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7話目!灰冶の章 夢境の栞
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「どう? うちの暮らしには慣れた?」
僕らはいつもと同様、街から少し離れた森の中で空間転移を使い、そこから街まで歩いているところだった。灰冶さんが僕に気を遣ってか、今の生活について色々話を聞いてくれている。
「はい。お陰様で。まだまだ勉強することも多いですけど、みんな優しいですし、僕も早く恩返しがしたいです」
「あら、そう。みんな個性はあるけど、根は優しい子ばかりだからね。貴方も困ったことがあったら、いつでも相談に来てちょうだい。私に出来ることであれば、力になるわ」
「ありがとうございます!」
灰冶さんは失礼ながら見た目は結構怖いけど、僕にとても親切にしてくれる。とても優しい方だ。口調は女性っぽいけど、かと言って女々しい訳でもなく、僕が出会った人の中では一番不思議な雰囲気をしている人かもしれない。
「ところで――」
「えぇ」
僕はチラリと後ろを見た。そこには僕の視線に気付いて慌てて隠れる一人の生き物……の、姿が。生き物という呼び方で良いのか分からないけど、少なくとも人では無い。
慌てて茂みに隠れるも、長い耳が茂みから少しはみ出ている。
「さっきからなんか着いてきてますけど、アレ、ほっといて良いんですか……?」
そう、さっきから僕らの後を着いてきてるのだ。何を目的として着いてきているのかわからないが、放っておいて良いものなのだろうか。
「あれはゴブリンね」
「え、ゴブリンってあの? 本で読んだんですけど、洞窟や鉱山、森の中に住み、人間などにイタズラするのが好きな……妖精? でしたっけ?」
ゴブリンって魔物のイメージがあるけど、妖精なんだよな、確か。
「あら、偉いじゃない。ちゃんと勉強してるのね」
「…………!」
灰冶さんは少し笑って、僕の頭を優しく撫でてきた。大人になってからフランマぐらいにしか頭を撫でられたことがなく、急に頭を撫でられてどう対応したら良いかわからない! 僕は恥ずかしくなって俯いてしまった。灰冶さんって、ナチュラルにこういうことする人なんだな。
「ゴブリンは人に対して悪さをする子が大半だけれど、中には人に対して友好な者もいるわ。今向かってる街の近くには、そんなゴブリンたちが集まる住処があるの。西にゴブリン、東にエルフ。北にリト、南にドワーフ」
「え!? エルフにリトにドワーフ!?」
リトは僕がいた頃には聞いた事のない種族だったけど、どうやら小人のことをこの世界ではリトと呼ぶらしい。
「えぇ、そうよ。それぞれの種族の真ん中に位置する場所に人の街があるの。西の方に行くと瘴気を帯びた土地が広がっててね、少し腐敗した森と鉱山があるわ。そこにゴブリンが住んでいるわ。逆に東に行くと空気が浄化された神聖な森が広がっているわ。エルフ族が住まう土地ね。北は豊かな自然に守られた大地があって、リト族が暮らしている。南は鉱山や山に覆われていて、ドワーフたちが血気盛んに働いているわね。だから特殊な環境下でしか育たない薬草や鉱石なんかも流通しててね。四方から様々な種類のものが集まるから、錬金の道具や仕入れをするのに持ってこいの街なのよね」
「へー」
僕らが今向かってる街はそんな場所だったのか。僕は灰冶さんの話を聞いて、頷いた。
「その近くに住まうゴブリンが今後ろに着いてきてる奴ってことですか?」
「そうね。ただ、私たちに敵意はないし、悪い子ではなさそう。ゴブリンは集団戦を得意としていて、群れで来られるととても厄介な生き物だけれど、一匹一匹はそう強くもないわ。ゴブリンと人の間には暗黙の了解があって、人はどのゴブリンが良いゴブリンかも見分けがつかない。だから、街に入ってきたら容赦なく敵対する。それは逆もしかり。人がゴブリンの住処に迷い込んだなら、ゴブリンに襲われる。だから、よっぽどの事がない限り一匹で人の住む街には近付かないだろうし、放っておいても良いかもね」
「ふーん。そういうもんなのかぁ……」
僕は再び後ろを振り返ってゴブリンを見た。すぐに茂みに隠れてしまったけれど、姿は見えた。長く尖ったきな鼻と耳があって、目はまん丸。まん丸なのはこの子だけだと思うが、本で載っていたのは結構凶悪そうな目だった。緑色の皮膚をしていて、お腹はこっぽり出ていた。一応腰にボロボロの布を巻いていた。手足は細くて、身長は三十センチ程だろうか。とても小さい。本で読んだところ、灰色の皮膚のゴブリンもいるみたい。街中で亜人なんかの他の種族はよく見るし、小人なんかもたまに見るけど、ゴブリンは街中にいないし初めて見たな……。
