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6.5話目! 十三神巡り
6.5-6 アクア編③
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その門の奥には豪華な玉座に座る、一人の女性の姿があった。その女性ほ青白いと言うか、少し青緑がかった血の気のない肌に青い唇。それに合わせた青いアイシャドウ。碧ちゃんと同じように目の下に雫のマークが付いていた。本来耳がある場所から大きなヒレのようなものが生えている。青く長い髪は頭のてっぺんで金の装飾で束ねられ、ユラユラと水中を揺れている。前髪は眉間を中心に左右真っ直ぐにヒレの上に向かって上斜めに切りそろえてあり、どくどくな髪型だ。服装も当然これといって纏っておらず、胸元を貝殻で隠しているだけだ。下半身は魚の尾びれになっており、足はない。手は僕らと変わり無く、爪は青いマニキュアか何かでコーティングされていた。
「ふふ、よく来たな。さぁ入れ。伊織の指示通り、中は人払いしてある。誰も入れん」
彼女が喋ったと同時に、後ろで開かれていた門がズズズと重い音を立てて閉まった。
「……なんかご機嫌ですね」
「え、そうなの?」
アキラくん曰く、アクアさんはご機嫌らしい。
僕らはアクアさんの玉座がある階段の前まで近付くと、そこで足を止めた。
「待ちわびていたぞ。事前に伊織からここに来ると聞いていたからな」
「これ菓子折です」
アキラくんはわりとマイペースにまず菓子折を渡した。菓子折は水中を漂ってユラユラとアクアさんの手の中に収まる。
一応アクアさんって女王様みたいな立場なのに、そんな礼儀作法もないような緩い感じで良いんだ……。そう思った。っていうか、水中でも食べれる菓子折って何なんだろう……。僕は不思議で堪らなかった。
「ふふ、水まんじゅうではないか。良い、良い。気に入ったぞ」
アクアさんは水まんじゅうが入っているらしいその紙袋を玉座の小脇に置いた。紙袋は僕らと同じく空気の膜が張ってあるようで濡れていない。どうやって紙袋捨てるんだろう。僕は不思議で堪らなかった。
僕が色んなことに疑問を抱いていると、アキラくんがアクアさんに僕のことを簡単に紹介してくれた。するとアクアさんは驚きの言葉を言い放った。
「タクトだろう? 知っているぞ」
「えっ!? 会ったことありましたっけ!?」
突然、今会ったばかりのアクアさんに僕の存在が認知されていることを知り、僕はびっくりして思わずそう聞いた。言葉遣いとかこんなんで大丈夫かな。あとでビビり散らす悪い癖。
「伊織から事前に新しい奴が来ることを聞いていたからな。どんな奴が来るのかと思って、貴様らがここに来るまでの道中、水鏡で見させてもらったんだ」
アクアさんがそう言うと、アクアさんの玉座の後ろにある楕円形の大きな鏡に先程までの僕らの姿が映った。
「あっ!」
「ふふ、どうだ? 便利だろう?」
「おお~」
僕は防犯カメラに自分が映っているような気持ちで水鏡を見て、簡単の声を上げる。アキラくんはそれを見て眉間に皺を寄せていた。やっぱりアキラくんは他人から見られることが好きじゃないらしい。
「それにしてもタクト、貴様、やるではないか」
「え?」
「道中に落ちていたゴミを拾い、海を綺麗にする。なまじ陸の者の行為とは思えんな。とても素晴らしい!」
「は、はい!」
なんかよくわからないけど、彼女に凄く褒められているらしく、僕は背筋をピンと伸ばしてぎこちなく頷いた。
「ご機嫌だった原因はこれか……」
隣でアキラくんがなんか呟いていたけど、僕はアクアさんに話しかけられた緊張から、それどころでは無かった。
「タクトよ、海は好きか?」
「え? はい! とても大好きです! 僕元々家が海辺の近くだったので、昔、よく潮干狩りとか海水浴に行ってたんですよ! とても綺麗な海でボランティアでゴミ拾いとかもしてたので、それで気になってゴミを……」
少し恥ずかしくなって、照れ隠しに頭をボリボリと掻いていると、アクアさんはこれ以上ないほど満面の笑みを浮かべた。
「うん、うん! 実に素晴らしい! おい、アキラ」
「う……っ。はい……」
「貴様も少しは見習えよ」
「……了解です」
