神様のお導き

ヤマト

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8話目!優輝の章 灰色から色付く世界

8-3

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 僕は終始、優輝さんから罵倒されていたが、それでも彼と居て良かった点もある。それは――
「いらっしゃいませ! お兄さんとても綺麗な顔立ちをしてますね! もし宜しければ――」
「あぁ?」
「ヒッ!」
「気安く話しかけんじゃねぇよ、カス」
 めっちゃ他人に厳しいから、余計なキャッチやセールスに引っかからないこと。顔が綺麗な分、余計に迫力が増し、睨まれるとめっちゃ怖い。そして、この凶悪な態度は僕だけに向けられたものじゃないのだと、心のどこかでホッとしていた。

 街で無事に本棚を買い、僕は変わらず優輝さんにグチグチ言われながら家に帰る道中のことだった。そこである事件は起こった。
 街中を掛ける三人の少年の姿。彼らは僕らを追い越すと、更に前をとぼとぼと歩く少年を見て足を止めた。
「ゲッ! ライリーだ!」
「ライリーに近付くと火傷が移るぞ!」
「あっち行け、この!」
 ライリーというその少年は、彼らの前を歩いていただけで別に彼らに近寄ったりはしていないのだが、何故かそんな風に邪魔者扱いされていた。そして、一人の少年が近くにあった石ころを拾い、石ころを拾った手を大きく振りかぶった。僕はまさかと思って、気付いたら走り出していた。
「ちょ、君――」
 優輝さんの驚いた声が後ろから聞こえたけど、僕はそんなことお構い無しに、ライリーという少年と石を投げつけようとする少年の間に割って入った。少年はもう石を投げる体勢に入っていて、僕が割り込んだ瞬間、僕に気付くも手は止められず、そのまま一気に手をスイングさせて石を僕に向かって投げつけた。
「やべ」
 少年は僕に向かって石を投げたことにより、焦った声を出していた。僕目掛けて石が近付いてくる。それでもライリーという少年を守りたくて、僕は両手を広げて出来るだけ僕に的が当たるようにした。迫り来る石ころに、僕は反射的に思わず目を瞑る。
 が、しかし――来るはずの痛みはいつまで経ってもやって来なかった。それどころか、ドン! という、乾いた銃声が街中に響き渡ったのだ。街を行き交う人も、その場にいた性根たちも、勿論僕も、その銃声に凍りついた。
 銃を撃ったのは優輝さんで、優輝さんの左手にはコルトパイソンという銃が握られていた。黒乃からみんなの戦闘スタイルについて簡単に聞いたことがある。確か、優輝さんは銃を使う。ただし、銃弾は込められておらず、銃自体を媒体に使って、彼の得意とする光の弾丸を放つという。それは光の魔法なので、リロードなどは一切必要とせず、何発でも撃てるのだとか。威力は彼の力加減によって変わるらしい。彼はそれを撃って、僕に向かって投げられた石を粉々に破壊したのだ。
「に、逃げろーーー!!!」
 石を投げていなかった少年のうち一人がそう叫ぶと、少年たちはハッと我に返り、ライリーという少年の横を通り過ぎて走って逃げて行った。そして、優輝さんは自身に集まった視線に苛立ちを覚え、「見てんじゃねぇぞ!」と、怒鳴った。その怒号で、凍りついていた人達も慌ててその場から早足で立ち去り、ついには僕と優輝さんとライリーという少年だけになった。
 優輝さんは銃を亜空間にしまい、鋭い眼光で僕を睨みつけながらゆっくりと僕に近付いてくる。そして、僕の胸倉を思いっきり掴んで、鼻がスレスレになるほど顔を近付けてメンチを切ってきた。
「君、何考えてんの?」
 その声は低く冷たく、僕の四肢を縛り付けるような迫力を纏っていた。
「僕は君がどうなろうが知ったこっちゃ無いけどさぁ、君に何かあったら白が悲しむんだよ! 君に怪我でもあれば僕が白に怒られるの! 白に嫌われるかもしれないんだよ! ちょっとは考えてから行動しやがれクソッタレェ!」
 最後はいつもの調子で、少しヤケクソ気味に叫んでいたが、優輝さん、本当に怒っていた。そうやって吐き捨てながら、僕の体を地面に叩きつける。僕は思いっきり地面に腰を打って、受け身も取れずにそのまま地面に転がった。
 すると、さっきのライリーと呼ばれた子が近づいてきて、「あ、あの……」と、心配そうに僕の顔を覗き込んできた。
「だ、大丈夫ですか……?」
 少しオドオドとした様子だったが、僕が笑いながら起き上がると、少しホッとしたように胸をなで下ろしていた。
「大丈夫大丈夫、ある意味いつものこと……」
 でもさっきの優輝さんのキレ方はわりと本気だったので、僕もまだ心臓が掴まれたみたいに痛い……。
「あ、助けてくれて、ありがとうございました……」
「いやいや! 僕は何も! 優輝さんが助けてくれてなかったら、僕もどうなってたことか」
 僕は後ろで仁王立ちしている優輝さんへ視線を向けると、優輝さんはケッと、そっぽを向いてしまった。ライリーという少年も彼を見て、「ユウキさん……」と呟いていた。
「僕は拓斗。君は?」
「えっ? お、オレはライリー」
「そっか、ライリーっていうんだね。君は怪我はない?」
「あ、はい……。……手、どうぞ……」
 ライリーは地面で尻もちを着いている僕に手を貸してくれた。少し気弱そうだけど、とても優しい子なんだな。
「ありがとう」
 僕はお礼を言うと、彼の手を取り、ゆっくりと立ち上がった。
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