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6.5話目! 十三神巡り
6.5-7 ヴェントゥス編
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海を後にした僕らは少し感覚酔いをさましてからとある街のカフェへと足を踏み入れた。わりと小洒落たカフェで、男女問わず沢山の若いお客さんで賑わっていた。アキラくんは店員さんに「ここで待ち合わせしているんですけど」と言っていて、休憩しにこの場所に来たわけじゃないのだと知る。僕らは店員さんに案内されて、店内ではなく、外にあるテラス側の席へ向かった。すると、テラスの端の席で手を振る一人の男性の姿があった。
「アキラ、ここ、ここ」
彼は穏やかそうな人で、ニコニコと笑って、そちらに手招きしてくれた。僕らは店員さんと別れ、その席へと招かれる。
「やぁ、こんにちは」
「こんにちは、ヴェントゥスさん。拓斗さん、こちら風の神、ヴェントゥスさん」
「初めまして。俺のことは気軽にヴェントゥスって呼んでくれるかな」
「あっはい! ヴェ、ヴェントゥス……!」
とても爽やかな笑みを浮かべるヴェントゥス。穏やかな口調で優しそうな感じの人だ。
「彼は放浪癖があるので、いつも定位置にいないんですよ。だから、いつも適当な街のカフェなどで待ち合わせするんです」
「放浪癖だなんて酷いな。色んな国を旅するのが好きなだけだよ」
風の旅人……!
僕は内心密かにそう思った。しかし、なんだろう、結構落ち着いた雰囲気の割に、テーブルの上の灰皿には何本も煙草の吸殻が捨てられている。よく見ればピアスもかなり開いているし、耳だけには留まらず、口にもピアスが開いている。黒乃も眉の上にピアスをつけていたけど、彼もなかなかロックな感じの人だ。そんな雰囲気はないのに。ギャップと言うやつか? 服装は長い襟巻きを巻いて、旅人らしい格好をしている。そして、ちょっとゴツめの指輪もしていた。ロックな感じが好きなのかな?
僕がそうやってヴェントゥスを観察している間に、アキラくんが僕のことをヴェントゥスに紹介してくれる。
「ヴェントゥスさん、こちら拓斗さん。うちで雇って家政夫みたいなことをしてもらっています」
「うん、伊織から聞いてるよ。何でも過去の世界から来たらしいね。とても興味があるなぁ」
ヴェントゥスはニコニコしたまま僕のことをじっと見つめた。あんまり見られると少し緊張してしまう。
「まぁ立ち話もなんだし、座りなよ。あと、デザートでも頼みな。俺が奢るからさ」
ヴェントゥスに促され、僕らはそれぞれ空いている席に座る。メニュー表を渡されて、僕は早速それに目を通した。
「カフェに来て何も頼まないのは失礼ですし、ここはお言葉に甘えておきましょう」
「うんうん、そうしな、そうしな。値段は気にしなくて良いからね」
「ありがとうございます!」
僕とアキラくんはそれぞれ食べたいものを一つ選んで、店員さんを呼んで注文した。
「はい、これ菓子折りです」
アキラくんはヴェントゥスにお菓子の入った紙袋を渡すと、ヴェントゥスは嬉しそうに驚いた。
「わお! ありがとう」
ヴェントゥスはすぐに紙袋の中身を確認して「いいね、美味しそうだ」と、上機嫌であった。
「注文したものが届くまで、拓斗の話を色々聞きたいところだけど、先にいつもの質問に答えた方が良いのかな?」
ヴェントゥスは変わらずニコニコとした様子で、好奇に満ちた目で僕を見ていた。そんなに期待されても大した話は持っていない。僕からしたらこっちの世界の方がよっぽとファンタジーで面白いのに。
「そうですね、じゃあ先にさっさと質問させて貰いましょうか」
アキラくんはヴェントゥスの好奇の視線を断ち切って、直ぐに質問に取り掛かった。ヴェントゥスは分かってはいたものの、少し残念そうに笑って、軽くため息を吐いていた。
「では、体の調子はどうですか?」
「うん、問題ないよ。問題あったら今日ここには居ないしね」
「変わらないようで何よりです。では、世界の変化についてどうでしょう? 何か変わった出来事や街の様子などはありましたか?」
