131 / 173
6.5話目! 十三神巡り
6.5-19 オムニア編③
しおりを挟む
僕のそんな素朴な疑問はさて置き、アキラくんがやっとこさ会話に入ってくる。
「では、恒例の質問をさせて貰っても宜しいですか?」
「ええ、構いませんよ」
「お体に変わりはありませんか?」
「問題ないです。私に疲れを感じている暇などありませんから」
「……そうですか。では、世界や人々に変化は――」
「その事ですけど、その問題は私一人の力で大丈夫です。他の者から魔族の活動が活発になっていると聞いているかもしれませんが、それについてはもう既に手は打ってあります」
「……大地震についても?」
「私とテラで未然に防ぎます」
「そのテルースさんが最近疲弊しているのに?」
「……テラが?」
オムニアさんはそれを聞いて、少し考える素振りをして間を空けた。
「テラは……私にそんなこと一言も言っていなかった」
「彼女は聞かれるまでは一人で抱え込むタイプですからね」
「……わかりました。それならば私一人でもどうにかします」
「それでは貴女の負担が大きすぎます。その事だけじゃない、細かい人々の救済や環境の保全、他にも様々な事に気を配るのは、いくら何でも少し過酷過ぎるのでは」
「しかし、私は――」
彼女は人一倍責任感も強いのだろう。誰よりも世界を、人々を愛しているのだろう。でも、だからと言って、一人でも無理することはないと思う。
「あの」
僕はゆっくりと口を開いた。二人の視線が僕へと集まる。
「神様って、神様だからってなんでも一人で抱え込まなきゃならないんですか? 誰かの手を借りちゃいけないんですか? 僕はそんなの違うと思います。それに、神様が僕たちのために毎日身を削って頑張ってくれているのなら、僕だって、きっとみんなだってこう思う。神様もたまには休んで良いんだよって」
僕は彼女にちゃんと伝えられただろうか。大したことは言ってないけど、少しでも肩の荷が下りれば良いなって思ったんだけど。
僕は恐る恐るオムニアさんの方を見た。ニルさんの顔は布で隠れていて、相変わらずなどんな表情をしているかわからないけれど、少し雰囲気が和らいだ気がした。
「はぁ。本来救いの手を差し伸べる者に心配されては元も子もありませんね。良いでしょう。今回は彼に免じてニル・レクスの手を借りましょう」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
喜んだのは良いものの、ニル・レクスって誰!? オムニアさんと同じ名前!
「休むことで喜ばれては、訳ないですね。私も少し、自分を顧みるとしましょう」
「えぇ、たまには少し休んで、色々と考えることも大事ですよ」
アキラくんはティーカップに入った紅茶を飲み干し、「ご馳走様でした」と、軽く会釈する。
「もう帰るのですか?」
「えぇ、用件は済みました。それに他の神の所にも回って僕らはもうクタクタです。すいませんが、これでお暇させていただきます」
オムニアさんはそれを聞くと「わかりました」と、頷いて、先程僕らを案内してくれた天使の名を呼んだ。
「イザベラ」
さっきまで下に降りて城の中へ去っていっていたのに、いつの間にか彼女はこの場に戻ってきており、すぐにオムニアさんの許へ駆けつけた。
「はい、何でしょうオムニア様」
「彼らを城の外まで送って差し上げて」
「はい、かしこまりました。それでは御二方、外までご案内致しますので、私に着いてきて下さい」
僕らはオムニアさんに今一度礼をして、彼女の後を着いて行った。丁寧に城の外まで案内され、去り際までずっとお辞儀してくれていた。
そして、家に帰る前のこと。僕らは一旦任されていた任務を終え、仕事から一時的に解放された空気を満喫していた。
「はぁ、やっと終わりましたね」
「長った。長い一日だった」
「正直、貴方が居てくれて良かったです。アクアさんやオムニアさんの時は特に活躍してくれました。貴方が居なければ、もっと長引いていたか、もう少しややこしくなっていたかもしれません」
アキラくんに手放しに褒められ、僕は照れ臭くなり、視線を宙へと泳がせる。
「いやぁ、そんなことないよ。ほとんどアキラくんが進行してくれてたから、僕はほとんど横で立ってただけだし」
「そんなことありませんよ。貴方はもっと自分を褒めて良い。今日は本当にお疲れ様でした」
「うん、ありがとう。アキラくんもお疲れ様」
僕らは軽くなった腕をぐぐっと伸ばしながら、深く息を吐く。
「あとはそのコーヒー豆も届けて、先生に報告してミッション完了ですね」
「うん、あと少し頑張ろう」
「ええ、では帰りましょうか」
「おー!」