な、なんだろう!? アキラくんと僕の立場が一瞬入れ替わったような気がした。アキラくんが諭されているのを見るのが初めてで、僕はギョッと目を丸くした。アキラくんは相変わらず眉間に皺を寄せていて、僕の服の袖をグイグイと引っ張った。
「すいませんが、彼女への質問は貴方に任せます……。先程と同じように彼女の体の調子と街の様子の変化だけ聞けば良いので……」
とてつもなく弱っている彼を見て、僕は仰天しながら、うんうんと何度も首を縦に振った。アキラくん、撃沈だな。
僕は緊張して、落ち着きなく両手をこまねきながら、アクアさんへ質問を投げかけた。
「えっと、じゃあ、すいませんが時間がないので、早速ご質問してもよろしいですか?」
「あぁ、良いぞ。貴様に免じて今日は何でも答えてやろう」
「個人的に聞きたいこともたくさんあるんですけど、いつもの質問を二つだけ。ご自身の体調などお変わりないですか?」
「あぁ、妾の体調は変わらず良好だ。体調管理は統治者として当然のこと」
「おお! 流石ですね! じゃあ、街や人々の様子は最近どうですか?」
「あぁ、貴様のような海を愛する者が少なく、海にゴミを投げ入れる奴も変わらずいるな、そろそろ津波か嵐でも起こしてやろうか」
「お、落ち着いてください! ほ、他に変わったこととかありませんか?」
「あぁ、他は別段気にすることなどない。海さえ美しければそれで良い」
わりと過激な思考の持ち主の方なんだな! 僕は再びピシャリと背筋を伸ばして、身の危険を感じた。そこで、やっとアキラくんが話に入ってきて、ここで話を切り上げる。
「質問は以上ですので、では、我々はこれで」
「ふむ。なんだ、もう帰るのか。本当に用件だけだな。まぁまた近いうち会うだろうし、その時ゆっくり話せば良いか。タクト」
「え!? はい!」
僕は帰り際に名前を呼ばれて呼び止められて、ピンと背筋を伸ばした。
「もしこの国に観光に来ることがあれば歓迎しよう。直々に案内もしてやるぞ」
「ははー! 有り難き幸せ!」
「ハッハッハッハッハッ! 愉快な奴だな!」
アクアさんに何がウケたのか分からないが、豪快に笑われて、僕も精一杯の笑顔を返す。
「では、またな、タクト。……あぁ、それからアキラも」
「ええ、では失礼致します」
「ではまた!」
僕らはそそくさと城を後にし、急いで陸地へと戻った。その間アキラくんは何度もため息を吐いていた。
「正直、僕はあの方やあの国の方が苦手なんですが、今回は貴方がいて本当に良かったです……。ありがとうございます……。まさか一発で貴方がアクアさんに気に入られるとは……。ビギナーズラックとはこのことか……!」
アキラくんはもう今日一日のエネルギーを使い切ってしまったかのように、ヘトヘトで今にも血反吐を吐きそうであった。
「ふふ、よく来たな。さぁ入れ。伊織の指示通り、中は人払いしてある。誰も入れん」
彼女が喋ったと同時に、後ろで開かれていた門がズズズと重い音を立てて閉まった。
「……なんかご機嫌ですね」
「え、そうなの?」
アキラくん曰く、アクアさんはご機嫌らしい。
僕らはアクアさんの玉座がある階段の前まで近付くと、そこで足を止めた。
「待ちわびていたぞ。事前に伊織からここに来ると聞いていたからな」
「これ菓子折です」
アキラくんはわりとマイペースにまず菓子折を渡した。菓子折は水中を漂ってユラユラとアクアさんの手の中に収まる。
一応アクアさんって女王様みたいな立場なのに、そんな礼儀作法もないような緩い感じで良いんだ……。そう思った。っていうか、水中でも食べれる菓子折って何なんだろう……。僕は不思議で堪らなかった。
「ふふ、水まんじゅうではないか。良い、良い。気に入ったぞ」
アクアさんは水まんじゅうが入っているらしいその紙袋を玉座の小脇に置いた。紙袋は僕らと同じく空気の膜が張ってあるようで濡れていない。どうやって紙袋捨てるんだろう。僕は不思議で堪らなかった。
僕が色んなことに疑問を抱いていると、アキラくんがアクアさんに僕のことを簡単に紹介してくれた。するとアクアさんは驚きの言葉を言い放った。
「タクトだろう? 知っているぞ」
「えっ!? 会ったことありましたっけ!?」
突然、今会ったばかりのアクアさんに僕の存在が認知されていることを知り、僕はびっくりして思わずそう聞いた。言葉遣いとかこんなんで大丈夫かな。あとでビビり散らす悪い癖。