「そうだねぇ。もう誰かが言ってるかもしれないけど、最近は魔族の動きが活発かな。旅しててもよくない噂とか聞くよ。それから、人間同士のイザコザも大変そうだね。レナトゥスも雲行きが怪しい」
……僕は本を読んでいるお陰でヴェントゥスの言ってることが何となくわかった。レナトゥスとはこの世界で一番大きい国のことだ。どうもその国が今大変らしい。フランマも言ってたけど、魔族の動きも活発らしい。この世界の情勢についてはよく知らないけど、大変なんだな、としみじみ思った。
「さすが、世界を放浪してるだけはありますね。世の中の情勢に詳しい」
「ははは。もっと聞きたければ詳しく話すよ?」
「いえ、結構です」
アキラくんは愉快そうに笑いかけるヴェントゥスの言葉をピシャリと断った。ヴェントゥスはそんなアキラくんに「つれないな~」と言って、軽口を叩いていた。
「あ、そうそう、これは極秘情報なんだけどさ~」
途端にヴェントゥスの雰囲気が一変する。顔は笑っているのに目は笑っていない。ヴェントゥスは両肘をテーブルの上につき、両手の指先を左右合わせて、鋭い目つきでアキラくんを見据えた。
「ニル・オムニアの動向には気を付けて」
「…………!」
「?」
アキラくんは何か悟ったような顔をしていたが、僕はニル・オムニアがなんなのか分からず、意味がわからないまま目をパチクリとさせていた。
「俺はさ、下克上とかそういうものには興味ないんだよね。今のこの自由な生き方も気に入ってるし、そういう争い事は好まない。だから俺はいつだって君たちの味方だし、もっと情報を探れって言うなら喜んで協力するよ」
「ご好意ありがとうございます」
「いえいえ~。もし俺の力が必要になったらいつでも言ってね~」
ヴェントゥスはまた先程のような軽く明るい雰囲気に戻り、ヒラヒラと手を振った。僕にはアキラくんたちが何を話しているか、全然意味はわからなかったが、あまり深く突っ込んではいけないということはわかった。何も喋れず、少し気まずい雰囲気が流れそうになった頃、タイミング良く頼んでいたデザートが届いた。
「お待たせ致しました~」
店員さんの明るい声が響き、出てきた特大パフェに僕も胸を躍らせる。
「はぁ~!」
僕が目をキラキラと輝かせていると、片肘をついて、手に顎を乗せながら、ヴェントゥスさんは温かい眼差しで僕を見ていた。
「甘いもの好きなんだね~。いっぱいお食べ」
「あ、ありがとうございます」
「君はわかりやすくて良いね。ほら、アキラは無表情だからさ。アキラも見習いな~」
アキラくんはアクアさんに続き、ヴェントゥスにまでも軽く説教? され、何処か不機嫌そうに顔を顰めていた。
「質問には答えたんだし、食べ終わるまで君のいた世界の話、聞かせてよ」
その後、僕はパフェが食べ終わるまで、元いた場所の話を延々とさせられた。何ら面白い話は無いはずなのだが、それでもヴェントゥスはその話が面白いのか、ずっと彼から色んな質問を投げかけられていた。
「アキラ、ここ、ここ」
彼は穏やかそうな人で、ニコニコと笑って、そちらに手招きしてくれた。僕らは店員さんと別れ、その席へと招かれる。
「やぁ、こんにちは」
「こんにちは、ヴェントゥスさん。拓斗さん、こちら風の神、ヴェントゥスさん」
「初めまして。俺のことは気軽にヴェントゥスって呼んでくれるかな」
「あっはい! ヴェ、ヴェントゥス……!」
とても爽やかな笑みを浮かべるヴェントゥス。穏やかな口調で優しそうな感じの人だ。
「彼は放浪癖があるので、いつも定位置にいないんですよ。だから、いつも適当な街のカフェなどで待ち合わせするんです」
「放浪癖だなんて酷いな。色んな国を旅するのが好きなだけだよ」
風の旅人……!
僕は内心密かにそう思った。しかし、なんだろう、結構落ち着いた雰囲気の割に、テーブルの上の灰皿には何本も煙草の吸殻が捨てられている。よく見ればピアスもかなり開いているし、耳だけには留まらず、口にもピアスが開いている。黒乃も眉の上にピアスをつけていたけど、彼もなかなかロックな感じの人だ。そんな雰囲気はないのに。ギャップと言うやつか? 服装は長い襟巻きを巻いて、旅人らしい格好をしている。そして、ちょっとゴツめの指輪もしていた。ロックな感じが好きなのかな?
