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8.5話目!はじめてのおつかい アキラより
8.5-5
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その後、デパートを出てから、拓斗さんは人の邪魔にならないところでマジックフォンを取り出した。巧みに指を動かして画面をタッチして、それで何かを検索している様子。彼、機械には強いんですよね。
マジックフォンとは、古の技術で開発されていたスマートフォンを魔法技術と魔法化学を組み合わせて改良したものだ。略してマジホ。元々のスマートフォンと違って、画面が全て立体映像となって、三六〇度様々な角度から見聞きすることができる。見た目そのものはスマートフォンと変わらないが、側面に視覚化のオンオフをするボタンがあり、プライベートで使う場合は通常視覚化をオフにする。すると、マジックフォンから映し出される立体映像はマジックフォン本体を所持している人しか見えなくなり、周りからプライベート画面は守られるというものだ。可視化をオンにすれば、周りの友人などと一緒に画面を共有できるようになる。たまに可視化をオフにし忘れて、公の場で如何わしい映像などを見てしまい、ドン引きされている人の姿も多く見かけるので要注意だ。
そんな訳で、公の場でプライベートで使っている拓斗さんは可視化をオフにしているため、僕からは拓斗さんが何を検索しているのか全く分からないのだ。
因みにだが、ちゃんと本来の機能である通話も可能だ。一応拓斗さんの電話帳には僕らの電話番号も入っているが、それは滅多に使うことは無い。なぜならテレパシーを送った方が早いからである。ビデオ通話も便利ではあるが使う頻度はそこまでない。
拓斗さんはマジックフォンでの検索を終えたのか、キョロキョロと辺りを見渡しながら、慎重に歩き出した。彼の様子を見るに、どうやら、マップ案内を検索していたようだ。彼は時折マジックフォンで画面を確認しながら、画面と現在地を照らし合わせてあっちこっち歩いていく。やがて、彼は人通りの少ない怪しい細道に差し掛かり、彼には不釣り合いな寂れたドアの前で立ち止まった。
そこは薄暗く不気味で、明かりはそのドアの上に照らされた赤い電光掲示板だけだった。その電光掲示板にはOPENとだけ書かれており、見るからに怪しい。
拓斗さんは周りの雰囲気を見て不安になったのか、何度もマジックフォンと周りの景色を照らし合わせていた。しばらく慌てふためいた後、意を決したのか、拓斗さんはその寂れたドアのドアノブに手を掛けた。恐る恐るその店の中に入って行く拓斗さん。
僕は壁などの障害物も透明可できる双眼鏡で、少し離れたところから彼の様子を見守った。
中はあまり広いとは言えなく、壁一面に様々な種類の銃器が飾ってあった。三つに分かれたショーケースの中には、今では滅多に手に入らない幻の銃まで飾ってある。ここはどうやら銃器を専門に扱うお店らしい。
部屋の奥のカウンターには店主と思われる厳ついハゲ……スキンヘッドのおじさんが居た。かなり筋肉質で身体中に無数の謎の傷跡がある。青いエプロンはボロボロで右側の首紐が解けて、せっかくの前掛け部分がベロンと裏地を見せている。
「おう、兄ちゃん、何をお求めで?」
店主は獣のような低い声で拓斗さんに話しかけた。眼光鋭く、蛇に睨まれたカエルのように固まってしまう拓斗さん。僕がそばに居たら代わりに対応してあげるのだけれど、今は一人での買い物だ。頑張って欲しい。
拓斗さんは店主と目を合わせることが出来ないまま、震える子羊のように萎縮して、震える声で店に来た目的を話した。
「あ、あの……僕、紫紀さんから頼まれて、いつもの? ガンオイルってやつを買いに来たんですけど……」
拓斗さんがそこまで言うと、店主は「あぁ」と、意外そうな顔で拓斗さんを見つめた。
「アンタ、シキの知り合いか。あいつが人に物を頼むなんて珍しい。わかった、いつものやつな」
どうやら店主は紫紀さんと知り合いらしい上、紫紀さんはここの常連客なようで、すぐに拓斗さんの注文したものを察してカウンター裏の商品棚からお目当てのガンオイルを取り出してくれた。
「ひとつで良いのか?」
「あ! はい! 今回はひとつで!」
「まいどあり。三千二百円な。ここカード使えねぇから現金で」
「は、はい!」
拓斗さんは焦ってあわあわし過ぎるあまり、手が滑って小銭を床に落としていた。その間ずっと謝って、床に落とした小銭を拾い上げていた。そんなに怯えなくても良いのに。別に彼が拓斗さん自身に何か危害を加えたわけでもないだろう。でもまぁしかし、見た目が自分より大きく厳ついと、自然と威圧感を感じてしまうものだ。この反応も普通の人なら無理もないのだろう。僕の周りには普通の人がいないので、こういうのは日々勉強である。