僕らは住み慣れた我が家へと帰るのであった。
「では、恒例の質問をさせて貰っても宜しいですか?」
「ええ、構いませんよ」
「お体に変わりはありませんか?」
「問題ないです。私に疲れを感じている暇などありませんから」
「……そうですか。では、世界や人々に変化は――」
「その事ですけど、その問題は私一人の力で大丈夫です。他の者から魔族の活動が活発になっていると聞いているかもしれませんが、それについてはもう既に手は打ってあります」
「……大地震についても?」
「私とテラで未然に防ぎます」
「そのテルースさんが最近疲弊しているのに?」
「……テラが?」
オムニアさんはそれを聞いて、少し考える素振りをして間を空けた。
「テラは……私にそんなこと一言も言っていなかった」
「彼女は聞かれるまでは一人で抱え込むタイプですからね」
「……わかりました。それならば私一人でもどうにかします」
「それでは貴女の負担が大きすぎます。その事だけじゃない、細かい人々の救済や環境の保全、他にも様々な事に気を配るのは、いくら何でも少し過酷過ぎるのでは」
「しかし、私は――」
彼女は人一倍責任感も強いのだろう。誰よりも世界を、人々を愛しているのだろう。でも、だからと言って、一人でも無理することはないと思う。
「あの」
僕はゆっくりと口を開いた。二人の視線が僕へと集まる。
「神様って、神様だからってなんでも一人で抱え込まなきゃならないんですか? 誰かの手を借りちゃいけないんですか? 僕はそんなの違うと思います。それに、神様が僕たちのために毎日身を削って頑張ってくれているのなら、僕だって、きっとみんなだってこう思う。神様もたまには休んで良いんだよって」
僕は彼女にちゃんと伝えられただろうか。大したことは言ってないけど、少しでも肩の荷が下りれば良いなって思ったんだけど。
僕は恐る恐るオムニアさんの方を見た。ニルさんの顔は布で隠れていて、相変わらずなどんな表情をしているかわからないけれど、少し雰囲気が和らいだ気がした。
「はぁ。本来救いの手を差し伸べる者に心配されては元も子もありませんね。良いでしょう。今回は彼に免じてニル・レクスの手を借りましょう」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
喜んだのは良いものの、ニル・レクスって誰!? オムニアさんと同じ名前!
「休むことで喜ばれては、訳ないですね。私も少し、自分を顧みるとしましょう」
「えぇ、たまには少し休んで、色々と考えることも大事ですよ」
アキラくんはティーカップに入った紅茶を飲み干し、「ご馳走様でした」と、軽く会釈する。
「もう帰るのですか?」
「えぇ、用件は済みました。それに他の神の所にも回って僕らはもうクタクタです。すいませんが、これでお暇させていただきます」
オムニアさんはそれを聞くと「わかりました」と、頷いて、先程僕らを案内してくれた天使の名を呼んだ。
「イザベラ」
さっきまで下に降りて城の中へ去っていっていたのに、いつの間にか彼女はこの場に戻ってきており、すぐにオムニアさんの許へ駆けつけた。
「はい、何でしょうオムニア様」
「彼らを城の外まで送って差し上げて」
「はい、かしこまりました。それでは御二方、外までご案内致しますので、私に着いてきて下さい」
僕らはオムニアさんに今一度礼をして、彼女の後を着いて行った。丁寧に城の外まで案内され、去り際までずっとお辞儀してくれていた。
そして、家に帰る前のこと。僕らは一旦任されていた任務を終え、仕事から一時的に解放された空気を満喫していた。
「はぁ、やっと終わりましたね」
「長った。長い一日だった」
「正直、貴方が居てくれて良かったです。アクアさんやオムニアさんの時は特に活躍してくれました。貴方が居なければ、もっと長引いていたか、もう少しややこしくなっていたかもしれません」
アキラくんに手放しに褒められ、僕は照れ臭くなり、視線を宙へと泳がせる。
「いやぁ、そんなことないよ。ほとんどアキラくんが進行してくれてたから、僕はほとんど横で立ってただけだし」
「そんなことありませんよ。貴方はもっと自分を褒めて良い。今日は本当にお疲れ様でした」
「うん、ありがとう。アキラくんもお疲れ様」
僕らは軽くなった腕をぐぐっと伸ばしながら、深く息を吐く。
「あとはそのコーヒー豆も届けて、先生に報告してミッション完了ですね」
「うん、あと少し頑張ろう」
「ええ、では帰りましょうか」
「おー!」
僕らは住み慣れた我が家へと帰るのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる