神様のお導き

ヤマト

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8話目!優輝の章 灰色から色付く世界

8-6

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 優輝さんはガラ悪くしゃがみ込んだまま話を続けた。
「その祠ってさ、深夜零時をを過ぎると悪霊、又は化け物が出るって噂。そんで、悪霊と出くわしたら魂を賭けて勝負をしなきゃなんないって話。勝負に負けた者は魂を抜けれ、ただ生きるだけの植物人間になるんだってさ」
 少年たちは優輝さんの話を聞いて、ゴクリと固唾と息を飲み込んだ。その噂が本当であれ嘘であれ、この年頃の男の子たちには興味をそそられる反面、恐怖を煽られるもの。優輝さんが何故彼らにそんな話をしているのか、未だ僕には見当もつかなかった。
「だからさ、その祠に近づくのは大の大人でも躊躇うもの。しかし、その反面、肝試しや度胸試しに訪れる者も数知れず。その祠へ行って悪霊だか化け物だかに勝ってきた者は、その証拠と打ち勝った証として私物を置いていく。結構有名なんだよ」
 優輝さんが何故そんな脈絡のない話をするのか意図がわからず、少年たちはお互い顔を見合わせてから、優輝さんに恐る恐る聞いた。
「そ、それがどうしたってんだよ……」
「だからさぁ、親切心で教えてあげてるって言ったじゃん。その祠に行って帰ってきた奴がいる」
「え……」
「そう、君らがイジメてるライリーだよ」
 優輝さんの口から突然出て来た名前に少年たちは驚きの声を上げた。
「う、嘘だ!?」
 当然、当の本人のライリーくんもそんなこと知らないわけで、狼狽えながら僕に首を振っていた。
「お、オレ、知らない! 噂も初めて聞いたし……」
 どうやら、これは優輝さんのハッタリらしい。こう言うことで、少年たちを牽制しているのだろうか。
「嘘なんかじゃないよ~。だからさ、君らもライリーイジメんのやめといた方が良いよ~。今は親の目とか気にして君らのイジメ、我慢してるみたいだけど、限度を超えたらどうなるか……。化け物みたいにハッ倒されちゃうかもね~あはは」
 優輝さんは彼らを馬鹿にしたように軽薄に笑った。少年たちはそれでもその話が信じられず、優輝さんに怯えながらも反論した。
「そ、そんな訳ない! だ、だってあいつはオレたちが何しても反論ひとつしてこない意気地無しで……」
「だからさぁ~言ってんじゃぁん。今は我慢してるだけだって」
「で、でも……」
「っはー。チッ! ウザったいなぁ」
 優輝さんは何度も反論してくる少年たち苛立ったように舌打ちし、頭をガリガリとガサツに掻いた。少年たちは優輝さんのその態度に「ヒッ」と、短い悲鳴を上げて、ビクビクと縮こまってしまう。
「そう思うなら自分で確かめれば良いじゃん」
「えっ?」
「だから、そこに行って確かめて来いって言ってんの!」
「で、でも……」
「怖いなら昼間に見に行けば良いじゃん。ライリーは夜行ってたけど、君らは臆病者だから夜には行けないもんね~」
 あははと、また軽薄そうな顔を浮かべて笑う優輝さん。完全に彼らを小馬鹿にしている。ライリーくんと比べられて、彼らのプライドに傷が付いたのか、少年たちのうちの一人がムキになって否定した。
「そ、そんなことない!」
「お、おい、お前……」
「だって、ライリーに出来てオレたちにできない筈がねぇじゃんか!」
「そ、それは……そうだけど……」
 どうにも乗り気にならない二人をよそに、一人の少年は声を荒らげて反抗した。
「オレらだって夜にその祠に行ってやる!」
 その言葉を聞いて、優輝さんはにんまりとした笑みを浮かべた。
「ホントにぃ~? でも君たち、その前に一つ問題があること忘れてないかなぁ?」
 優輝さんの言葉に少年たちはお互い目を合わせた。問題とはなんなのか、彼らにも分からないらしく、彼らは首を捻った。
「な、なんだよそれ……」
「君ら、深夜に外に出れるの?」
「あ……!」
「無理だよね。お母さんとお父さん怖いもんね。諦めるしかないか」
 優輝さんは今までにないくらい爽やかな笑みを浮かべて、彼らを嘲り笑った。挑発的な優輝さんの態度に少年たちは余計にムキになってしまい、「そんなことない!」と、声を荒らげて否定した。
「父ちゃんも母ちゃんも怖くなんかないぞ!」
「ふーん? ま、僕にはどうでも良いけど。ま、夜に外出歩けるんだったら、度胸試しに君らも今夜行ってみなよ、その祠に」
 優輝さんはまた冷めた態度になった、興味無さそうに欠伸を噛み締めた。少年たちのうち二人は未だ乗り気にならないらしく、ムキになる少年を諌めていた。
「ほ、ホントに行くの!?」
「行く!」
「でも、お母さんたちにはどうやって説明すれば……」
「友達の家に泊まりに行くとか嘘吐くか、寝てる間にこっそり抜け出したら良いだろ!」
「マジでか……」
 彼らが揉めているのを見ているのも飽きたのか、優輝さんはゆっくりその場から立ち上がり、ヒラヒラと彼らに手を振った。
「そんじゃま、今夜頑張ってー。さいならー」
 優輝さんは彼らを煽るだけ煽って僕らの許へと戻ってくる。少年たちは優輝さんが居なくなったお陰で、長期に渡る緊迫感から解放されて、ヘナヘナと力が抜けたようにその場に座り込んでいた。
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