「伊織から事前に新しい奴が来ることを聞いていたからな。どんな奴が来るのかと思って、貴様らがここに来るまでの道中、水鏡で見させてもらったんだ」
アクアさんがそう言うと、アクアさんの玉座の後ろにある楕円形の大きな鏡に先程までの僕らの姿が映った。
「あっ!」
「ふふ、どうだ? 便利だろう?」
「おお~」
僕は防犯カメラに自分が映っているような気持ちで水鏡を見て、簡単の声を上げる。アキラくんはそれを見て眉間に皺を寄せていた。やっぱりアキラくんは他人から見られることが好きじゃないらしい。
「それにしてもタクト、貴様、やるではないか」
「え?」
「道中に落ちていたゴミを拾い、海を綺麗にする。なまじ陸の者の行為とは思えんな。とても素晴らしい!」
「は、はい!」
なんかよくわからないけど、彼女に凄く褒められているらしく、僕は背筋をピンと伸ばしてぎこちなく頷いた。
「ご機嫌だった原因はこれか……」
隣でアキラくんがなんか呟いていたけど、僕はアクアさんに話しかけられた緊張から、それどころでは無かった。
「タクトよ、海は好きか?」
「え? はい! とても大好きです! 僕元々家が海辺の近くだったので、昔、よく潮干狩りとか海水浴に行ってたんですよ! とても綺麗な海でボランティアでゴミ拾いとかもしてたので、それで気になってゴミを……」
少し恥ずかしくなって、照れ隠しに頭をボリボリと掻いていると、アクアさんはこれ以上ないほど満面の笑みを浮かべた。
「うん、うん! 実に素晴らしい! おい、アキラ」
「う……っ。はい……」
「貴様も少しは見習えよ」
「……了解です」
な、なんだろう!? アキラくんと僕の立場が一瞬入れ替わったような気がした。アキラくんが諭されているのを見るのが初めてで、僕はギョッと目を丸くした。アキラくんは相変わらず眉間に皺を寄せていて、僕の服の袖をグイグイと引っ張った。
「すいませんが、彼女への質問は貴方に任せます……。先程と同じように彼女の体の調子と街の様子の変化だけ聞けば良いので……」
とてつもなく弱っている彼を見て、僕は仰天しながら、うんうんと何度も首を縦に振った。アキラくん、撃沈だな。
僕は緊張して、落ち着きなく両手をこまねきながら、アクアさんへ質問を投げかけた。
「えっと、じゃあ、すいませんが時間がないので、早速ご質問してもよろしいですか?」
「あぁ、良いぞ。貴様に免じて今日は何でも答えてやろう」
「個人的に聞きたいこともたくさんあるんですけど、いつもの質問を二つだけ。ご自身の体調などお変わりないですか?」
「あぁ、妾の体調は変わらず良好だ。体調管理は統治者として当然のこと」
「おお! 流石ですね! じゃあ、街や人々の様子は最近どうですか?」
「あぁ、貴様のような海を愛する者が少なく、海にゴミを投げ入れる奴も変わらずいるな、そろそろ津波か嵐でも起こしてやろうか」
「お、落ち着いてください! ほ、他に変わったこととかありませんか?」
「あぁ、他は別段気にすることなどない。海さえ美しければそれで良い」
わりと過激な思考の持ち主の方なんだな! 僕は再びピシャリと背筋を伸ばして、身の危険を感じた。そこで、やっとアキラくんが話に入ってきて、ここで話を切り上げる。
「質問は以上ですので、では、我々はこれで」
「ふむ。なんだ、もう帰るのか。本当に用件だけだな。まぁまた近いうち会うだろうし、その時ゆっくり話せば良いか。タクト」
「え!? はい!」
僕は帰り際に名前を呼ばれて呼び止められて、ピンと背筋を伸ばした。
「もしこの国に観光に来ることがあれば歓迎しよう。直々に案内もしてやるぞ」
「ははー! 有り難き幸せ!」
「ハッハッハッハッハッ! 愉快な奴だな!」
アクアさんに何がウケたのか分からないが、豪快に笑われて、僕も精一杯の笑顔を返す。
「では、またな、タクト。……あぁ、それからアキラも」
「ええ、では失礼致します」
「ではまた!」
僕らはそそくさと城を後にし、急いで陸地へと戻った。その間アキラくんは何度もため息を吐いていた。
「正直、僕はあの方やあの国の方が苦手なんですが、今回は貴方がいて本当に良かったです……。ありがとうございます……。まさか一発で貴方がアクアさんに気に入られるとは……。ビギナーズラックとはこのことか……!」
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