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8.5話目!はじめてのおつかい アキラより
8.5-1
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さて、そろそろ拓斗さんも仕事に慣れてきた頃でしょう。本人も出来ることから一人で仕事を任せて欲しいと言っていることですし、今回は簡単なお使いを頼もうと思っています。いつも僕と買い物に行っている量のものを買うのではなく、特に急ぐ必要のない細々としたものを買いに行ってもらおうと思います。いつもは大量の食料を買い込むため、おやつなんかはダンボール箱ごと買ったりしますが、拓斗さんは空間転移魔法も一時的な収容を可能とする魔法も使えません。なので、買えてもせいぜい両手に持てる程度の量。今回はコミュニケーションも兼ねて、家に住む皆さんに買ってきて欲しい物を一つずつ聞いてもらい、それをメモして買い物に行くと言うものです。
「そんな訳で、お金は一応現金とカード、それぞれ持ってもらって、まずは外での買い物を一人で出来るようにしましょう。こう言うと、かなり子供扱いしているように思えるかもしれませんが、貴方にとっては全く未知の世界での買い物。見慣れないものも多い中での買い物は骨が折れます。恥じることは無いので、自分にわかる範囲で買い物をして来てくださいね」
拓斗さんにそう言うと、彼は全く嫌な顔一つせず、笑顔で頷いて見せた。
「うん、分かったよ。少しでも役に立てるように頑張るよ」
彼はとても従順で優しいです。なんでもかんでも「うん」と言う所には多少の不安も覚えますが、彼の長所は気兼ねなく伸ばして欲しいですし、わざわざひねくれた方向に直す必要もない。今は彼が間違った方向に進まないようにだけ気をつけて、彼の意志を尊重して見守りましょう。
「とりあえず、これが簡易ワープ装置です。これを使えば僕らがいつも買い物に行っている街にワープできます。いつも通り、少し人気のない森の中に転送されますから、そこからはいつもの道を通って街へ向かって下さい。帰る時も同様です。よろしくお願いします」
一通り説明を終えて、拓斗さんに簡易ワープ装置を手渡した。彼は訝しげにそれを見つめ、色んな角度から観察していた。
装置は灰冶さんと紫紀さんが共同で開発したものだ。一見ただの懐中時計ではあるが、それを開き、円盤に記された数字に針を合わせると、特定の場所にワープできると言うものだ。つまり、十二箇所ならばワープ場所を登録出来る。数が多く覚えるのが大変だと思うかもしれないが、円盤の数字から登録した景色が小さな映像として浮かび上がるため、無理に覚える必要もない。
今のテラの技術では、空間転移はとても高度なものなので、こういった簡易ワープ装置も試験的に作られてはいるが、未だ実践するにあたって問題点も多い。少なくとも、空間転移する際に転送するものが途中で分解されてしまったり、転送途中出口もない亜空間に放り込まれ、そのまま戻ってこなくなるなどの例が多く挙げられる。それほど危険なものなのだが、灰冶さんと紫紀さんの手にかかれば安全性も兼ね備えた簡易ワープ装置を量産することができる。先生が拓斗さんに空間転移魔法を覚えさせてくれたら良いのだけれど、今はその時ではないため、とりあえずそれを彼に持たせることにした。
「使い方はわかりますね?」
「うん、この前アキラくんにちゃんと教えて貰ったからね」
「そうですか、なら安心です」
「じゃあ僕、アキラくんの期待に応えられるよう頑張ってくるよ!」
「ええ、あまり気負い過ぎず、いつも通り買い物しに来てください」
意気揚々と彼はメモ帳片手に部屋を飛び出して行く。僕はそんな彼の背中を部屋のドアの隙間から顔を出して見つめていた。
「…………」
少し心配なので、彼が皆から欲しいものを聞くところまで、少し遠くから見守る事にした。
彼がまず最初に向かったのは桜さんのところだった。彼女とは少し前は一方的にギクシャクしていたみたいだったが、最近はまた元に戻って仲良くしている。拓斗さんにとって、一番話しやすいのが桜さんなのだろう。確かに桜さんは誰が相手であろうと、分け隔てなく話してくれる。会話が苦手でも彼女から話題を振ってくれるし、一緒にいて心地好い。
拓斗さんはいつもと変わらぬ様子で彼女から欲しいもの一つ聞いていた。しかし、それは拓斗さんにとって予期せぬ物だったらしく、拓斗さんは苦虫を噛み潰したような顔をして固まった。
「だから、キュンメイクのクリミナルタッチアイライナーよ。ブラウンね! よろしく~!」
