神様のお導き

ヤマト

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8話目!優輝の章 灰色から色付く世界

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 それから、優輝さんはさっきの少年たちを追いかけて、僕らには物陰に隠れているよう支持した。僕とライリーくんは優輝さんが何をしようとしているのかわからずに、お互い顔を見合わせてから彼の動向を物陰から見守った。
「おい、ガキ共」
 優輝さんは三人の少年たちの前に立つと、彼らに声を掛けた。少年たちは優輝さんを見て、酷く驚いたような顔をして青ざめた。
「ゲッ! さっきのトリガーハッピー野郎!」
「誰がトリガーハッピー野郎だ! 僕は銃を撃つことに快楽を覚えてもないし、本来の意味とも違うし、勉強し直してこいクソガキ!」
 優輝さんって、子供相手にもああなんだな……。優輝さんは僕を罵倒してる時と同じように、口悪く少年たちを罵倒していた。しかし、それが少年たちの気に触ったのか、少年は優輝さんに向かってカバンについている青いキーホルダーのような物を突き出した。それはシンプルなデザインで、楕円形の形に真ん中に一つボタンがついている。防犯ブザーだ。
「へっ! これを鳴らしても良いのか!? これを鳴らしたらお前は一気に不審者だ! 騎士団の人達が駆けつけて、お前を逮捕するんだからな!」
 強気に凄む少年たちに対し、優輝さんは心底興味無さそうな冷めた顔で彼らを見下ろしていた。
「ふーん? やってみなよ」
「えっ?」
 優輝さんの反応が意外だったのか、少年たちは一瞬呆気に取られてからたじろいだ。
「な、こ、怖くないのかよ!? これ防犯ブザーだぞ! 鳴らしたらでっかい音がなって、周りの大人たちが駆けつけてくれるんだぞ!」
 少年たちは早口で優輝さんに防犯ブザーの説明をし、脅威をわからせようとするも、優輝さんは変わらず冷めた表情をしていた。
「で? だから? だったらやってみれば良いじゃん」
 無関心にそういう優輝さんに対し、少年たちは「このっ!」と、防犯ブザーのボタンに手を掛けた。
「お前ら、鳴らすぞ!」
「うん!」
「おう!」
 少年たちは、最後まで優輝さんの様子を窺っていたが、なんの反応も示さない優輝さんを見て、辛抱出来なくなったのか、一斉に防犯ブザーを鳴らした。防犯ブザーはけたたましい音を立てて、ジリジリと辺りに響き渡る。僕もライリーくんもまずいと思って、慌てて辺りを見渡した。しかし、どこかおかしい。防犯ブザーは確かに鳴っているのに、街を歩く人が誰一人として反応しない。少年たちに見向きもしないのだ。少年たちもその違和感を感じて、青ざめた様子で辺りをキョロキョロと見渡していた。
「な、なんで……」
 少年の力ない呟きに答えたのは優輝さんだった。
「今、君たちの姿も声も、その身につけているものの音も全て、この街にいる人、誰一人として感じ取ることはできない。つまり、君たちはここに存在してないも同然なんだよ」
「えっ!?」
 それは神の所業とも呼べる術で、少年たちは目を白黒させて優輝さんを見た。その少年たちの目に映る優輝さんの姿は、一体どんな風に見えたのか。彼らは悪魔でも見るような顔で、優輝さんを見つめていた。
「お、お前、何者だ……!?」
「さぁ? 僕が何者だろうと君たちには関係ないでしょ?」
「う……ぁ……」
 もう声も体も震えて何もできない。彼らの足は地面に縫い合わされたかのように動くことが出来ず、ただ震えて優輝さんを見つめる他出来なかった。
「さて、やっと静かになったところで、本題に入ろう」
 優輝さんはそう言って、彼らに目線を合わせるようにその場にしゃがみ込んだ。顔に似合わず足を大きく広げてしゃがみ込む優輝さんは、僕にはヤンキーにしか見えなかった。
「君らさぁ、ライリーってガキイジメてんでしょ?」
「う……!」
 少年たちは恐怖のあまり上手く喋ることが出来ず、短い声を漏らすだけだった。だが、体は強ばり、呼吸が浅くなっていることから、それが図星だということが窺える。
「なに、僕は君らを取って食おうって訳じゃないのね。親切心でちょっと良いこと教えてやろうと思ってさ」
「良い、事……?」
「そ。君らの学校の裏山に古い祠があるの知ってる?」
「し、知らない……」
「そう。じゃあこれを機に覚えといてね」
 優輝さんは人差し指を立てた。その指を真ん中の少年の額に向ける。少年は何化されるのではと怯え、ギュッと目を瞑った。優輝さんは他の少年二人にも同じことをしていて、他の二人も怯えた様子で目を瞑っていた。
「う、なんだこれ!?」
 そして、三人は驚いたようにたじろいで、それぞれお互い顔を見合わせた。
「さっき、なんか頭の中に映像が流れてきて、学校の裏山にある祠の場所がわかった!」
「ぼ、僕も……!」
「し、しかも、ずっと昔から知ってたみたいな感覚……」
 少年たちはお互い情報交換をして、さっき優輝さんにされたことを確認し合った。人ならざる技を前にし、改めて優輝さんを見た。彼が普通の人でないことは明らかだ。少年たちは未知の恐怖に支配され、お互い身を寄せあって、彼が次に話す言葉を大人しく待っていた。
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