僕はそんなことをしみじみ思いながら、少し後ろが気になりつつも、灰冶さんと街へ向かった。
僕らはいつもと同様、街から少し離れた森の中で空間転移を使い、そこから街まで歩いているところだった。灰冶さんが僕に気を遣ってか、今の生活について色々話を聞いてくれている。
「はい。お陰様で。まだまだ勉強することも多いですけど、みんな優しいですし、僕も早く恩返しがしたいです」
「あら、そう。みんな個性はあるけど、根は優しい子ばかりだからね。貴方も困ったことがあったら、いつでも相談に来てちょうだい。私に出来ることであれば、力になるわ」
「ありがとうございます!」
灰冶さんは失礼ながら見た目は結構怖いけど、僕にとても親切にしてくれる。とても優しい方だ。口調は女性っぽいけど、かと言って女々しい訳でもなく、僕が出会った人の中では一番不思議な雰囲気をしている人かもしれない。
「ところで――」
「えぇ」
僕はチラリと後ろを見た。そこには僕の視線に気付いて慌てて隠れる一人の生き物……の、姿が。生き物という呼び方で良いのか分からないけど、少なくとも人では無い。
慌てて茂みに隠れるも、長い耳が茂みから少しはみ出ている。
「さっきからなんか着いてきてますけど、アレ、ほっといて良いんですか……?」
そう、さっきから僕らの後を着いてきてるのだ。何を目的として着いてきているのかわからないが、放っておいて良いものなのだろうか。
「あれはゴブリンね」
「え、ゴブリンってあの? 本で読んだんですけど、洞窟や鉱山、森の中に住み、人間などにイタズラするのが好きな……妖精? でしたっけ?」
ゴブリンって魔物のイメージがあるけど、妖精なんだよな、確か。
「あら、偉いじゃない。ちゃんと勉強してるのね」
「…………!」
灰冶さんは少し笑って、僕の頭を優しく撫でてきた。大人になってからフランマぐらいにしか頭を撫でられたことがなく、急に頭を撫でられてどう対応したら良いかわからない! 僕は恥ずかしくなって俯いてしまった。灰冶さんって、ナチュラルにこういうことする人なんだな。
「ゴブリンは人に対して悪さをする子が大半だけれど、中には人に対して友好な者もいるわ。今向かってる街の近くには、そんなゴブリンたちが集まる住処があるの。西にゴブリン、東にエルフ。北にリト、南にドワーフ」
「え!? エルフにリトにドワーフ!?」
リトは僕がいた頃には聞いた事のない種族だったけど、どうやら小人のことをこの世界ではリトと呼ぶらしい。
「えぇ、そうよ。それぞれの種族の真ん中に位置する場所に人の街があるの。西の方に行くと瘴気を帯びた土地が広がっててね、少し腐敗した森と鉱山があるわ。そこにゴブリンが住んでいるわ。逆に東に行くと空気が浄化された神聖な森が広がっているわ。エルフ族が住まう土地ね。北は豊かな自然に守られた大地があって、リト族が暮らしている。南は鉱山や山に覆われていて、ドワーフたちが血気盛んに働いているわね。だから特殊な環境下でしか育たない薬草や鉱石なんかも流通しててね。四方から様々な種類のものが集まるから、錬金の道具や仕入れをするのに持ってこいの街なのよね」
「へー」
僕らが今向かってる街はそんな場所だったのか。僕は灰冶さんの話を聞いて、頷いた。
「その近くに住まうゴブリンが今後ろに着いてきてる奴ってことですか?」
「そうね。ただ、私たちに敵意はないし、悪い子ではなさそう。ゴブリンは集団戦を得意としていて、群れで来られるととても厄介な生き物だけれど、一匹一匹はそう強くもないわ。ゴブリンと人の間には暗黙の了解があって、人はどのゴブリンが良いゴブリンかも見分けがつかない。だから、街に入ってきたら容赦なく敵対する。それは逆もしかり。人がゴブリンの住処に迷い込んだなら、ゴブリンに襲われる。だから、よっぽどの事がない限り一匹で人の住む街には近付かないだろうし、放っておいても良いかもね」
「ふーん。そういうもんなのかぁ……」
僕は再び後ろを振り返ってゴブリンを見た。すぐに茂みに隠れてしまったけれど、姿は見えた。長く尖ったきな鼻と耳があって、目はまん丸。まん丸なのはこの子だけだと思うが、本で載っていたのは結構凶悪そうな目だった。緑色の皮膚をしていて、お腹はこっぽり出ていた。一応腰にボロボロの布を巻いていた。手足は細くて、身長は三十センチ程だろうか。とても小さい。本で読んだところ、灰色の皮膚のゴブリンもいるみたい。街中で亜人なんかの他の種族はよく見るし、小人なんかもたまに見るけど、ゴブリンは街中にいないし初めて見たな……。
僕はそんなことをしみじみ思いながら、少し後ろが気になりつつも、灰冶さんと街へ向かった。
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