「…………」
桜さんは拓斗さんの肩をポンポンと軽く叩いて、笑顔で立ち去って行った。拓斗さんは慌てて買い物リストにメモしていたが、それが何なのか到底理解していないように思えた。僕らからすれば、化粧品の種類は分かれど、その中かれ更に枝分かれした商品など分からぬもの。拓斗さんが困惑するのも当然だ。僕にもよくわからない。
拓斗さんは気を取り直して、次の人へと会いに行った。
「そんな訳で、お金は一応現金とカード、それぞれ持ってもらって、まずは外での買い物を一人で出来るようにしましょう。こう言うと、かなり子供扱いしているように思えるかもしれませんが、貴方にとっては全く未知の世界での買い物。見慣れないものも多い中での買い物は骨が折れます。恥じることは無いので、自分にわかる範囲で買い物をして来てくださいね」
拓斗さんにそう言うと、彼は全く嫌な顔一つせず、笑顔で頷いて見せた。
「うん、分かったよ。少しでも役に立てるように頑張るよ」
彼はとても従順で優しいです。なんでもかんでも「うん」と言う所には多少の不安も覚えますが、彼の長所は気兼ねなく伸ばして欲しいですし、わざわざひねくれた方向に直す必要もない。今は彼が間違った方向に進まないようにだけ気をつけて、彼の意志を尊重して見守りましょう。
「とりあえず、これが簡易ワープ装置です。これを使えば僕らがいつも買い物に行っている街にワープできます。いつも通り、少し人気のない森の中に転送されますから、そこからはいつもの道を通って街へ向かって下さい。帰る時も同様です。よろしくお願いします」
一通り説明を終えて、拓斗さんに簡易ワープ装置を手渡した。彼は訝しげにそれを見つめ、色んな角度から観察していた。
装置は灰冶さんと紫紀さんが共同で開発したものだ。一見ただの懐中時計ではあるが、それを開き、円盤に記された数字に針を合わせると、特定の場所にワープできると言うものだ。つまり、十二箇所ならばワープ場所を登録出来る。数が多く覚えるのが大変だと思うかもしれないが、円盤の数字から登録した景色が小さな映像として浮かび上がるため、無理に覚える必要もない。
今のテラの技術では、空間転移はとても高度なものなので、こういった簡易ワープ装置も試験的に作られてはいるが、未だ実践するにあたって問題点も多い。少なくとも、空間転移する際に転送するものが途中で分解されてしまったり、転送途中出口もない亜空間に放り込まれ、そのまま戻ってこなくなるなどの例が多く挙げられる。それほど危険なものなのだが、灰冶さんと紫紀さんの手にかかれば安全性も兼ね備えた簡易ワープ装置を量産することができる。先生が拓斗さんに空間転移魔法を覚えさせてくれたら良いのだけれど、今はその時ではないため、とりあえずそれを彼に持たせることにした。
「使い方はわかりますね?」
「うん、この前アキラくんにちゃんと教えて貰ったからね」
「そうですか、なら安心です」
「じゃあ僕、アキラくんの期待に応えられるよう頑張ってくるよ!」
「ええ、あまり気負い過ぎず、いつも通り買い物しに来てください」
意気揚々と彼はメモ帳片手に部屋を飛び出して行く。僕はそんな彼の背中を部屋のドアの隙間から顔を出して見つめていた。
「…………」
少し心配なので、彼が皆から欲しいものを聞くところまで、少し遠くから見守る事にした。
彼がまず最初に向かったのは桜さんのところだった。彼女とは少し前は一方的にギクシャクしていたみたいだったが、最近はまた元に戻って仲良くしている。拓斗さんにとって、一番話しやすいのが桜さんなのだろう。確かに桜さんは誰が相手であろうと、分け隔てなく話してくれる。会話が苦手でも彼女から話題を振ってくれるし、一緒にいて心地好い。
拓斗さんはいつもと変わらぬ様子で彼女から欲しいもの一つ聞いていた。しかし、それは拓斗さんにとって予期せぬ物だったらしく、拓斗さんは苦虫を噛み潰したような顔をして固まった。
「だから、キュンメイクのクリミナルタッチアイライナーよ。ブラウンね! よろしく~!」
「…………」
桜さんは拓斗さんの肩をポンポンと軽く叩いて、笑顔で立ち去って行った。拓斗さんは慌てて買い物リストにメモしていたが、それが何なのか到底理解していないように思えた。僕らからすれば、化粧品の種類は分かれど、その中かれ更に枝分かれした商品など分からぬもの。拓斗さんが困惑するのも当然だ。僕にもよくわからない。
拓斗さんは気を取り直して、次の人へと会いに行った。
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