152 / 173
8話目!優輝の章 灰色から色付く世界
8-5
しおりを挟む
それから、優輝さんはさっきの少年たちを追いかけて、僕らには物陰に隠れているよう支持した。僕とライリーくんは優輝さんが何をしようとしているのかわからずに、お互い顔を見合わせてから彼の動向を物陰から見守った。
「おい、ガキ共」
優輝さんは三人の少年たちの前に立つと、彼らに声を掛けた。少年たちは優輝さんを見て、酷く驚いたような顔をして青ざめた。
「ゲッ! さっきのトリガーハッピー野郎!」
「誰がトリガーハッピー野郎だ! 僕は銃を撃つことに快楽を覚えてもないし、本来の意味とも違うし、勉強し直してこいクソガキ!」
優輝さんって、子供相手にもああなんだな……。優輝さんは僕を罵倒してる時と同じように、口悪く少年たちを罵倒していた。しかし、それが少年たちの気に触ったのか、少年は優輝さんに向かってカバンについている青いキーホルダーのような物を突き出した。それはシンプルなデザインで、楕円形の形に真ん中に一つボタンがついている。防犯ブザーだ。
「へっ! これを鳴らしても良いのか!? これを鳴らしたらお前は一気に不審者だ! 騎士団の人達が駆けつけて、お前を逮捕するんだからな!」
強気に凄む少年たちに対し、優輝さんは心底興味無さそうな冷めた顔で彼らを見下ろしていた。
「ふーん? やってみなよ」
「えっ?」
優輝さんの反応が意外だったのか、少年たちは一瞬呆気に取られてからたじろいだ。
「な、こ、怖くないのかよ!? これ防犯ブザーだぞ! 鳴らしたらでっかい音がなって、周りの大人たちが駆けつけてくれるんだぞ!」
少年たちは早口で優輝さんに防犯ブザーの説明をし、脅威をわからせようとするも、優輝さんは変わらず冷めた表情をしていた。
「で? だから? だったらやってみれば良いじゃん」
無関心にそういう優輝さんに対し、少年たちは「このっ!」と、防犯ブザーのボタンに手を掛けた。
「お前ら、鳴らすぞ!」
「うん!」
「おう!」
少年たちは、最後まで優輝さんの様子を窺っていたが、なんの反応も示さない優輝さんを見て、辛抱出来なくなったのか、一斉に防犯ブザーを鳴らした。防犯ブザーはけたたましい音を立てて、ジリジリと辺りに響き渡る。僕もライリーくんもまずいと思って、慌てて辺りを見渡した。しかし、どこかおかしい。防犯ブザーは確かに鳴っているのに、街を歩く人が誰一人として反応しない。少年たちに見向きもしないのだ。少年たちもその違和感を感じて、青ざめた様子で辺りをキョロキョロと見渡していた。
「な、なんで……」
少年の力ない呟きに答えたのは優輝さんだった。
「今、君たちの姿も声も、その身につけているものの音も全て、この街にいる人、誰一人として感じ取ることはできない。つまり、君たちはここに存在してないも同然なんだよ」
「えっ!?」
それは神の所業とも呼べる術で、少年たちは目を白黒させて優輝さんを見た。その少年たちの目に映る優輝さんの姿は、一体どんな風に見えたのか。彼らは悪魔でも見るような顔で、優輝さんを見つめていた。
「お、お前、何者だ……!?」
「さぁ? 僕が何者だろうと君たちには関係ないでしょ?」
「う……ぁ……」
もう声も体も震えて何もできない。彼らの足は地面に縫い合わされたかのように動くことが出来ず、ただ震えて優輝さんを見つめる他出来なかった。
「さて、やっと静かになったところで、本題に入ろう」
優輝さんはそう言って、彼らに目線を合わせるようにその場にしゃがみ込んだ。顔に似合わず足を大きく広げてしゃがみ込む優輝さんは、僕にはヤンキーにしか見えなかった。
「君らさぁ、ライリーってガキイジメてんでしょ?」
「う……!」
少年たちは恐怖のあまり上手く喋ることが出来ず、短い声を漏らすだけだった。だが、体は強ばり、呼吸が浅くなっていることから、それが図星だということが窺える。
「なに、僕は君らを取って食おうって訳じゃないのね。親切心でちょっと良いこと教えてやろうと思ってさ」
「良い、事……?」
「そ。君らの学校の裏山に古い祠があるの知ってる?」
「し、知らない……」
「そう。じゃあこれを機に覚えといてね」
優輝さんは人差し指を立てた。その指を真ん中の少年の額に向ける。少年は何化されるのではと怯え、ギュッと目を瞑った。優輝さんは他の少年二人にも同じことをしていて、他の二人も怯えた様子で目を瞑っていた。
「う、なんだこれ!?」
そして、三人は驚いたようにたじろいで、それぞれお互い顔を見合わせた。
「さっき、なんか頭の中に映像が流れてきて、学校の裏山にある祠の場所がわかった!」
「ぼ、僕も……!」
「し、しかも、ずっと昔から知ってたみたいな感覚……」
少年たちはお互い情報交換をして、さっき優輝さんにされたことを確認し合った。人ならざる技を前にし、改めて優輝さんを見た。彼が普通の人でないことは明らかだ。少年たちは未知の恐怖に支配され、お互い身を寄せあって、彼が次に話す言葉を大人しく待っていた。