拓斗さんは安心した様子で店から出て行き、次の商品を買いに向かった。
今のところ順調と言えば順調だが、彼の様子は挙動不審な点が多く見られ、少し心配である。
マジックフォンとは、古の技術で開発されていたスマートフォンを魔法技術と魔法化学を組み合わせて改良したものだ。略してマジホ。元々のスマートフォンと違って、画面が全て立体映像となって、三六〇度様々な角度から見聞きすることができる。見た目そのものはスマートフォンと変わらないが、側面に視覚化のオンオフをするボタンがあり、プライベートで使う場合は通常視覚化をオフにする。すると、マジックフォンから映し出される立体映像はマジックフォン本体を所持している人しか見えなくなり、周りからプライベート画面は守られるというものだ。可視化をオンにすれば、周りの友人などと一緒に画面を共有できるようになる。たまに可視化をオフにし忘れて、公の場で如何わしい映像などを見てしまい、ドン引きされている人の姿も多く見かけるので要注意だ。
そんな訳で、公の場でプライベートで使っている拓斗さんは可視化をオフにしているため、僕からは拓斗さんが何を検索しているのか全く分からないのだ。
因みにだが、ちゃんと本来の機能である通話も可能だ。一応拓斗さんの電話帳には僕らの電話番号も入っているが、それは滅多に使うことは無い。なぜならテレパシーを送った方が早いからである。ビデオ通話も便利ではあるが使う頻度はそこまでない。
拓斗さんはマジックフォンでの検索を終えたのか、キョロキョロと辺りを見渡しながら、慎重に歩き出した。彼の様子を見るに、どうやら、マップ案内を検索していたようだ。彼は時折マジックフォンで画面を確認しながら、画面と現在地を照らし合わせてあっちこっち歩いていく。やがて、彼は人通りの少ない怪しい細道に差し掛かり、彼には不釣り合いな寂れたドアの前で立ち止まった。
そこは薄暗く不気味で、明かりはそのドアの上に照らされた赤い電光掲示板だけだった。その電光掲示板にはOPENとだけ書かれており、見るからに怪しい。
拓斗さんは周りの雰囲気を見て不安になったのか、何度もマジックフォンと周りの景色を照らし合わせていた。しばらく慌てふためいた後、意を決したのか、拓斗さんはその寂れたドアのドアノブに手を掛けた。恐る恐るその店の中に入って行く拓斗さん。
僕は壁などの障害物も透明可できる双眼鏡で、少し離れたところから彼の様子を見守った。
中はあまり広いとは言えなく、壁一面に様々な種類の銃器が飾ってあった。三つに分かれたショーケースの中には、今では滅多に手に入らない幻の銃まで飾ってある。ここはどうやら銃器を専門に扱うお店らしい。
部屋の奥のカウンターには店主と思われる厳ついハゲ……スキンヘッドのおじさんが居た。かなり筋肉質で身体中に無数の謎の傷跡がある。青いエプロンはボロボロで右側の首紐が解けて、せっかくの前掛け部分がベロンと裏地を見せている。
「おう、兄ちゃん、何をお求めで?」
店主は獣のような低い声で拓斗さんに話しかけた。眼光鋭く、蛇に睨まれたカエルのように固まってしまう拓斗さん。僕がそばに居たら代わりに対応してあげるのだけれど、今は一人での買い物だ。頑張って欲しい。
拓斗さんは店主と目を合わせることが出来ないまま、震える子羊のように萎縮して、震える声で店に来た目的を話した。
「あ、あの……僕、紫紀さんから頼まれて、いつもの? ガンオイルってやつを買いに来たんですけど……」
拓斗さんがそこまで言うと、店主は「あぁ」と、意外そうな顔で拓斗さんを見つめた。
「アンタ、シキの知り合いか。あいつが人に物を頼むなんて珍しい。わかった、いつものやつな」
どうやら店主は紫紀さんと知り合いらしい上、紫紀さんはここの常連客なようで、すぐに拓斗さんの注文したものを察してカウンター裏の商品棚からお目当てのガンオイルを取り出してくれた。
「ひとつで良いのか?」
「あ! はい! 今回はひとつで!」
「まいどあり。三千二百円な。ここカード使えねぇから現金で」
「は、はい!」
拓斗さんは焦ってあわあわし過ぎるあまり、手が滑って小銭を床に落としていた。その間ずっと謝って、床に落とした小銭を拾い上げていた。そんなに怯えなくても良いのに。別に彼が拓斗さん自身に何か危害を加えたわけでもないだろう。でもまぁしかし、見た目が自分より大きく厳ついと、自然と威圧感を感じてしまうものだ。この反応も普通の人なら無理もないのだろう。僕の周りには普通の人がいないので、こういうのは日々勉強である。
拓斗さんは安心した様子で店から出て行き、次の商品を買いに向かった。
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