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6.5話目! 十三神巡り
6.5-14 スパティウム編
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僕らは人里離れた場所にある、少し変わった一軒家に来ていた。ゴシック調のオシャレなデザインで、庭には色とりどりの花わ木が植えられていてとても美しい。けれど、庭に置いてあるアンティークはどうにも用途がわからない奇妙なものがちらほら置いてある。
ベルを鳴らし、家主が出てくるのを待っていると、ドアの向こうから慌ただしい音が聞こえてきて、足音が次第に大きくなると、バンッ! と激しい音を立てて、ドアが勢い良く開いた。
「待っていたよ!!!」
「はぁ、どうも」
「さぁ、中へどうぞ!」
出てきた人はめちゃくちゃテンションの高い人で、僕らは彼に促され中へとはいる。中はまるで図書館のように本棚に本がひしめき合っていて、地球儀や標本、様々なものが飾られていて少しオシャレだ。しかし、本のタイトルを見れば、なんか怪しい魔術かなんかの本が多くて、興味を惹かれる反面、少し不気味だ。綺麗に拭かれた埃ひとつないテーブルへ案内され、彼に椅子を引かれ、僕らはそこへ座った。
「歓迎するよ! 久しぶりだね、アキラくん!」
「ええ、お久しぶりです。スパティウムさん」
彼はスパティウムというらしい。変わった名前だ。真っ白な長い髪を後ろで結っていて、褐色の肌。右半分は仮面に覆われていてわからないが、表情はとても豊かな人だと思う。マジシャンのようなシルクハットに黒いスーツを着ていて、本当にマジシャンっぽい。
「紹介します。彼は拓斗さん。最近家で雇っている家政夫さんです」
「あ、よろしくお願いします。家政夫の拓斗です」
もう家政夫確定なんだ。
「イオリくんから聞いているよ! ワタシは空間の神スパティウム! 呼びにくかったら気軽にスパさん、と呼んでくれたまへ!」
「あ、はい、スパさん……」
めっちゃテンションの激しい人だな。愉快で面白い人だけど、果たして僕はこのテンションについていけるだろうか。
「これは菓子折りです」
「おぉ! ありがとう! また後で大事に頂かせてもらうよ!」
スパさんはアキラくんから菓子折りを受け取ると、嬉しそうにテーブルの上へと置いていた。
「ところでタクトくん」
「あ、はい」
「ちょっと立ってくれるかな?」
「え、はぁ」
僕は何なのかわからないまま、席を立ち、少しテーブルから離れた所に棒立ちになった。
「これで良いですか?」
「うん! グッド!」
するとスパさんも立ち上がり、何故か急に僕の体を上から下まで身体検査のようにパンパンと叩き出した。
「ふむ、ふむ」
「え!? え!? 何してるんですか!?」
「いや、異世界から来たというから、見た目は普通の人間だけど、何か他に特徴はあるのかなと思って」
「いやぁ! 普通ですって!」
あちこちをくまなく触られ、僕は羞恥心でいっぱいになった。けれど、彼の手は止まることなく、更にエスカレートする。
「うむ、ついでにここも見ておこう」
「ぎゃああああ!? なななな何してるんですかー!?」
僕はとんでもない所を触られて、反射的に飛び退き、椅子に座って傍観するアキラくんの後ろへと隠れた。
この人急に人の股間を何回もソフトタッチしてきたんですけど!?
「いやぁ、一応男か女か確かめようと思って」
「僕がもし女の子だったらどうするつもりなんですかぁ!?」
「いやぁ、それはほらあれだよ、勿論喜んでぶたれるよ!」
「この人変態だ! エッチ! スケベ! スケコマシ! 変態!」
「ハッハッハー! いやぁ、タクトくんは本当に愉快だね!」
「愉快なのは貴方ですよ!」
怒涛のツッコミを終えて、僕は息を切らしてクタクタになりながら席に戻った。隣にすわるアキラくんに真顔で「お疲れ様です」と、言われた。
「彼は十三神の中でもかなり変人・奇人な人なので、目をつけられたらご愁傷さまです」
「そ、そんなぁ……」
「ハッハッハ! ワタシ程度、他の神と比べたら大したことないよ!」
「このように彼は自分がかなり個性的であることに無自覚です」
「つ、疲れる……!」
完全に彼のペースに飲まれて、僕は一瞬でどの神様よりもすごい疲労感に苛まれた。
「タクトくん、手を見せてもらえるかな?」
僕の苦労は露知らず、スパさんはマイペースに僕の手を取った。僕、まだ返事してないんだけど。
「ふむふむ」
スパさんは僕の手のひらを見て、うんうんと小さく頷いていた。手相を見ているのだろうか?
