神様のお導き

ヤマト

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8話目!優輝の章 灰色から色付く世界

8-10

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「否! 魂とは全てにおいて平等である! 生きとし生けるものには魂があり、それを秤では測れない! 無闇矢鱈に命を奪って良いものでは無いし、虫であれ動物であれ命を奪えばその業を背負って生きていかねばならん!」
「ひっ、ひぃい!」
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
「助けてお母さぁああん!」
 少年たちの出した答えは見事に外れ、竜の姿をした炎は少年たちが逃れられないように、少年たちの周りに火の玉を灯した。
「して、汝らよ」
「は、はい……!」
「汝らは魂が平等であるにも関わらず、ある一人の少年を虐めていたようだな!」
「ひっ! そ、それは……」
「極悪! 凶悪! 最悪! 汝らの穢れた魂、この浄化の炎で燃やし尽くしてくれる!」
「ひぃいい! ごめんなさい! ごめんなさい!」
「もうしません! 許してください!」
「ボクらが悪かったよー! 助けてください!」
 大きく息を吸い、威圧する竜の姿をした炎に対し、少年たちは地に膝をつけて、両手を組んで泣きながら命乞いをした。しかし、竜の姿をした炎はそんなことには聞く耳も持たず、自身の口から激しい炎を吐き出した。それは少年たちに襲いかかり、彼らの身は炎に包まれた。
「あはは、ウケる~。ザマァミロってんだ」
 可笑しそうに笑う優輝さんを横目に、僕は居ても立ってもいられず、思わずその場から飛び出した。けれど、それよりも早く、僕の脇を小さな少年の体が駆け抜けていく。そして、その少年は、身を焼かれる少年たちに両手を翳す。
「ライリーくん!」
 それはライリーくんの姿で、ライリーくんは両手から魔力を精製し、竜の口から吐き出される炎に対し、楕円形の水のバリアを張ったのだ。炎に焼かれていた少年たちは、ライリーくんのお陰で炎は鎮火され、少し日焼けした程度の軽傷で済んだ。ライリーくんは彼らの前に立ち、未だ竜の口から吐き出される炎を必死に食い止める。その姿を見た少年たちは、驚き彼を名を呼んだ。
「ライリー!?」
「な、何で……」
「どうして……」
 彼らは自分たちを体を張って助けてくれるライリーくんを見て唖然としていた。そりゃあ自身が虐めていた相手に助けられては理由もわからないし、驚きもするだろう。
「ほう……」
 竜の姿をした炎も彼らを助けに入ったライリーくんを見て、炎で攻撃するのを辞めて、興味深そうに彼を見た。
「自身を虐めていた相手を何故助ける」
 ライリーくんも竜の姿をした炎がこれ以上攻撃してこないと知って、翳していた両手を下ろし、まだ小さな自身の右手を見つめた。
「別に、こいつらを助けた訳じゃない……」
「…………」
「オレは昔、父さんを火事で失っている。だから、もう自分の目の前で誰かが焼き殺されるのを見たくなかっただけだ。これは、自分の為! オレの信念の問題だ!」
 ライリーくんはギュッと力強く右手を握り、真っ直ぐとした眼差しで竜の姿をした炎を見つめた。もしかしたら、本当は彼らのことが憎くて、死んで欲しいと願ったかもしれない。それでも、それ以上に彼には譲れないものがあったのだ。どれだけ憎い相手だろうと、もう自分の目の前で死なせないという覚悟が。
 竜の姿をした炎は暫く黙り込んでから、何か納得したように頷いた。
「良いだろう。今回は汝に免じてそやつらを見逃してやる」
 それを聞いた少年たちはホッとしたように顔を上げた。
「ほ、ほんとに!?」
「オレたち、助かったのか……?」
「良かった……良かったよー……」
「しかし! 次はないと思え!」
 竜の姿をした炎はボウっと、大きなひとつの炎となって、一瞬でその場から消え去って行った。それが消えるのを見て、ライリーくんはヘナヘナとその場に座り込んだ。僕はそんなライリーくんの肩を抱いて「大丈夫!?」と、心配した。ライリーくんは、少し気の抜けた顔で力なく自嘲する。
「う、うん……。ちょっと気が抜けただけ……」
 僕を安心させるようにヘラリと笑うライリーくんの許に、少年たちが慌てて集まってきた。
「あ、あの……」
 少年たちがライリーくんに何か言おうとした時、ライリーくんはそれを遮ってこう言った。
「別にお前らからの感謝の言葉なんか要らない」
 キッパリとそう断られ、少年たちは「う……」と、押し黙ってしまった。
「さっきも言ったように、お前らを助けたくて助けた訳じゃないし、オレの信念に背くからだ。それに、オレはお前らから今までされて来たこと許しちゃいないし、今でも許せない。だから、感謝する気持ちがあるなら、もうオレには関わらないで。お前らに虐められることで母さんに心配させたくない」
 ライリーくんはムスッとしたまま、彼らから顔を背けてそう言った。やっぱりライリーくんは彼らのことを憎んでいた。それでも彼らを助けたのだから、それは凄いことだ。大人でも、憎んでいる相手を助けるなんてこと、早々できたものじゃない。
「だから、さっさと帰って」
 ライリーくんにそう言われ、少年たちは何も言えなくなり、お互い顔を見合わせてから、少し気後れした様子でその場から去っていった。
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