
「黒乃は最初からあの黒猫が幽霊だって気付いてたの?」
黒乃は今までの過程を見ても、黒猫が幽霊だと気付いていたっぽい。それを聞くと、黒乃は逆に僕にびっくりしていた。
「あったり前だろ。寧ろ気付いてなかったのか!? じゃあ今までの言動は何だったんだよ?」
「え、あ、いやー……あの猫ちゃん、捨てられたのかと思って……」
どうも良い具合に話が噛み合ってしまったせいで、僕らは互いに認識が違うことに気付かずにいたらしい。
「でも僕、幽霊なんて初めて見たよ。あんなにハッキリと見えて、あんなにハッキリと喋れるもんなんだね」
僕がそう言うと、黒乃は「あー」と、頭をボリボリ掻きながら、視線を宙にさ迷わせた。どうやら思い当たる節があるらしい。
「お前、あれだろ? 言えば一回死んでんだろ?」
「へ? あ、あ~? どうなんだろ、そう、なる、のか……な?」
実際、自分でもよくわからない。けれど、あの時やっぱり僕は死んでいたのだろう。多分。
「だから、一回死んだから、霊との結びつきが強くなってんだよ。んで、あの猫はたまたまお前との波長がかなり合ってたから、姿形、声、それぞれハッキリ見えて聞こえたってわけ」
「なるほど……」
「だから、俺、最初正直びっくりしてたんだぜ?」
「え、何が?」
「だって、聞こえるはずのない猫の声に反応して探し出す上、見えるはずのない猫の姿を見つけて助けようとしてたんだからな」
「あ~……」
そう言われると、そうか。
「最初から幽霊だって気付いてて助けてるのかと思ったわ」
「なんか、ごめん」
僕達は一連の出来事を簡潔に纏め、お互い納得し合った。そして、取り残された少女を見ると、まだ溢れる涙をゴシゴシと必死に拭っていた。
「まだ最後の仕事が残ってんぞ」
僕は黒乃に軽く背中を叩かれた。僕もその事についてはきっちりやらなきゃなと思っていたから、「うん!」と、力いっぱい答えた。
そうだ、僕はどんな結果であれ、最後まで君の味方だと誓ったんだ。だから、僕は、最後に君がやり残したことをやるよ。
僕らは一人蹲る少女の前で立ち止まった。少女はハッとして、僕らの顔を見て、少し怯えた様子で僕らを見上げていた。
「急に現れてごめんね。びっくりしたよね」
僕は出来るだけ彼女を怖がらせないように、柔らかい口調でそう言った。
「僕らはね、君の友達――家族から頼まれたことがあって、それを果たしに来たんだ」
そう言うと、少女は少し警戒心を解いたのか、不思議そうな顔をして、黙って小首を傾げた。
「はい、これ。ミヤからの贈り物」
そう、これは、あの黒猫ミヤからの最後の贈り物。市場で必死に少女に似合うものを探してやっとお眼鏡にかなった花のヘアゴム。
少女はミヤという名前を聞くや否や、すぐにそのプレゼントの箱を受け取り、急いでその箱を開けた。
「これ……」
「ミヤが自分で選んだんだ。君が誕生日のときいつもこの花を貰うからって。君の髪はながいから、いつも髪を束ねるんだって」
「あ……あぁっ!」
少女はまた、ワッと泣き出してしまった。けれど、それは悲しみの涙では無い。リリーは大事そうにそのプレゼントを胸に抱き、涙が枯れるほど泣いた。
そして、しばらくしてリリーが泣き止み、落ち着いた頃。
「あの、ありがとうございます」
「え? あ、いや、僕らは何も」
「でも、ミヤに会わせてくれたのって、きっと貴方たちですよね? それにプレゼントまで……」
「えっと……」
僕は黒乃が神を隠してるのか隠してないのかわからないけど、それを言っても良いのかわからなくて、言い淀んでいると、黒乃がすかさず間に割って入って、僕の代わりに答えてくれた。
「俺たちはただ、偶然その猫と会って、たまたまその願いの手助けをしただけさ。みんなには内緒だぞ」
「はい! わかりました! 絶対誰にも言いません!」
黒乃はそう言って、桜みたいなウィンクをした。こうして見ると、桜と黒乃ってわりと性格似てるかもしれない。
「あたしはもう一度ミヤに会えて嬉しかったから……」
少女はプレゼントの箱を地面に置いて、箱からヘアゴムを取り出すと、今結っていたヘアゴムを解いて、ミヤからのプレゼントのヘアゴムに結い直した。そして、その古いヘアゴムをプレゼントの箱に入れ直す。
「どうですか? 似合いますか?」
少女はクルクルと左右に顔を振って、色んな角度から髪を結ったヘアゴムを見せてくれる。ミヤの言った通り、ユリの花が彼女によく似合う。
「凄く似合ってるよ」
「あぁ、すっげー可愛いよ」
「えへへ」
僕らに褒められて、少女は照れくさそうに笑った。
「あの、あたしからもひとつお願い良いですか?」
「え? 何?」
少女からの唐突な質問に、僕らはキョトンとした顔をする。
「この古いヘアゴム、ミヤに渡して欲しいんです。ミヤが空の上でも寂しくないように」
それは凄く無理難題なお願い事だった。それはもう成仏して天に還ったミヤにヘアゴムを渡して欲しいとの事。そんなこと出来るのだろうか?
「あの、やっぱり無理ですか?」
少女が不安そうに差し出したプレゼントの箱を胸元に戻そうとすると、その手を黒乃がガッと掴んだ。
「いいや、出来るぜ? な、拓斗」
「! うん! 出来るよ!」
「本当ですか!? ありがとうございます! 絶対、絶対ですよ! 約束ですからね!」
少女と同じく僕も素で喜んでいると、黒乃に何故か頭をどつかれた。
「いてっ!? なんでぇ!?」
何故頭をどつかれたかわからないまま、黒乃は僕を無視して話を進めた。
「約束する。だからお前は早く元気になって、空にいるミヤを安心させてやんな」
「はい!」
「今は辛いかもしれないけど、君がミヤと過ごした日々は絶対成長する君の糧になる。ちゃんと幸せになってね」
僕らがそう言うと、少女はにっこりと笑顔を作って笑ってくれた。もう、この子は大丈夫そうだ。
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