「なるほどなるほど。キミはお人好しでトラブルに巻き込まれやすい体質をしているね」
「え」
「困っている人を見過ごせない質だろう? それから、努力家だけど、その努力がなかなか報われない空回りするタイプ」
「あ、当たってる……」
正直スパさんの言う通りだ。僕はこれまで努力を惜しまず頑張ってきたけど、会社には認められずに、ただこき使われていただけだった。自分のことにいっぱいいっぱいなのに、他人のことは心配で放っておけない。なんて言うか、都合のいい奴……。
「今まではさぞ辛い人生を送っていただろう。けど、ここに来て人生が一変しているね。良い兆候が出ている。これからキミはたくさんの人に恵まれ、どんどん良い方向に変わっていくよ」
「え、本当ですか!?」
占いなんてあまり信じていない僕だけど、そうやって嬉しいことを言われればやっぱり信じてみたくなるものだ。
「でも――」
「でも……?」
急にスパさんの顔が真面目なものになる。僕は緊張した面持ちで彼の言葉の続きを待った。
「これからもう少し先、キミはある重大な決断をしなけらばならない時が必ずやってくる」
「重大な……決断?」
「そう、それはキミの命にも関わるものだ」
「命!?」
それって、つまり死ぬかもしれないということ!? いや、もう死んでると言えば死んでるんだけど。
「んー、なんて言えば良いのかなぁ。命には関わるけど、そう重い物でもないというか~」
「ええ、なんですかそれ、気になる!」
「ま、その時が来たらわかるさ☆」
「す、スパさ~ん!」
スパさんは勝手に僕の手相を見て、気になることを仄めかして勝手に手相占いを切り上げた。僕は占いの内容が気になって仕方ないのだが、本来の目的を思い出し、渋々占いの内容を聞き出すのを諦めることにした。
「彼の占いは百発百中と有名です。また機会があれば他にも占ってもらうと良いですよ」
「手相にタロット、霊視、星占い、色々出来るよ~」
「おお、また機会があれば是非!」
「うん、次回からは特別に友達料金で占ってアゲル~」
「お金取るんだ!?」
「そこはほら、商売だからさ」
そういえば碧ちゃんも簡単な占いをするのが趣味だと言っていた。碧ちゃんの場合、本を見ながら占ってみたりと、素人紛いのものだけど。今度碧ちゃんと占ってもらうのも良いかもしれない。
「さ、拓斗さんを堪能して満足してもらったところで――」
「え、アキラくん、僕を出汁にした?」
「え。なんの事やら」
アキラくんの目が泳いでいる。まさかとは思うが僕のことを利用していただなんて。貞操まで奪われかけたのに!