「おい、ガキ共」
優輝さんは三人の少年たちの前に立つと、彼らに声を掛けた。少年たちは優輝さんを見て、酷く驚いたような顔をして青ざめた。
「ゲッ! さっきのトリガーハッピー野郎!」
「誰がトリガーハッピー野郎だ! 僕は銃を撃つことに快楽を覚えてもないし、本来の意味とも違うし、勉強し直してこいクソガキ!」
優輝さんって、子供相手にもああなんだな……。優輝さんは僕を罵倒してる時と同じように、口悪く少年たちを罵倒していた。しかし、それが少年たちの気に触ったのか、少年は優輝さんに向かってカバンについている青いキーホルダーのような物を突き出した。それはシンプルなデザインで、楕円形の形に真ん中に一つボタンがついている。防犯ブザーだ。
「へっ! これを鳴らしても良いのか!? これを鳴らしたらお前は一気に不審者だ! 騎士団の人達が駆けつけて、お前を逮捕するんだからな!」
強気に凄む少年たちに対し、優輝さんは心底興味無さそうな冷めた顔で彼らを見下ろしていた。
「ふーん? やってみなよ」
「えっ?」
優輝さんの反応が意外だったのか、少年たちは一瞬呆気に取られてからたじろいだ。
「な、こ、怖くないのかよ!? これ防犯ブザーだぞ! 鳴らしたらでっかい音がなって、周りの大人たちが駆けつけてくれるんだぞ!」
少年たちは早口で優輝さんに防犯ブザーの説明をし、脅威をわからせようとするも、優輝さんは変わらず冷めた表情をしていた。
「で? だから? だったらやってみれば良いじゃん」
無関心にそういう優輝さんに対し、少年たちは「このっ!」と、防犯ブザーのボタンに手を掛けた。
「お前ら、鳴らすぞ!」
「うん!」
「おう!」
少年たちは、最後まで優輝さんの様子を窺っていたが、なんの反応も示さない優輝さんを見て、辛抱出来なくなったのか、一斉に防犯ブザーを鳴らした。防犯ブザーはけたたましい音を立てて、ジリジリと辺りに響き渡る。僕もライリーくんもまずいと思って、慌てて辺りを見渡した。しかし、どこかおかしい。防犯ブザーは確かに鳴っているのに、街を歩く人が誰一人として反応しない。少年たちに見向きもしないのだ。少年たちもその違和感を感じて、青ざめた様子で辺りをキョロキョロと見渡していた。
「な、なんで……」
少年の力ない呟きに答えたのは優輝さんだった。
「今、君たちの姿も声も、その身につけているものの音も全て、この街にいる人、誰一人として感じ取ることはできない。つまり、君たちはここに存在してないも同然なんだよ」
「えっ!?」
それは神の所業とも呼べる術で、少年たちは目を白黒させて優輝さんを見た。その少年たちの目に映る優輝さんの姿は、一体どんな風に見えたのか。彼らは悪魔でも見るような顔で、優輝さんを見つめていた。
「お、お前、何者だ……!?」
「さぁ? 僕が何者だろうと君たちには関係ないでしょ?」
「う……ぁ……」
もう声も体も震えて何もできない。彼らの足は地面に縫い合わされたかのように動くことが出来ず、ただ震えて優輝さんを見つめる他出来なかった。
「さて、やっと静かになったところで、本題に入ろう」
優輝さんはそう言って、彼らに目線を合わせるようにその場にしゃがみ込んだ。顔に似合わず足を大きく広げてしゃがみ込む優輝さんは、僕にはヤンキーにしか見えなかった。
「君らさぁ、ライリーってガキイジメてんでしょ?」
「う……!」
少年たちは恐怖のあまり上手く喋ることが出来ず、短い声を漏らすだけだった。だが、体は強ばり、呼吸が浅くなっていることから、それが図星だということが窺える。
「なに、僕は君らを取って食おうって訳じゃないのね。親切心でちょっと良いこと教えてやろうと思ってさ」
「良い、事……?」
「そ。君らの学校の裏山に古い祠があるの知ってる?」
「し、知らない……」
「そう。じゃあこれを機に覚えといてね」
優輝さんは人差し指を立てた。その指を真ん中の少年の額に向ける。少年は何化されるのではと怯え、ギュッと目を瞑った。優輝さんは他の少年二人にも同じことをしていて、他の二人も怯えた様子で目を瞑っていた。
「う、なんだこれ!?」
そして、三人は驚いたようにたじろいで、それぞれお互い顔を見合わせた。
「さっき、なんか頭の中に映像が流れてきて、学校の裏山にある祠の場所がわかった!」
「ぼ、僕も……!」
「し、しかも、ずっと昔から知ってたみたいな感覚……」
少年たちはお互い情報交換をして、さっき優輝さんにされたことを確認し合った。人ならざる技を前にし、改めて優輝さんを見た。彼が普通の人でないことは明らかだ。少年たちは未知の恐怖に支配され、お互い身を寄せあって、彼が次に話す言葉を大人しく待っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる