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衝撃
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コンサートホールのロビーに戻ると、もうそこには誰もいなかった。一番人気のない奥のベンチに悠に案内され、座る。
悠も隣に座ると、薫子を気遣うように背中を優しく撫でた。
「......薫子、大丈夫?」
その一言で、今までなんとか均衡を保っていた薫子の胸の内の感情が決壊したように溢れ出してきた。
「ゆ、悠......わた、し...ッ...ヒッ...あ、あ...な、ック...み、ぎ......ッグ...見た、こと.....」
喉に熱いものが込み上げてきて、上手く言葉にならない。悠が、薫子を包み込むように抱き締める。
「ごめん...俺が、追いかけようなんて言ったから.....」
抱き締めた腕に僅かに力が籠る。
薫子は無言で首を振った。
もし、あの時...追いかけていなかったら、私は後悔してたと思うから。
けれど、その視線の先には薫子が予想もしていなかったような光景があったのだった。
パニックを起こす美姫を目の当たりにし、薫子は怖いとさえ感じてしまった。美姫が、まるで別人のようだった。
ーーそんな風に美姫を変えてしまった原因は、なんだったのか。
知りたいと強く思う一方で、知りたくないという相反する気持ちもあった。
秀一が側にいて美姫を支えてくれていることに安堵する気持ちもありつつ、薫子はそれをまた寂しくも感じていた。
「ッグ...ど、して......ヒグッ...美姫.....ッウ.....ッグッ...何、も...いて...ックぐれな...ッウウッ」
私たち、親友じゃなかったの? ずっと、ずっと一緒にいたのに......なんでも話せる仲だと思ってたのに......
秀一さんなら、大和になら、話せるのに...
どうして私には、何も話してくれないの?
「さみし...よ...ッグ...悠...」
「うん......」
薫子は悠の胸に抱かれ、涙が枯れる程泣いた。悠はそんな薫子を優しく包み込み、宥めるように背中を撫で続けた。
少しずつ落ち着きを取り戻してきた薫子は、ふと時計を目にやった。
いけない......迎えの時間を過ぎている......
涙を拭き、深呼吸して落ち着かせると、薫子は鞄からスマホを取り出した。スマホの電源を入れると、そこには留守電ありを知らせるメッセージがあった。
『薫子様、お迎えにあがりました。コンサートホールの正面出口にてお待ちしております』
運転手からのメッセージを確認し、通話ボタンを押す。
「もしもし...今からそちらに向かいます」
そう言って、薫子は電話を切った。
その様子を見守っていた悠と顔を見合わせ、薫子はふっと息を吐く。
「今日、は...ありが、と」
まだ涙で腫れた目を俯かせ、小さく礼を言った。
「薫子、ごめ...」
「謝らないで...悠には、感謝してるから」
悠の言葉を遮ると、また止まった筈の涙が溢れそうになり、熱くなった目頭を押さえた。
「もう、行かないと...」
これ以上ここにいては、運転手に怪しまれてしまうかもしれない。
薫子が立ち上がると、悠も立ち上がった。悠が薫子の手を握り、悠の冷たい手の温度が流れ込んでくる。
「気をつけて」
「うん、悠も......」
後ろ髪を引かれながら、薫子は出口に向かって歩いた。もうその先には黒塗りのベンツが停まっているのが見える。
薫子はチラッと後ろを振り返り、手を振ると小走りにベンツに向かう。悠の不安げな表情に、薫子の胸が絞られるように痛くなった。
悠も隣に座ると、薫子を気遣うように背中を優しく撫でた。
「......薫子、大丈夫?」
その一言で、今までなんとか均衡を保っていた薫子の胸の内の感情が決壊したように溢れ出してきた。
「ゆ、悠......わた、し...ッ...ヒッ...あ、あ...な、ック...み、ぎ......ッグ...見た、こと.....」
喉に熱いものが込み上げてきて、上手く言葉にならない。悠が、薫子を包み込むように抱き締める。
「ごめん...俺が、追いかけようなんて言ったから.....」
抱き締めた腕に僅かに力が籠る。
薫子は無言で首を振った。
もし、あの時...追いかけていなかったら、私は後悔してたと思うから。
けれど、その視線の先には薫子が予想もしていなかったような光景があったのだった。
パニックを起こす美姫を目の当たりにし、薫子は怖いとさえ感じてしまった。美姫が、まるで別人のようだった。
ーーそんな風に美姫を変えてしまった原因は、なんだったのか。
知りたいと強く思う一方で、知りたくないという相反する気持ちもあった。
秀一が側にいて美姫を支えてくれていることに安堵する気持ちもありつつ、薫子はそれをまた寂しくも感じていた。
「ッグ...ど、して......ヒグッ...美姫.....ッウ.....ッグッ...何、も...いて...ックぐれな...ッウウッ」
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秀一さんなら、大和になら、話せるのに...
どうして私には、何も話してくれないの?
「さみし...よ...ッグ...悠...」
「うん......」
薫子は悠の胸に抱かれ、涙が枯れる程泣いた。悠はそんな薫子を優しく包み込み、宥めるように背中を撫で続けた。
少しずつ落ち着きを取り戻してきた薫子は、ふと時計を目にやった。
いけない......迎えの時間を過ぎている......
涙を拭き、深呼吸して落ち着かせると、薫子は鞄からスマホを取り出した。スマホの電源を入れると、そこには留守電ありを知らせるメッセージがあった。
『薫子様、お迎えにあがりました。コンサートホールの正面出口にてお待ちしております』
運転手からのメッセージを確認し、通話ボタンを押す。
「もしもし...今からそちらに向かいます」
そう言って、薫子は電話を切った。
その様子を見守っていた悠と顔を見合わせ、薫子はふっと息を吐く。
「今日、は...ありが、と」
まだ涙で腫れた目を俯かせ、小さく礼を言った。
「薫子、ごめ...」
「謝らないで...悠には、感謝してるから」
悠の言葉を遮ると、また止まった筈の涙が溢れそうになり、熱くなった目頭を押さえた。
「もう、行かないと...」
これ以上ここにいては、運転手に怪しまれてしまうかもしれない。
薫子が立ち上がると、悠も立ち上がった。悠が薫子の手を握り、悠の冷たい手の温度が流れ込んでくる。
「気をつけて」
「うん、悠も......」
後ろ髪を引かれながら、薫子は出口に向かって歩いた。もうその先には黒塗りのベンツが停まっているのが見える。
薫子はチラッと後ろを振り返り、手を振ると小走りにベンツに向かう。悠の不安げな表情に、薫子の胸が絞られるように痛くなった。
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