「いつもの質問よろしいですか?」
「良いよ。いつでもかかって来なさい」
「体の調子はどうですか?」
「バッチリだよ! ご覧の通り、占いも絶好調だし!」
「では、街や人々に変わりはありませんか?」
「そうだね、最近魔族の動きが活発だろう。そのせいで悪魔に家庭を壊されたとか、破産しそうだとかで占いをしに来るお客が増えたかな。それ以外はまぁ色んな風の噂は聞くけどね、そこまで目立ったものはないかな」
「わかりました。お答えいただきありがとうございました」
「うんうん、たまには答える側も良いね!」
スパさんはニコニコと笑って、席を立った。
「そういえば持て成しも出来なくてごめんね。せめて最後は玄関まで見送らせて!」
僕らが席を立つと、スパさんは玄関を開けてくれて、庭に出て僕らを見送ってくれた。
「タクトくん、また遊びにおいでね~! アキラくんも~!」
スパさんは僕らの背中が小さくなるまで、大きく手を振ってくれていた。
「変わった人だったね」
「でも悪い人ではないので。それに、慣れたら存外に面白い人ではありますので」
「そうだね」
慣れたらね。あのテンションに慣れるまで、少し時間はかかりそうだけど。
ベルを鳴らし、家主が出てくるのを待っていると、ドアの向こうから慌ただしい音が聞こえてきて、足音が次第に大きくなると、バンッ! と激しい音を立てて、ドアが勢い良く開いた。
「待っていたよ!!!」
「はぁ、どうも」
「さぁ、中へどうぞ!」
出てきた人はめちゃくちゃテンションの高い人で、僕らは彼に促され中へとはいる。中はまるで図書館のように本棚に本がひしめき合っていて、地球儀や標本、様々なものが飾られていて少しオシャレだ。しかし、本のタイトルを見れば、なんか怪しい魔術かなんかの本が多くて、興味を惹かれる反面、少し不気味だ。綺麗に拭かれた埃ひとつないテーブルへ案内され、彼に椅子を引かれ、僕らはそこへ座った。
「歓迎するよ! 久しぶりだね、アキラくん!」
「ええ、お久しぶりです。スパティウムさん」
彼はスパティウムというらしい。変わった名前だ。真っ白な長い髪を後ろで結っていて、褐色の肌。右半分は仮面に覆われていてわからないが、表情はとても豊かな人だと思う。マジシャンのようなシルクハットに黒いスーツを着ていて、本当にマジシャンっぽい。
「紹介します。彼は拓斗さん。最近家で雇っている家政夫さんです」
「あ、よろしくお願いします。家政夫の拓斗です」
もう家政夫確定なんだ。
「イオリくんから聞いているよ! ワタシは空間の神スパティウム! 呼びにくかったら気軽にスパさん、と呼んでくれたまへ!」
「あ、はい、スパさん……」
めっちゃテンションの激しい人だな。愉快で面白い人だけど、果たして僕はこのテンションについていけるだろうか。
「これは菓子折りです」
「おぉ! ありがとう! また後で大事に頂かせてもらうよ!」
スパさんはアキラくんから菓子折りを受け取ると、嬉しそうにテーブルの上へと置いていた。
「ところでタクトくん」
「あ、はい」
「ちょっと立ってくれるかな?」
「え、はぁ」
僕は何なのかわからないまま、席を立ち、少しテーブルから離れた所に棒立ちになった。
「これで良いですか?」
「うん! グッド!」
するとスパさんも立ち上がり、何故か急に僕の体を上から下まで身体検査のようにパンパンと叩き出した。
「ふむ、ふむ」
「え!? え!? 何してるんですか!?」
「いや、異世界から来たというから、見た目は普通の人間だけど、何か他に特徴はあるのかなと思って」
「いやぁ! 普通ですって!」
あちこちをくまなく触られ、僕は羞恥心でいっぱいになった。けれど、彼の手は止まることなく、更にエスカレートする。
「うむ、ついでにここも見ておこう」
「ぎゃああああ!? なななな何してるんですかー!?」
僕はとんでもない所を触られて、反射的に飛び退き、椅子に座って傍観するアキラくんの後ろへと隠れた。
この人急に人の股間を何回もソフトタッチしてきたんですけど!?
「いやぁ、一応男か女か確かめようと思って」
「僕がもし女の子だったらどうするつもりなんですかぁ!?」
「いやぁ、それはほらあれだよ、勿論喜んでぶたれるよ!」
「この人変態だ! エッチ! スケベ! スケコマシ! 変態!」
「ハッハッハー! いやぁ、タクトくんは本当に愉快だね!」
「愉快なのは貴方ですよ!」
怒涛のツッコミを終えて、僕は息を切らしてクタクタになりながら席に戻った。隣にすわるアキラくんに真顔で「お疲れ様です」と、言われた。
「彼は十三神の中でもかなり変人・奇人な人なので、目をつけられたらご愁傷さまです」
「そ、そんなぁ……」
「ハッハッハ! ワタシ程度、他の神と比べたら大したことないよ!」
「このように彼は自分がかなり個性的であることに無自覚です」
「つ、疲れる……!」
完全に彼のペースに飲まれて、僕は一瞬でどの神様よりもすごい疲労感に苛まれた。
「タクトくん、手を見せてもらえるかな?」
僕の苦労は露知らず、スパさんはマイペースに僕の手を取った。僕、まだ返事してないんだけど。
「ふむふむ」
スパさんは僕の手のひらを見て、うんうんと小さく頷いていた。手相を見ているのだろうか?