僕がそうやってヴェントゥスを観察している間に、アキラくんが僕のことをヴェントゥスに紹介してくれる。
「ヴェントゥスさん、こちら拓斗さん。うちで雇って家政夫みたいなことをしてもらっています」
「うん、伊織から聞いてるよ。何でも過去の世界から来たらしいね。とても興味があるなぁ」
ヴェントゥスはニコニコしたまま僕のことをじっと見つめた。あんまり見られると少し緊張してしまう。
「まぁ立ち話もなんだし、座りなよ。あと、デザートでも頼みな。俺が奢るからさ」
ヴェントゥスに促され、僕らはそれぞれ空いている席に座る。メニュー表を渡されて、僕は早速それに目を通した。
「カフェに来て何も頼まないのは失礼ですし、ここはお言葉に甘えておきましょう」
「うんうん、そうしな、そうしな。値段は気にしなくて良いからね」
「ありがとうございます!」
僕とアキラくんはそれぞれ食べたいものを一つ選んで、店員さんを呼んで注文した。
「はい、これ菓子折りです」
アキラくんはヴェントゥスにお菓子の入った紙袋を渡すと、ヴェントゥスは嬉しそうに驚いた。
「わお! ありがとう」
ヴェントゥスはすぐに紙袋の中身を確認して「いいね、美味しそうだ」と、上機嫌であった。
「注文したものが届くまで、拓斗の話を色々聞きたいところだけど、先にいつもの質問に答えた方が良いのかな?」
ヴェントゥスは変わらずニコニコとした様子で、好奇に満ちた目で僕を見ていた。そんなに期待されても大した話は持っていない。僕からしたらこっちの世界の方がよっぽとファンタジーで面白いのに。
「そうですね、じゃあ先にさっさと質問させて貰いましょうか」
アキラくんはヴェントゥスの好奇の視線を断ち切って、直ぐに質問に取り掛かった。ヴェントゥスは分かってはいたものの、少し残念そうに笑って、軽くため息を吐いていた。
「では、体の調子はどうですか?」
「うん、問題ないよ。問題あったら今日ここには居ないしね」
「変わらないようで何よりです。では、世界の変化についてどうでしょう? 何か変わった出来事や街の様子などはありましたか?」
「そうだねぇ。もう誰かが言ってるかもしれないけど、最近は魔族の動きが活発かな。旅しててもよくない噂とか聞くよ。それから、人間同士のイザコザも大変そうだね。レナトゥスも雲行きが怪しい」
……僕は本を読んでいるお陰でヴェントゥスの言ってることが何となくわかった。レナトゥスとはこの世界で一番大きい国のことだ。どうもその国が今大変らしい。フランマも言ってたけど、魔族の動きも活発らしい。この世界の情勢についてはよく知らないけど、大変なんだな、としみじみ思った。
「さすが、世界を放浪してるだけはありますね。世の中の情勢に詳しい」
「ははは。もっと聞きたければ詳しく話すよ?」
「いえ、結構です」
アキラくんは愉快そうに笑いかけるヴェントゥスの言葉をピシャリと断った。ヴェントゥスはそんなアキラくんに「つれないな~」と言って、軽口を叩いていた。
「あ、そうそう、これは極秘情報なんだけどさ~」
途端にヴェントゥスの雰囲気が一変する。顔は笑っているのに目は笑っていない。ヴェントゥスは両肘をテーブルの上につき、両手の指先を左右合わせて、鋭い目つきでアキラくんを見据えた。
「ニル・オムニアの動向には気を付けて」
「…………!」
「?」
アキラくんは何か悟ったような顔をしていたが、僕はニル・オムニアがなんなのか分からず、意味がわからないまま目をパチクリとさせていた。
「俺はさ、下克上とかそういうものには興味ないんだよね。今のこの自由な生き方も気に入ってるし、そういう争い事は好まない。だから俺はいつだって君たちの味方だし、もっと情報を探れって言うなら喜んで協力するよ」
「ご好意ありがとうございます」
「いえいえ~。もし俺の力が必要になったらいつでも言ってね~」
ヴェントゥスはまた先程のような軽く明るい雰囲気に戻り、ヒラヒラと手を振った。僕にはアキラくんたちが何を話しているか、全然意味はわからなかったが、あまり深く突っ込んではいけないということはわかった。何も喋れず、少し気まずい雰囲気が流れそうになった頃、タイミング良く頼んでいたデザートが届いた。
「お待たせ致しました~」
店員さんの明るい声が響き、出てきた特大パフェに僕も胸を躍らせる。
「はぁ~!」
僕が目をキラキラと輝かせていると、片肘をついて、手に顎を乗せながら、ヴェントゥスさんは温かい眼差しで僕を見ていた。
「甘いもの好きなんだね~。いっぱいお食べ」
「あ、ありがとうございます」
「君はわかりやすくて良いね。ほら、アキラは無表情だからさ。アキラも見習いな~」
アキラくんはアクアさんに続き、ヴェントゥスにまでも軽く説教? され、何処か不機嫌そうに顔を顰めていた。
「質問には答えたんだし、食べ終わるまで君のいた世界の話、聞かせてよ」
その後、僕はパフェが食べ終わるまで、元いた場所の話を延々とさせられた。何ら面白い話は無いはずなのだが、それでもヴェントゥスはその話が面白いのか、ずっと彼から色んな質問を投げかけられていた。
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