「なるほどなるほど。キミはお人好しでトラブルに巻き込まれやすい体質をしているね」
「え」
「困っている人を見過ごせない質だろう? それから、努力家だけど、その努力がなかなか報われない空回りするタイプ」
「あ、当たってる……」
正直スパさんの言う通りだ。僕はこれまで努力を惜しまず頑張ってきたけど、会社には認められずに、ただこき使われていただけだった。自分のことにいっぱいいっぱいなのに、他人のことは心配で放っておけない。なんて言うか、都合のいい奴……。
「今まではさぞ辛い人生を送っていただろう。けど、ここに来て人生が一変しているね。良い兆候が出ている。これからキミはたくさんの人に恵まれ、どんどん良い方向に変わっていくよ」
「え、本当ですか!?」
占いなんてあまり信じていない僕だけど、そうやって嬉しいことを言われればやっぱり信じてみたくなるものだ。
「でも――」
「でも……?」
急にスパさんの顔が真面目なものになる。僕は緊張した面持ちで彼の言葉の続きを待った。
「これからもう少し先、キミはある重大な決断をしなけらばならない時が必ずやってくる」
「重大な……決断?」
「そう、それはキミの命にも関わるものだ」
「命!?」
それって、つまり死ぬかもしれないということ!? いや、もう死んでると言えば死んでるんだけど。
「んー、なんて言えば良いのかなぁ。命には関わるけど、そう重い物でもないというか~」
「ええ、なんですかそれ、気になる!」
「ま、その時が来たらわかるさ☆」
「す、スパさ~ん!」
スパさんは勝手に僕の手相を見て、気になることを仄めかして勝手に手相占いを切り上げた。僕は占いの内容が気になって仕方ないのだが、本来の目的を思い出し、渋々占いの内容を聞き出すのを諦めることにした。
「彼の占いは百発百中と有名です。また機会があれば他にも占ってもらうと良いですよ」
「手相にタロット、霊視、星占い、色々出来るよ~」
「おお、また機会があれば是非!」
「うん、次回からは特別に友達料金で占ってアゲル~」
「お金取るんだ!?」
「そこはほら、商売だからさ」
そういえば碧ちゃんも簡単な占いをするのが趣味だと言っていた。碧ちゃんの場合、本を見ながら占ってみたりと、素人紛いのものだけど。今度碧ちゃんと占ってもらうのも良いかもしれない。
「さ、拓斗さんを堪能して満足してもらったところで――」
「え、アキラくん、僕を出汁にした?」
「え。なんの事やら」
アキラくんの目が泳いでいる。まさかとは思うが僕のことを利用していただなんて。貞操まで奪われかけたのに!
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「体の調子はどうですか?」
「バッチリだよ! ご覧の通り、占いも絶好調だし!」
「では、街や人々に変わりはありませんか?」
「そうだね、最近魔族の動きが活発だろう。そのせいで悪魔に家庭を壊されたとか、破産しそうだとかで占いをしに来るお客が増えたかな。それ以外はまぁ色んな風の噂は聞くけどね、そこまで目立ったものはないかな」
「わかりました。お答えいただきありがとうございました」
「うんうん、たまには答える側も良いね!」
スパさんはニコニコと笑って、席を立った。
「そういえば持て成しも出来なくてごめんね。せめて最後は玄関まで見送らせて!」
僕らが席を立つと、スパさんは玄関を開けてくれて、庭に出て僕らを見送ってくれた。
「タクトくん、また遊びにおいでね~! アキラくんも~!」
スパさんは僕らの背中が小さくなるまで、大きく手を振ってくれていた。
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